戦士族のまさに典型的な特徴なのだが、有効な効果とは対照的に攻撃力に乏しく、戦闘で押されやすいのが最大の欠点となる。
一方でその効果は、手札破壊・除去・バウンス・リクルート・デッキ破壊をこのメンバーだけで行える、強力な組み合わせである。
リーダー・《首領・ザルーグ》は強力な手札破壊能力を備えるが、対【暗黒界】に於いては分が悪い。
このメンバーの中で中心的な動きをするのが、《黒蠍−棘のミーネ》と《黒蠍−罠はずしのクリフ》である。
《黒蠍−逃げ足のチック》は主に自分フィールド上のカードを再利用するために使うことになる。
ここでは、より実戦的な組み方と、ややファンデッキよりな組み方を分けて考察する。
黒蠍が機能するうえで最も重要な役割を果たすモンスターは《黒蠍−棘のミーネ》である。
このモンスターを２体以上採用し、例えば裏側守備表示を低い攻撃力で攻撃されることによる反射ダメージも狙いやすい。
デッキ内の黒蠍サーチはもとより、墓地の《黒蠍−棘のミーネ》を回収することで《キラー・スネーク》のようにハンド・アドバンテージを稼ぐことが可能となる。
高い攻撃力のモンスター相手には《収縮》などを使うのもよいが、《モンスターＢＯＸ》でコストを払いながらの維持もよい。
《黒蠍−棘のミーネ》の派手ではない効果が重要。
仮に《首領・ザルーグ》、《黒蠍−罠はずしのクリフ》、《黒蠍−棘のミーネ》、がフィールドに並び攻撃を仕掛けてきたとする。
そのとき、自分の魔法＆罠カードゾーンに《炸裂装甲》が１枚伏せてあった場合、どの攻撃を防ぐべきか考えてみる。
《黒蠍−罠はずしのクリフ》か《首領・ザルーグ》であろうが、《黒蠍−罠はずしのクリフ》から攻撃された場合にはこれに発動しなければ無意味となる。
《首領・ザルーグ》の手札破壊は仕方がないにしても、最後の《黒蠍−棘のミーネ》のヒットによって《黒蠍−罠はずしのクリフ》を回収されてしまう。
結果的に、《炸裂装甲》を発動した意味が限りなく薄くなってしまっているのである。
このような《黒蠍−棘のミーネ》の相手のアドバンテージを目減りさせる効果も決して侮れない能力である。
そして《黒蠍−棘のミーネ》が控えることによって、その他の黒蠍が相手の伏せカードを気にせずに戦えるという面もある。
墓地に落ちてもあとでサルベージができるという意味でも心強い存在なのである。
【ミーネ・ウイルス】で中心的な役割を果たすように、《死のデッキ破壊ウイルス》の発動を容易にさせる利点も活用できる。
それ以外の黒蠍のメンバーに注目してみる。
まず、《首領・ザルーグ》は手軽な手札破壊効果と比較して高めな攻撃力が魅力である。
アタッカーという意味では攻撃力不足であるが、その一撃が決まったときのアドバンテージは大きい。
このように手札破壊は非常に強力な効果であるといえるが、決定的に相性の悪い暗黒界がおり、この点は非常に注意である。
故に、【暗黒界】が流行しているような環境では《首領・ザルーグ》の使用は控えるのが良いだろう。
《ダスト・シュート》《死のデッキ破壊ウイルス》《封神鏡》等で、予め手札を確認しておく手もある。
注意点としては《首領・ザルーグ》は《黒蠍−棘のミーネ》の効果対象にならない点に注意。
《黒蠍団召集》の発動条件だが、このカードも決め手とは言い難い面がある。
次に《黒蠍−罠はずしのクリフ》。
《黒蠍−罠はずしのクリフ》は攻撃があたれば魔法、罠を除去する。
無論、この低い攻撃力や守備力で戦闘ダメージを与えるのは決して易しいことではない。
しかし、成功すれば大きなアドバンテージが得られることは間違いない。
レベル３ということからロックをスルーしての攻撃ができることも重要。
除去担当を担う、このカードの効果は、黒蠍にとっても重要なのである。
次に《黒蠍−逃げ足のチック》。
相手のカードをバウンスするのが基本的な戦術となる。
その他では自分のモンスターに《早すぎた埋葬》を装備させた状態で戦闘ダメージを与え、《早すぎた埋葬》をバウンスするのも有効。
これがこのカードを使ううえで、最もわかりやすく、簡単にアドバンテージを得る方法である。
ピーピング効果も、戦闘ダメージを与えてしまった後では何のリスクもない能力であるため、積極的に使いたい。
《黒蠍−罠はずしのクリフ》《首領・ザルーグ》そして《黒蠍−強力のゴーグ》にも２つの効果がある。
しかしこれらは墓地アドバンテージを肥やす結果にもなりかねず、リスクが伴う場合があることも把握しておきたい。
《黒蠍−強力のゴーグ》はいまひとつ使いにくい。
デッキトップへのバウンスは恒常的に使えるなら強力なロックになる。
しかし、上級モンスターである事と、その発動条件がそれを困難なものにしている。
貫通効果を付与すれば戦闘で破壊できない壁の除去にも使えるが、効率が悪い。
《首領・ザルーグ》の《黒蠍団召集》で特殊召喚するのが、最も有効な活用法か。
《黒蠍盗掘団》は黒蠍メンバーが出る前のカードなので仕方がないと割り切ろう。
より【戦士族】に偏らせた構成がもっとも黒蠍を活躍させやすい土壌となる。
【戦士族】内の説明では「強化型デッキ」と説明されている構成に、黒蠍を組み込むことになる。
《切り込み隊長》《コマンド・ナイト》《連合軍》を軸に、強化、ロックさえも視野に入れ、相手を上回る攻撃力で戦闘ダメージを与える。
《大寒波》がうまいように手札にくれば、相手の手札・フィールド・ライフ共にボロボロだろう。
汎用除去として《ならず者傭兵部隊》、高守備力モンスター対策として《忍者マスター ＳＡＳＵＫＥ》も採用圏内か。
《黒蠍−強力のゴーグ》を使うかどうかに関しては、コントロール奪取をする効果の魔法の採用如何かもしれない。
コントロール奪取した相手モンスターの手っ取り早い除去方法はアドバンス召喚だからである。
他の強力な上級モンスターを使っても良いが、《黒蠍団召集》の対象となるメリットがある。
《死のデッキ破壊ウイルス》と、それを回収するための《闇の仮面》も投入したい。
また、黒蠍を活躍させたいなら貫通付与は必須。《ビッグバン・シュート》なら、低い攻撃力を補いつつ効果を発動できる。
ただし、黒蠍が除外されると《黒蠍−棘のミーネ》で回収できなくなる。《闇次元の解放》を投入してもいいかもしれない。
そのほかのスロットについては、【戦士族】で使いやすい、汎用性の高いカードを投入すると安定する。
黒蠍の特徴は、各カード間でのコンボの意味合いが薄いことで、単体の有能で汎用性の高いモンスターの集団として使えることである。
その利点を活かした黒蠍は、いろいろと派生を考えられるところなのかもしれない。
その他の構築として有力なのは【トマハン】（【除去ハン】）型でやや黒蠍を多めに積み込んだ形がある。
【弾圧リクル】?型など、いろいろ構築が考えられるところで、除外さえなければかなりの制圧力を誇る。
純粋な【黒蠍】とは若干異なるが、戦闘に関して強力な効果を持つＢＦと組み合わせてもいい。
《ＢＦ−疾風のゲイル》や《ＢＦ−アーマード・ウィング》の戦闘でフィールドをこじ開け、そこを黒蠍たちが攻撃していくのである。
《ＢＦ−疾風のゲイル》は《キラー・トマト》や《ダーク・バースト》に対応しており、闇属性なので《ダーク・クリエイター》や、構築次第では《ダーク・アームド・ドラゴン》も仕込める。
また、《ＢＦ−疾風のゲイル》はチューナーなので主にレベル６、７のシンクロモンスターを採用できる。
その場合は《ＢＦ−アーマード・ウィング》は勿論、《氷結界の龍 ブリューナク》や《ブラック・ローズ・ドラゴン》も採用していけば黒蠍の攻撃を通しやすくなる。
黒蠍をふんだんに投入し、《必殺！黒蠍コンビネーション》を決めるデッキを考える。
だが、《首領・ザルーグ》《黒蠍−棘のミーネ》は２体以上、その他は１体ずつでもよい。
問題は《必殺！黒蠍コンビネーション》だが、発動条件があまりに厳しく、手札事故を誘発する危険性が多分にある。
３枚積みなどという無謀を冒すなら《オオアリクイクイアリ》の召喚コストにする手もある。
だが、現実には《必殺！黒蠍コンビネーション》を１枚だけ入れて《不幸を告げる黒猫》が安定するだろう。
上記の【戦士族】型に《必殺！黒蠍コンビネーション》が発動できる機会を待つ、という方式も考えられる。
しかし、《切り込み隊長》《コマンド・ナイト》が主軸で回るタイプではフィールドを黒蠍で埋めるような隙間が生じること自体が希。
《キャノン・ソルジャー》等の採用で一応の解決を見るが、有利な状況をあえてはずすかのような行為になってしまう。
【戦士族】除去型では、この形は除去の他は場持ちの良いモンスターなどが重要となる。
しかし、攻撃力がリクルーターにも劣るメンバーを抱える黒蠍では到底不可能である。
《神剣−フェニックスブレード》を回収する際に墓地の黒蠍を除外し、《次元融合》により一気に場に揃えるのも有効。
同時に相手のモンスターを特殊召喚されても《必殺！黒蠍コンビネーション》の効果で直接攻撃が可能である。
【戦士族】であるメリットを生かせる一つの形だろうが、やはり、その攻撃力と守備力に不安が残る。
もう一つ、【フィフティ・フィフティ】のロック型のギミックを組み込み、《黒蠍−棘のミーネ》を壁にしてメンバーを揃える構築を考えてみる。
ロックパーツで一番適するのは《平和の使者》、これは３枚積みである。
《黒蠍−強力のゴーグ》以外のメンバーは《平和の使者》発動下でも攻撃可能なのが最大の理由。
しかし、直接攻撃が出来るわけではないので、モンスター除去やバウンスは別に用意する必要があるだろう。
理想的な状態は《黒蠍−棘のミーネ》が壁として一人存在する状態。
ここに《首領・ザルーグ》を召喚させ《黒蠍団召集》でメンバーを一人ずつ揃えた後《必殺！黒蠍コンビネーション》の発動である。
しかしそうも行かないので、《黒蠍−棘のミーネ》以外にもフィールドで活躍するモンスターが必要である。
大概の場合、その他のモンスターの方が《黒蠍−棘のミーネ》より邪魔であるのは間違いなく、その意味でも《黒蠍−棘のミーネ》は除去されにくいのもポイント。
バーン、ダメージ源のモンスターの採用や《イナゴの軍勢》、《スカラベの大群》を採用しておけばいやでも《黒蠍−棘のミーネ》の壁などは二の次になる。
モンスター除去はその他《ならず者傭兵部隊》、《異次元の戦士》、《サイバー・ジムナティクス》などを採用。
《伝説の柔術家》や、特に《Ｎ・グラン・モール》のバウンスは重宝する。
コンボの都合上場からすぐに消えるモンスターがありがたいのでまず第一がスピリット、《因幡之白兎》や《砂塵の悪霊》の採用が考えられる。
第二がネオスペーシアンのコンタクト融合、《平和の使者》発動下では有効に働くものが少ないのが苦しいところだがフィニッシャーとしての採用はありかもしれない。
とにかく最後の《必殺！黒蠍コンビネーション》発動条件として、フィールドに黒蠍が各一種ずつ５体並べる必要がある。
故に自分のフィールドに余分なモンスターをおくわけにはいかないので、場からすぐに消えるモンスターの他《神秘の中華なべ》や《キャノン・ソルジャー》などは必須である。
《必殺！黒蠍コンビネーション》発動。
しかし、それで攻撃が成功したところで2000ダメージでしかないので、その他にダメージソースを用意しなければならないことは忘れてはならない。
このようなロック型では特にフィールドにモンスターがたまりやすいので《自業自得》や特に《黒蠍団召集》後は《停戦協定》で2500ダメージ以上が確定している。