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「ドローゴー」とは、自分のターンに何もしない戦術、およびその戦術を中軸に据えたデッキのこと。
聞きなれない単語だが、由来はパーミッションと同じく「Magic: the Gathering」である。
あちらでは相手ターンでも手札から使う事ができるカードが一つの種類として存在するため、それらを駆使するのである。
とは言っても遊戯王OCGで本当にドローゴーをしてしまうと殴られ放題のため、実際には「ドロー、セット、ゴー」となる。
なお、遊戯王OCGにおいて相手ターンに手札から使えるカードは、かなり限られている。
(《冥府の使者ゴーズ》・《緑光の宣告者》・《オネスト》などが有名。詳しくは手札誘発を参照)
《神の宣告/Solemn Judgement》 カウンター罠 ライフポイントを半分払う。 魔法・罠の発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚の どれか1つを無効にし、それを破壊する。
《スキルドレイン/Skill Drain》 永続罠 1000ライフポイントを払う。このカードがフィールド上に存在する限り、 フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターの効果が無効化される。
パーミッション系デッキの1つであり、カウンター罠の使用に特化したコントロールデッキを指す。
そのデッキの性質上、ほぼ全てのビートダウンデッキに対するメタデッキ・アンチデッキと言える。
通常のパーミッション系デッキすら罠カードが多く投入されている構築だが、このデッキはモンスターを極僅かしか投入しない構成。
(モンスターの投入数0、つまりノンモンスターデッキすらあり得る。)
最早ビートダウンデッキの構築・プレイングなどどこ吹く風、というデッキである。
当然ビートダウンでライフを削るのは困難であり、殴り勝つには相当の少数精鋭でないと難しい。
ビートダウンを狙う場合は《スライム増殖炉》や《不死武士》等の戦闘やモンスター除去ではやられないモンスターを採用する場合が多い。
このデッキで勝ちに行くにはバーン・デッキ破壊・カードの効果による特殊勝利が一般的。
また、モンスターがいないため、相手の持つ多くのモンスター除去を腐らせることも可能。
相手フィールド上にモンスターが存在することが召喚条件の《サイバー・ドラゴン》の特殊召喚も防ぐことができる。
さらに、攻撃を行わないため、《聖なるバリア−ミラーフォース−》等の攻撃宣言反応罠カードを腐らせることができる。
だが、御察しの様に、この系統はたいした成績を残せていないのが現実。
手札事故が起き易い構成であるのは勿論の事、カウンター罠に優秀な物が少なかったのも要因の1つである。
しかし、近年では《魔宮の賄賂》等の汎用性に優れたカウンター罠も登場し、地味ではあるが強化されてきている。
罠カード主体のデッキであり、パーミッションデッキの特化型であるため、カウンター罠の採用は不可欠。
最優先で無効にすべきなのは《大嵐》・《ハリケーン》・《大寒波》を擁する魔法カードである。
(《王宮のお触れ》やカウンター罠の投入されたビートダウンにも警戒が必要だが、サイドデッキからの投入も多い。)
《神の宣告》と《魔宮の賄賂》の両翼と《マジック・ジャマー》系列のカウンター罠の投入は必須である。
次に必要とされるのは、モンスターの各種召喚・攻撃への対策となる魔法・罠カードである。
ピンポイントで対策になるカード、広範囲で対策になるカードがあり、召喚を止めるべきか、攻撃を止めるべきか選択することが必要。
おおまかな対策カードは上記の通りである。
全てのカードをデッキに投入するのは無謀であるため、組み合わせを考えて投入すべき。
直接的な攻撃対策の永続カードを使えばロックデッキとなる。
採用するロックカードで中心となるのは、定番の《レベル制限B地区》・《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》・《光の護封壁》・《平和の使者》。
上記のロックをすり抜けてくる小粒なモンスターへの対策に《くず鉄のかかし》を採用するのも良い。
即効性が無いのがネックだが、《幽獄の時計塔》も選択肢に入る。
発動から4ターン目以降はプレイヤーへの戦闘ダメージをほぼ完全に遮断する上に、魔法&罠カードゾーンも圧迫しない。
相手のモンスターカードゾーンを圧迫させる《おジャマトリオ》も面白い。
こちらは基本的にモンスターを展開しないので自爆特攻される事が無く、相手はシンクロ素材なり何らかのコストにするなりしないと処理できないのだ。
ロック系永続カードとカウンター罠によって、完全に相手モンスターを紙札にしてしまえば、ビートダウンに負けることはほとんど無いだろう。
次にロックカードを守るため、《氷帝メビウス》を始めとする伏せ除去モンスター対策が必要となる。
これらを抑えられる上に天敵の《人造人間−サイコ・ショッカー》対策にもなる《スキルドレイン》の投入はほぼ必須。
多くの効果モンスターをバニラ化して封殺するのは基本中の基本である。
上でも述べたが、このカードを先攻初手で発動できればロックを破る手段は激減するので、ある意味1ターンキルと呼べるかもしれない。
モンスターカードを場に出す事が皆無なデッキなので、カウンター罠も魔法・罠カードを守る事を念頭に置いて採用していく。
とりあえず、万能カウンターの《神の宣告》は3枚積み確定。
続いて相手のこれらのカウンター罠をノーコストで無効化でき、かつ《サイクロン》や《サンダー・ブレイク》等に対応できる《王家の呪い》。
バーンでの勝利を目指す構築なら、対応範囲は狭いもののリターンが大きい《アヌビスの裁き》も視野に入る。
対応範囲の広い《魔宮の賄賂》も採用圏内だが、相手にドローさせるデメリットが大きいと感じるのであれば無理に入れる必要は無い。
とはいえ、ドローさせるという事は相手のデッキ枚数が減るという事でもあるので、デッキ切れでの勝利を考えるならば入れておいて損は無いだろう。
ロックデッキの性質上手札が余りやすいので、《大嵐》などを止めるならば《マジック・ジャマー》でも十分役目を果たせる。
モンスター効果対策が《スキルドレイン》だけでは不安ならば《天罰》も入れておくのもあり。
カウンター罠ではないが、罠カードが多くなりやすいデッキなので、《偽物のわな》を採用するのも面白い。
ノーコストな上にモンスター効果による伏せ除去も無効にできるので、上記カウンター罠よりも気軽に使えるのが強み。
また、万が一ロックが破られた際の保険としてフリーチェーンの《和睦の使者》か《威嚇する咆哮》もぜひ採用しておきたい。
ロックによって何もできなくなった相手は、1ターンでケリをつけようとする為に手札とフィールドを整えてくる。
このデッキは相手もドローゴー状態になりやすいため、こうなるのも仕方無し、むしろ必然とも言える。
そして相手は手札に《大嵐》や《ハリケーン》などを手札に溜め込み、場のモンスターが揃い次第これらの伏せ除去カードを一気に使用してくるだろう。
故に除去に簡単に対抗できるこの2枚は、この一斉攻撃に対抗する上では非常に大きなウェイトを占めているのである。
伏せ除去を絡めた一斉攻撃を凌いだ上で、再びロックカードを場に出す事ができれば理想的。
直接的な永続カードではなく、ピンポイント対策カードを毎ターンドローすることで簡易ロックを仕掛けるタイプ。
パーミッションの特性上、ロックタイプよりもこちらの方が【ドローゴー】の名前にふさわしい。
相手が行動を起こす度に動き、カードを発動されるのは、目に見えるロックカードよりも嫌らしい。
その性質から大量のカードが必要なため、ドローソースとなるカードが必要になるタイプである。
《メタモルポット》やドローエンジンである《デス・ラクーダ》・《ワーム・リンクス》で手札を増やす必要がある。
後は、モンスターの各種召喚・攻撃のピンポイント対策となるカードを大量に積むだけである。
こちらは《スキルドレイン》よりも《王宮の弾圧》の方を優先して投入したい。
このデッキの勝利パターンは、ほぼバーン・デッキ破壊・カードの効果による特殊勝利の3つに絞られる。
そのうち、大体の勝利手段は扱いやすい《波動キャノン》か《終焉のカウントダウン》の2つに頼る形になる。
死守が必要だが発動条件が無い《波動キャノン》か、発動コストはあるが生き延びれば良い《終焉のカウントダウン》かは好みで選ぼう。
バーン狙いなら、《仕込みマシンガン》等の使い捨てバーンカードやダメージを反射する《ディメンション・ウォール》等を適宜投入しておくと良い。
《終焉のカウントダウン》型ならばロックカードや《威嚇する咆哮》等を多めに投入し、とにかく規定のターン数を生き延びる事を考える。
デッキ破壊を狙う場合は、多少強引な方法を考えれば、ロック・除去の投入数を増量し、デッキの枚数を増やすだけで良い。
モンスターを0にする拘りがなければ、《波動キャノン》や《終焉のカウントダウン》の代わりに《ニードルワーム》を投入すると良い。
このパターンはひたすら耐えるだけなので、デッキ構築の時点で悩むことは少ない。
なお、以上の勝ち筋は構築次第で共存させる事も十分可能である。
1つのパターンに固執するとメタを張られた時にどうしようもなくなるので、余裕があれば2つ以上のパターンを組み合わせておくと戦いやすくなるだろう。
空いたスロットにはロックカードや《スキルドレイン》をサーチ出来る《タイムカプセル》や《封印の黄金櫃》を入れておこう。
《成金ゴブリン》や《強欲な瓶》・《ガード・ブロック》等のドロー加速カードを入れても良い。
不要なカードが溜まり易いこのデッキでは、《手札抹殺》・《手札断殺》も十分選択肢になる。
《スキルドレイン》を張る前に《人造人間−サイコ・ショッカー》を出されると厄介なので、《地割れ》・《地砕き》・《ハンマーシュート》等を入れておくのも手。
手札が余りやすいので、《ライトニング・ボルテックス》や《ブラック・コア》等も十分活用できるだろう。
ドローロックを仕掛けられる《振り出し》や《鳳翼の爆風》を投入し、相手の状況打開をより困難にする手もある。
《スキルドレイン》や《神の宣告》等のライフコストを要求するカードが多いので、ライフゲイン系のカードを仕込んでも良い。
その場合は継続的に回復できる《神の恵み》や《魔法吸収》がオススメ。
モンスター0というデッキコンセプトからは外れてしまうが、フィールドを圧迫しない《黄金の天道虫》を使うのも悪くない。
殆どのデッキに大してメインデッキから耐性を持つが、【フルバーン】【チェーンバーン】だけは例外。
故にサイドデッキには《デス・ウォンバット》・《レインボー・ライフ》等の対策カードを用意しておきたい。
また、マッチ2戦目以降は《トルネード》等のふせ除去が嵐のように飛んでくる。
これらを全て対処するのはかなり難しいので、《光の護封壁》からの《自爆スイッチ》で勝ち逃げしてしまうのもあり。
性質上1戦目の勝率はかなり良いが、対策をされると脆いこのデッキで勝利を追及するならば、それなりに効率の良い方法である。
非常に有効かつ強力な手だが、引き分けなので2回連続で成功させる必要がある点には注意。
そしてそれ以上の外法としてあげられるのがエキストラデュエルの利用。
サイドデッキを回復カードで埋め尽くした上で時間を調整し、エキストラデュエルに突入させれば、執拗な伏せ除去に悩む必要も無く、かつそれは【チェーンバーン】への対策ともなる。
『絶対に発動させてはいけないカード』すなわち、「マストカウンター」へ対応できるかが勝敗を分ける。
《人造人間−サイコ・ショッカー》や《王宮のお触れ》等の『罠封じ』、《大嵐》や《氷帝メビウス》等の複数枚の伏せ除去効果を持つカードはその最たるもので、それらに対応できるカードが無かった場合間違いなく致命傷を負う事になる。
優秀な能力を持った効果モンスターで戦うデッキが多い今の環境ならば《スキルドレイン》が強力なメタカードとなる。
こちらはそもそもモンスターをほとんど使わないため相手の戦術のみをほぼ一方的に押さえ込むことが出来るが、上記「マストカウンター」対策としてこのカードを投入する場合発動タイミングが思いのほかシビアである点に注意。
『《スキルドレイン》を伏せていたら発動する前に《人造人間−サイコ・ショッカー》を出されてしまった』なんてことになったら泣くしかない。