パーミッションとは、カウンターによる無効などを駆使し相手の戦術を崩すことを目的とするコントロールデッキの総称である。
カードプールの増加により現在では多種多様なパーミッションが存在するが、このページではカウンター罠を用いてコントロールするデッキ全般について述べる。
多数のカウンター罠を採用し、相手の行動を妨害してデュエルの主導権を握るパーミッションデッキ。
カウンター罠によるスペルスピード3の無効化能力が最大の特徴である。
発動に成功すればカウンター罠以外にはチェーンされないため干渉されにくく、相手のカードを封じる力は非常に高い。
一方で、強力なカウンター罠は発動コストが高めに設定されており、ディスアドバンテージを負いやすいという欠点を抱えている。
恒久的なアドバンテージ源となるドローエンジンを採用することで多少は手札消費を補うことができるが、それでも相手のカード全てを無効にすることは難しい。
ゲームを決定づけるような相手のキーカード、すなわちマストカウンターを的確に狙う必要があるため、豊富な知識と慎重なプレイングが要求される。
このような扱いにくさはあるものの、大抵のカウンター罠は単体で機能するため、投入するデッキをそれほど選ばない。
コントロールを軸としながらも、ビートダウンやロックなど各種デッキへの派生が考えられる。
主力となるカウンター罠の特徴は勿論、あらゆるデッキの構成やそのプレイング・カードの効果などをしっかりと把握し、的確な構築・対処ができるようにしたい。
09/09/01の制限改訂により採用率が高く強力な《神の宣告》が制限カードに指定され、運用が著しく厳しくなった。
【パーミッション】には勝利手段の異なる複数の構築パターンが存在するが、それらを単一のページで解説することは困難である。
そのため、ここではどの種類の【パーミッション】でも採用が望めるものや、各タイプの【パーミッション】の代表的なカードを中心に説明する。
各種デッキの詳細は、デッキの派生から当該ページを参照にされたい。
ノーコストだが無効にできる状況や対象が狭いものから、汎用性が高いものの多大なコストを要求するカードなど、幅広く存在する。
主に使用されるのは、『発動条件の容易さ』・『無効にできる範囲』に優れたもので、発動コストは少々度外視される傾向にある。
これは、相手の行動とセットしたカウンター罠が噛み合わずに腐ってしまい相手の行動に対応できない、といった状況を少なくする意味合いが強い。
また、後手に回ってカードに対処するという受動的な性質から、【パーミッション】は相手のデッキ構築によって影響を受け易い。
【メタビート】ほど徹底する必要はないが、環境を意識したカード選択も多少求められる。
モンスターの召喚やカードの発動の無効化には優れているカウンター罠だが、一度フィールドに出されてしまったカードに対して干渉する力は弱い。
短所は効果モンスターや魔法など他のカードで補い、長所を上手く引き出していきたい。
この項目では採用率の高いものを主に紹介するが、それ以外についてはこちらでリストが確認できる。
基本的には、カウンター罠の比率が高くなるほどコントロール能力も高くなるが、カード消費もより激しくなる。
この点を解消するため、カウンター罠を多数投入する場合、ドローエンジンを併用することが多い。
カウンター罠とドローエンジンの相性は悪くなく、上手くデッキが回れば大きくアドバンテージを取ることもできる。
ただし、コンボデッキの性質も強くなるため、安定度や柔軟さはいくらか犠牲になる。
激しい手札消費へのもうひとつの回答として、カウンター罠をライフコストで発動できるものに偏らせる作戦が考えられる。
ドロー加速は望めないものの、ステータスに不安のあるドローエンジンへの依存が無くなり、デッキ全体の柔軟性が増す。
一方でライフコストで賄うということは、カウンター失敗を絶対許さない半ば背水の陣となることも多く、そのタイミングは非常にシビアになる。
細かくライフポイントを削っていくようなモンスター同士の戦闘を避ける姿勢や、ダメージが累積する前に勝負を終わらせることができるスピードが求められる。
また、当然ながらバーンには非常に弱くなる。
ビートダウンデッキに挿された《魔法の筒》・《停戦協定》なども、ダメージ計算や戦術を狂わせ致命傷となるので注意せねばならない。
まず思い浮かぶのが、カウンター罠と直接関連する効果を持つモンスター。(一覧)
この中では、運用にカウンター罠以外のカードを必要としない《豊穣のアルテミス》と《冥王竜ヴァンダルギオン》が扱いやすい部類に入る。
主にビートダウンを勝ち筋としたデッキで、前者はドローエンジン兼アタッカー、後者はフィニッシャーとして活躍できる。
《裁きを下す者−ボルテニス》や《天空聖者メルティウス》は専用の構築が必要となり、【エンジェル・パーミッション】での運用が基本となる。
ドローエンジンは採用するデッキにとって重要なキーカードであると同時に、単体では場持ちの望めない事故要因でもある。
手早く手札に呼びこみたいが、手札でダブつくと防御が薄くなるという問題を抱えている。
決定的なサーチ・リクルート手段も無いため、プレイヤーの構築手腕のみでバランスを取っていかなければならない。
各カードの性質をよく理解し、時間を掛けて採用枚数を調整していこう。
カウンター罠を多く採用するため、その分魔法カードの投入スペースは限られる。
もっとも、コントロール要素はカウンター罠だけでほぼ完結しているので、魔法カードが0枚という極端なデッキでも運用は可能。
かつては『《強欲な壺》(時代によっては《天使の施し》)のみという特化型を選択するのも十分選択肢の内』とされたことからも、非常に特殊な構築のデッキであるのが実感できるだろう。
とはいえ、メタカードである《王宮のお触れ》を破壊できる《サイクロン》は、入れておいて損はない。
他には、《地砕き》などのモンスター除去、フリーチェーンで使い道の豊富な《月の書》、序盤の手札の質を向上させる《強欲で謙虚な壺》といったカードが採用圏内に入る。
無効に特化したカウンター罠とは少々性質が異なるものの、他の罠カードも相手の戦術の妨害に長けている。
ビートダウンを勝ち筋としたデッキでは除去罠が、ロック系のデッキでは攻撃を封じるカードが採用される。
また、通常罠だが《スターライト・ロード》は複数枚除去への優れたカウンターとして機能する。
ライフコストや、自分の行動も阻害する点でデッキを選ぶが、《王宮の弾圧》も高い拘束力を持つ。
勝利手段やコントロールの傾向によって、以下のようにおおまかに区分できる。
戦闘ダメージによって相手ライフポイントを0にすることを目的としたタイプ。
構築や運にも左右されるが、【パーミッション】の中では早期決着が望める部類である。
多数のカウンター罠とドローエンジンを投入しコントロールを重視したもの、戦闘でアドバンテージを取ることを意識しビートダウンを重視したものが存在する。
前者は【ヴァンダルギオン】や、《裁きを下す者−ボルテニス》をフィニッシャーとした【エンジェル・パーミッション】が該当。
後者は【カウンタービート】が該当する。
攻撃をロックする永続カードを採用しつつも、ビートダウンでの勝利を狙うタイプ。
ドローエンジンを戦闘破壊から守りやすいのが利点となる。
ロックを無視することができるモンスターで細かくダメージを与えていく『すり抜け型』と、準備が整った時点でロックを解除し大型モンスターでビートダウンする『スイッチ型』に分けられる。
どちらも様々な要素を含んだデッキ構成となるため、構築の難易度は高い。
攻撃を完全にロックし、効果ダメージや特殊勝利によってデュエルに勝利することを目的としたデッキ。
【ドローゴー】が該当する。
このデッキに於けるカウンター罠の役割は、ロックパーツやドローエンジン、勝利手段となるカードの保護が主要なものとなる。
【パーミッション】の中でも一際防御的志向の強い、自分フィールド上のカードの維持に徹した構築と言える。
現在ではロックデッキでも、永続カードの保護のためにカウンターを複数採用するのが一般的となっている。
そのため、ロックデッキとロック要素を採用した【パーミッション】の境界は非常に曖昧である。
構築も【ロックバーン】や【終焉のカウントダウン】を基準に、カウンター罠やドローエンジンの投入枚数を調整していくような組み立てが基本となる。
《異次元の境界線》の存在は、このタイプのデッキでも大きなメリットと言える。
先述したようにいくつか構築の種類があるが、いずれもカウンター罠への依存が強い点で共通している。
そのため、《王宮のお触れ》や《人造人間−サイコ・ショッカー》、《ナチュル・バンブーシュート》などの罠を封じるカードは天敵となる。
セットを封じてしまう《ダーク・シムルグ》も、同様に警戒しなければならない。
確実にカウンターするのは勿論だが、発動・召喚を許した場合にも備えておきたい。
対抗カードとして罠以外の除去手段を用意し、温存しておこう。
伏せカードを多用するためフィールドにカードが集中しやすく、全体除去にも最大限の注意を払う必要がある。
このデッキは一度失ったアドバンテージを取り戻すのが非常に難しいため、絶対に無効にしなければならない。
カウンター罠の発動から特殊召喚することができる《冥王竜ヴァンダルギオン》をフィニッシャーとしたデッキ。
【パーミッション】ならば《冥王竜ヴァンダルギオン》は簡単に特殊召喚することができ、阻害能力を落とすことなく打撃力を補うことができる。
特定の種族・属性にも縛られないため、コントロールに重きを置いたビートダウン型【パーミッション】としてはオーソドックスなタイプと言える。
天使族統一型のデッキ。
天使族にはカウンター罠とのコンボが可能なカードが複数存在し、多くの構築パターンを確立している。
高い制圧能力を持つ天使族の上級モンスターや、種族特有のシナジーの恩恵を受けられることも強みである。
《裁きを下す者−ボルテニス》をフィニッシャーとしたデッキ、《天空聖者メルティウス》を軸とした【天空の聖域】寄りのタイプがよく知られている。
カウンター罠の発動から除去能力を使用できる上記2種のモンスターや、魔法・罠の無効化を防ぐ《The splendid VENUS》の存在から、《王宮のお触れ》にある程度対抗できるのも特徴。
カウンターで相手のモンスター除去を無効にしつつ、モンスターを展開しビートダウンするデッキ。
使用するカウンターはライフでコストを賄えるもの、もしくはノーコストのものを中心に選択、戦闘破壊やモンスター効果によってアドバンテージを取っていく。
パーミッション系列と比べると、コントロール要素やコンボデッキの色が薄まり、ビートダウンデッキの色が濃くなる。
多くの【剣闘獣】、【メタビート】もこのタイプのデッキ構成になることが多い。
モンスターレスの一点特化型パーミッションデッキ。
カウンターやライフゲインでひたすら凌ぎ、数枚の《波動キャノン》の維持、もしくは《終焉のカウントダウン》のターン経過に全てを賭ける。
打撃力は愚か、戦線維持や手札獲得にさえ注意を払っておらず、その分勝ち筋の薄さも半端ではない。
あまりにも手札が足りないため《天変地異》と《デーモンの宣告》のギミックを積むタイプまである、といえばそのすさまじさがわかるだろう。
【E・HERO】と【パーミッション】の混合型。
ノーコストの《フェザー・ウィンド》を中心に、E・HEROの展開力の高さで場を維持していく。
構築の難度は上がるが、融合モンスターで打点を補えるのも強み。
【イリダン・パーミッション】、【リンクス・パーミッション】とも呼ばれる。
カードをセットすることでワームカウンターを発生させ破壊効果を使用することができる、《ワーム・イリダン》を採用したタイプ。
カウンター罠を大量にセットする【パーミッション】との相性は良く、パーミッション全般が苦手としがちな能動的な除去を行うことができる。
カウンター罠を発動することでトークンを生成する《人造天使》でリリースを確保し、強力な除去能力を持った帝モンスターを展開していくデッキ。
大量展開したトークンをリリースできるため、《昇天の角笛》の採用も望める。
※07/03/01の制限改訂で《ヴィクトリー・ドラゴン》が禁止カードとなり、実質的に消滅している。
《ヴィクトリー・ドラゴン》によるマッチキル能力を取り込んだ、究極のパーミッション。
単体では使い物にならない《ヴィクトリー・ドラゴン》をサポートするため、安定度は無論落ちる。
恐ろしくバランスが要求されるため、普通のプレイヤーが使う分には【MCV】の方が強い。