*手札事故 [#top]
 [[手札]]に極端な偏りが起こり、[[デッキ]]が機能しない状況のこと。~
 具体的には、[[手札]]の中に[[腐った>腐る]][[カード]]が多く存在していたり、特定の[[コンボ]]パーツが揃わず、無理に動くと効率が悪い展開をせざるを得なくなる状況などを指す。~
 単に「事故」と言われたり、これが発生することを「事故る」と言われたりすることもある。~
 また、[[デッキ]]を指して「[[デッキ]]事故」と言われることもある。~

 これが起こる原因の一つとして、[[発動条件]]や[[召喚条件]]がある[[カード]]、もしくは[[効果]]を活かせる状況が限られている[[カード]]を大量に投入していることが挙げられる。~
 必然的にそれらが多くなる[[コンボ]][[デッキ]]では、[[手札]]に重複したり引けなかったりして事故が起こりやすい。~
 また、[[相手]]の[[ハンデス]]や[[ロック]]等によって使用できない[[カード]]が増えたり、[[キーカード]]が[[無効]]化されたりすることで発生することもある。~

 手札事故の最大の問題は、行動の選択肢が狭まってしまうことである。~
 例えば、[[モンスターカード]]だけなら1体を[[通常召喚]]して[[ターン]]を終了せざるを得ず、[[魔法・罠カード]]だけなら[[相手]]の[[直接攻撃]]を覚悟しなければならない。~
 つまり、対戦[[相手]]が知っていようがいまいが、[[自分]]が[[ディスアドバンテージ]]を負っているも同然の状態なのである。~
 単なる[[確率]]論だけではなく経験や実践から見えてくるものもあるので、サンプルレシピ通りに[[デッキ]]を構築するなどして、どうすれば手札事故が起こりにくくなるかを考えることが重要となる。~
 ただし、きちんと回った時の爆発力が高い[[デッキ]]ならば、ある程度手札事故のリスクを妥協することもある。~

-初心者にありがちな「[[上級モンスター]]が多く[[下級モンスター]]が少ない[[デッキ]]」や「[[モンスターカード]]が多く[[魔法・罠カード]]が少ない[[デッキ]]」は事故が起こりやすい。~
特に[[上級モンスター]]・[[特殊召喚モンスター]]・[[装備魔法]]・[[墓地]]利用[[カード]]は事故要因となりやすい。~
これらは特定の条件下でのみ[[召喚]]や[[発動]]ができる[[カード]]であるため、入れすぎは禁物である。~

-遊戯王[[OCG]]では他の[[TCG]]に見られる「初手が悪かった場合に引き直せる」ルール、いわゆる「マリガン」が存在しない。~
そのため、手札事故が起こった際の解決手段に乏しく、対処法が全くない場合はそのまま敗北に直結しやすい。~
プレイングで対処するには、とにかく[[相手]]の攻めを凌ぎ堪えることが重要である。~
そうすれば[[ドロー]]の機会が増えるため、徐々に偏りが軟化され、[[デッキ]]が機能するようになるからである。~
[[デッキ]]構築の段階では[[相手]]の展開を妨害する[[除去]][[カード]]等をある程度用意しておくと良いだろう。~
ただし、それらも積み過ぎると逆に事故要因となり兼ねないため、枚数には注意したい。~

-[[カード]]パワーのインフレや[[サーチ]][[カード]]の増加により、手札事故が起こる[[確率]]や可能性が著しく低い[[デッキ]]は増加しており特に[[環境]]レベルの[[デッキ]]においてはこれが顕著になりやすい。~
一方[[手札誘発]]型の[[メタカード]]による妨害が主流となった事で、[[手札誘発]][[カード]]によって展開が妨害・阻害され思うように動けなくなったり、逆に[[手札誘発]][[カード]](及びその対策[[カード]])ばかりが[[手札]]に来て従来のような手札事故を起こしたりといったものは依然として存在している。~
基本的には[[デッキ]]の構成や[[キーカード]]が引ける[[確率]]に(良くも悪くも)影響される面は否めないとはいえ手札事故はカードゲームを[[プレイ]]する上では切り離せない問題であり、[[デッキ]]構築の際に意識すべき点の一つである。~

-[[ストラクチャーデッキ]]は[[モンスターカード]]・[[魔法カード]]・[[罠カード]]と順番に並んでいるため、そのまま[[デュエル]]に使用すると手札事故を起こしやすい。~
[[デュエル]]直前の[[シャッフル]]より更に前に、複数種の[[シャッフル]]を絡めて念入りに混ぜておきたい。~

-原作・アニメにおいて―~
登場人物は要所要所で必要な[[カード]]を[[手札]]に確保できる強運を持っているため、[[相手]]の妨害以外の要因では事故を起こすことはあまりない。~
起こしても序盤か終盤に1〜2枚[[腐る]]程度であり、[[デュエル]]終了時には勝者・敗者共に[[手札]]の残り枚数は非常に少ないのが殆どである。~
しかし、[[発動]]できたり[[セット]]できる[[魔法・罠カード]]があるにもかかわらず、何故か使用しないなど、自分から首を絞めている場面も多い。~
また、《スピード・ワールド》[[適用]]下でのスピードスペルではない[[魔法カード]]や、遊馬の[[《ゴブリンのその場しのぎ》]]など[[ネタ]]気味の[[カード]]を[[手札]]に余らせていることも多い。~

--原作において初めて手札事故が描写されたのは「バトルシティ編」の「闇遊戯&海馬vs光の仮面&闇の仮面」の[[タッグデュエル]]。~
闇遊戯が[[壁]][[モンスター]]がいない状況で[[手札]]に[[下級モンスター]]が存在しないという典型的な手札事故を起こしている。~
同じく「バトルシティ編」の「闇遊戯vs城之内vs海馬vs闇マリク」のバトルロイヤルでは、城之内の初手に[[モンスター]]が存在していない手札事故が描写されている。~
城之内はアニメDMオリジナルの「KCグランプリ編」の「vsジーク・ロイド」戦でも事故を起こしており、初手で[[モンスター]]を出せなかった。~

--「KCグランプリ編」の「闇遊戯vsデュエルコンピューター」戦では、諸事情でリックの[[デッキ]]を使った闇遊戯が手札事故状態となり苦戦する羽目になった。~
もっともこの[[デッキ]]は殆どが[[ドラゴン族]][[通常モンスター]]で構築されているバランスの悪い[[デッキ]]であり、[[《追い剥ぎゴブリン》]]による3度に渡る[[ハンデス]]で[[壁]]となる[[下級モンスター]]を奪われない強運、更に数少ない[[効果モンスター]]及び[[魔法カード]]を引き当てて勝利した闇遊戯の[[ドロー]]力が驚異的と言える。~
上記にも述べた「[[モンスターカード]]が多く[[魔法・罠カード]]が少ない[[デッキ]]は事故が起こりやすい」を顕著に示した[[デュエル]]だと言えよう。~

--アニメGXにおいて、十代が翔との特訓[[デュエル]]を行っていたが、携帯ゲームによるものだったためか、本来の引きが出来なかった。~
大山は「引きの悪さ」を克服するため、山に篭って[[ドロー]]の修行をしていた。~
英語版アニメの大山の台詞によると、シャツを着て散髪すると引きが悪くなるらしい。~
また、[[《一撃必殺!居合いドロー》]]の使い手、橘一角も[[1ターンキル]]が中々決まらず悩んでいた描写がある。~
4年目では、翔が兄(ヘルカイザー亮)の[[デッキ]]を使おうとして回らないことに苦しんでいた。~
現実的に考えれば、この当時のカードプールで「[[《サイバー・ドラゴン》]]+その関連[[カード]]+[[サイバー・ダーク]]+装備用[[ドラゴン族]]」の混成[[デッキ]]を使いこなせる亮の方が異常なのだが。~

--漫画版GXにおいては「明日香VSデイビット」戦において、[[後攻]]のデイビットが単体では全く機能しない[[魔法カード]]が初期[[手札]]に固まるという事故を起こしている。~
ただし[[通常のドロー]]で[[《The big SATURN》]]を[[ドロー]]したため、全ての[[手札]]が[[コンボ]]パーツとして機能し[[1ターンキル]]を達成している。~

--遊戯王Rにおいて、百野真澄が[[デュエル]]中[[ドロー]]した10枚の[[カード]]の内、[[下級モンスター]]は1枚しかなかった。~
また、天馬月行が[[手札]]や[[墓地]]に[[コンボ]]の布石を整えていた際、[[相手]]は事故が起きていたと勘違いしていた。~

--アニメ5D'sにおいて、「遊星vs鬼柳」(1戦目)で鬼柳の[[デュエル]]開始時の[[手札]]が[[《インフェルニティ・ガーディアン》]]、[[《インフェルニティ・デーモン》]]2枚、[[《デプス・アミュレット》]]、[[最上級モンスター]]の《&ruby(ダークチューナー){DT}; ナイトメア・ハンド》であり、[[先攻]]1[[ターン]]目の[[ドロー]][[カード]]は[[《インフェルニティ・ビースト》]]だった。~
[[【インフェルニティ】]][[デッキ]]では、いかにして[[手札]]0枚を達成するかが重要であり、その点でいうと極端に[[モンスターカード]]が偏ったこの[[手札]]は事故ともいえる。~
事実、鬼柳が「[[手札]]0枚」を達成するまでに5[[ターン]]も費やしてしまった。~
また、ボルガー・プラシド・ブレオ・ブレイブ・ハラルドが[[デュエル]]中[[ドロー]]した[[カード]](9〜12枚)には[[スピードスペル>魔法カード]]が1枚もなかった。~
それだけでは事故と言い切れるものではないが、《スピード・ワールド 2》の[[ダメージ]][[効果]]が重要となるライディングデュエルにおいては、勝負の行方を左右する事柄と言える。~
上記のほぼ全ての[[デュエル]]において、何らかのスピードスペルが1枚でも[[手札]]にあれば、彼らは勝利できていたのである。~

---特にハラルドは[[《極神聖帝オーディン》]]の[[効果]]等で[[手札]]を蓄えていたが、最終的に[[《正統なる血統》]]を始めとした5枚の[[カード]]が使われず仕舞いのまま敗北している。~
[[通常モンスター]]と[[シナジー]]がない[[極星]]を使用しているにも拘らず、[[通常モンスター]]用の[[蘇生]][[カード]]である[[《正統なる血統》]]や[[《蘇りし魂》]]をどう活用するつもりだったかは言及されていない。~
尤も、仮に[[極星]]に[[通常モンスター]]が存在していたとして、当時のカードプールには[[《予想GUY》]]は存在しておらず彼の[[デッキ]]構築センスの疑いは晴れない。~
尤も、仮に[[極星]]に[[トークン]]以外の[[通常モンスター]]が存在していたとして、当時のカードプールには[[《予想GUY》]]は存在しておらず彼の[[デッキ]]構築センスの疑いは晴れない。~

--アニメZEXALの「アストラルvsカイト」戦では、アストラルの[[手札]]に[[《カゲトカゲ》]]の[[召喚条件]]を満たす[[モンスター]]が無かった。~
この状態で[[《No.39 希望皇ホープ》]]の[[エクシーズ召喚]]を行わざるを得なかったため、計6枚もの[[カード]]を消費して強引に呼び出しているが、これも一種の手札事故と言える。~
「カイトvs&ruby(ブイ){V};」戦では、Vが初手で[[《No.9 天蓋星ダイソン・スフィア》]]を出したが、それ以降は[[カード]]を2枚だけしか[[発動]]せず、[[モンスター]]も[[召喚]]せず、最終的には5枚もの[[手札]]を持て余して敗北している。~

--アニメARC-Vでは、遊矢の[[手札]]が全て[[モンスター]]しか存在しない事が度々見られる。~
「遊矢vsミエル」戦に至っては、初手及び[[ドロー]][[カード]]が全て[[ペンデュラム召喚]]の条件を満たしていない[[上級モンスター]]のみという事故を起こし、その際にタツヤが「手札事故」という表現を使っていた。~
「遊矢vsオベリスク・フォース3人組」戦では対戦相手のオベリスク・フォース側が[[通常召喚]]した[[モンスター]]以外[[手札]]を全く消費せずに合計16枚も残して敗北しており、3人全員が手札事故という前代未聞の事態であった。~

--漫画ARC-Vの「遊矢vs零児」戦では、遊矢の[[手札]]に[[《EMカード・ガードナー》]]3枚が固まっていた際にわざわざ「手札事故じゃないよ」と発言している。~
実際に[[ペンデュラム召喚]]によって3体すべてを[[特殊召喚]]しており、[[モンスター効果]]で守りを固めていたため確かに事故ではなかった。~

--アニメVRAINSでの「遊作/Playmaker vsハノイの騎士(2戦目)」ではPlaymakerの初手4枚が[[上級モンスター>《サルベージェント・ドライバー》]]、[[罠二枚>《スリーストライク・バリア》]]、その場で[[発動]]できない[[魔法カード]]という事故を起こしていた。~
[[相手]]の[[フィールド]]に[[《クラッキング・ドラゴン》]]が出ている状態だったため、少し悩んでいたせいか進行方向の先にある建物にぶつかりそうになっており、本当の事故も起こしそうになっていた。~
もっとも、[[後攻]]1[[ターン]]目で[[《サイバース・ウィザード》]]を[[ドロー]]できたため、事故は回避できている。~
「島直樹/ロンリーブレイヴvsハノイの騎士」戦では、双方共に初期[[手札]]が事故を起こすというアニメでは極めて稀な状況に陥っている。~
(ロンリーブレイヴは[[《森の番人グリーン・バブーン》]]3枚と[[《森の狩人イエロー・バブーン》]]2枚、ハノイの騎士は[[《インヴェルズ・マディス》]]3枚と[[《インヴェルズ・グレズ》]]・[[《手札断殺》]]が1枚ずつ)~
だが、[[相手]]に悟られない様にするためか[[お互い]]同時に「完璧な[[手札]]だ!」とハッタリをかましている。~
この後、ハノイの騎士が[[発動]]した[[《手札断殺》]]により、ハノイの騎士側は[[《鳳凰神の羽根》]]と[[《ソウル・チャージ》]]を引いてある程度手札事故を解消している。~
一方、ロンリーブレイヴは[[《森の狩人イエロー・バブーン》]]と[[《野性解放》]]を[[ドロー]]しており、手札事故から脱却できなかったのだが、[[後攻1ターン目に引いたカード1枚>《サイバース・ウィザード》]]で勝利している。~

--味方と協力できるタッグデュエルやバトルロイヤル戦では、手札事故から一転、絶好の[[手札]]に変貌することも起こり得る。~
劇場版「[[超融合!時空を越えた絆>遊戯王〜超融合!時空を越えた絆〜 MOVIE PACK]]」では、十代、闇遊戯の初手が単独で動けるような[[手札]]では無かったのだが、十代は遊星が[[フィールド]]に残していた[[《ジャンク・ガードナー》]]を[[《E・HERO ネオス・ナイト》]]の[[融合素材]]にでき、闇遊戯は遊星の使用した[[通常魔法]]《希望の転生》の[[効果]]により[[《ブラック・マジシャン》]]を[[サーチ]]できた為、一気に攻めに転じられている。~
アニメARC-Vの「ランサーズ候補vsオベリスク・フォース3人組」戦では、黒咲が[[手札]]に[[レベル]]6の[[《RR−ワイルド・ヴァルチャー》]]3体を抱える手札事故だったが、権現坂の協力により[[ペンデュラム召喚]]が可能になり[[フィニッシャー]]役になっている。~

---この究極系が「光の仮面&闇の仮面」コンビで、光の仮面はサポート[[魔法・罠カード]]中心、闇の仮面は[[モンスター]]中心で[[デッキ]]を組みタッグデュエルしていた。~
これにより毎回初手に[[モンスターカード]]と[[サポートカード]]とを同比率で引き込めるため、タッグとして手札事故を起こす確率は限りなく低い。~
一方で片方の[[プレイヤー]]が倒されると、もう一人は[[デュエル]]を続けたとしても(共有する[[墓地]]等の利用を勘案しない範囲では)永久に手札事故から抜け出せなくなってしまう。~

--漫画OCGストラクチャーズでは、ストロング十九が過去に手札事故により無名のデュエリストに負けた事があると描写されている。~
ダーク黒田からは「負けの言い訳」と厳しく言及されているが、十九本人は「運が悪ければ負ける事もある」と語るに留まっている。~

--[[ラッシュデュエル]]はルール上、手札事故を軽減しやすいゲーム性となっているが、あちらでもアニメでは[[ネタ]]として何度か手札事故を発生させている(→[[RUSH:手札事故]])。~

-コナミのゲーム作品において―~
デュエルリンクスには1度だけマリガンを行うかどうかを選べるスキル「リスタート」が存在する。~
マリガンを行った場合、[[デメリット]]として最初の[[通常のドロー]]が1回行えなくなる。~

**関連リンク [#link]
-[[手札]]
-[[事故]]

-[[手札交換]]
-[[腐る]]
-[[ディスアドバンテージ]]
-[[回転]]

-[[用語集]]