※08/09/01の改訂で《D−HERO ディスクガイ》《混沌の黒魔術師》《次元融合》《早すぎた埋葬》が禁止カード化。
さらに《名推理》《モンスターゲート》も制限カード化と厳しい裁定が下り大幅に弱体化した。
これによりほとんどのギミックが崩壊、このデッキを組むのが事実上不可能となった。
先攻を取り、後攻1ターン目で相手のライフを0にすることを狙ったデッキ。
コンボデッキらしからぬ安定性を持つ凶悪な1ターンキルデッキである。
《D−HERO ドグマガイ/Destiny Hero - Dogma》 効果モンスター 星8/闇属性/戦士族/攻3400/守2400 このカードは通常召喚できない。 自分フィールド上に存在する「D−HERO」と名のついたモンスターを含む モンスター3体を生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。 この特殊召喚に成功した場合、次の相手ターンのスタンバイフェイズ時に 相手ライフを半分にする。
《マジカル・エクスプロージョン/Magical Explosion》 通常罠 自分の手札が0枚の時に発動する事ができる。 自分の墓地に存在する魔法カードの枚数×200ポイントダメージを 相手ライフに与える。
【エアブレード】のギミックを利用したデッキであるために【ドグマブレード】という名称で浸透した。
しかし、デッキの名称に使われている《D−HERO ドグマガイ》や《神剣−フェニックスブレード》はデッキの一パーツにしか過ぎず、他にも様々なカードのコンボやシナジーを利用して1ターンキルの形に持っていくのがこのデッキの特徴である。
【マジカルエクスプロージョン1キル】の一形態とも言えるが、従来のものよりデッキ枚数は少なく、格段に成功率が高くなっている。
先攻を取り、1ターンで可能な限り墓地に魔法カードをため込む。
相手の後攻1ターン目のスタンバイフェイズに《マジカル・エクスプロージョン》を2枚以上発動させ、合計ダメージが8000を超えれば勝利となる。
1ターン目に《D−HERO ドグマガイ》が特殊召喚できれば、より確実な1ターンキルとなる。
1ターンの間に大量の魔法カードを墓地に送り?、複数の《マジカル・エクスプロージョン》を手札に揃える必要がある。
よって手札・デッキ・墓地・除外ゾーンまで利用し尽くす高度なプレイング技術が必要となる。
以下に挙げるカードを駆使して、1ターンで墓地と手札を完成させる。
《デステニー・ドロー》は《D−HERO ドグマガイ》と《D−HERO ディスクガイ》に対応。
《トレード・イン》は《D−HERO ドグマガイ》と《混沌の黒魔術師》に対応。
共に墓地を肥やしつつ手札交換ができるので強力。
《手札抹殺》・《手札断殺》は基本的にディスアドバンテージになるので多用はできないものの、任意のカードを墓地に送れるのは便利。
単に墓地肥やしとしての役割だけでなく《混沌の黒魔術師》や《サイバー・ヴァリー》の特殊召喚も狙いとなる。
《モンスターゲート》や《D−HERO ドグマガイ》と相性のよい《スケープ・ゴート》を利用するのも良い。
ただし《スケープ・ゴート》を発動した場合は、そのターンは一切の召喚、特殊召喚ができなくなるので注意が必要。
どのモンスターが来ても次の展開につなげられるように構築をしておくと良い。
《名推理》や《モンスターゲート》で墓地に送られた有効な魔法カードを再利用する。
手札コストは《神剣−フェニックスブレード》や《ハリケーン》による装備魔法の回収で確保する。
状況によりサルベージするカードは全く違ってくるので経験と高度なプレイングが要求される。
《E・HERO エアーマン》や《増援》で《D−HERO ディスクガイ》を手札に加え、それを《デステニー・ドロー》等で墓地に落とす。
なお、蘇生するのは《D−HERO ディスクガイ》に限らず、場合によっては《混沌の黒魔術師》や《サイバー・ヴァリー》でもよい。
《アームズ・ホール》により、《早すぎた埋葬》が最大で4回も使用できるため蘇生の機会は多い。
このデッキで特に大きな役割を果たすのが《サイバー・ヴァリー》と《次元融合》である。
《サイバー・ヴァリー》の2つ目と3つ目の効果をうまく利用し手札を揃えていく。
《次元融合》により《サイバー・ヴァリー》と共に《混沌の黒魔術師》を帰還させることで《次元融合》を回収する。
これでライフの許す限り《サイバー・ヴァリー》によるループが可能となる。
《混沌の黒魔術師》は《名推理》や《モンスターゲート》による特殊召喚、あるいは《封印の黄金櫃》であらかじめ除外しておくと良い。
なお、《名推理》や《モンスターゲート》で《マジカル・エクスプロージョン》が墓地に落ちてしまった場合には《サイバー・ヴァリー》の3つ目の効果で回収することとなる。
上では紹介していないが《光帝クライス》もこのデッキでは使いやすい。
特殊召喚時にも効果を発動でき、《早すぎた埋葬》や《神剣−フェニックスブレード》とも相性が良いためである。
他にも《アームズ・ホール》で持ってくることのできる《D・D・R》を数枚忍ばせておくのも有効。
《D−HERO ドグマガイ》は《E・HERO エアーマン》でサーチでき、《デステニー・ドロー》・《トレード・イン》の手札コスト、更に《神剣−フェニックスブレード》のコストにもなる。
余裕があれば召喚しても良いが、《マジカル・エクスプロージョン》一本による1ターンキルを狙った方がデッキは回しやすい。
上記のカードは、上に記した利用法以外にもシナジーが多いため、手札事故が起こることは少ないだろう。
このデッキは他のデッキとは異なり、明確な1ターンキルを目的として構築されるため、派生デッキなどは存在せずデッキの構築はほぼ一通りとなる。
そのため基本戦術の中で紹介したカードがそのままデッキ構築に必要なカードとなる。
初手での手札事故を回避するためにモンスターは多く採用せず、デッキの大部分が魔法カードとなる。
開始1ターンでの勝利が一番の目的となるため罠カードも《マジカル・エクスプロージョン》のみの採用が基本となる。
このデッキに対するメタカードは、以下の四種類に大別できる。
分類は時系列順、分類内ではおおむね採用率・汎用性順となっている。
汎用性を求めた場合は《D.D.クロウ》や《ハネクリボー LV9》などで《D−HERO ディスクガイ》や《次元融合》の除外が有効である。
しかし、このデッキは除外ゾーンまでフル活用するため完全な弱点とは言えない。
ただし《次元融合》を除外された場合は《サイバー・ヴァリー》によるループが行えなくなるため、厳しい展開となる。
また、《サイクロン》をドローフェイズに《マジカル・エクスプロージョン》に対して発動されると《D−HERO ドグマガイ》によるライフ半減前に発動を強要される。
この場合は2枚目の《マジカル・エクスプロージョン》がなければ勝利が確定しなくなってしまう。
汎用性を犠牲にした強力な対策はトドメ用の《マジカル・エクスプロージョン》を止める事であり、こうなるとほぼ勝ち目はなくなる。
《紫光の宣告者》・《痛魂の呪術》・《防御輪》等が、1ターン目から対策可能な数少ない警戒対象のカードである。
特に《痛魂の呪術》に関しては、《次元融合》や《早すぎた埋葬》の多用によりライフが減っているため文字通り「痛恨」の一撃になるので注意が必要。
また、《ご隠居の猛毒薬》などで相手が生き延びた場合、自分はデッキがない、または消滅寸前の状態なのでそこから勝利することは難しい。
他にも、先攻を取れなかった場合や開始1ターンで勝負を決められなかった場合に相手に《王宮の弾圧》等のメタカードを発動されると、ほぼ勝ち目はない。
なお、デッキ枚数を40枚とし、その中に上記のメタカードを複数投入した場合、初手の5枚にそれらが1枚以上存在する確率は以下の通り。
デッキ投入枚数 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
初手存在率 | 34% | 42% | 50% | 57% | 64% | 69% | 74% | 78% | 81% | 85% |
このデッキに対しマッチ勝利を狙うのであれば、最低でも5枚程度はメインデッキからメタカードの投入が必要になるのが読み取れる。
勿論メタカードが手札に1枚あっても勝てるとは限らないのであくまで目安である。
新カードプールの増加により生み出された画期的な1ターンキルデッキであったが、その性質上開始直後の勝利を狙うため、相手は文字通り何もできないまま勝負が決することとなる。
対人ゲームであるカードゲームの中にあって、このデッキに対しては様々な声が上がっていた。
そのため、このデッキが登場して最初の制限改訂である08/03/01の改訂では、このデッキは規制されて大幅に弱体化するだろうと多くの者が予想した。
しかし、その改訂でこのデッキは何のダメージも受けず、むしろ《死者蘇生》の制限復帰と《魔法石の採掘》の制限緩和によりデッキが強化されたほどであった。
ゲーム事情より商売事情を優先した改訂であるという意見もあり、改訂内容を非難する声も多く上がった。
もっとも、このデッキは複数の高額カードによって構築されるため、誰でも簡単に組めるというわけではない。
3枚積み必須の《アームズ・ホール》をはじめ、《D−HERO ディスクガイ》・《デステニー・ドロー》・《混沌の黒魔術師》と、挙げればキリがないほど高価なカードが名を連ねる。
資金的に構築難易度が非常に高いデッキのため、子供同士のデュエルシーンでこのデッキが猛威を振るうということは、そうはないだろう。
デッキとしての凶悪さでは群を抜く一方、選考会等の実績面では殆ど大成を収めていない。
その理由として、シングル形式での対戦には滅法強いが、マッチ形式ではメタを張られやすいという欠点がある。
このデッキは先攻を取ることを勝利への前提としているため、トーナメント等では安定して勝ち抜けないこともあった。
【ダムドビート】・【ライトロード】の流行によって《D.D.クロウ》を投入したデッキが増えたことで、なかなかコンボが決まらなかったこともその理由である。
そのため、2008年の選考会では、このデッキが上位を独占するには至らなかった。
その後、冒頭にある通り08/09/01の改訂でキーカードの粗方が規制されている。