一般的な「モンスターの戦闘によるダメージ」ではなく、「カード効果によるダメージ」で相手ライフを0にする事を目的としたバーンデッキの代表格。
このデッキの派生種は色々とあるが、最もハイスピードに且つ安定した手段で相手ライフを削ることにかけては【フルバーン】の右に出るデッキはない。
そういう意味ではこの【フルバーン】は、「究極の速攻デッキ」と言えよう。
デッキの構築力とプレイングによっては、相手に一切の抵抗も許さないまま勝利してしまう事も多々ある。
ほぼ全てのデッキに対してオールラウンドな強さを誇るが、反面メタに弱いため2戦目以降ではサイドボードから対策されやすく、そのため大会などでは十分な成績を残しにくい傾向にある。
サイドデッキに【自爆スイッチ】のギミックを組み込むこともできるため、マッチ戦では2戦目・3戦目を引き分けに持ち込んで勝利する方法も取る事ができるだろう。
【フルバーン】の歴史は古く、《メタモルポット》が登場したころから既に存在していたことが知られている。
初めに明記しておくが、このデッキは「カード1枚につき平均1000ポイント以上のダメージが与えられれば、僅か3ターンで勝利できる」というコンセプトを前提に構築されたデッキである。
よってそれ以外の目的を持つカードは一切採用せず、相手ライフを高速で削りきることのみに最大限特化した特殊なデッキ構築をすることになる。
→防御手段を採用したバーンデッキについては、派生デッキの【ウォールバーン】を参照のこと。
防御手段が極めて乏しいこのデッキで相手のライフ8000点を全て削りきるためには、「自分の手札枚数」と「それ1枚で与えられる平均ダメージ」が大きく関係してくる。
またそれを体現するためにはデッキの殆どのスロットをバーンカード、またはドロー加速カードで構成する必要がある。
強力なビートダウンや1ターンキルに対抗するためにと言って下手に防御カードを投入したりすると、それが返って自分の首を絞める結果になってしまうので注意。
下の表が示すとおり、効率的に相手のライフポイントを削りきるには例え安定性を度外視してでも、カード1枚あたり最低1000ダメージを与えられるバーンカードでデッキを構築していかなければならない。
相手ライフ | 8000ポイント | 8000ポイント | 8000ポイント |
自分の手札 | 6枚 | 7枚 | 8枚 |
手札1枚あたりのダメージ量 | 約1333ポイント | 約1142ポイント | 1000ポイント |
デュエル開始時、最初のドローフェイズも合わせて自分の手札は6枚。
つまりカード1枚につき最低1000ポイントダメージが与えられれば、手札8枚(自分ターンで数えて3ターン目)で勝利できる計算になる。
とは言っても《ファイヤー・ソウル》・《仕込みマシンガン》・《悪夢の拷問部屋》・《魔法の筒》など、実際は1000ポイントを大きく越えるダメージが与えられるバーンカードも多く存在するので、初手が良ければ手札7〜6枚で勝利できることもザラである。
しかし、無論これは「相手の伏せ除去を受けてダメージソースを割られなかった場合」の計算であるため、実戦ではこの理論通りには行かないことに注意。
このデッキにおいて1枚のダメージソースはそれこそ生死を分ける死活問題であり、それ故相手の伏せ除去には常に警戒しておかねばならない。
上でも記述したが、【フルバーン】ではたった1枚のダメージソースを失うだけでも致命傷となり、その隙に相手に殴り倒されてしまう事も珍しくない。
その為このデッキで勝利するためには手札のバーンカードを全て安全・効率的に消費していく必要があり、デッキを構築するカードの種類・採用枚数にも工夫を凝らす必要がある。
【フルバーン】を使う上で最もダメージソースを失いやすい要因は、相手の除去である。
単純に考えて、相手ターン中でも発動できる(スペルスピード2以上の)罠及び速攻魔法の除去系カード(例:《サイクロン》《サンダー・ブレイク》《ゴッドバードアタック》等)を、こちらのセットしたばかりの魔法・罠カードに対して相手に発動された場合、当然ながらその分のダメージソースは削られてしまう。
このデッキでは基本的に相手が所持しているスペルスピード2以上の除去カードの数だけダメージソースが削られてしまうため、そういった種類の除去カードには滅法弱いというのが【フルバーン】の宿命だろう。
しかし、逆にこちらのバーンカードの殆どをフリーチェーンで構成することによって、それ以外の種類の除去カードに対しては強い耐性を持つことができる。
自分のターンでしか発動できない(スペルスピード1の)モンスター効果や通常魔法等の除去系カード(例:《魔導戦士 ブレイカー》《邪帝ガイウス》《大嵐》等)の除去効果に対しても、フリーチェーンであればそれにチェーンしてかわせるため、このような構成にしていれば基本的に上で述べたような除去カードも恐るるに足らない。
よって、こういったスペルスピード2以上のカードを主体としてデッキを構成していくことは、バーンカードを安全に使用していく上での手段として非常に有効であると言える。
デッキ内のスロットが余ってしまうのであれば、《バトルフェーダー》や《威嚇する咆哮》、《ゼロ・ガードナー》等の使い捨て防御カードを採用してスロットを埋めよう。
相手の場のカードの数によって威力が上昇するバーンカード(《仕込みマシンガン》《自業自得》等)とのシナジーも期待できるため、これは推奨できる。
《八汰烏の骸》《強欲な瓶》等のドロー加速カードでスロットを埋めるという方法もあるが、如何せんそれらの殆どは1ターンのタイムラグが生じてしまう。
これらのカードも積み過ぎは事故の元となってしまうので注意。
メタ次第では大きく時間稼ぎができる《激流葬》や《聖なるバリア−ミラーフォース−》も有効。
火力となるモンスターには様々なものがあるが、デッキの採用枚数をあまり多くしすぎると手札で余り、消費しきれなくなってしまう。
そのため最終的に投入するモンスターカードは多くても10枚ほど、ドロー加速やデッキ圧縮カードを多用するならそれ以下に絞ることが望ましい。
限られたスロットを最大限に活用するため、採用するカードは火力性能や安定性などをよく吟味した上で決めよう。
下記ではカードの種類別に分けて記述する。
魔法・罠カードはモンスターの召喚と違って1ターンの発動回数に制限がない。
そのため、【フルバーン】で実質的に相手のライフを削る火力は3/4以上をこの魔法・罠カードに頼ることになる。
採用することでデッキ圧縮が行えるようになるため、デッキ内の平均ダメージ量が増加するという副次的なメリットもある。
また、ダメージソースが足りない場合はスロットを埋める役割としても機能してくれる。
罠カードのドローソースは性質上タイムラグが発生してしまうため、他のカードに比べて採用枚数は極力抑えるべきである。
【フルバーン】は通常のビートダウンとデッキ構成・戦法が根本から違うため、それによって各種の長所・短所が存在する。
一長一短あるが、それでもシングル戦であれば様々なデッキ相手に最強クラスの実力を誇るので、初戦では確実に相手の死角を突けるだろう。
但し上記のようにメタには滅法弱いため、サイドチェンジが行われる大会などでは少々結果を出しにくいかも知れない。
そのため、それらへの対策としてこちらもサイドデッキで【自爆スイッチ】のギミックを組むのも有効。
チェーン数に関係するカードによって、ドローブーストをしながらバーンを行う事が可能になった。
元々は《ご隠居の猛毒薬》・《仕込みマシンガン》・《ファイアーダーツ》等のカードを利用しチェーンを積み上げる【フルバーン】。
ここに《強欲な瓶》・《八汰烏の骸》・《無謀な欲張り》等を主体に速攻魔法・罠カードを加える事で、いとも簡単にチェーン4など積み上げられるのだ。
実際にやってみると《積み上げる幸福》も《連鎖爆撃》も面白いように撃つ事ができる。
《連鎖爆撃》は07/03/01で制限カードに指定され、また《おジャマトリオ》も2008年3月1日に制限カードとなってしまい弱体化したが、08/09/01にて《連鎖爆撃》の方は準制限カードに緩和。
これで多少は威力が復帰したか。
高速で焼き切るために防御手段に乏しい【フルバーン】に対し、少しでも防御に重点を置いたデッキ。
【フルバーン】でも《魔法の筒》・《ディメンション・ウォール》くらいは投入されることがあるが、モンスターを使うことは少ない。
そこに壁となる火力を用いて、速度を落とす代わりに防御力を上げている。
直接攻撃能力を持つモンスターを多く採用し、バーンと同時に戦闘ダメージも拙速して与えていくデッキ。
ビートダウンとバーンの二つの要素を持つため対策カードが多くなり、必然的に構築難易度は上がるが、両者が拙速する事によって爆発力は上がる。
通常魔法の比率を上げて《連弾の魔術師》を採用した【フルバーン】。
コンボカードとして《トゥーンのもくじ》や《精神統一》を採用するのが特徴。
また、《光の護封剣》や《悪夢の鉄檻》を投入し【ロックバーン】にしたものも存在する。
自己サルベージ効果を持つ《メテオ・プロミネンス》を主軸としたデッキ。
通常罠であるため、《ジャンク・コレクター》により再利用できる点と、《おジャマジック》《ヴォルカニック・バレット》で手札コストを軽減できる点が特徴である。
おジャマを利用するため、《凡人の施し》・《闇の量産工場》・《凡骨の意地》で更に手札を増やすことも容易であり、《メテオ・プロミネンス》さえ手札に来れば、通常の【フルバーン】よりさらに高速で勝利を決めることができる。