2026/01/02 01:40:17
[ 差分 | 現在との差分 | ソース | 復旧 ]UpperDeck †
過去にYU-GI-OH! TRADING CARD GAMEの販売を行っていた会社。
正式名称は「Upper Deck Entertainment」。
元々は、メジャーリーグベースボール・アイスホッケー・アメリカンフットボール・バスケットボールなどと提携したトレーディングカードを製造する企業である。
それまで子供向けの玩具と見なされていたトレーディングカードに「サイン入りカード」「ホログラムカード」といった大人も夢中にさせる収集要素を導入し、トレーディングカード市場を大きく拡大した。
2001年にKONAMIとライセンス契約をして北米でのYU-GI-OH! TRADING CARD GAMEの販売を開始し、2002年には欧州での展開のライセンスも取得した。
世界大会を運営したり、海外の禁止・制限カードを制定するなどしていた。
しかし、あろうことか公式ライセンス企業でありながら、約61万枚の偽造カードを製造していた事が判明。
米国現地時間2008年12月11日にKONAMIからYU-GI-OH! TRADING CARD GAMEに関する業務のUpperDeckからKONAMI(Konami Digital Entertainment)への移行が発表された。
UpperDeckはKONAMIと裁判で争っていたが、2009年2月に和解、現在は世界大会等を含む遊戯王TCG事業から手を引いている。
UpperDeck社カード偽造事件 †
UpperDeck社による遊戯王TCGカードの偽造事件。
裁判により明らかになった経緯は以下の通りである。
- 会長による偽造指示
2006年、UpperDeck社会長(当時)リチャード・マクウィリアムは、同社の社員に「人気があり価値のあるカード」のリストを提出するよう指示。
リストを受け取ったリチャードは、このリストのカードを偽造するよう、同社の副社長に指示した。
2007年にこのリストに基づく偽造カードが中国国内で製造され、米国へと送付される。
Vintage Sports Cards社にて、売れ残っていた正規品パック3つと偽造カード3枚をパックしたセット商品となり、市場へと流通した。
- 偽造カードの発見
2008年8月、KONAMI関係者が米国ロサンゼルスのToys “R” Us(トイザらス)店舗で、偽造カードが封入されたセット商品を発見・購入する。
このセットはToys “R” Us以外にもKmartやWal-Martに流通していたため、KONAMIによって回収された。
パッケージには「packaged and distributed by Vintage Sports Cards(ヴィンテージスポーツカード社によるパッケージングおよび販売)」と記載されていた。
同年10月、KONAMIは販売差し止めを求め、ロサンゼルス連邦地方裁判所においてVintage Sports Cardsを提訴。
訴訟の過程でVintage Sports Cardsは、偽造カードを供給していたのがUpperDeckであることを示す証拠を提出した。
- KONAMIとUpperDeckの法廷闘争
これを受けてKONAMIはUpperDeckを被告に加えるため召喚状を送付したが、UpperDeckはこれを拒否し、12月10日にネバダ州連邦地方裁判所で逆にKONAMIを契約違反および名誉毀損で提訴する。
翌12月11日、KONAMIはUpperDeckとの契約を打ち切り、TCGの流通・サポート・管理権を自社で取得すると発表した。
これに対しUpperDeckは16日、アムステルダム裁判所に契約解除の差し止めを求める訴訟を起こし、24日に受理された結果、ヨーロッパ・ラテンアメリカ・オセアニア地域での措置が一時停止された。
2009年1月14日、UpperDeckはKONAMIがChampion Packを供給していないことを非難したが、KONAMIはすでに契約を解除しており、自社が正規代理店であると発表した。
1月25日、UpperDeckは改めて偽造行為を否定する声明を出す。
- 決定的証拠の提出と和解
1月下旬にKONAMIは、UpperDeckによる偽造防止ホログラムの偽造、中国の印刷業者との取引を示す電子メール、CEO主導の組織的関与、隠蔽工作を示す証拠を裁判所へ提出した。
これらの証拠により、UpperDeckがカード偽造に関与したことは決定的となった。
UpperDeckは、問題のカードは偽造ではなく無認可のプロモカードであり、在庫処分用セット販売の一環として無償配布したと主張し反論した。
最終的に2009年2月26日、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所はUpperDeckのアメリカ国内におけるライセンス停止を命じ、4月15日にはアムステルダム裁判所でもヨーロッパ・ラテンアメリカ・オセアニア地域でのライセンス停止が決定された。
一方でUpperDeckは2月26日にネバダ州連邦地方裁判所に商標侵害で、3月20日にカリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所に販売契約違反などで反訴している。
2010年1月10日、UpperDeckの偽造および商標侵害が正式に認定され、UpperDeckの反訴は取り下げられた。
同月26日、UpperDeckが非公開の和解金を支払うことで和解が成立し、訴訟は終結した。
- UpperDeckは、この一件で大きく信用を落とし、それまで22年間続いていたMLBとの独占契約を解除されたり、スポーツ系トレーディングカードの版権を巡って別の会社からも訴えられるなどした。
その後は祖業であるスポーツ系トレーディングカードに回帰して事業を立て直し、OCG第13期の現在も事業を継続している。
- 同社がなぜカード偽造というあまりにリスクの高い行為に手を染めたのかは謎のままに終わった。
同社は偽造したカードをVintage Sports Cards社に無料で納入しており、偽造が同社の利益になった様子がまったくないのである。
偽造を指示したリチャード・マクウィリアムは2013年に死去しており、今となってはその目的は確かめるすべもない。
Upperdeck製偽造カード †
訴訟の中で、Upperdeck社は以下のカードについて以下の枚数を偽造した事が明らかになっている。
| カード名 | 偽造枚数 |
| 《Elemental HERO Flame Wingman》 | 60000枚 |
| 《Destiny HERO – Dreadmaster》 | 50000枚 |
| 《Elemental HERO Aqua Neos》 | 60000枚 |
| 《Water Dragon》 | 50000枚 |
| 《Elemental HERO Electrum》 | 60000枚 |
| 《Elemental HERO Mudballman》 | 50000枚 |
| 《The Flute of Summoning Kuriboh》 | 50000枚 |
| 《Mist Body》 | 55000枚 |
| 《White-Horned Dragon》 | 60000枚 |
以上が2007年に第一陣として出荷された49万5000枚の内訳である。
最終的にUpperdeck社は61万1000枚の偽造を認めたため、この他に内訳不明の偽造カードが11万6000枚存在した事になる。
- TCGの初版カードには、カードに1st Editionと記載されており、さらに偽造防止ホログラムが金色という特徴がある。
しかし、これらの偽造カードは1st Editionと表記されているのに、右下の偽造防止ホログラムが銀色である。
TCGを集めている者であれば容易に気付ける、非常に初歩的な誤りである。
さらに紙の厚みが薄い、アルティメットレアの彫りが異なるなど、偽造カードのクオリティは稚拙なものであった。
- 9枚中6枚はマクドナルドのキャンペーンのカードで、残り3枚は直近のパックのアニメ出身カードである。
Upperdeck社のプレイヤーからの評価 †
かつてのUpperdeck社によるTCGの運営については、プレイヤーから苦言を呈される点が少なくなかった。
- TCGの大会ではTCGの他言語版カードの使用は制限されない一方、OCGの他言語版は使用できないルールが制定されていた。
例えば英語圏の大会でもフランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語版などの使用は制限されない一方、日本語版・英語版(アジア版)・韓国語版のカードはUpperDeck主催の大会では使用できなかった。
逆に当時はKONAMIが主催する大会ではUpperDeckが発行するカードは海外オリジナルを除いて使用できた。
このため、TCGのレアリティが低く入手しやすいカードをOCGで使用できるため、デッキ構築難易度に大きな差が開いていた。
購買者の囲い込みという阿漕な販売戦略には国内外のプレイヤーから批判の声が少なからず上がっていた。
- 欧米圏では日本語・韓国語が理解できる人間が少なく審判の負担が増えるので合理的という意見もある。
英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語は同じラテンアルファベットのため相互に理解の障壁が低い。
- TCGでは独自にルールや裁定を決めており、独自の用語を制定するなどOCGとのルールに差ができていた。
《ポールポジション》や《E・HERO ランパートガンナー》などには、ルールに違いがありコンボが一方でしか成立できずまともにプレイできないという問題もあった。
- レアリティの変更が行われた。
SecretはOCG・TCGでは廃止済みであった、Strike of Neosから再導入した。
しかもSecretが9種類もあるため、封入率は単純計算でもSecretの中でも1/9と著しく低くなり、特定のSecretを入手するために9倍のパックの購入が必要となった(廃止前の第3期のSecretはOCGでは1種類のみ、TCGは2種類)。
Tactical EvolutionではSecretが10種類に増加した上、さらに上位のGhostを導入した。
Gladiator's AssaultではSecretが15種類に増加した。
その後、Phantom Darkness・Light of Destructionは10種類、The Duelist Genesis以降は8種類に落ち着いている。
- The Duelist Genesis発売時には一般客はおろか問屋や販売店にも知らせずに商品の大幅な仕様変更を行い、大きな混乱を招いた。
TCGには一般パックのカードには1st Editionという限定仕様があり、1st Editionのカードは通常のUnlimited Editionのカードより希少性が高く、コレクターの間で高い価値で取引されていた。
一般パックの1st Editionは通常は早期に流通したパックのみがこの仕様になっていたため早期に購入する必要があった。
しかし、The Duelist Genesisの1st Editionはこの従来の方法で入手不能であり、セット商品のTinに封入されたThe Duelist Genesisのみが1st Editionという仕様に事前通告もなく変更されていた。
その後のCrossroads of Chaos以降も同じ仕様で販売された。- Tin限定となるため、これらのパックのカードの1st Editionは高価値になっていて、その中でも高レアリティのカードの価値はさらに跳ね上がっている。
- Tin限定となるため、これらのパックのカードの1st Editionは高価値になっていて、その中でも高レアリティのカードの価値はさらに跳ね上がっている。
- こうした点が批判の対象となっていたものの、実のところKONAMI自身の販売になった後も変わっていない点も多い。
強力カードのレアリティの格上げはKONAMIの運営になった後も引き続き行われている。
OCGとTCGでの裁定の食い違いはKONAMIの運営になった後も引き続き存在し、《闇の護封剣》で食い違いが生じて世界大会で問題になるなどしている。
他言語版の公式大会での使用禁止は日本のOCGでも2013年8月から導入されている。
関連リンク †
- 《The Seal of Orichalcos》(UpperDeck版プロモカード・使用不可カード)