各フェイズやステップでカードを最初に発動する権利は、常にターンを進めているターンプレイヤーにあります。
これをターンプレイヤーの「優先権」といいます。
相手プレイヤーは、ターンプレイヤーが優先権を持っている限り、自動的に発動する誘発効果やリバース効果以外は、先にカードを発動することができません。
「優先権を行使してカードを発動した場合」と「優先権を放棄した場合」、優先権は自動的に相手プレイヤーに移ります。
フェイズやステップを進める前には必ず優先権を放棄しなければなりません。
これをデュエル中に厳密に行うとすると、フェイズやステップの終了前ごとに優先権の放棄を宣言し、相手のカードの使用を確認しなければなりません。
ただし、実際のデュエルではゲームをスムーズに進めるため、フェイズやステップの終了宣言に優先権の放棄の意も含めています。
したがって、フェイズなどの終了を宣言した時、相手プレイヤーは「それでは終了前にこのカードを発動します」と言いカードを使用することが可能で、これはターンプレイヤーが優先権を放棄したため、相手プレイヤーが優先権を得たという形になります。
(公式ルールブック バージョン 1.0 より引用)
以上である。
などである。
優先権が問題になる事例は「ターンプレイヤーが優先権の放棄をしないプレイをした直後」、「カードの発動など優先権が相手に移った直後」、「一連の効果処理が終了した直後のクイックエフェクトの発動タイミング」にだいたい分類できる。
いずれの場合に関しても、優先権を無視したカードのプレイを行った場合、相手に巻き戻しをされる可能性があることに関しては同じである。
ただし、バトルフェイズの終了に際しては一つ注意が必要。
例えばバトルフェイズを終了する直前に相手が《血の代償》を用いてモンスターを召喚した場合、自分の《阿修羅》によってそのモンスターに攻撃を仕掛けることは出来ない。
これは終了宣言はエンドステップで行うためで、バトルステップは既に終わっている。よって、上記の例ではすでに攻撃を行えない。
同様にターン終了の宣言に対して相手がカードの発動を行ったとしても、エンドフェイズに対するキャンセルであるため、メインフェイズでなければ行えないモンスターの召喚や魔法・罠カードのセットは出来ない。
→エンドサイク
ターンプレイヤーが、何らかのカードのプレイをした直後に、自分に優先権があることを確認しながらプレイすることは大切である。
しかし、自分に優先権がある状態で相手に「何か発動しますか?」と伺うと言うことは、事実上優先権を放棄していることになる。
故に、以下のようなことは出来ない。
相手に伺うと言うことは、優先権を放棄しているし、相手も優先権を放棄した、つまり、「モンスターを召喚したタイミング」は終わっているので、《激流葬》を発動できるタイミングでは無くなっている。
他方で、上記の例で非ターンプレイヤーが、「では、《サイクロン》を発動します」などクイックエフェクトを発動した場合、「モンスターを召喚したタイミング」のままなのでこれにチェーンして《激流葬》を発動することは出来る。
もう一つ、モンスターを召喚・特殊召喚したタイミングは「召喚・特殊召喚を無効にするカウンター罠」の発動タイミングがある。
これは召喚成功後のクイックエフェクトの発動タイミング以前のタイミングで、この確認かどうかの問題も出てくる。
順番的には、「召喚を無効にするカウンター罠」に対し「何か発動しますか?」と伺い、その後優先権でのクイックエフェクトの発動タイミングが訪れる。
確認でもめたくないならば、この召喚直後の確認を「召喚を無効にする罠を発動しますか?」としっかりと訊くことが大切だろう。
優先権の移る行為の直後に相手に伺うのは当然のこと、上記の例の確認を怠り《破壊輪》発動後すぐ《地獄の扉越し銃》を発動してしまうと、非ターンプレイヤーに異議を唱えられ巻き戻しが発生しフリーチェーンのカードを《破壊輪》にチェーンして発動される可能性が出てしまう。
(《地獄の扉越し銃》の発動が不可能になる。)
主にターンプレイヤー側において「お互いの優先権の放棄」後にしかカードプレイができない行為に関しても非常に注意が必要である。
通常召喚と召喚ルール効果の特殊召喚は「お互いの優先権の放棄」が必要なプレイであるため、途中のクイックエフェクトの発動タイミングを確認せずに連続して行うと上記のように巻き戻しをされることになる。
特に上記の例は《奈落の落とし穴》等の発動タイミングでもあるため連続でモンスターの召喚を行いたい場合は注意が必要である。
上記の通り、召喚自体は優先権が移る行動ではなく、このタイミングからカードを使用する権利はそのプレイヤーが保持したままである。
加えて、マスタールール2以前のルールにおいては、このタイミングかつチェーン1の場合のみ「フィールド上のモンスターの起動効果」が使用できた。
この件については起動効果も参照。
Q:相手フィールド上に《ライオウ》が、自分フィールド上に表側表示の《王宮のお触れ》と《王宮の弾圧》があります。
自分は手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚しようとしています。
この時、相手の《ライオウ》の発動より先に自分は、《王宮の弾圧》を発動できますか?
(モンスターの召喚を無効にするタイミングでターンプレイヤーに優先権はありますか?)
A:相手が《ライオウ》の効果を発動する前に、ターンプレイヤーである自分が《王宮の弾圧》の効果を発動する事ができます。(11/02/27)
Q:自分が《サイクロン》の効果を発動して相手にカードの発動確認をし、相手は何もカードを発動しませんでした。
その後自分は《サイクロン》の効果解決時のタイミングで相手にカードの発動確認を聞かずに手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚しました。
《サイクロン》の発動のタイミングではチェーン確認はしたものの、カードの処理後の発動確認をしていないので相手はこれについて異議を唱えて《サイクロン》の処理後のタイミングまで巻き戻し、《マインドクラッシュ》を発動して《サイバー・ドラゴン》を宣言することはできますか?
A:その場合、処理後のタイミングまで巻き戻して《マインドクラッシュ》を発動する事ができます。
なお、公式大会では当日の審判にご相談ください。(08/11/30)
Q:ターンプレイヤーがバトルフェイズに移行しました。非ターンプレイヤーはターンプレイヤーが攻撃宣言する前に《威嚇する咆哮》を発動する事はできますか?
A:バトルフェイズのスタートステップ時、ターンプレイヤーがクイックエフェクトを発動する意思が無いのであれば、非ターンプレイヤーがクイックエフェクトを発動できます。よって、ターンプレイヤーの攻撃宣言前に《威嚇する咆哮》を発動する事はできます。(12/11/29)
Q:自分のモンスターが相手に攻撃宣言を行いました。
この時点では優先権が自分にあるので、《サイクロン》を発動しました。
相手は、この《サイクロン》(スペルスピード2)にチェーンして《バトルフェーダー》(スペルスピード1)の効果を発動できますか?
A:はい、可能です。(12/05/19)
Q:ターンプレイヤーが《ダーク・グレファー》を召喚し優先権を放棄しました。これに対し非ターンプレイヤーは《奈落の落とし穴》を発動しました。
この処理が終わった後ターンプレイヤーは別の《ダーク・グレファー》の起動効果を、非ターンプレイヤーは《月の書》を発動したいと考えています。どちらが先に行動することが出来ますか?
A:《奈落の落とし穴》の効果処理が終了した時点で、優先権はターンプレイヤーにありますが、ターンプレイヤーがスペルスピード2以上のカードや効果を発動しない場合は、先に相手プレイヤーから《月の書》を発動する事ができます。(11/09/08)
Q:ターンプレイヤーが《切り込み隊長》を召喚し誘発効果を使用しました。これに対しターンプレイヤーは《激流葬》を、非ターンプレイヤーは《落とし穴》を発動したいと思っています。どちらが先に発動できますか?
A:非ターンプレイヤーが先に《落とし穴》を発動する事ができます。(12/12/01)
Q:ターンプレイヤーがモンスターを召喚しシンクロ召喚を行うために優先権を放棄しました。これに対し非ターンプレイヤーは《激流葬》を発動しました。そのためターンプレイヤーは《神の宣告》を発動しました。
この処理が終わった後ターンプレイヤーはシンクロ召喚を非ターンプレイヤーは《月の書》を発動してシンクロ召喚の妨害を行いたいと考えています。どちらが先に行動することが出来ますか?
A:その場合、非ターンプレイヤーが《月の書》を先に発動する事ができます。(12/03/12)
A:特殊召喚に成功したタイミングでは、基本的に直前のチェーン処理に関わらずターンプレイヤーからカードや効果の発動をする事ができます。(11/07/27)