【パーミッション】

 豊富なカウンター罠を用いて、相手の戦術を崩すことを目的とするコントロールデッキ
 遊戯王OCGにおいては唯一の「純正コントロールデッキ」である。

《神の宣告/Solemn Judgement》
カウンター罠
ライフポイントを半分払う。
魔法・罠の発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし、
それを破壊する。
《魔宮の賄賂/Dark Bribe》
カウンター罠
相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、そのカードを破壊する。
相手はデッキからカードを1枚ドローする。
《天罰/Divine Wrath》
カウンター罠
手札を1枚捨てる。
効果モンスターの発動と効果を無効にし、そのモンスターを破壊する。
《マジック・ジャマー/Magic Jammer》
カウンター罠
手札を1枚捨てる。
魔法カードの発動を無効にし、それを破壊する。
《盗賊の七つ道具/Seven Tools of the Bandit》
カウンター罠
1000ライフポイントを払う。
罠カードの発動を無効にし、それを破壊する。
《豊穣のアルテミス/Artemis of Harvest》
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1600/守1700
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
カウンター罠が発動される度に自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 ちなみに、上手く回ると面白いぐらい相手が何もできないが、上手く回らないと面白いぐらい自分が何もできない。
 そのギャップは、【帝コントロール】以上。…と書くと、博打好きのデュエリスト諸兄に好まれるかも知れない。

前提として心得ておくべきこと

 概念的な話になるが、このデッキを扱うにあたって最も重要なことは、「いかに多くのカード・多くのデッキについて知っているか」ということである。
 もちろん、これはこのデッキに限らず、全てのデッキについて言えることではあるが、【パーミッション】では他のデッキのそれよりさらに高いレベルが求められると言える。

 【パーミッション】は基本的に受動的なデッキである。
 相手の行動を受けて、それを的確に止めチャンスを伺う…というスタイルだが、それをスムーズにこなすには、当然、相手の行動をある程度予測し、的確な対処の布石を打つ必要がある。
 そのためには、相手が使ってくる幾多のカードの効果を、しっかり把握しておかなければどうしようもないわけである。
 相手がカードをプレイする度にカードを見せて貰って確認するようなことでは話にならない。
 非常に高いプレイング技術とカード知識が求められる、上級者向けのデッキである。

 現環境でよく使われるデッキの構成やそのプレイング、カードの効果などをしっかりと把握し、対戦相手のカードやプレイングから速やかにデッキ構成を割り出し、的確な対処ができるようになろう。

 また、根本的に遅いデッキであるため【帝コントロール】【フルバーン】等の速攻デッキに弱い。
 一応、カウンターしたり、【帝コントロール】には《スキルドレイン》【フルバーン】には《デス・ウォンバット》で対策が可能だが、これらのデッキにはあっさり負けることもありえるという事を覚悟しよう。

デッキの特徴

 「二大罠封じ」こと《王宮のお触れ》《人造人間−サイコ・ショッカー》全盛のご時世で、罠カード20枚前後が標準、更に魔法カードは5枚以下という狂った構成が最大の特徴。
 徹底した阻害から相手フィールドをがら空きにし、モンスターのステータスに関らず安全に殴り勝利する。
 この非常に薄く細い勝ち筋を全身全霊で守りきるのがこのデッキの至上命題であり、最大の醍醐味でもある。

 カウンター罠が中心のデッキ構成になるが、カウンター罠は何かしらのコストを要求するカードが非常に多く、純粋な1:1交換が可能なカードが少ない。
 更に伏せカードが増えるため、どうしても手札はあっと言う間に尽きるために、潤沢なドロー加速が最大のハードルとなる。
 ドロー加速効果を持つ《デス・ラクーダ》《豊穣のアルテミス》が無い限り、戦線維持は非常に困難。

デッキ構築に際して

 まず、ドロー加速要員として《豊穣のアルテミス》、加えて《デス・ラクーダ》は必須。
 また、生け贄が用意できるのであれば《天空騎士パーシアス》も非常に有効。
 セットされたカードへの対抗策として《スカラベの大群》《イナゴの軍勢》を採用したい。
 また、防御用の通常罠がない時や、《人造人間−サイコ・ショッカー》を通してしまった場合の除去手段として《ならず者傭兵部隊》《異次元の女戦士》、等、打撃力ではなく除去力に比重を置いたモンスターを採用したい。
 これらのカード以外では、ドローが不可能な場合のカード・アドバンテージ奪取用、兼として《魂を削る死霊》も有効。
 罠カードサルベージする《闇の仮面》も間違いなく採用しておきたい。

 魔法カードは不要、と言うより投入スペースが無いのが現実。
 必要なカウンター罠手札に加えるためのドロー強化カードは流石に必須だが、他に採用すべきカードは少ない。
 かつての優秀なドローソース《強欲な壺》《天使の施し》は現在ではいずれも禁止カードのため、代わりに《貪欲な壺》が使われる。
 その際のモンスターは、手札コスト用の《サンダー・ドラゴン》、対《人造人間−サイコ・ショッカー》用の《光神機−桜火》あたりが良いだろう。
 他に起用の可能性があるのは《光の護封剣》《スケープ・ゴート》《サイクロン》《大嵐》程度。
 ライフコストがきついが《早すぎた埋葬》も考慮に値する。
 『《強欲な壺》(時代によっては《天使の施し》)のみという特化型を選択するのも十分選択肢の内』と書かれたことからも、本当に特殊な構築のデッキであるのが実感できる。

 このデッキの中軸を成すカウンター罠の中では、最大の汎用性を誇る《神の宣告》は必須。
 他には永続効果以外のモンスター効果に対して発動無効化できる《天罰》も優先される。
 《マジック・ジャマー》《マジック・ドレイン》《八式対魔法多重結界》等の魔法カウンター罠や、罠カウンター罠である《盗賊の七つ道具》バウンス効果を持つ《キックバック》特殊召喚を潰す《昇天の黒角笛》辺りが採用圏だろう。
 また、上記のとおり採用するモンスターは能力値が低めのため《攻撃の無力化》もスロットに余裕があれば入れたい。
 通常罠では、やはり除去効果を持つ《激流葬》《聖なるバリア−ミラーフォース−》《炸裂装甲》等のカードを起用したい。

 手札消費を減らすためにコストライフコストに偏らせる作戦も考えられる。
 この場合《デス・ラクーダ》のような不安定なドローブーストは不採用。
 《神の宣告》《盗賊の七つ道具》《我が身を盾に》が主要なカードとなる。
 強力な攻撃力効果を持つモンスター召喚し、これを守りながら戦うというコンセプトは変わらないが、手札消費を減らす分、多彩な防御と除去を可能とする。
 一方でライフコストで賄うと言うことは、カウンター失敗を絶対許さない半ば背水の陣となることも多いので、そのタイミングは非常にシビアになる。
 必ず防がなければならないものとして、『罠封じ』『魔法・罠破壊』は言うに及ばず、ダメージ計算や戦術を狂わせる《停戦協定》やかつての《破壊輪》あたりも致命傷となるので特に注意せねばならない。

デッキ運用に際して

 『絶対に発動させてはいけないカード』…すなわち、「マストカウンター」の見極めが重要。
 当然ながら《人造人間−サイコ・ショッカー》《王宮のお触れ》等の『罠封じ』、《大嵐》《氷帝メビウス》等の多くの伏せカード破壊する効果を持つカードはその最たるもの。
 それらに対応できるカードが無かった場合は、間違いなく致命傷を負う。

 それに加えて大切なのが、アドバンテージを取ることだ。「マストカウンター」をカウンターすることだけに気を取られず、「マストカウンター」を引っ張ってくる可能性のあるドローカード(特にコストのある《デステニー・ドロー》《トレード・イン》など)も相手の残り手札と相談しながら、積極的にカウンターしよう。

 手札使いが荒いからこそ手札の確保が最重要であり、ドロー加速カードは可能な限り守り続ける必要がある。
 手札がなければブラフさえかけられないのだから、このデッキにとって「手札確保」が如何に重要かは理解できよう。

このデッキの弱点

 やはり罠カードの多さから、《人造人間−サイコ・ショッカー》《王宮のお触れ》は天敵。
 確実にカウンターしたい所だが、通してしまった後のことを考えて対抗カードは温存するべき。
 対《王宮のお触れ》として、《砂塵の大竜巻》《盗賊の七つ道具》等を起用するのも選択肢の一つ。

デッキ派生

【ヴァンダルギオン】

 カウンター罠発動から特殊召喚できる《冥王竜ヴァンダルギオン》を中心としたデッキタイプ。
 阻害能力を落すことなく、打撃力を補えるため、最も優秀な【パーミッション】と呼べるだろう。
 《冥王竜ヴァンダルギオン》《豊穣のアルテミス》属性から、かつては《カオス・ソーサラー》が採用される場合もあった。
 現在なら天魔神が使われることもあるだろう。

【エンジェル・パーミッション】

 除外ギミックを搭載した、《救済のレイヤード》《閃光の追放者》を中心とした天使族統一デッキ
 トリッキーな動きを得意とし、構築段階で墓地利用を多用するデッキに対しての阻害能力に優れる。
 《救済のレイヤード》を中心とした「回収効果を発動させるためのデッキ」とも言える。

【宣告者パーミッション】

 《緑光の宣告者》《紫光の宣告者》を中心としたパーミッションデッキ
 多量の天使族モンスターを必要とする、最も特異な構築をしたパーミッションデッキと呼べる。
 《神聖なる魂》を起用する点も特徴と言える。

【ドローゴー】

 モンスターレスの一点特化型パーミッションデッキ
 カウンターライフゲインでひたすら凌ぎ、数枚の《波動キャノン》の維持、もしくは《終焉のカウントダウン》のターン経過に全てを賭ける。
 打撃力は愚か、戦線維持や手札獲得にさえ注意を払っておらず、その分勝ち筋の薄さも半端ではない。
 あまりにも手札が足りないため《天変地異》《デーモンの宣告》のギミックを積むタイプまである、といえばそのすさまじさがわかるだろう。
 【パーミッション】中最もすさまじい構築難易度を誇るデッキであり、勝利したとき一番格好のいいデッキである。

【Vドラコントロール】

 《ヴィクトリー・ドラゴン》によるマッチキル能力を取り込んだ、究極のパーミッション
 単体では使い物にならない《ヴィクトリー・ドラゴン》をサポートするため、安定度は無論落ちる。
 恐ろしくバランスが要求されるため、普通のプレイヤーが使う分には【MCV】の方が強い。

【カウンタービート】

 ライフでコストを賄える、もしくはノーコストのカウンターカードで相手モンスター除去無効にしつつ、軽量の上級モンスターを展開し殴り倒すデッキ
 コンボデッキ風な【パーミッション】系列と比べると、コントロールの色が薄まりビートダウンの色が濃くなる。

代表的なカード

関連リンク