【ヘルテントーチ】とも呼ぶ。
《ヘル・テンペスト》と《ネクロフェイス》のコンボによって、うまくいけば一瞬で相手のデッキを削りきることが出来るデッキ。
【ネクロフェイス】の一派生ともいえるが、あちらが「低速デッキ破壊」デッキなのに対し、こちらはコンボデッキである。
従って、手札にキーカードを高速で揃える必要が生じ、手札事故と格闘するデッキとなる。
とは言うものの、手札に揃えるべきキーカードは実質2枚だけでいいので、コンボを決めること自体は比較的簡単である。
《ネクロフェイス/Necroface》 効果モンスター(制限カード) 星4/闇属性/アンデット族/攻1200/守1800 このカードが召喚に成功した時、 ゲームから除外されているカード全てをデッキに戻してシャッフルする。 このカードの攻撃力は、この効果でデッキに戻したカードの枚数×100ポイントアップする。 このカードがゲームから除外された時、 お互いはデッキの上からカードを5枚ゲームから除外する。
《トーチ・ゴーレム/Grinder Golem》 効果モンスター 星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守 300 このカードは通常召喚できない。 このカードを手札から出す場合、自分フィールド上に「トーチトークン」 (悪魔族・闇・星1・攻/守0)を2体攻撃表示で特殊召喚し、 相手フィールド上にこのカードを特殊召喚しなければならない。 このカードを特殊召喚する場合、このターン通常召喚はできない。
《ヘル・テンペスト/Inferno Tempest》 速攻魔法 3000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動する事ができる。 お互いのデッキと墓地のモンスターを全てゲームから除外する。
基本的な流れとしては、
となる。
成功すれば、大量のカードがデッキから除外される事になる。
さらに、使用可能なモンスターが、実質お互いのフィールドと手札に存在するものだけになってしまう。
この時点で相手のデッキ枚数が0枚になれば、次の相手ターンのドローフェイズにて勝利することが可能になる。
ただし、このコンボだけで相手のデッキを削りきれる可能性は、さほど高くない。
実際に使ってみると、相手のデッキ内容、発動ターン数にもよるが、相手がビートダウンタイプであっても、コンボ成立後に魔法・罠カードが相手デッキに残ってしまう状況が結構ある。
モンスター20枚、魔法・罠合計20枚の計40枚デッキを例に取れば、《ヘル・テンペスト》でモンスターは16,7枚前後、そして《ネクロフェイス》(制限カード)で5枚。
合計でせいぜいよくて25枚程度である。
それだけ削れば確かに相手にとっては致命傷だろうが、後述の通り、3000のライフロスと3000の攻撃力を持ったモンスターを寄贈しているので、相手のデッキが少なくなっても、そのデッキ切れの前にこちらが殴り倒されることはなくもない。
ただ、最近は【ライトロード】等のモンスター比重の高いデッキも多く存在しているため、《ヘル・テンペスト》の効果でより多くのカードを除外できる可能性が高まった。
その点を理解し、想定してデッキ構築を行わなければこのデッキでの勝利は望めないのである。
コンボさえ決めれば勝てると思いこんで迂闊にコンボを発動させると、相手のデッキを削りきれず、相手のフィールドと手札のモンスターによるラッシュにより敗北することにもなりかねないので注意。
コンボに必要な手札こそ2枚と少ないが、3000のライフロスと、3000の攻撃力を持ったモンスターを寄贈するという莫大な代価を支払うことを見落としてはいけない。
従って、後述するコンボ発動後のアフターケアが、コンボ発動と等しく重要になる。
《トーチ・ゴーレム》・《ヘル・テンペスト》・《ネクロフェイス》は積めるだけ積む。
その他のカードに関しては、コンボ発動前の下準備、コンボ発動後のアフターケアを担うカードで構築するのが望ましい。
【ネクロフェイス】との違いは、《マクロコスモス》や《次元の裂け目》のような除外専用カードを積まなくても良い点にある。
《ヘル・テンペスト》でまとめて除外するためである。
転じて、墓地利用カードを使用しやすいのも、【ネクロフェイス】にはない強みである。
《トーチ・ゴーレム》は《ヘル・テンペスト》だけでなく、《ヘイト・バスター》とも併用でき、相手に3000のダメージを与えることができる。
先にも記したが、コンボが成功しても相手のフィールドには攻撃力3000の《トーチ・ゴーレム》が居ることを忘れないで欲しい。
次のターンにトーチトークンを攻撃されて大ダメージを受けるのは非常にまずい。
よって、ロックカードやモンスター除去は入れるべきである。
《死者への供物》は、このデッキなら複数枚入れても良いかもしれない。
《トーチ・ゴーレム》の元々の持ち主が自分であることを利用して、《所有者の刻印》・《洗脳解除》等でコントロールを奪い返すのも良いし、より汎用性の高い《強制脱出装置》を採用してもいい。
→【ゴーレム】
いずれにせよ、相手の手札とフィールド上に残ったモンスターさえ除去または無力化してしまえば、勝ち手段をモンスターに頼っているデッキの勝機は奪ったも同然である。
また、自分のカードも除外されるため、《カオス・エンド》の採用も検討できる。
特に《カオス・エンド》発動後に《手札抹殺》を発動できれば、相手のデッキ、手札、フィールドの全てにモンスターが存在しない事となり、相手に蘇生・帰還ギミックを発動させなければこれだけでほぼ勝利が確定する。
あるいは単純に、大量の除外アドバンテージを利用して《原始太陽ヘリオス》で高攻撃力を得て相手フィールド上の《トーチ・ゴーレム》もろとも殴り倒すのも面白い。
自分と相手を合わせて31枚以上のモンスターを除外できれば攻撃力で勝てるので、そのままビートダウンが行える。
コンボ直前に《マクロコスモス》からあらかじめ特殊召喚しておけば《トーチ・ゴーレム》の通常召喚できないデメリット、《ヘル・テンペスト》の自分のモンスターが除外されてしまうリスクを無視して1ターンで展開できる。
《魂吸収》や《異次元の偵察機》などの除外を利用するカードを採用するならそれなりに無理なく組み込める。
進化体の《ヘリオス・デュオ・メギストス》や《ヘリオス・トリス・メギストス》を用意できれば1ターンキルも視野に入るが手札事故の可能性を考慮するとさすがにロマンの域か。
《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》でも高攻撃力は得られるが、《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚するターンは通常召喚ができないので、何らかの特殊召喚ギミックを利用するかあらかじめフィールド上に維持しておく必要がある。
そのかわり自分の除外カードのみを参照するため、相手の構築に依存しないというメリットもある。
除去の他にカウンター罠も採用候補。
汎用性の高い《神の宣告》、《魔宮の賄賂》等は、相手の急所を押さえて、勝利をもたらすのに貢献してくれる。
ただし、《ヘル・テンペスト》発動前に、何も考えずに《神の宣告》を使うのは危険であるので、注意が必要である。
回復手段がないと、コンボ発動が不可能になってしまう場合がある。
《魂吸収》とは相性抜群。
《ヘル・テンペスト》と組むと一撃20000以上回復することも可能。
2枚以上張っておけば、ライフ切れの心配はまずなくなる。
《D.D.ダイナマイト》によって壮絶なダメージを与えて勝利することもできる。
相手の除外カードの枚数が27枚ならば8100ものダメージとなり、1枚だけでほぼ勝利が決まる。
発動を狙うならば相手の除外カードの枚数を頭に入れておく必要があるだろう。
ただし、27枚以上除外できるかは相手のデッキに依存するので、もし確実に決めたいのであれば、最低でも2枚以上は入れておきたい。
コンボ依存度の高いデッキなので、コンボを阻害されると、それだけで敗戦濃厚となってしまう。
特に阻害されやすいのは、
前述の内、最初の2つ。
《激流葬》、《聖なるバリア −ミラーフォース−》等に除去される。
《月の書》には《トーチ・ゴーレム》本体が裏側守備表示にされ、《エネミーコントローラー》には2つ目の効果で《トーチ・ゴーレム》を生け贄にされる。
《収縮》に至っては、自爆特攻中のダメージステップに《トーチ・ゴーレム》に使われると1500ダメージという、中途半端かつ手痛い被害を受けるハメになる。
いずれも汎用性が高い=採用率が高いカードなのが厳しい。
もちろん他のフリーチェーンで対策されることもある。
《トーチ・ゴーレム》を特殊召喚という時点でもうこちらが悪巧みをするということが筒抜けであろうから、それを妨害されるのは当然といえる。
また、【フルバーン】等とも相性が悪い。
デッキの特性上、あちらもモンスターをあまり投入しないため、《ヘル・テンペスト》であまり多くのモンスターを除外できないためだ。
あっという間にライフ3000以下まで詰められてしまい、コンボ発生さえ許されない可能性もある。
この場合、コントロールを奪い返すギミックを仕込んでおければ殴り合いで勝つ目が残ってくれる。