手札事故

 手札に極端な偏りが起こり、デッキが機能しない状況のこと。
 具体的には、手札の中に腐ったカードが多く存在していたり、特定のコンボパーツが揃わず、無理に動くと効率が悪い展開をせざるを得なくなる状況などを指す。
 単に「事故」と言われたり、これが発生することを「事故る」と言われたりすることもある。
 また、デッキを指して「デッキ事故」と言われることもある。

 これが起こる原因の一つとして、発動条件召喚条件があるカード、もしくは効果を活かせる状況が限られているカードを大量に投入していることが挙げられる。
 必然的にそれらが多くなるコンボデッキでは、手札に重複したり引けなかったりして事故が起こりやすい。
 また、相手ハンデスロック等によって使用できないカードが増えたり、キーカード無効化されたりすることで発生することもある。

 手札事故の最大の問題は、行動の選択肢が狭まってしまうことである。
 例えば、モンスターカードだけなら1体を通常召喚してターンを終了せざるを得ず、魔法・罠カードだけなら相手直接攻撃を覚悟しなければならない。
 つまり、対戦相手が知っていようがいまいが、自分ディスアドバンテージを負っているも同然の状態なのである。
 単なる確率論だけではなく経験や実践から見えてくるものもあるので、サンプルレシピ通りにデッキを構築するなどして、どうすれば手札事故が起こりにくくなるかを考えることが重要となる。
 ただし、きちんと回った時の爆発力が高いデッキならば、ある程度手札事故のリスクを妥協することもある。

  • 遊戯王OCGでは他のTCGに見られる「初手が悪かった場合に引き直せる」ルール、いわゆる「マリガン」が存在しない。
    そのため、手札事故が起こった際の解決手段に乏しく、対処法が全くない場合はそのまま敗北に直結しやすい。
    プレイングで対処するには、とにかく相手の攻めを凌ぎ堪えることが重要である。
    そうすればドローの機会が増えるため、徐々に偏りが軟化され、デッキが機能するようになるからである。
    デッキ構築の段階では相手の展開を妨害する除去カード等をある程度用意しておくと良いだろう。
    ただし、それらも積み過ぎると逆に事故要因となり兼ねないため、枚数には注意したい。
  • 原作・アニメにおいて―
    登場人物は要所要所で必要なカード手札に確保できる強運を持っているため、相手の妨害以外の要因では事故を起こすことはあまりない。
    起こしても序盤か終盤に1〜2枚腐る程度であり、デュエル終了時には勝者・敗者共に手札の残り枚数は非常に少ないのが殆どである。
    しかし、発動できたりセットできる魔法・罠カードがあるにもかかわらず、何故か使用しないなど、自分から首を絞めている場面も多い。
    また、《スピード・ワールド》適用下でのスピードスペルではない魔法カードや、遊馬の《ゴブリンのその場しのぎ》などネタ気味のカード手札に余らせていることも多い。
  • 原作において初めて手札事故が描写されたのは「バトルシティ編」の「闇遊戯&海馬vs光の仮面&闇の仮面」のタッグデュエル
    闇遊戯がモンスターがいない状況で手札下級モンスターが存在しないという典型的な手札事故を起こしている。
    同じく「バトルシティ編」の「闇遊戯vs城之内vs海馬vs闇マリク」のバトルロイヤルでは、城之内の初手にモンスターが存在していない手札事故が描写されている。
    城之内はアニメDMオリジナルの「KCグランプリ編」の「vsジーク・ロイド」戦でも事故を起こしており、初手でモンスターを出せなかった。
  • アニメGXにおいて、十代が翔との特訓デュエルを行っていたが、携帯ゲームによるものだったためか、本来の引きが出来なかった。
    大山は「引きの悪さ」を克服するため、山に篭ってドローの修行をしていた。
    英語版アニメの大山の台詞によると、シャツを着て散髪すると引きが悪くなるらしい。
    また、《一撃必殺!居合いドロー》の使い手、橘一角も1ターンキルが中々決まらず悩んでいた描写がある。
    4年目では、翔が兄(ヘルカイザー亮)のデッキを使おうとして回らないことに苦しんでいた。
    現実的に考えれば、この当時のカードプールで「《サイバー・ドラゴン》+その関連カードサイバー・ダーク+装備用ドラゴン族」の混成デッキを使いこなせる亮の方が異常なのだが。
  • アニメARC-Vでは、遊矢の手札が全てモンスターしか存在しない事が度々見られる。
    「遊矢vsミエル」戦に至っては、初手及びドローカードが全てペンデュラム召喚の条件を満たしていない上級モンスターのみという事故を起こし、その際にタツヤが「手札事故」という表現を使っていた。
    「遊矢vsオベリスク・フォース3人組」戦では対戦相手のオベリスク・フォース側が通常召喚したモンスター以外手札を全く消費せずに合計16枚も残して敗北しており、3人全員が手札事故という前代未聞の事態であった。
  • この究極系が「光の仮面&闇の仮面」コンビで、光の仮面はサポート魔法・罠カード中心、闇の仮面はモンスター中心でデッキを組みタッグデュエルしていた。
    これにより毎回初手にモンスターカードサポートカードとを同比率で引き込めるため、タッグとして手札事故を起こす確率は限りなく低い。
    一方で片方のプレイヤーが倒されると、もう一人はデュエルを続けたとしても(共有する墓地等の利用を勘案しない範囲では)永久に手札事故から抜け出せなくなってしまう。
  • 漫画OCGストラクチャーズでは、ストロング十九が過去に手札事故により無名のデュエリストに負けた事があると描写されている。
    ダーク黒田からは「負けの言い訳」と厳しく言及されているが、十九本人は「運が悪ければ負ける事もある」と語るに留まっている。
  • コナミのゲーム作品において―
    デュエルリンクスには1度だけマリガンを行うかどうかを選べるスキル「リスタート」が存在する。
    マリガンを行った場合、デメリットとして最初の通常のドローが1回行えなくなる。

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