魔鍾洞(ましょうどう)

デッキの概要

 モンスターに対する強固なロック能力を持つフィールド魔法《魔鍾洞》を用いたロックデッキ
 基本的には【ロックバーン】なのだが、《魔鍾洞》ロック性能はモンスター依存のデッキに対して極端に高く、一度決まると脱出する事が難しい。
 よってマッチ戦ではロックしたままエキストラターンに突入し、大会規定による勝利を狙うという【トランス】じみた戦術を取る。
 19/07/01以前の環境において、地雷デッキとして存在感を見せた。

 ※19/07/01制限改訂により、このデッキの主力パーツが規制され、《魔鍾洞》1枚に頼ったロックデッキの構築は困難になった。
 さらに21/10/01《魔鍾洞》禁止カードとなったため、組むことは不可能である。
 ただし、このページは資料的価値を重視し、このデッキの全盛期である19/01/01及び19/04/01リミットレギュレーションを前提とした文章を残している
 現在の規制状況とは異なる部分が多いので注意してもらいたい。

《魔鍾洞/Mystic Mine》
フィールド魔法
(1):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、
相手はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。
(2):自分フィールドのモンスターの数が相手フィールドのモンスターより多い場合、
自分はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。
(3):自分・相手のエンドフェイズに、お互いのフィールドのモンスターの数が同じ場合に発動する。
このカードを破壊する。

デッキの基本的な要素

 相手モンスターを1体以上出している状況で、《魔鍾洞》発動
 後は自分が一切モンスターを出さなければ、相手モンスターによる攻撃および効果の発動が全て封じられる。
 後はバーンカードダメージを与えれば勝利できる。

 《魔鍾洞》には「エンドフェイズお互いモンスターの数が同じだった場合破壊される」という自壊効果がついている。
 【魔鍾洞】側はモンスターを基本的に一切出さないので、【魔鍾洞】の相手プレイヤーは自らのモンスターを0体にすれば《魔鍾洞》自壊させる事ができる。
 しかし遊戯王OCGにおいて「自分モンスターの数を意図的に減らす」事はリンク召喚等を用いれば容易だが、「自分モンスターを意図的に0にする」事は自爆特攻を行わない限り難しい。
 《魔鍾洞》影響下かつ、【魔鍾洞】側がモンスターを出さない状況では自爆特攻は行いようがないため、自壊デメリット《ブラック・ホール》等を使われない限り発生しないと考えて良い。

 もちろん、《魔鍾洞》が存在しても魔法・罠カードの使用は禁止されていない。
 そのため、《サイクロン》等の魔法・罠カードによる《魔鍾洞》への除去は引き続き発生しうる。
 ただ、第10期現在、「エクストラデッキから特殊召喚できるモンスターでの除去」が一般化し、メインデッキエクストラデッキモンスターの素材を展開する役割を担う様になり、魔法・罠カードも展開補助の目的の物が優先される様になった。
 そのため、ドローしないと使えないメインデッキ魔法・罠カードによる魔法・罠除去は重視されなくなってきている。
 つまり、1度ロックをかけられてしまうとサイドデッキも含めて抜け出す手段が用意されていないデッキも少なくないのである。

デッキ構築に際して

戦術

 まずは《メタバース》等を用いて《魔鍾洞》を貼り、「相手フィールドモンスター1体以上、自分フィールドモンスターなし」の状態を作りロックを形成。
 後は手札補充カードを用いて《身代わりの闇》などの防御カードを引き込み、相手《ツインツイスター》などに適宜カウンターを当てていく。

 シングル戦の場合はそのまま《波動キャノン》を8000ダメージ分溜めて発射すれば勝利である。

 マッチ戦の場合は、かつての【トランス】のような制限時間を利用した勝利を狙うのが最も勝率が高い。
 まずは公認大会規定で定められた1マッチの時間である40分間ロックを維持する。
 公認大会規定では1ターンに3分の思考時間が認められているため、毎ターンきっかり3分の時間を使った場合、おおむね13ターンで40分を経過させる事ができる。
 40分後にエキストラターンに突入するので、バーンカードを用いるなどして相手ライフを0にするか、自分より少なくする。
 0にすればその時点で1勝、自分より相手ライフを少なくした場合は3ターン経過しエキストラターンが終了した時点で1勝となる。
 40分経過後は、1勝0敗でもマッチの勝利扱いとなるため、これで勝利を手にすることができる。

 基本的にマッチ1戦目を40分間続けて勝利するのが理想的である。
 このデッキ《魔鍾洞》1枚に極端に依存しているため、相手にサイドチェンジを許すとサイドデッキから対策カードを用意され瓦解する危険性が高まる。

デッキの派生

【魔鍾洞チェーンバーン】

 【チェーンバーン】との混成型。
 《メタバース》《終焉の地》などの《魔鍾洞》サーチ手段に加え、《自業自得》《仕込み爆弾》《破壊輪》といった【チェーンバーン】バーンカードを投入する。
 《魔鍾洞》影響下では相手フィールド手札カードが溜まりやすいので、《自業自得》《仕込み爆弾》などのダメージが高くなりやすい。
 《魔鍾洞》除去されても勝機が残される点、膠着状態になりやすい【魔鍾洞】のミラーマッチに極めて強い点がメリット

 ちなみにこのタイプでは火力を高めるために《時械神ミチオン》などのモンスターカードを投入する事もある。
 《時械神ミチオン》は高い火力を持つ上に攻撃力0で自爆特攻を許さず、比較的《魔鍾洞》と共存しやすい。

このデッキの弱点

《魔鍾洞》対策となるカード

 実のところ《魔鍾洞》モンスター以外には何の干渉もできず、自壊効果もあるので突破できるカードは多い。
 しかしこのデッキの厄介な所は、マッチ1戦目での勝利を目的とするためサイドデッキからの対策を許さないという、かつての【Vドラコントロール】のような性質にある。
 【魔鍾洞】対策をメインデッキから行えば他のデッキへの対応力が低下し、他のデッキに強いメインデッキを組むと【魔鍾洞】に完封されかねない。
 現在、大会で勝ち進むには、この両方のバランスをいかに取るかが重要となっている。

 以下ではメインデッキから対策を行うことを前提に、できるだけ汎用性が高く、【魔鍾洞】以外のデッキに対して腐りにくいカードを中心に紹介する。

【魔鍾洞】に強いデッキ

 【魔鍾洞】は「モンスターの展開とモンスター効果の発動モンスター攻撃に依存した一般的なビートダウンデッキ」を想定したメタデッキである。
 そのため、この想定から外れたデッキに対しては脆い。

審判の判断・大会ルールなど

 このデッキは「制限時間」というルールの間隙を突く性質上、審判の判断などが勝敗に影響しうるという欠点を抱えている。

  • OCG公認大会規定大会罰則規定内では、「(故意であるか否かを問わず)不必要に長い時間をかけたプレイ」及び「デュエルの進行を引き延ばす行為」は審判の判断により罰則の対象に当たるとされている
    そのため、《魔鍾洞》を貼り毎ターンきっかり3分の思考時間を使う行為がこれらの遅延行為に該当すると判断された場合、審判からペナルティを課される可能性がある。
    ただ、実際は罰則の判断基準が審判によってまちまちであり、現状ではこうした行為はルールに違反していないとして扱われるケースも見受けられる。
    現に【魔鍾洞】が大会でコンスタントに結果を残しているのがその証左である。
  • 2019年4月以降、《魔鍾洞》禁止カード扱いとする非公認大会が現れている。
    上記のように「故意に反則を行う」などのトラブルを招きかねない事に加え、マッチごとに制限時間以上のデュエルを行うため、大会が長引きやすい点も運営側からは問題視されているようだ。

このデッキの歴史

 19/07/01にて、《魔鍾洞》準制限カードに、《メタバース》制限カードに指定された事で大幅に弱体化する事となった。
 特に《メタバース》制限カード化の影響は大きく、デッキ同名カードが2枚必要な《トラップトリック》でのサーチが不可能となり、また《悪魔嬢リリス》で3枚選んで確実にサーチする事もできなくなった。
 これにより、《魔鍾洞》相手ターン発動するカード(及びそれをサーチするカード)は、1デッキあたり12枚から《終焉の地》3枚+《メタバース》の4枚に激減。
 《魔鍾洞》1枚に依存したデッキ構築は困難となり、このデッキは姿を消している。

 【魔鍾洞】自体の環境での使用率はさほど高くはなく、地雷程度の活躍に留まっていた。
 だが、上述したそれ以外の面での問題が多発したのが早期の規制に繋がったものと思われる。

 なお、【魔鍾洞】というデッキは消えたが、《魔鍾洞》自体はまだデッキに2枚搭載する事は可能であった。
 よって【閃刀姫】《魔鍾洞》《終焉の地》出張させたデッキなど、他のデッキに補助的に《魔鍾洞》を搭載する運用は引き続き行われていた。
 この点が影響したのか、続く19/10/01にて、《魔鍾洞》制限カードに格上げされ、このデッキの構築はより一層困難となった。
 その後、冒頭の通り21/10/01にて《魔鍾洞》禁止カードとなったため、構築は完全に不可能となった。

代表的なカード

関連リンク

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