別名「除外帝」。
ENEMY OF JUSTICEの発売と《黄泉ガエル》《ダンディライオン》が制限カードになったことで作られた【帝コントロール】であり、今話題のデッキの一つである。
【獅子黄泉帝】?の破壊力に惚れ込んだプレイヤーが《黄泉ガエル》《ダンディライオン》の穴を埋めるべくして作り上げた。
が、構築難易度は【獅子黄泉帝】?とはまさに「次元」が違うレベルであり、同じように組むと痛い目を見る。
「帝」モンスターの生け贄召喚に《次元の裂け目》《マクロコスモス》と《異次元の生還者》《異次元の偵察機》のコンボを利用するデッキ。
【黄泉帝】と違い、《次元の裂け目》《マクロコスモス》で壊滅的なダメージを受けることがなく逆に利用することができる。
「既存の多くのデッキを壊滅状態にしつつこちらは強力な帰還手段で攻撃していく」という、回れば非常に脅威的な存在となるデッキである。
《次元の裂け目/Dimensional Rip》 永続魔法 墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。
《マクロコスモス/Macro Cosmos》 永続罠 自分の手札またはデッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚する事ができる。 また、このカードがフィールド上に存在する限り、 墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。
《異次元の生還者/D. D. Survivor》 効果モンスター 星4/闇属性/戦士族/攻1800/守 200 自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがゲームから除外された場合、 このカードはエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚される。
《異次元の偵察機/D.D. Scout Plane》 効果モンスター 星2/闇属性/機械族/攻 800/守1200 このカードがゲームから除外された場合、 そのターンのエンドフェイズ時にこのカードを 自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。
要は何度でも戻ってくる《異次元の生還者》と《異次元の偵察機》を生け贄に「帝」モンスターを召喚するデッキである。
ただし、《次元の裂け目》、《マクロコスモス》がこない限りまったくといっていいほど動けなくなるため、とにかく上記の二枚の発動を最優先する必要がある。
そして第2段階として《異次元の生還者》、《異次元の偵察機》を手札に加えることが重要になってくる。
そのため《封印の黄金櫃》や《おろかな埋葬》、《増援》は必須だといえる。
また、《サンダー・ドラゴン》や《トゥーンのもくじ》等でデッキ圧縮を狙ってみても良いかもしれない。
なお、《次元の裂け目》と《マクロコスモス》を守るために《神の宣告》などのカウンター罠の採用も考慮する必要は十分ある。
マッチ戦2戦目では対【ロックバーン】用の《王宮のお触れ》や《魔法効果の矢》が大量に飛んでくるのでサイドデッキにでも入れておこう。
《マクロコスモス》の効果で特殊召喚できる《原始太陽ヘリオス》も生け贄要員として入れる余地がある。
ただし、相手のターンで召喚してもすぐに倒されてしまう上に、能力アップ数値がかなり低い。
《異次元の生還者》《異次元の偵察機》で生け贄要員は十分確保できるので無理して入れる必要はまったくない。
また、除外を多用するものの多くは帰還してしまうので、《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》も同じく無理して投入する必要は無い。
《マクロコスモス》などの発動前に《おろかな埋葬》で《ゼータ・レティキュラント》を墓地に落としておくと、かなり優位に立てる。
ただし、トークンでフィールドが圧迫されるので帰還の邪魔をしないプレイングを心がけよう。
《ゼータ・レティキュラント》を2枚積む場合は、メインに入れる《異次元の生還者》と《異次元の偵察機》を2枚ずつに調整するのも良い。
身動きが取れなくなったときのリセット用に《砂塵の悪霊》を1枚仕込んでおくのも手。
《死のデッキ破壊ウイルス》は《異次元の偵察機》を媒体とすることができるので是非とも入れておきたい所。
《速攻の黒い忍者》や《異次元からの帰還》とも相性はいい。
《速攻の黒い忍者》は《異次元の偵察機》が墓地に落ちたとき、それを除外できる数少ない手段の一つだからだ。
また、《異次元からの帰還》は「帝」や《天罰》等で帰還不可能になった《異次元の偵察機》等を再びフィールド上に戻せるため、いざというときの壁として、最後のラッシュとして役に立つ。
しかし、《異次元からの帰還》を採用する場合は、《速攻の黒い忍者》よりも《魂を喰らう者 バズー》の方がよいだろう。
自分のターンにしか発動できない点では、《速攻の黒い忍者》に劣るが、除外の対象が闇属性と限定されないため墓地に落ちてしまった帝の《異次元からの帰還》が可能になり、高い攻撃力でのラッシュをかますことができる。
また、一時的ではあるが最高攻撃力2500と高い攻撃力を誇るため、優秀なアタッカーもしくは、壁としても活躍が見込める。
ただし、両者は入れすぎると事故を起こすため、1〜2枚で十分だろう。
《魂吸収》は、恐るべきシナジーを持つため(3枚は多すぎるとしても)是非投入しておきたい。
深く考える必要すらなくこの魔法を発動、数ターン普通にデュエルするだけでかなりのライフ・アドバンテージを叩きだす事ができる。
全体除外カードが破壊されたときを考えるなら、ライフはいくらあっても多すぎることがないはずである。
これだけライフがあれば《デビル・フランケン》を…と思いたくなることもあるだろうが、オススメは出来ない。
他には、1枚でいいので《賢者ケイローン》を入れておくことを勧める。
中〜終盤に引いた《増援》・《おろかな埋葬》や、《マクロコスモス》が引けず荷物になっている《グランドクロス》、余った《次元の裂け目》・《魂吸収》などの処分に大いに役立ってくれる。
ただしこれも2枚3枚と積みすぎると逆効果なので注意。
【帝コントロール】系列共通の弱点、というか宿命として手札事故がある。
この【次元帝】シリーズについても例外ではない。というかむしろ酷い。
「《次元の裂け目》や《マクロコスモス》が全然手札に来ない」とか「生け贄要員は十分足りているのに手札が《異次元の生還者》と《異次元の偵察機》だ」とか。
事故を起こした時はあっさり敗北する可能性もある。
しかし、ハマった時の破壊力が既存のデッキとは段違いなのもまた事実。
数多くのデッキを瞬時に壊滅させる圧倒的パワーで相手を葬り去っていこう。
とはいえ手札事故の対策を何も書かないのは無責任なので、基本的なことだが頭に留めておいて欲しいことを書いておこう。
【次元帝】に限らず除外メインのデッキは、いかに事故を起こさないようなデッキ構成にするかが鍵となる。
尤も、あくまで確率論の世界の話であるため事故を完全に排除することは不可能である。
そして「永続魔法・永続罠依存」+「上級モンスター」という2大事故要因を抱えたこのデッキは、どれほど練りこんだところで【スタンダード】の安定性に勝つことは難しいだろう。
マッチ2戦目以降は上にも記したようにサイドの《王宮のお触れ》等魔法・罠の除去・無効化カードが厄介極まりない存在となる。
カウンター罠で守るのもいいがそれにも限界を感じたときは、サイドで別のデッキにガラッとシフトするのもよいだろう。
【次元帝】は帝を大量に積んでいいるし、《異次元の偵察機》用の《おろかな埋葬》等も入っているので、【黄泉帝】あたりに無理なくシフトする事ができる。
そうすることで相手の《王宮のお触れ》等、対【次元帝】用除去カードは軒並み腐り優位に戦いをすすめることができるだろう。
仮に3戦目までもつれこんでも、相手はどちらのデッキに対策を打てばいいかわからなくなるのでこれもまた面白い。
【次元帝】がマッチで勝ち上がっていくためには、サイドの力がキーになっていきそうである。
なんとしてでも《次元の裂け目》や《マクロコスモス》を破壊(or無効化)するしかない。
《魔法効果の矢》《王宮のお触れ》《氷帝メビウス》《人造人間−サイコ・ショッカー》《賢者ケイローン》などで対応しよう。
また、こちらも《魂吸収》などを入れておくのも有効である。
体力合戦による長期戦になれば、《次元の裂け目》や《マクロコスモス》に対抗するカードを引く可能性が高まるのだ。
なお、《異次元の偵察機》《異次元の生還者》が特殊召喚されるときに《王宮の弾圧》や《天罰》、《死霊騎士デスカリバー・ナイト》で無効にすることでこれらのカードは除外されたままになる。
このあたりを利用し対応するのもいいだろう。
ENEMY OF JUSTICE発売前後は、その前代未聞な効果により「【スタンダード】【ガジェット】を駆逐する新勢力になるのでは」と予想された。
すでに《光の追放者》というモンスターは存在したが、モンスターと魔法・罠では場持ちが格段に違うためである。
そして、ENEMY OF JUSTICE発売後、このデッキを多数のプレイヤーが組むことになる。
が、もとより【ロックバーン】対策に永続魔法・永続罠対策の多い「【スタンダード】【ガジェット】」に対してマッチ戦での戦績はあまり芳しいものではなかった。
また、シングル戦でも事故率の差が如実に現れてしまい、精々が「面白いデッキ」程度となった。
【獅子黄泉帝】?とは異なり構築難易度がファンデッキ並みの高さを誇るこのデッキは普通のプレイヤーには使いこなすはおろかまともに組むことすら出来なかったのだ。
なお、上級モンスターを抜いた【次元ビートダウン】の台頭により現在では衰退の一途を辿っている。
こちらのほうが事故率も少なければ、構築難易度も低く扱いやすいのである。
この【次元帝】も上記のコンボだけには頼らない事で事故率を落としたデッキが現在では一般的となっている。
2006年9月の制限カード改訂で少なからず影響を受けると思われたが、結果は見ての通りなんの影響も受けていない。
それどころか《強奪》が禁止となったので、《異次元の生還者》のコントロールを奪われて慌てるリスクが低下したと言える。