スピリットモンスターの独特な効果を活かし、テクニカルに勝利を目指していくデッキ。
性質上フィールドが空になりやすく、実際にデュエルをする時は終始悩まされることになるだろう。
しかし、それは逆に言うと、相手の除去魔法や《サイバー・ドラゴン》を腐らせやすいという事でもある。
モンスターを複数並べる必要性が少ないので、全体除去で一気にアドバンテージを取られる危険は非常に少ない。
モンスターをスピリットないし場持ちの非常に悪いモンスターで固め、相手のモンスター除去魔法カードを全て腐らせる事も可能。
こんな事ができるのは、スピリット以外には【ドローゴー】ぐらいだろう。
また、ここでは下級スピリットを中心に回す型のデッキを解説する。
上級スピリットを主軸にしたデッキは【上級スピリット】で扱う。
スピリットの基本は下級モンスターである。
それは、スピリットの上級モンスターは「特殊召喚できない」というデメリットが非常に大きく、さらに手札に戻ってきてしまう性質のせいで非常に扱いにくいからである。
上記以外のスピリットモンスターも勿論採用を検討できるが、汎用性の低さから不安を感じるのは否めない。
《血の代償》による防御を重視するなら《竜宮之姫》を、事故が心配なら《磨破羅魏》を必要に応じて採用していけば良い。
デッキのモンスター全てが、場持ちの悪いスピリットでは厳しいため、スピリットと相性の良いモンスターも採用しなければならない。
が、相手のモンスター除去魔法をできる限り腐らせるため、投入するモンスターは最小限にしたい。
お勧めは《魂を削る死霊》で、各種スピリットによる除去後の直接攻撃でアドバンテージを得られるため、攻守共に重要と言える。
《阿修羅》とのコンボが強力な《オネスト》の採用も考えられる。
1900と高い守備力を持つので場合によっては壁として使え、その後は自身の効果によって手札に戻し、フィールドを空ける事ができる。
また、罠モンスターもこのデッキでは採用候補。
取り分け、アドバンテージを取られにくい《サイバー・シャドー・ガードナー》は強力。
そもそも《血の代償》が投入されているため、《砂塵の悪霊》のリリース要員として十分に活躍してくれる。
手札に戻るスピリットの性質を利用できる《サイバー・ドラゴン》も有効。
《冥府の使者ゴーズ》は手札に戻る特性との相性は良いが、《血の代償》との相性は悪い。
《トラゴエディア》ならこの点を解消でき、手札に戻る特性により《冥府の使者ゴーズ》以上の高攻撃力を維持できる事も珍しくない。
同様に《バトルフェーダー》も相性が良い。
直接攻撃によるダメージを防ぐ事が出来るため、《冥府の使者ゴーズ》や《トラゴエディア》と比較してより防御的な性質を備えている。
フィールドに出た後は《砂塵の悪霊》のリリース要員にしてしまうか、《強制転移》で相手に送りつけてしまうと無駄が無い。
罠カードの比率が多いので《人造人間−サイコ・ショッカー》は天敵。
そのため、《光神機−桜火》辺りをサイドデッキに用意しておきたい。
魔法・罠カードには、これもやはり主力スピリットモンスターと相性の良い物を採用したい。
代表格は魔法カードの《強制転移》《死のマジック・ボックス》、罠カードの《血の代償》《八汰烏の骸》《門前払い》である。
《強制転移》はスピリットと併用することで完全なコントロール奪取魔法になる。
《エクスチェンジ》を使うのも一興。
また《血の代償》は手札に溜まったスピリットの一斉攻撃を可能にすると同時に、相手バトルフェイズに《竜宮之姫》等のモンスターを召喚、防御するためのキーカードとなる。
そのため、共に必須カードと言える。
また、戦闘破壊を基本戦術とするために、《突進》の採用も検討するべき。
《雷帝神》は攻撃力2700未満を倒す。
《阿修羅》《火之迦具土》を主軸とするなら《H−ヒートハート》の採用も有効。
自己バウンス効果に目をつければ、《ヴェノム・スワンプ》という選択肢もある。
一方、スピリットによる魔法・罠カードの除去は採用が難しいため、除去手段を魔法・罠で補っておきたい。
《ハリケーン》や《砂塵の大竜巻》等が有力採用候補だろうか。
《八汰烏の骸》は、フル活用するなら《強制転移》か《死のマジック・ボックス》とのコンボが必要だが、《王宮のお触れ》さえ出ていなければ相手の伏せ除去を誘うダミー等に気軽に利用できるので2枚程度ならとりあえず入れてよい。
以上のカードを主軸にデュエルを進めることになるが、このデッキは性質上手札を確保しやすい反面、《血の代償》、相手の直接攻撃によってライフがどんどん減っていってしまう。
不意を突かれると一気にライフを失ってしまうので、他のデッキに比べて守備的なプレイングが要求される。
《不死之炎鳥》はライフゲイン手段として少々心許ないので、防御系魔法・罠カードに頼ることとなる。
防御カードの中では攻防一体の《魔法の筒》、《ディメンション・ウォール》、ライフゲインを兼ねる《ドレインシールド》との相性が抜群である。
バトルフェイズ前にカードを除去されたり《大寒波》を発動されたりする危険性を考えると、《威嚇する咆哮》や《和睦の使者》などの採用も考えられる。
常に手札が多くなるため、被害の少ない《底なし流砂》を採用するのも面白い。
また、《光の護封剣》はこちらのみ一方的に攻撃が可能で《ハリケーン》で使い回しが可能なので是非投入したい。
《エレメントの泉》と《スピリットの誘い》、《霊子エネルギー固定装置》はスピリット専用の補助カードだが、無理して使う必要は全くない。
ライフゲインの《エレメントの泉》が採用を考慮できる程度である。
ハンデス・《スキルドレイン》・《縮退回路》に弱い。
フィールドが空きやすいので《首領・ザルーグ》や《魂を削る死霊》による直接攻撃が決まりやすく、加えてスピリットは墓地に落ちると再利用が難しいからである。
また、その特性上手札に溜まりやすいので《メタモルポット》などで大量に落としてしまうと戦線が不安定になる恐れもある。
ハンデス対策として《死者転生》等も考えておきたい。
《スキルドレイン》により《雷帝神》と上級スピリット以外はほぼ無力となる。
《八汰烏の骸》を採用しているタイプには、《王宮のお触れ》の対策も必要。
《死皇帝の陵墓》が登場したことで、確かに上級スピリットとの共存が可能になった。
だが、【スピリット】において上級スピリットが必要かと言うと、そうとは言い難い面が多々ある。
上記の問題点を度外視して上級スピリット(と、《死皇帝の陵墓》)を採用すれば、確かに決定力は高まる。
が、デッキ全体のバランスを著しく崩してしまうことは否めない。
唯一の例外が《砂塵の悪霊》で、これはリリース1体で召喚が可能なため、効果の優秀さを考えれば《死皇帝の陵墓》を併用しなくても十分使用に耐え得る。
リリースを確保することはデッキテーマと少々矛盾してしまうが、先述の通り罠モンスターを用いればある程度解決する。
→詳しくは【上級スピリット】参照