ファンデッキ/Fun Deck

 ユーザーが好むカードカテゴリ、ギミックを使用する面白さを追求しつつ勝利を目指すデッキのこと。

 個人の好みや趣向を重視したデッキであり、主流デッキのような大会で活躍することを目標としたガチデッキとはコンセプトが異なる。
 遊びの要素があり無駄が多い反面、普段使われることの少ないマイナーなカードが活躍する様に魅せられる構築者は多い。

 勝率優先のガチデッキと比較すると安定性が低く勝率は低くなる傾向にある。
 型にはまった時は勝てるが、それ以外はデッキパワーの低さから厳しい戦いになりやすい。

 しかし、上手く回った時の楽しさや嬉しさはガチデッキで勝つのとはまた違うものであり、その喜びを求めてデッキを洗練させるプレイヤーも多い。
 主流デッキと違い、勝てる構築が完全には確立されていないため、1からデッキを構築したいプレイヤーにも好まれる。

 また、遊戯王OCGには主流でないカテゴリやテーマが非常に多く、原作の漫画やアニメファンの存在もあってファンデッキが生まれやすい。
 ガチデッキによる真剣勝負のデュエルだけでなく、ファンデッキによる和やかなデュエルも遊戯王OCGの醍醐味の一つと言えるだろう。

  • ファンデッキに近いものとして、「ネタデッキ」がある。
    ファンデッキは勝つことを目標としているのに対し、ネタデッキは「ある特定の状況を成立させる」ことが最優先され、勝敗すらほぼ無視しているという違いがある。
  • ただし、「ファンデッキ」は「楽しむ(Fun)デッキ(deck)」や「愛好家の(fan)デッキ(deck)」が由来であり、もともとはネタデッキも含めた括りである。
    そのため、他TCGや海外では遊戯王OCG的な「ファンデッキ」は通じない可能性が高いことに注意。
    例として、TCGの元祖といえるMTGのwikiの該当ページでは、遊戯王OCGで言う「ネタデッキ」の範疇も含めて「ファンデッキ」として扱っている。
    もっとも、どちらも主流ではないデッキを指すため、該当デッキはほぼ同じになる。
  • 特殊なファンデッキの一つとして「キャラクターデッキ」が存在する。
    原作の漫画やアニメのキャラクターを意識した構築、名場面の競演をフィールド上に再現するためのデッキであり、採用されるのは原作の漫画やアニメで使われたカードが最優先となりやすい。
  • その中にはOCGにおいて強力なカテゴリデッキも存在するが、使われた全てのカードが実戦向きであるわけではないため、結果として弱体化しやすい。
    また、OCGで一般的に使われる汎用性の高いカード(特に除去系)は原作やアニメで使われにくいため、実際のOCGで再現デッキを組むと回りにくくなる。
    このように実戦に向けた構築がとりづらいため、ネタデッキとなることが多い。
    かつてコンセプトデュエルに存在していた【璃緒】も、成立時点で既にカードプール上無理のある【水属性鳥獣族】というコンセプトであったため、キャラクター名呼称の一斉廃止と共に消滅している。
    ほぼ同様の理由で、【ミザエル】も【天城カイト】との差別化に苦しんでいたためか消滅している。
  • このように様々な構築背景を元に考案されるためデッキ内容は多種多様である。
  • 安定性は低いがコンボが決まれば強力なデッキ(いわゆるロマンデッキ)が多い。
    大会を勝ち抜く主流デッキは採用カード全体にシナジーを張り巡らせ、どんな手札でも安定した強さを得ることを志向するのに対し、こちらはある特定のコンボシナジーを意識しそれのみに特化するため、爆発力に秀でやすい。
    その一方で安定性に難を抱えることが多く、またギミックの複雑化・肥大化により手札の消耗が激しい構築に寄りやすい。
    そのため、コンボとそのフォローを意識するのは必須、さらに相手の行動や次のターンの予測、手札消費対策等、考えることは大量にある。
    故に高度な構築・プレイングテクニックを必要とし、使い手にはかなりの応用力が要求される。
  • 自分デッキがマイナーな型であるほど、情報アドバンテージの面で有利になる。
    動きの特殊なものはマストカウンターが見極めづらく、更に専用のコンボシナジーによって自然に相手の裏をかける場合もあり、知識を持たない相手には完勝できることも多い。
    マイナーであるからこそ、使い手相手の知識量・構築力・応用力が如実に試されるため、刺激的なゲームが楽しめるだろう。
    経験や知識もないままにただキーカードを揃えても「自分だけのファンデッキを作る」ことは夢のまた夢なので、最初はある程度構築の幅が煮詰められた主流デッキなどを参考にし、様々なコンボシナジーに気付けるよう経験を積むとよいだろう。
  • 一方で、現在ではトーナメントクラスでないデッキ環境の変化についていけなくなった【グッドスタッフ】などの過去の主流デッキや、サポートが少なくパワーの劣るデッキジャンルに対して貶す意味で使う人も少なからずいるが、これは本来の意味とは異なる。
    勿論、馬鹿にする意味でそう呼んではいけない。
  • 原作・アニメにおいて―
    アニメDMオリジナルデュエル「遊戯vsステップジョニー」戦では、音楽ダンスなどをモチーフにしたモンスターが多いジョニーのデッキを、闇遊戯が「ファンデッキか」と評した。
  • ちなみに当時のOCGのカードプールではあまりまともなファンデッキが組める状態ではなく、残念ながら「シナジーのない弱いデッキ」がファンデッキと呼ばれてしまう事も多々あったゆえに、この闇遊戯の反応は仕方のないものであったとも言える。
  • アニメGXの死神と契約した決闘者・橘一角が使用した《一撃必殺!居合いドロー》を中心とした1ターンキルデッキも、相手が驚くようなコンボに偏った、ファンデッキ要素が強い構築のようだ。
    劇中の彼がデッキ構築に悩む回想では、「このカード入れちゃうとロマンはあるけど勝つのは厳しくなるかなあ」と採用を迷ったカードを「このコンボが決まった時のビックリ具合でいくと外せない」と投入を決断する姿が見られる。
    自分の思い描く最高の勝利のために長々と研鑽を重ねる彼の姿勢は、ある意味でファンデッキを構築する者の鑑とも言えるだろう。
  • アニメ5D'sにおいてはカーリー渚の「占い魔女デッキ」もこれにあたるだろう。
    そもそも占い魔女は占いの道具としてデザインされたシリーズのようだ。
    また、矢薙典膳の「秘宝デッキ」もファンデッキの一種に近い。
    もっとも彼の場合はカードの効果を理解しておらず、単にコレクションしているだけである。

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