1ターンキル/"One Turn Kill" or "First Turn Kill"

 「自分の1ターン目に勝利する」事。
 先攻ターン目に勝利する事は「先攻1ターンキル」、後攻の場合は「後攻1ターンキル」と表現する。
 遊戯王OCGでは「ターン内で致死量のダメージを与えて勝利する」事もこう呼ばれることが多いが、こちらは他のTCGでは「1ショットキル」と呼ばれ、区別される。
 略称は「1キル(ワンキル)」。

 遊戯王OCGで1ターン・1ショット両方をまとめて「1ターンキル」と呼ぶ事については、原作漫画で本来「1ショットキル」であるシチュエーションを「1ターンキル」と表現していたことが大きい。
 アニメ5D's公式サイトのデュエルワンポイントレッスンでも「1ターン目で勝つのではなく、1ターンで勝つことであり、何ターン目でもいい」と説明されており、この点に関しては遊戯王OCGが特殊な位置にあると言えるだろう。
 後述するように、一般的なTCGと異なり大抵の1ショットキルが1ターンキルとして行えるゲームであるため、区別する必要性が乏しいというのも影響しているか。
 もっとも、第6期辺りから本来の1ショットキルという呼称も遊戯王プレイヤーの間で使われるようになってきてはいる。

  • 元々の「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」1ターンキルは、英語の"Turn One Kill"から来ている。
    日本語では助数詞は必ず数詞のあとに来るため、「1ターンキル」という言葉で定着したのであろう。
    一方で、英語圏であっても遊戯王のプレイヤーは日本にならって「One Turn Kill」という言葉を愛用しており、略語である「OTK」と呼ぶことが多い。
    「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」場合には、1の序数である「First」を使用し「First Turn Kill」及び「FTK」と表現されている。

1ターンキルへの対抗

 先攻1ターンキルを妨害できる方法は乏しく、《D.D.クロウ》《エフェクト・ヴェーラー》《無限泡影》等の手札誘発効果を持つカードにほぼ限定される。
 一方で後攻1ターンキルの場合は、先攻プレイヤーは事前にセットした速攻魔法罠カードによる妨害が行えるため、脅威度は先攻1キルに比べると下がる。
 後攻1ターンキルを前提にしたタイプは戦闘ダメージによって相手ライフを0にするものが大半であり、通常のビートダウンと同じカードである程度対処が可能なのも「先攻1ターンキルの方が凶悪」とされる理由の1つである。

 第6期以降デュエルが大きく高速化したため、それ以降に環境で活躍したデッキの多くは1ターンキル(1ショットキル)が可能である。
 1ターンキルを目的としないデッキであっても、それが良く練られた構築であれば1ターンキルが可能な手札が揃うことも珍しくない。

 多くのデッキの1ショットキルは、モンスター効果モンスター大量展開からの総攻撃に依存していることが多い。
 そのため、多くのプレイヤーメタカードとして《エフェクト・ヴェーラー》をはじめとする相手の戦術を妨害できるカードを採用して反撃しやすい構築を行っている。

環境における1ターンキルの歴史

 最初期はカードプールやルールの整備が整っていなかったこともあり、【エクゾディア】【現世と冥界の逆転】【デッキ破壊1キル】といった、まさにジャンケンで勝敗を決するレベルの先攻1ターンキルデッキが横行していた。
 また、サイドデッキによる対策すら許さない《ヴィクトリー・ドラゴン》【MCV】)の存在も「ジャンケンゲー」に拍車を掛けていた。
 これらのデッキは遊戯王OCG自体の評価を落とす原因にもなっていた。

 以降、徐々にルールが整備されていったことで、1ターンキルデッキ【デビル・フランケン】【サイエンカタパ】のように、勝利の方法を1つのコンボにのみ求めるタイプに移行していく。
 こうしたデッキ相手にする際はマストカウンターが分かりやすく、そのコンボを何らかの形で潰してしまえばそれだけで相手の勝ち筋を封じることができた。
 もっとも、【サイエンカタパ】先攻での成功率が非常に高く対処のしようが無かったため先攻後攻で勝負が決まる状態は相変わらずだった。

 第5期末期からシンクロモンスターを筆頭とする強力な特殊召喚モンスターが激増すると、高レベルモンスターを高速展開する戦術が流行。
 「展開速度が早すぎるため、通常のビートダウンを行っていても結果として1ターンキル圏に届く」というデッキが爆発的に増加したのである。
 これ以降、1ターンキルが狙えるテーマデッキが新登場し、環境で暴れた後に制限改訂で規制され、新たなデッキが後釜を奪う、というサイクルが繰り返されている。
 第7期以降は【インフェルニティ】【六武衆】等の「大量展開に加えてパーミッション要素で相手の逆転の芽を摘む」(制圧デッキや、【ゼンマイハンデス】【神光の宣告者】といった「1ターン相手の戦力又は戦意を根こそぎ奪う」という変則的な1ショットキルデッキも登場している。
 これらの「相手側に駆け引きや逆転のチャンスを与えずに高速で勝利を確定させる」タイプの1ターンキルデッキは、他タイプのデッキによる対策の芽を摘んでおけば、事実上ミラーマッチ以外であればほぼ確実に勝利できるのも特徴の一つといえる。

 成功率を度外視すれば、ほとんどのデッキは何かしらの1ターンキルもしくは相手の逆転の芽を摘むコンボを内包しているため、地雷デッキ主流デッキに対抗する手段として1ターンキルを選択することも多い。
 結果として第6期後半以降の公認トーナメントでは「主流デッキvsメタデッキ」、もしくは「主流デッキvs地雷デッキ」という図式が成立しやすくなっている。

その他

  • 先攻1キルが流行るとそのTCGは廃れる」という言葉がある(これに「単純なパワーや数の勝負なら別」とも付けられる事もある)。
    遊戯王OCGを含めて、対人ゲームであるTCGは相手との駆け引きを楽しむようにデザインされているが、あまりに安定性の高い先攻1キルができるようになると、先攻後攻がそのまま勝敗に繋がるようになり、事実上ジャンケンコイントスが勝敗を決する事になる。
    TCGの醍醐味である駆け引きがまともに行えない以上、やがてプレイヤーはそのTCGから離れてしまい、結果としてそのTCG自体が廃れてしまうのだ。
    よって、先攻1ターンキルが蔓延する環境はTCGとして望ましいことではなく、公的に規制されてしかるべき状態なのである。
    • 一方で後攻1ターンキルに関しては、原作・アニメでも何度も取り扱われ主人公側が行う事すらあり、遊戯王OCGの魅力の1つと捉えられる事も多い。
      勿論行き過ぎたものは、当時の【デミスドーザー】をはじめ規制された例はある。
  • そもそも他のTCGでは、ほとんどの行動にコストが伴うため、1ターンキルは不可能か机上の空論である事が多い。
    しかし遊戯王OCGでは主流デッキ地雷デッキを問わず、1ターンキル(もしくは1ショットキル)を狙えるデッキが極めて多い。
    その為、かつては他のカードゲームと遊戯王OCGを比較する際ゲームバランス及びゲームシステムが悪いと批判・非難される原因にもなっていた。
  • 原作・アニメにおいて―
    単語としての初出は「バトルシティ編」の闇マリクによるもの。
    この時は「ある1ターンコンボを決め勝利する」という意味で使われている。
    《ラーの翼神竜》効果により相手ライフを上回る攻撃力による一撃必殺がマリクの言う1ターンキルであり、遊戯や海馬も同様に呼んでいた。
    ただし、初めて発言された「闇バクラvs闇マリク」戦では、既に闇バクラのライフ戦闘ダメージライフコストにより半分以下にまで減少していた上に攻撃力が3999のため、1ターンキルでも1ショットキルでもない。
    (アニメ版の同デュエルでは攻撃力は4000を超えているが、やはり闇バクラのライフは半分以下である。)
    この原作のエピソードが描かれたアニメ版の97話は、サブタイトルが「ONE TURN KILL」であった。
  • 闇マリクによる発言以前から、1ターンキルに該当する行為はしばしば行われている。
  • キャラクターの強さをわかりやすく表す方法として、1ターンキルは頻繁に行われる。
    また、紙面や放送時間の都合でデュエルを素早く終わらせるために1ターンキルが行われることも多い。
    あちらの世界では初期ライフが4000のため、1ターンキルは非常に成立しやすい。
  • 特にアニメVRAINSの主人公である遊作は後攻1ターンキルを披露する回数が多い。
    第62話〜第64話に至っては剣持・鎧坂・ハノイの騎士と何と3話連続(3デュエル連続)で後攻1ターンキルで決着をつけている。
  • 先攻1ターンキルはアニメ5D'sの「ロットンvsラモン」戦でロットンが《ガトリング・オーガ》によるバーンで決めたのが唯一の事例である。
    アニメGXの「斎王vsオージーン」戦では、斎王は自分ターンが来る前にオージーンのライフを0にし、三沢から「0ターンキル」と称された。
    アニメZEXALII(セカンド)の「ドン・サウザンドvsミザエル」戦では、ドン・サウザンドの【ドローゴー】戦術により、後攻のミザエルが後攻ターン目に1ショットキルされた。
    アニメARC-Vの第136話から続くズァークの一連のデュエルでは、途中乱入した沢渡と零王の2人がプレイを開始したそのターン中に敗北しているため、これも一種の0ターンキルと言える。(ただし、乱入ペナルティーにより、ライフが2000ポイント減っており、これがなければまだライフが残っていた。)
    その他、アニメDM「乃亜編」の冒頭で、乃亜がデッキマスタールールの説明をする時のデモデュエルにおいて、《絶対防御将軍》デッキマスター能力を使って0ターンキルを見せている。
  • タッグデュエル等では2人の相手を同時に1ターンキルすることもあり、「1ターン2キル」と通称される。
    更に、アニメ5D'sの「遊星vsマルコムの手下3人」戦で遊星が「1ターン3キル」を成功させた他、アニメGXの万丈目は「万丈目vsノース校四天王」戦で「1ターン4キル」、アニメARC-Vではユーリが「ユーリvs遊勝塾生5人組」戦で「1ターン5キル」を成功させている。
    後のアニメARC-Vシリーズでは多人数戦や事実上のチーム戦が頻繁に行われるようになり、またそういったデュエル向けの《RR−ライズ・ファルコン》のようなカードも登場するようになったので1ターンマルチキルはさほど珍しくもなくなった。
  • アニメZEXALシリーズ主人公の遊馬は、WDC決勝大会でデッキタイプが「Xyz One Turn Kill」と表示されている。
    実際に彼が扱う希望皇ホープの派生モンスターは非常に攻撃的な性能を持っており、アニメ内で幾たびか1ターンキルを行っている。
  • アニメARC-Vの第1話で、榊遊矢は遊戯王シリーズ史上初めて「1ショットキル」と発言している。
  • アニメVRAINSでPlaymakerはスペクターが使用するサンアバロン効果を理解した際に、1ターンキルを狙おうとするシーンが見られたが、スペクターはそれを想定しており結局戦闘ダメージを減らされて失敗している。
  • アニメZEXALのフォールガイズのウルフや、アニメARC-Vの何人かは「ワンキル」という略称を使うシーンが見られる。
    《聖なるバリア −ミラーフォース−》に対する「ミラフォ」のように、公式で略称が使われた珍しい例である。

関連リンク

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