【シンクロ召喚(しょうかん)

概要

 シンクロ召喚は、フィールドからチューナーチューナー以外のモンスター墓地へ送ることで、そのレベルの合計と同じレベルシンクロモンスターエクストラデッキから呼び出す召喚法である。
 このページでは、シンクロ召喚を行うために有用なモンスターやギミック、汎用性の高いシンクロモンスターシンクロ召喚を用いるデッキ等を幅広く紹介する。

シンクロ召喚を狙うために

 どの様な形であれ、シンクロ召喚を行うためには3つの注意点がある。

  1. シンクロ素材特殊召喚
    必ず2体以上のモンスターを必要とするため、特殊召喚は殆どの場合、不可欠となる。
    特に効果使用後にフィールドに残り、シンクロ素材として使うことのできる効果モンスターに比重は大きく置かれる。
  2. レベル調整
    一定のレベルの組み合わせにしか対応できなければ、シンクロ召喚の最大の強みである柔軟性を活かすことはできない。
    そのため、デッキモンスターレベルの幅を持たせつつも、それら複数の対象サーチ特殊召喚するカードや、ギミック次第ではレベルを変化させるカードが必要である。
  3. ディスアドバンテージの回避
    2体以上のモンスターを消費する性質上、通常召喚のみでシンクロ素材を調達するのはディスアドバンテージが大きい。
    そのため1〜0枚の消費でシンクロ召喚を行えるカードが、一般的に強力とされている。

 他にはトークンを含むモンスター特殊召喚するカードや、《精神操作》を筆頭としたコントロール奪取も有用である。
 そうしたギミックは【アドバンス召喚】等からも流用できる。

チューナーモンスターについて

 チューナーは、他のモンスターと同時に並べ、シンクロ素材とする事で真価を発揮するモンスター群である。
 そのため、自身あるいは他のモンスター特殊召喚する効果を持っているチューナーはそれだけで評価の対象となる。
 何らかの耐性を持つチューナーも同様の状況を作りやすい。

 以下、そうした効果を持つチューナーレベルごとに列挙する。

チューナー以外のモンスターについて

 素早くシンクロ素材を揃えるためには、他のカードに頼らず自身の効果特殊召喚できる効果モンスターが重宝する。

出張要素
 少ない消費でシンクロ素材を集めやすいコンボが採用される。
 カテゴリに関係なくとも有用であることが多く、採用される。

リンクモンスター

魔法・罠カードについて

 モンスター特殊召喚するものが中心となる。
 他にはコントロール奪取も使いやすい。

主な汎用シンクロモンスター

 ここではシンクロ素材縛りが緩く、比較的どのデッキでも扱う事ができ、なおかつ性能の高いシンクロモンスターを紹介する。
 なお、特に記載がない限り、シンクロ素材は「チューナーチューナー以外のモンスター1体以上」である。

レベル

 チューナーとそれ以外のモンスターの両方がレベル1である必要があり、シンクロ召喚できるデッキは限られている。
 また、同じ組み合わせでランク1のエクシーズ召喚も可能である。

レベル

レベル

縛りあり

レベル

 《ジャンク・シンクロン》《ドラコネット》《切れぎみ隊長》1枚で出せる最高のレベルである。
 レベルモンスターレベルチューナーでも出せ、比較的シンクロ召喚しやすい。

縛りあり

レベル

 《レッド・リゾネーター》or《サイバース・ガジェット》下級モンスターや、《レスキューキャット》1枚から出せる最高のレベル

縛りあり

レベル

 ドラゴン族の場合、《デブリ・ドラゴン》1枚でシンクロ召喚できる。
 風属性ならば《WW−アイス・ベル》《WW−グラス・ベル》リクルートしてシンクロ召喚できる。
 また、《ブラック・ボンバー》も1枚でレベル7が出せる。
 《亡龍の戦慄−デストルドー》モンスター1体で出せるレベルでもある。

縛りあり

レベル

 シンクロモンスターの質・量ともに充実したレベル
 《召喚僧サモンプリースト》《カメンレオン》を使えば簡単にシンクロ召喚できる。

縛りあり

レベル

縛りあり

―非チューナーが2体必要

チューナー2体以上

レベル10

縛りあり

レベル11

―非チューナーが2体必要

レベル12

 縛りがないモンスターは重さの割にはあまり派手な効果攻撃力を持たない。
 切り札として出すというよりは、レベル12分のシンクロ素材が並んでしまうデッキでその消化のために使う、という性質が強い。
 一方シンクロチューナーシンクロモンスターシンクロ素材に要求するシンクロモンスターは、切り札としての性能十分である。

縛りなし

縛りあり

デッキの種類

 いくらシンクロ召喚に特化すると言っても、上述したギミック・モンスターを全て取り入れると言うのは現実的ではない。
 「既存のデッキシンクロ召喚ギミックを取り入れる」形が基本となる。

通常モンスター

 《思い出のブランコ》等の蘇生カードにより、通常モンスターシンクロ素材を揃え、シンクロ召喚へとつなげるタイプ。
 《戦線復活の代償》を用いることで、シンクロモンスター蘇生も可能である。
 通常モンスターチューナー《ウォーター・スピリット》《ガード・オブ・フレムベル》《チューン・ウォリアー》《ジェネクス・コントローラー》《A・マインド》《ラブラドライドラゴン》《ギャラクシーサーペント》らが存在する。
 ここからサポートカードを共有できるものや、レベル調整を主眼に選択する必要がある。

 《ジェネクス・コントローラー》《A・マインド》種族属性の共通以外にも合計レベルが8であることから《高等儀式術》を用いるデッキにも有効。
 蘇生を殆ど行わない例では、《魔の試着部屋》の利用できるレベル3以下のチューナーを交えた【ローレベル】が代表的である。

《A・マインド》

 上記の通常モンスター軸の派生その1。
 レベル5で通常モンスターチューナーである《A・マインド》《思い出のブランコ》《黙する死者》等で容易に蘇生でき、《終末の騎士》《ダーク・グレファー》等で簡単に墓地に用意できる。
 その後、《レベル・スティーラー》と併用しレベル5のシンクロ召喚を行う。
 また、《アンノウン・シンクロン》《異次元の精霊》等の特殊召喚しやすいレベルチューナーを併用する事で、《シューティング・クェーサー・ドラゴン》シンクロ召喚も狙える。
 《アクセル・シンクロン》《ジェット・シンクロン》墓地へ送れるので、墓地発動するものも使いやすい。
 他のモンスターレベルを下げて《レベル・スティーラー》蘇生すれば《A・マインド》《地底のアラクネー》シンクロ召喚でき、相手モンスター除去できる。
 《クイック・シンクロン》などと《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》を経由して《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》になることもできるが、墓地《A・マインド》が行かなくなり次の展開を阻害するため注意したい。

《ラブラドライドラゴン》

 通常モンスター軸の派生その2。
 こちらはレベルが6で《銀龍の轟咆》にも対応している。
 《A・マインド》と違いレベルが6のため《レベル・スティーラー》を使えばそのまま《地底のアラクネー》シンクロ召喚できる。
 《レベル・スティーラー》墓地へ落とせなくても《ラブラドライドラゴン》《ラブラドライドラゴン》墓地へ送るために使った《終末の騎士》《ダーク・グレファー》だけでも《神樹の守護獣−牙王》シンクロ召喚することができる。
 《終末の騎士》《ダーク・グレファー》を共有できる《D−HERO ディアボリックガイ》を投入してランクエクシーズモンスターを狙うのも面白い。

聖刻

 通常モンスター軸の派生その3。
 聖刻ドラゴン族チューナー通常モンスターを多く搭載した構築。
 《聖刻龍−トフェニドラゴン》らから聖刻上級モンスター《ガード・オブ・フレムベル》《ギャラクシーサーペント》《ラブラドライドラゴン》を展開すれば、レベル6〜8と11〜12のシンクロ素材が即座に整う。
 自然と【ドラゴン族】寄りの構築となるのでドラゴン族サポートも数枚投入してよいだろう。
 また、《ラブラドライドラゴン》を使用することで《アルティマヤ・ツィオルキン》へのアクセスも可能。

戦士族

 《増援》及び《戦士の生還》により、高い柔軟性を持つ戦士族を中心とする型。
 《ジャンク・シンクロン》《切り込み隊長》《マジック・ストライカー》《地獄の暴走召喚》との相性も良く、レベル調整にはもってこい。
 《ギガンテック・ファイター》《X−セイバー ウェイン》効果を活用できるのもポイント。

 これらシンクロモンスター戦士族中心に用いれば、半永久的に自己再生シンクロ素材に最適な《不死武士》を中心にした構築も可能。
 詳しくは【不死武士シンクロ】を参照の事。

機械族

 《ニトロ・シンクロン》及び《チューニング・サポーター》チューナー《精神操作》を共有する《サイバー・ヴァリー》は、《機械複製術》により大量ドローが期待できる。
 《キメラテック・オーバー・ドラゴン》融合素材である《サイバー・ドラゴン》シンクロ召喚との相性は勿論、大量展開からの《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》攻撃力増強も望める。
 自身は機械族ではないが多くの蘇生対象をもつ《ジャンク・シンクロン》も優秀である。

 性質上シンクロンと名のつくチューナーが多く投入される場合があるが、そちらについては【シンクロン】を参照。
 《ブラック・ボンバー》《機械複製術》と相性が良くないので、こちらを主軸とするには工夫が必要。

リクルーター

 チューナーが固定されないのが特徴で、場持ちは悪いがシンクロ召喚時に効果を発揮する《ダーク・スプロケッター》《ファラオの化身》といったカードが扱いやすくなる。
 またレベル選択の幅が広く、光属性地属性炎属性風属性は専用リクルーターからレベル1から4までのチューナーを自在に呼び出すことができる。
 レベル5以上のモンスターも呼べるので、リクルート効果さえ通ればレベル調整は容易。
 シンクロモンスターより、シンクロ素材の能力を活かすデッキといえる。
 リクルーター効果の特性からバトルフェイズ中に素材を揃えることが多いので、《緊急同調》も役に立ちやすい。

 《召喚僧サモンプリースト》《レスキューキャット》を軸にしたタイプは、【レスキューシンクロ】を参照。

リゾネーター

 多数のサポートカードを有するリゾネーターシンクロ召喚に用いる型。
 レベル1〜3までとレベル選択の幅は広く、《ダーク・リゾネーター》《クロック・リゾネーター》《バリア・リゾネーター》等場にモンスターを絶えにくくさせるモンスターも存在する。
 《レッド・リゾネーター》回復効果のおかげで長期戦にも強い。
 《シンクローン・リゾネーター》サルベージ効果で各リゾネーターの使い回しも容易。
 《チェーン・リゾネーター》等の効果で複数のチューナーが並ぶことも多い。
 他にない利点としては、悪魔族シンクロモンスターを容易に採用できる点、そして《共鳴破》によってシンクロ召喚時のディスアドバンテージを軽減できる点である。
 全てのリゾネーターチューナーなのを考慮し、《イージーチューニング》《チューナーズ・バリア》等を採用して【チューナー】色を強めてもいいだろう。
 シンクロモンスターの中でもレッド・デーモンとの相性がいいので、【レッド・デーモン】軸にされることも多い。

《ゾンビキャリア》

 手札こそ必要だが、デッキから墓地落とす効果特殊召喚と同義となる。
 そのため《おろかな埋葬》《終末の騎士》等を利用するデッキを中心に、かなりの広範囲にわたり採用できる。
 《ボルト・ヘッジホッグ》は上記に加え《異次元からの埋葬》《王宮の鉄壁》《リミット・リバース》を共有。
 《D−HERO ディアボリックガイ》《王宮の鉄壁》以外の上記のカードの他、《闇の誘惑》《終末の騎士》《ダーク・グレファー》を共有できる。
 《馬頭鬼》《ゴブリンゾンビ》《生還の宝札》《生者の書−禁断の呪術−》《異次元からの埋葬》を共有する等、種族属性攻撃力墓地送り・蘇生除外と多くの項目に網目のように繋がっている。

 【シンクロアンデット】を始め、【ダムドビート】【バスター・モード】の《レッド・デーモンズ・ドラゴン》軸など非常に1ターンキル性の高いものが多い事も特徴である。

《緊急テレポート》

 状況に応じたレベル1〜3のチューナー・非チューナーリクルートできる《緊急テレポート》を利用した型。
 《幽鬼うさぎ》は単体性能が高いため腐りにくく、《調星師ライズベルト》は高レベルの非チューナーとして扱える。
 《邪帝ガイウス》を備えた【ダムドビート】では、《緊急テレポート》《クレボンス》リリース確保兼墓地調整をこなす。
 【コアガジェット】では《ブラック・ローズ・ドラゴン》による《歯車街》破壊や、《サモンチェーン》チェーン稼ぎ等ができる。
 【サイキック族】に至ってはこれら全てが相互的にシナジーしているといっても過言ではない。

 デッキスペースをわずかにサイキック族チューナーに割くだけで多くのデッキに採用できるため、【緊テレ○○】とも呼ばれる。

ペンデュラム召喚

 シンクロ素材の非チューナーペンデュラムモンスターを使い再利用したり、ペンデュラム召喚チューナーを展開するなどして、ディスアドバンテージを軽減する型。

【シンクロ帝】

 【帝コントロール】シンクロ召喚のギミックを採用する。
 シンクロ召喚も、コントロール奪取蘇生と相性が良いため、サポートカードを共有できる。
 チューナーに、戦闘破壊耐性を持つ《クレボンス》アタッカーとして運用できる《サイコ・コマンダー》、これらのサポートカード《緊急テレポート》を採用しておけば、アドバンス召喚シンクロ召喚の両方を狙える。
 これに加え、自己再生が可能な《ゾンビキャリア》等の強力なチューナーを追加しても良い。
 ただし上級モンスターサポートカードが多いため、手札事故を引き起こしやすい。
 その他、特殊な組み方として【シンクロン】の上級モンスター軸も参照の事。

【スチーム・シンクロン】

 《スチーム・シンクロン》により、相手ターン中にシンクロ召喚に成功した時の誘発効果を持つシンクロモンスターシンクロ召喚する変則的な【シンクロ召喚】
 《スチーム・シンクロン》が一種の罠カードに変わり、コントロールデッキの様な動きを基本とする。

 相手ターンでのシンクロ召喚を基本としているため、《カードカー・D》《強欲で謙虚な壺》といった「特殊召喚できない」デメリットや、《シンクロ・マテリアル》といった「バトルフェイズを行えない」デメリットを持つカードをある程度まで無視して使用できる。
 さらに、相手ターンでのシンクロ召喚という点から《エフェクト・ヴェーラー》などのタイミングが限定されたメタカードを無視できるという特性も存在し、メタカードへの対応力もそれなりである。
 自分ターンチューナー・非チューナーを用意した状態で、相手ターンに回せることから、《サモンリミッター》《サモンブレーカー》を自身に影響のないメタカードとして採用することもできる。

 《スチーム・シンクロン》は、シンクロンの名を持ち水属性機械族であるため《調律》から直接的に、《ジェネクス・ウンディーネ》《スクラップ・リサイクラー》から間接的にサーチが可能である。
 《スターライト・ジャンクション》《スチーム・シンクロン》リクルートできるだけでなく、相手ターン中のシンクロ召喚によってデッキバウンスする除去も備えている。
 《リビングデッドの呼び声》だけでなく《リミット・リバース》にも対応するため相手ターン蘇生をすることで奇襲的な妨害も可能となる。
 その際、《炎舞−「天キ」》に対応する《TG ワーウルフ》《増援》に対応する《ドッペル・ウォリアー》特殊召喚できれば、そのまま非チューナーも用意できる。
 《スチーム・シンクロン》を利用するには《リビングデッドの呼び声》《TG ワーウルフ》などがある状況では墓地へ、《ジャンク・フォアード》などがある状況では手札へ確保すると良い。
 これにより必ず相手ターン中いつでも「《スチーム・シンクロン》+非チューナー」が用意できる様にしたい。

 《リビングデッドの呼び声》《リミット・リバース》《炎舞−「天キ」》フィールドに残りやすいため、《獣神ヴァルカン》《霞の谷のファルコン》など【セルフ・バウンス】の要素を組み込むのも良い。

【レッド・デーモン】

 レッド・デーモンの連続シンクロ召喚とそのパワーが特徴のビートダウンデッキ
 多くがシンクロ素材縛りは無いものの、一部のサポートカードや連続シンクロ召喚のために低レベルチューナーの採用が基本となる。
 それ以外については自由度が高く、デーモンリゾネーターシンクロンラヴァルといった様々なテーマと相性が良い。
 詳細は該当ページを参照。

【竜星】

 幻竜族シリーズモンスター竜星軸のデッキ
 シンクロモンスターの高めの打点に加え、多くのリクルーターによる戦線維持力と、相手ターン中にシンクロ召喚可能な共通効果で戦術妨害を行うコントロール色が特長。
 詳細は該当ページを参照。

その他シンクロ召喚を狙いやすいデッキ

シンクロ召喚主体のデッキの弱点

 シンクロ召喚に繋げるうえで蘇生リクルート、大量展開を主軸にした構成にする必要があるため、弱点が明確であり以下のメタカードがほぼ全て刺さる
 そのため、それらメタカードが対抗手段が無いまま先攻で出されると最悪詰みかねない。
 よって、モンスター及びサポートカードリクルート能力を活かして大量展開を行うためには、如何にバランスを崩さずに打開策サイドデッキから投入できるかが鍵となる。
 環境次第では《コズミック・サイクロン》《幽鬼うさぎ》除去カードの採用も検討したい。

備考

 シンクロモンスターは着実に増加しているが、エクストラデッキに15枚という制限がある上、融合モンスターエクシーズモンスターリンクモンスターとの兼ね合いもあるため、常に取捨選択を迫られることになる。
 投入を諦めるシンクロモンスターが多いほど、柔軟性が乏しくなることには注意したい。

【シンクロ召喚】の歴史

第6期(2008年〜2010年)

 2008年のマスタールール制定と同時にシンクロ召喚が登場。
 メインデッキ上級モンスターを搭載せずとも強力なモンスターを出せ、カード消費、召喚権の消費も少ないという革新的な特性を持ち、遊戯王OCGのゲーム性はこれより大きく変化したと言って良い。
 導入最初期から(後から鑑みれば)シンクロ素材縛りが緩くレベルも低め、かつ効果も優秀なシンクロモンスターチューナーが少なからず輩出され、それらは規制を被りつつも【シンクロ召喚】の時代を長く支えた。
 その後もアニメ5D'sの放映と共にカードプールが充実していくにつれて多彩なギミックの開発・改良が続けられ、2011年上半期までの環境を席巻した。

 第6期の遊戯王OCGは、環境の主役が「強力な単体性能を持つカードを詰め込んだグッドスタッフデッキ」からカテゴリデッキへと移行する過渡期にあった。
 当初はシンクロ召喚と相性の良いカードを詰め込んだ【レスキューシンクロ】【シンクロダーク】【アンデット族】をベースとした【シンクロアンデット】が主なシンクロ召喚デッキとして活躍。
 第5期から続投の【剣闘獣】【ライトロード】と鎬を削った。
 【BF】の登場以降は、徐々にシンクロ召喚系のカテゴリ環境に現れるようになっていく。

 当初強力だったレベルは、後に禁止カードとなる《ゴヨウ・ガーディアン》《氷結界の龍 ブリューナク》を擁するレベル6。
 レベル5は《A・O・J カタストル》レベル8は《スターダスト・ドラゴン》辺りが主力だった。
 また《ブラック・ローズ・ドラゴン》《ダーク・ダイブ・ボンバー》を擁するレベル7も当初は強力なレベルであった。
 しかし、《ダーク・ダイブ・ボンバー》はその高火力1ターンキルの温床となったため、登場から1年と経たず当時最速記録で禁止カード行きとなってしまう。
 更に《ブラック・ローズ・ドラゴン》制限カードとなったため、レベル7は暫く「ピン挿し《ブラック・ローズ・ドラゴン》以外まともな汎用シンクロモンスターが不在」という状況に陥っていた。

 チューナーでは《ゾンビキャリア》が、その自己再生能力と「レベル4と合わせるとレベル6」というレベルのちょうど良さを活かして活躍。
 また《BF−疾風のゲイル》は、単騎で攻撃力2600まで処理できるという当時としては驚異的な戦闘能力で注目された。

第7期前半(2010年〜2011年3月)

 アニメ5D's産のシンクロモンスターに加え、【カラクリ】【スクラップ】などシンクロ召喚に特化したOCGカテゴリも盛んに生み出された、シンクロ召喚の最盛期である。

 第6期から続投の【BF】は、【メタビート】要素を取り入れながら極めて息の長い活躍を続けた。
 また、豊富なアニメ産カードを背景に、【ジャンクドッペル】系列も環境で活躍。
 更にそれを上回るソリティアデッキ【インフェルニティ】が一線級の実力をつけ、遊戯王OCGは以前とは全く異なるゲームへと変わっていく。
 更には大量展開・アドバンテージ獲得・そして制圧状態の形成を同時に行う【六武衆】が台頭、「高打点・高制圧力のモンスターを並べて勝つ」という今日のOCGの傾向に先鞭をつけた。

 汎用シンクロモンスターでは、器用な単体除去能力を持つ《スクラップ・ドラゴン》が登場。
 2体並べることで大量のドローが可能な《TG ハイパー・ライブラリアン》や、【インフェルニティ】による初手3連打で名を馳せた《氷結界の龍 トリシューラ》もこの時期に登場した。

 チューナーでは、抜群の汎用性を誇る自己再生チューナー《グローアップ・バルブ》が登場。
 また環境の高速化によって、《TG ストライカー》のような手札からの特殊召喚能力が重視されるようになった。
 【ジャンクドッペル】ソリティアデッキたらしめた《レベル・スティーラー》も登場している。

第7期後半〜第8期(2011年3月〜2014年)

 シンクロ召喚の登場しないアニメZEXALが放送を開始し、シンクロ召喚に対して一気に厳しい規制がかけられた、シンクロ召喚冬の時代である。
 この時期、シンクロ召喚には3つの逆風が吹き付けた。

 第一に、有力なチューナーシンクロモンスターが軒並み禁止カード制限カード化した。
 11/03/01《ゴヨウ・ガーディアン》禁止カード化されたのを皮切りに、11/09/01では《TG ハイパー・ライブラリアン》《フォーミュラ・シンクロン》《デブリ・ドラゴン》が一気に制限カード化。
 12/03/01では《氷結界の龍 トリシューラ》《グローアップ・バルブ》《スポーア》禁止カード《神秘の代行者 アース》《TG ストライカー》制限カード化、12/09/01では《氷結界の龍 ブリューナク》禁止カード化された。

 第二に、シンクロモンスターの天敵であるランクエクシーズモンスター《インヴェルズ・ローチ》が登場。
 シンクロ召喚メタ効果を持つ上にレベル4×2という異様に緩い素材を持つこのカードの登場により、シンクロ召喚デッキレベル4を使うあらゆるデッキからマッチ1戦目からメタカードが飛んでくる事となった。

 そして第三に、シンクロ召喚関連カードが極端に登場しなくなったことである。
 GENERATION FORCEからLORD OF THE TACHYON GALAXYまでの2年半にわたり、シンクロモンスターチューナーおよびそのサポートカードは、レギュラーパックに全く収録されなかった。
 このため、シンクロ召喚デッキはインフレを続けるエクシーズ召喚デッキのパワーについていけなくなっていった。

 結局、第8期中盤のJUDGMENT OF THE LIGHTからシンクロモンスターチューナーがレギュラーパックに復帰したものの、ブランク期間があまりに長く、環境エクシーズ召喚デッキと渡り合う事はできなかった。
 この時期に環境で活躍したシンクロ召喚デッキは、エクシーズ召喚との混合デッキである【炎星】くらいにとどまる。

第9期(2014年〜2017年)

 再びアニメにシンクロモンスターが登場するようになり、シンクロモンスターチューナーの収録数は全盛期ほどではないが増加した。
 環境には融合召喚【シャドール】儀式召喚【影霊衣】アドバンス召喚【帝王】など、様々な召喚法のデッキが入れ代わり立ち代わり登場し、シンクロ召喚デッキ先攻ハンデスデッキとしての【シンクロダーク】が頭角を現したが、戦法の性質故に早々とキーカードに重篤な規制が課され、活躍は一時期に留まった。
 ペンデュラム召喚シンクロ召喚の相性は良かったものの、あまりに好相性であることを危惧されたためか、ペンデュラムモンスターチューナーがなかなか登場しなかったため、こちらもあまり結果を残せていない。
 結局の所、【EMEm】をはじめ【ペンデュラム召喚】系は、システム上の相性は良くないはずのエクシーズ召喚と主にコンビを組んでいた。
 一方で、複数の召喚法を同時に扱うデッキが増えたのも特徴で、【EM竜剣士】《爆竜剣士イグニスターP》【青眼の白龍】《蒼眼の銀龍》【DD】《DDD呪血王サイフリート》など、選択肢の1つとしてシンクロモンスターを扱うデッキは活躍を見せている。

 汎用シンクロモンスターとしては、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》《クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン》《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》等が登場。
 長らく汎用カードの性能が不足していたレベル6にも《瑚之龍》などが登場し久々に駒が揃った。
 禁止カード制限カード化されていたシンクロモンスターチューナーも、この頃までには大方規制緩和されている。

第10期(2017年〜)

 新マスタールールによってシンクロモンスターを2体以上並べる場合は基本的にリンクモンスターの併用が求められるようになったため、シンクロ召喚デッキは大幅に力が落ちてしまう。
 しかし、任意のチューナーリクルートできるリンクモンスター《水晶機巧−ハリファイバー》の登場により、半年ほどで地力を回復した。
 ただ、《水晶機巧−ハリファイバー》シンクロ召喚以上にリンク召喚の補助役として優れた性能を有しており、結果「《水晶機巧−ハリファイバー》用にチューナーは使用するが、シンクロ召喚はしない」というデッキが増殖。
 結局リンク素材として目立ちすぎたために《水晶機巧−ハリファイバー》制限カードになってしまう。
 シンクロ素材と同時にリンク素材にもなれるトークン生成カードの復権も目覚ましかった事で、《ダンディライオン》等は禁止カードに至ってしまった。

第11期(2020年〜)

 マスタールール(11期)によってリンクモンスターの採用が必須でなくなり、エクストラデッキの選択肢が再び広がった。

サンプルレシピ

WCS2020 国内予選 一般の部インストラクター使用デッキ
https://twitter.com/YuGiOh_INS_INFO/status/1205691380137447430

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