【壊獣】 †
相手モンスターをリリースして特殊召喚できる最上級モンスター群・壊獣を用いたデッキ。
相手の厄介なモンスターをリリースして壊獣にしてしまうことでモンスター効果を封じるという、【ゴーレム】に似た特性を持つコントロールデッキである。
《KYOUTOUウォーターフロント/Kyoutou Waterfront》
フィールド魔法
(1):フィールドのカードが墓地へ送られる度に、
1枚につき1つこのカードに壊獣カウンターを置く(最大5つまで)。
(2):1ターンに1度、このカードの壊獣カウンターが3つ以上の場合に発動できる。
自分はデッキから「壊獣」モンスター1体を手札に加える。
(3):このカードが効果で破壊される場合、
代わりにこのカードの壊獣カウンターを1つ取り除く事ができる。
《妨げられた壊獣の眠り/Interrupted Kaiju Slumber》
通常魔法
「妨げられた壊獣の眠り」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):フィールドのモンスターを全て破壊する。
その後、デッキからカード名が異なる「壊獣」モンスターを
自分・相手のフィールドに1体ずつ攻撃表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更できず、
攻撃可能な場合は攻撃しなければならない。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「壊獣」モンスター1体を手札に加える。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
まずは壊獣の共通能力と、それを用いた基本的なデッキコンセプトを把握しておきたい。
《対壊獣用決戦兵器スーパーメカドゴラン》・《対壊獣用決戦兵器メカサンダー・キング》を除き、壊獣は以下の3つの共通効果を持つ。
(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、
手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる。
(2):相手フィールドに「壊獣」モンスターが存在する場合、
このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる。
(3):「壊獣」モンスターは自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。
このデッキの起点となるのは、まず(1)の効果で相手モンスターをリリースし、相手フィールドに壊獣を出現させる事である。
次に(2)の効果で自分フィールドにも壊獣を特殊召喚し、敵壊獣との対決となる。
もちろん、自分の壊獣は相手のそれよりも攻撃力で上回るか、除去能力を持つものを選択するので、対決は自分側の壊獣の勝利に終わるだろう。
かくして相手フィールドは焦土と化し、自分フィールドには壊獣が残る。
これが【壊獣】の基本的なシナリオである。
問題は(3)のデメリットで、このために自分フィールドには1体の壊獣しか出せない。
壊獣だけでデッキを組むと自分フィールドのモンスターが常に1体だけとなってしまい、一向に直接攻撃できず相手ライフポイントを減らせない事になる。
このため、壊獣以外のモンスターを投入しアタッカーに充てる、壊獣をシンクロ素材・エクシーズ素材として活用する等、何らかのギミックが必要になる。
このデメリットの都合上、展開速度は第9期のデッキとしてはかなり低速となる。
また、壊獣は共通効果以外にそれぞれ固有の効果を持つが、これらはいずれもコストとしてフィールド上の壊獣カウンターを取り除く必要がある。
壊獣カウンターは《KYOUTOUウォーターフロント》など3種類の魔法・罠カードの上に乗るカウンターである。
壊獣カウンターが不足すると壊獣たちは満足に効果を使えないので、これらの魔法・罠カードの確保も重要な課題となる。
一方で、壊獣は相手フィールドの壊獣カウンターもコストに使用できるので、壊獣カウンターを増やし過ぎると相手に送りつけた壊獣が効果を発動してしまう可能性もある。
―壊獣
このデッキの主役となるモンスター群。
【壊獣】では「どの壊獣がどの壊獣を倒せるか」が重要な要素となるため、主要な壊獣を攻撃力順に紹介する。
同種の壊獣ばかりが手札に貯まると「お互いの場に壊獣を出したが相打ちにすることしかできない」場面が生じうるため、攻撃力の異なる壊獣を幅広く採用した方が良い。
―壊獣以外のモンスター
先述の通り、壊獣だけでは一向に相手のライフポイントを削れないので、他のモンスターを投入し戦線を厚くする必要がある。
幸い、壊獣はいずれも特殊召喚でフィールドに出すので、余った召喚権を他のモンスターに回すことができる。
ここでは、「壊獣を回収できるモンスター」、「壊獣を素材にできるモンスター」、「壊獣とは独立して動けるモンスター」に分けて解説する。
―その他
上記のギミックでシンクロモンスター・エクシーズモンスターを出すのであれば、それに応じたレベル・ランクのモンスターを投入しておこう。
壊獣は種族・属性がバラバラで縛りのあるシンクロモンスター・エクシーズモンスターは出しづらいため、基本的に各レベル・ランクの汎用性の高いモンスターを投入しておけば間違いはない。
その中でも特徴ある動きが可能なモンスターについて特記する。
−融合モンスター
−シンクロモンスター
−エクシーズモンスター
−リンクモンスター
―壊獣のサポートカード
先述の通り、壊獣は固有効果を使うために壊獣カウンターが必要となる。
壊獣カウンターを置けるのは以下の3枚である。
―その他の魔法・罠カード
種族・属性が分散しているので、壊獣サポートカード以外は汎用カードが中心となる。
罠カードが多すぎると、《KYOUTOUウォーターフロント》にカウンターが置きづらくなり初動が遅くなるため、魔法カードを多めにしたい。
戦術 †
基本的な戦術は上記した通りで、動き自体は極めてシンプルなデッキである。
- 《KYOUTOUウォーターフロント》を張り、壊獣カウンターを貯める。
- 相手の最も厄介なモンスターをリリースし、相手フィールドに壊獣を特殊召喚
- 自分フィールドに壊獣を特殊召喚し、敵の壊獣を撃破
- 壊獣の高い攻撃力を盾に居座る
この基本的な動きに、デッキに採用したギミックによって異なる要素が追加される。
例えば《N・グラン・モール》なら相手方の壊獣をバウンス。
シンクロ召喚・エクシーズ召喚型なら壊獣を素材にし、自分フィールドに壊獣が不在となった事で新たな壊獣を出現させる。
あるいは別のデッキの要素を搭載したタイプなら、睨み合う壊獣を尻目に出身デッキの動きを着々と進める事になる。
《海亀壊獣ガメシエル》によるコントロールを重視するならば、《海亀壊獣ガメシエル》を《壊獣の出現記録》などを用いて守備表示で立てるか、攻撃力アップの手段を模索する形となる。
多彩な効果を持つ壊獣のどれを何枚採用するかという点を含め、構築の幅は広いデッキと言えるだろう。
壊獣は特殊召喚のコストとして相手モンスターをリリースするので、このリリースによる除去は、ほぼ全てのモンスターに通用する。
詳細は《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》のページを参照。
この性質上、モンスターの耐性やフリーチェーンでの除去回避を売りにするデッキに対しては非常に強い。
なお、このデッキは相手フィールドに壊獣を出さないと動けないので、先攻を取ってもほとんど何もやることがない。
そのため、自分で先攻・後攻を選択できる場合は後攻にすると良いだろう。
壊獣をシンクロ素材・エクシーズ素材として用いる事で、壊獣が苦手とする展開力を補うタイプ。
汎用性の高いチューナーを投入するだけで容易に要素を組み込めるので、他のタイプと混成しやすい。
壊獣同士の対決を避け、相手モンスターをリリースして特殊召喚した壊獣のコントロールを奪うことで、壊獣を純粋な除去として用いるタイプ。
基本的には永続罠の《洗脳解除》を用いるが、足りない場合は《所有者の刻印》を合わせて採用する。
壊獣以外のモンスターをほとんど採用しない場合、必然的にこのタイプとなる。
《洗脳解除》適用中は「相手モンスターをリリースして壊獣を特殊召喚」する行為を好きなだけ行う事ができる。
特殊召喚された壊獣が即座に自分フィールドに戻り、「相手フィールドに壊獣が存在しない」扱いとなるためである。
ただし、自分フィールドに2体以上の壊獣が存在する事はできないため、2体目以降は自動的に墓地へ送られてしまう。
この欠点を、《スキルドレイン》を採用する事で解消できる。
相手モンスターをリリースし特殊召喚→《洗脳解除》で自分フィールドに移る→《スキルドレイン》で「壊獣モンスターは1体しか存在できない」効果が無効になっており自壊しない……という流れにより、相手モンスターをリリースしつつ、自分フィールドに複数体の壊獣を並べられる。
相手モンスターを一掃しつつ、壊獣総進撃で相手ライフポイントを大幅に削れるので、ぜひとも併用したい。
その他相性のいいカードは【ゴーレム】参照。
【壊獣カグヤ】 †
バウンス効果で壊獣を使い回す《妖精伝姫−カグヤ》などとの混成デッキ。
元々《妖精伝姫−カグヤ》自体が【壊獣】において汎用的に使えるカードではあるが、こちらは《KYOUTOUウォーターフロント》を採用せず、壊獣の「召喚権を失わずに相手モンスターをリリースでき、場合によっては自分の場にも展開できる高レベルモンスター」という性質に着目している。
デッキの大半が展開しやすい高レベルモンスターと、手札誘発などの相手へのメタカードあるいは後攻での捲りに使いやすいカードに割り振られており、それぞれのシナジーを意識した【グッドスタッフ】に近い構築となっている。
相手の先攻での動きを妨害し、後攻で盤面を捲って高レベルモンスターを複数展開しライフポイントを削る、削りきれなければそれらを高レベルのシンクロモンスターや高ランクのエクシーズモンスターに変換してリソースを失った相手を制圧するのが基本戦術。
環境やプレイヤーによってデッキタイプが異なることが多い。
特に基本となりやすい構築は【ランク8】を軸としたもので、元々壊獣と相性のよい《獣王アルファ》に加え《機巧蛇−叢雲遠呂智》や《時花の賢者−フルール・ド・サージュ》、レベル8の未界域といった展開しやすいモンスターがよく採用される。
《雪花の光》を採用して【ほぼモン】の要素が組み込まれる場合もある。
その構築の幅広さと名前の浸透度の高さから、壊獣や《妖精伝姫−カグヤ》が採用されていない【壊獣カグヤ】という、名称と矛盾した構築もしばし見られる。
【壊獣グレイドル】 †
【グレイドル】との混成デッキ。
送りつけた壊獣をグレイドルの効果で奪還するのがメインギミック。
壊獣もグレイドルもコントロール能力が高く展開力を欠くデッキなので、親和性は高い。
その他にも以下の様なシナジーがある。
【妖仙壊獣】 †
【妖仙獣】との混成デッキ。
《妖仙獣 鎌壱太刀》で相手方の壊獣をバウンスし、そのまま《妖仙獣 鎌弐太刀》・《妖仙獣 鎌参太刀》・《妖仙獣 辻斬風》を展開して攻撃。
送りつけた壊獣の攻撃力にかかわらず自分の壊獣が生き残れるので、相手ターンは《海亀壊獣ガメシエル》のカウンター能力で耐える。
特に《妨げられた壊獣の眠り》の直後に上記コンボを行えば、相手のフィールドは壊獣1体しかモンスターがいないので、多大なダメージを期待できる。
【壊獣列車】 †
【列車】との混成デッキ。
《臨時ダイヤ》の両方の効果に対応する《壊星壊獣ジズキエル》を主軸として、ランク10のエクシーズ召喚を狙う。
《スキルドレイン》の影響下では妥協召喚した《深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト》の攻撃力を元に戻せ、《禁じられた聖杯》などの補助があれば相手に渡した《壊星壊獣ジズキエル》も戦闘破壊可能になる。
《重機貨列車デリックレーン》の効果によって、送りつけた壊獣の処理も容易。
また元から相性の良い《Sin サイバー・エンド・ドラゴン》の他に《壊星壊獣ジズキエル》を素材として使える《サイバー・エルタニン》を投入する事で、さらにランク10のエクシーズ召喚がしやすくなる。
《リミッター解除》で機を逃さず高攻撃力を投入できるため、一撃の破壊力が通常の【壊獣】より高い。
【月読命結界像壊獣】 †
《月読命》と結界像のギミックを搭載したタイプ。
基本的に壊獣を展開していく際には召喚権を使わないため、結界像を召喚して特殊召喚を封じていく。
自分も壊獣を特殊召喚しづらくなるが、《月読命》を召喚することで結界像を裏側守備表示にし縛りをなくし、壊獣で攻撃後に結界像を反転召喚することで再び特殊召喚を制限できる。
結界像を守るためのカードが必要になるものの、揃えば高い拘束力を発揮できる。
【Sin壊獣】 †
【Sin】との混合デッキ。
フィールド魔法《KYOUTOUウォーターフロント》は破壊耐性があるためSinの維持に利用しやすい。
《Sin サイバー・エンド・ドラゴン》をはじめ、高攻撃力のSinモンスターで相手の壊獣を蹴散らして突破しやすい。
弱点の一つでもある、相手がモンスターを出さなかった場合にもこちらがモンスターを出して対処できる。
基本的にはどれかに絞るが、レベル7〜10のモンスターが簡単にフィールドに並ぶため、エクシーズ召喚も容易となる。
高レベルモンスターのサポートも併用できるため、ドローソースも少なくない。
墓地やモンスター効果に頼らない構築にもできるため《マクロコスモス》や《王家の眠る谷−ネクロバレー》や《スキルドレイン》等を中心にしても良い。
大量展開 †
このデッキは壊獣の強制的なリリース能力により、モンスターの質を武器とするデッキに対してはとことん強い。
しかしモンスターを「質より量」で大量展開してきた場合、フィールドに1体しか壊獣を出せないので手数負けする可能性が高い。
特に【ペンデュラム召喚】は天敵で、モンスターの大量展開に長けている上、ペンデュラムモンスターをリリースしようが、《怒炎壊獣ドゴラン》や《妨げられた壊獣の眠り》で一掃しようが、次のターンには即座に復活してしまう。
更に魔法・罠カードを除去する手段が乏しいため、ペンデュラムゾーンを除去してペンデュラム召喚を封じるのも困難である。
特殊召喚封じは、平気なデッキの方が珍しいが、殊にこのデッキは極端に弱い。
壊獣モンスター全般のみならず、主力モンスター除去手段である《妨げられた壊獣の眠り》まで発動できなくなってしまう。
性質上最上級モンスターが多数を占めるため、特殊召喚を封じられると通常召喚して壁にするという動きすら困難になる。
モンスター効果によるものに対しては、《スキルドレイン》や《N・グラン・モール》等、元々このデッキと相性のいいカードを用いる事で突破する事ができる。
ピンポイントだが《生贄封じの仮面》は天敵であり、環境次第ではサイドデッキに積まれることもあり得るので、その場合は魔法・罠除去を必ず採用しておきたい。
相手モンスターをリリースして壊獣を出すのがこのデッキの起点である以上、相手がモンスターを一切召喚しなかった場合こちらの動きも止まってしまう。
こちらのデッキが【壊獣】だと分かった場合、相手はモンスターを召喚せず、フィールドを空にしてターンを回してくるだろう。
壊獣以外のカテゴリを投入しているデッキならそれらで攻撃を仕掛け、相手がモンスターを出さずに居られないように仕向けたい。
純【壊獣】に近い場合問題は深刻で、適当なモンスターをフィールドに出し、《妨げられた壊獣の眠り》で強引に相手フィールドに壊獣を特殊召喚するか、あるいは召喚と同時に相手フィールドに移動する《異次元への案内人》・《サイレント・ウォビー》を使うぐらいしか打開策がない。
特に、フィールドにモンスターを残さない事をコンセプトとする【妖仙獣】や【スピリット】、そもそもモンスターの召喚権をあまり必要としない【フルバーン】とは極めて相性が悪いといえる。
攻撃を防がれるなどして相手フィールドに送りつけた壊獣が生き残ってしまった場合、壊獣の暴威は今度は自分に向けられる事になる。
先述の通り壊獣はお互いのフィールドの壊獣カウンターをコストに使えるので、こちらの《KYOUTOUウォーターフロント》等を利用して効果を使用してくる。
生き残った壊獣が存在する限り、相手フィールドに2体目の壊獣を特殊召喚する事はできないので、相手の他のモンスターをリリース除去する事もできなくなってしまう。
特に送りつけに使用する事が多い《海亀壊獣ガメシエル》のパーミッション能力は高く、《妨げられた壊獣の眠り》等を無効にしてしまうため、そのまま完封される危険性さえある。
また、このデッキはミラーマッチにおいても特に苦戦する事になる。
上記のように壊獣の召喚に制限がかかってしまう事に加えて、壊獣カウンターをお互いにコストとして奪い合うような状況に陥ってしまうため、泥仕合と化すのは避けられない。
壊獣による相手モンスターの除去は極めて防ぐ事が困難だが、一部のカードはそれらに対して強い。
前述した《生贄封じの仮面》や《霧の王》は当然として、《クインテット・マジシャン》は自身の効果によりリリースできず、破壊耐性も持つ高攻撃力モンスターであり、非常に突破が困難となる天敵の一体といえる。
同じくリリースが不可能で、どうにか一度除去しても他のモンスターをリリースして壊獣を特殊召喚する度に自己再生する《闇黒の魔王ディアボロス》も厄介な一枚。
デッキ単位では、【聖刻】や【六花】はリリースされる事で発動する効果を持つモンスターが多く、迂闊に壊獣のリリースに使ってしまうと相手の展開を助ける恐れもあるため動きが制限されやすい。
これらのカードやデッキとの遭遇率は高いとは言えないが、相手取った場合は局所的なメタカードとして痛烈に刺さる。
代表的なカード †
サンプルレシピ †
関連リンク †