ストラクチャーデッキ−海皇の咆哮−で登場した海皇を軸としたビートダウンデッキ。
メインとなる海皇モンスターは、「水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた時」という独特の効果発動条件を持つ。
海皇のカテゴリ化当初は水精鱗の力を借りてこの発動条件を満たす【海皇水精鱗】が主流だったが、《海皇子 ネプトアビス》の登場後は水精鱗割合の低いデッキが現れることもあり、【海皇】と呼ばれる事があった。
本項でも《海皇子 ネプトアビス》登場後の【海皇】を前提に解説する。
《海皇子 ネプトアビス/Neptabyss, the Atlantean Prince》 効果モンスター 星1/水属性/海竜族/攻 800/守 0 「海皇子 ネプトアビス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。 (1):デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の 「海皇」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。 デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」カード1枚を手札に加える。 (2):このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、 「海皇子 ネプトアビス」以外の自分の墓地の「海皇」モンスター1体を対象として発動する。 そのモンスターを特殊召喚する。
《海皇の竜騎隊/Atlantean Dragoons》 効果モンスター 星4/水属性/海竜族/攻1800/守 0 (1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、 自分のレベル3以下の海竜族モンスターは直接攻撃できる。 (2):このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合に発動する。 デッキから「海皇の竜騎隊」以外の海竜族モンスター1体を手札に加える。
「水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた時」という海皇モンスターの効果発動条件を満たすため、デッキや手札からモンスターをコストとして墓地へ送る水属性モンスターはこのデッキでは特別な価値を持つ。
その中でも《海皇子 ネプトアビス》の性能は図抜けており、《海皇子 ネプトアビス》を積極的にフィールドに出すことが最重要事項となる。
デッキ全体で《海皇子 ネプトアビス》をサポートし、繰り返しフィールドに出して効果を使いたい。
《海皇の竜騎隊》でサーチできることから海竜族、また《水精鱗−メガロアビス》の手札コストになることから、可能なら水属性で固めたほうが良い。
―シンクロモンスター
このデッキでは、《深海のディーヴァ》からのシンクロモンスターが戦闘の中心を担う。
主にレベル3〜9が採用圏内だが、《海皇龍 ポセイドラ》を使うならレベル10のシンクロ召喚も考えられる。
基本的には各レベルの汎用性が高いモンスターを入れておけばよいが、特筆すべきカードについては以下に記す。
―エクシーズモンスター
このデッキはレベルのバラつきが大きいため、シンクロ召喚と比べるとエクシーズ召喚はあまり得意ではない。
しかし、水属性エクシーズモンスターの効果の発動コストとして、エクシーズ素材の海皇を墓地へ送ることができるのが強力。
従って水属性のエクシーズモンスターを中心に採用する形となる。
―リンクモンスター
《水精鱗−サラキアビス》は、相手ターンに海皇をコストに水精鱗のサーチができる。
相手依存だが破壊された場合にデッキコストで水属性を蘇生する効果も持つので、とりあえず出しておくだけでも役に立つだろう。
それ以外では、展開に繋げられる《海晶乙女コーラルアネモネ》、全体強化ができる《マスター・ボーイ》が候補となるか。
「デッキからモンスターを墓地へ送る事で効果を使う」というプレイスタイルの都合上、デッキ構築時にはモンスターカードが多くなりがちである。
魔法・罠カードに割けるスペースは多くないため、シンプルなパワーカードに絞って採用することが求められる。
手札誘発モンスターやフリーチェーンで海皇をコストにできるカードなどを用いて、相手ターンに無防備になりすぎないように立ち回りたい。
《海皇子 ネプトアビス》の効果でデッキから海皇を墓地へ送り海皇をサーチ、更に墓地へ送った海皇の効果で2枚のアドバンテージを得る、というのが基本的な動き。
《海皇子 ネプトアビス》あるいはそれをリクルートできる《深海のディーヴァ》を常に握っておくことが求められる。
条件:手札に《海皇子 ネプトアビス》(またはそれをリクルートできる《深海のディーヴァ》)+水属性モンスター1枚
- 《海皇子 ネプトアビス》を召喚して(1)の効果を発動、《海皇の竜騎隊》をコストに海皇をサーチ。
- 《海皇の竜騎隊》の効果で《水精鱗−メガロアビス》をサーチ。
- 手札の水属性2枚(うち1枚は先ほどサーチした海皇でよい)を捨て、《水精鱗−メガロアビス》を特殊召喚。
- 《水精鱗−メガロアビス》の効果で《アビスケイル−ケートス》または《アビスケイル−ミヅチ》をサーチして装備。
- 《海皇子 ネプトアビス》をリリースして《水精鱗−メガロアビス》の2回攻撃効果を発動。
- 《海皇子 ネプトアビス》がリリースされた事で(2)の効果を発動、《海皇の竜騎隊》を蘇生する。
- 《水精鱗−メガロアビス》の攻撃力3200での2回攻撃と《海皇の竜騎隊》の攻撃で8200ダメージ。
《氷霊神ムーラングレイス》はフィールドを離れるとバトルフェイズがスキップされるというデメリットを持つ。
しかしエクシーズ素材にすればこのデメリットは発生しないので、《氷霊神ムーラングレイス》をランク8のエクシーズ素材にすることで、デメリット回避と戦線強化を可能としたのがこの構築である。
条件として、デッキにレベル3のシンクロン、エクストラデッキに《アクセル・シンクロン》が必要となる。
上記した《深海のディーヴァ》1枚から《氷霊神ムーラングレイス》を出すルートに《アクセル・シンクロン》を組み込む場合、以下の手順となる。
通常の手順と異なる点は太字で表示する。
ランク8のエクシーズモンスターについては、水属性である必要もないので《神竜騎士フェルグラント》など汎用性の高いものから選べばいい。
レベル3のシンクロンであるが、《ジャンク・シンクロン》か《スチーム・シンクロン》の二択となる。
《ジャンク・シンクロン》は《海皇の重装兵》を蘇生してレベル5、《海皇子 ネプトアビス》を蘇生してレベル4のシンクロ召喚が可能。
特に《海皇子 ネプトアビス》は効果が無効にされていてもコストを払う事はできるため、海皇の効果を発動させられる。
これに対し《スチーム・シンクロン》は水属性のため、《水精鱗−メガロアビス》の手札コストとして捨てる事ができる。
どちらも一長一短だが、いずれにせよ手札に来るよりデッキに眠っていてもらいたいカードであり、採用枚数はどちらか1枚でよい。
海皇唯一の最上級モンスターである《海皇龍 ポセイドラ》を採用したタイプ。
《海皇龍 ポセイドラ》を使うメリットとして以下の点が挙げられる。
自身の効果での蘇生機会はあまり多くないが、《海皇の重装兵》と《深海のディーヴァ》を併用すればフィールドに水属性3体を並べることは容易である。
リリースした海皇の効果も発動させられるので、状況次第では狙ってみる価値はあるだろう。
《氷霊神ムーラングレイス》を簡単に特殊召喚できることから、その他のハンデス効果を持つカードを採用することでよりハンデスに特化した構築。
一時的なハンデス効果持つ海竜族である深海モンスターと連携を取りやすいのが強みで、《深海姫プリマドーナ》で実質的なデッキバウンスハンデスにもできる。
《深海姫プリマドーナ》で《深海のアーチザン》→《海皇子 ネプトアビス》と繋げれば《氷結界の龍 トリシューラ》も出しやすい。
《深海の都 マガラニカ》で《氷霊神ムーラングレイス》のレベルを上げ、《氷結界の龍 トリシューラ》と共に《幻子力空母エンタープラズニル》をエクシーズ召喚するということも可能。
【水精鱗】との混成デッキ。
《海皇子 ネプトアビス》の登場以前は海皇のみで海皇の効果の発動条件を満たすことが難しく、手札コストを持つものが多い水精鱗との混成が主流であった。
詳しくは【水精鱗】を参照。
《フィッシュボーグ−プランター》を使用するために、デッキのモンスターを水属性で統一した【フルモンスター】。
このデッキでは《ドラゴン・アイス》で《海皇の重装兵》を捨てることが貴重な除去手段となるため、海皇要素は事実上不可欠な存在となっている。
【海皇】は展開に魔法・罠カードをほとんど使用しないため、このデッキのギミックをそのまま採用することも可能。
詳しくは【水フルモン】を参照。
弱点ははっきりしており、比較的メタは張られやすいデッキである。
主な弱点として以下の点があげられる。
ストラクチャーデッキ−海皇の咆哮−でのカテゴリ化当初は効果の発動条件を満たす方法に乏しかった海皇だが、追うようにして発売されたABYSS RISINGで水精鱗が登場。
「手札を捨てる水精鱗」「捨てられる海皇」という役割分担により、【海皇水精鱗】は環境デッキの1つとなる。
《マスター・ボーイ》や《水精鱗−サラキアビス》といったリンクモンスターの登場で戦術が広がった。
環境では《雪花の光》3枚を採用した【ほぼモン】構築において【水精鱗】を取り込んだ【海皇水精鱗】が結果を残した。
その結果、純構築の【海皇】は、事実上鳴りを潜めるようになった。
リミットレギュレーションでは《海皇の竜騎隊》が制限解除され、末期では《深海のディーヴァ》が制限緩和された。