*【次元帝】 [#wdf89d85]
 別名「[[除外]][[帝]]」。~
 [[《黄泉ガエル》]][[《ダンディライオン》]]が[[制限カード]]になったことで弱体化した[[【獅子黄泉帝】]]に代わり、新たに[[ENEMY OF JUSTICE]]の[[除外]]カード群の補助を得て作られた[[【帝コントロール】]]である。~
 が、構築難易度は[[【獅子黄泉帝】]]とはまさに「次元」が違うレベルであり、同じように組むと痛い目を見る。~
 [[【ロックバーン】]]と同じく[[永続魔法]]・[[永続罠]]に依存するが、ただひたすらそれらを守れば良いという訳でなく、その[[永続魔法]]・[[永続罠]]を[[フィールド]]上に維持しつつ[[モンスター]]を展開してゆくため、非常にハイレベルなプレイングを強いられる。~
 これらの問題をどう乗り越えてゆくかは、プレイヤーの腕次第である。~

 基本は「[[帝]]」[[モンスター]]の[[生け贄召喚]]に[[《次元の裂け目》]][[《マクロコスモス》]]と[[《異次元の生還者》]][[《異次元の偵察機》]]の[[コンボ]]を利用する[[デッキ]]。~
 [[【黄泉帝】]]と違い、多くの[[デッキ]]に[[メタ]]を張る[[《次元の裂け目》]][[《マクロコスモス》]]にも壊滅的なダメージを受けることがなく逆に利用することができる。~
 「既存の多くの[[デッキ]]を壊滅状態にしつつこちらは圧倒的な[[帰還]]手段で攻撃していく」という、回れば非常に脅威的な存在となる[[デッキ]]である事は間違いない。~

 《次元の裂け目/Dimensional Rip》
 永続魔法
 墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。

 《マクロコスモス/Macro Cosmos》
 永続罠
 自分の手札またはデッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚する事ができる。
 また、このカードがフィールド上に存在する限り、
 墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。

 《異次元の生還者/D. D. Survivor》
 効果モンスター
 星4/闇属性/戦士族/攻1800/守 200
 自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがゲームから除外された場合、
 このカードはエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚される。

 《異次元の偵察機/D.D. Scout Plane》
 効果モンスター
 星2/闇属性/機械族/攻 800/守1200
 このカードがゲームから除外された場合、
 そのターンのエンドフェイズ時にこのカードを
 自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。

 要は何度でも戻ってくる[[《異次元の生還者》]]と[[《異次元の偵察機》]]を[[生け贄]]に「[[帝]]」[[モンスター]]を[[召喚]]する[[デッキ]]である。~
 ただし、[[《次元の裂け目》]]、[[《マクロコスモス》]]がこない限りまったくといっていいほど動けなくなるため、とにかく上記の二枚の発動を最優先する必要がある。~
 そしてその第2段階として[[《異次元の生還者》]]、[[《異次元の偵察機》]]を[[手札]]に加えることが重要になってくる。~
 そのため[[《封印の黄金櫃》]]や[[《おろかな埋葬》]]、[[《増援》]]は必須だといえる。~
 また、[[《サンダー・ドラゴン》]][[《トゥーンのもくじ》]]等での[[デッキ圧縮]]を狙ってみても良いかもしれない。~
~
 なお、[[《次元の裂け目》]]と[[《マクロコスモス》]]を守るために[[《神の宣告》]]などの[[カウンター罠]]の採用も考慮する必要は十分ある。~
 [[マッチ]]戦2戦目では対[[【ロックバーン】]]用の[[《王宮のお触れ》]]や[[《魔法効果の矢》]]が大量に飛んでくるので[[サイドデッキ]]にでも入れておこう。~

 [[《マクロコスモス》]]の[[効果]]で[[特殊召喚]]できる[[《原始太陽ヘリオス》]]も[[生け贄]]要員として入れる余地がある。~
 ただし、相手のターンで[[召喚]]してもすぐに倒されてしまう上に、能力アップ数値がかなり低い。~
 [[《異次元の生還者》]][[《異次元の偵察機》]]で[[生け贄]]要員は十分確保できるので無理して入れる必要はまったくない。~
 また、[[除外]]を多用するものの多くは[[帰還]]してしまうので、[[《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》]]も同じく無理して投入する必要は無い。~
 ただし、あくまで「無理して」なので1枚挿しておくぐらいなら役に立つ事だってあるかもしれない。

 [[《マクロコスモス》]]などの発動前に[[《おろかな埋葬》]]で[[《ゼータ・レティキュラント》]]を[[墓地]]に落としておくと、かなり優位に立てる。~
 ただし、[[トークン]]で[[フィールド]]が圧迫されるので[[帰還]]の邪魔をしないプレイングを心がけよう。~
 [[《ゼータ・レティキュラント》]]を2枚積む場合は、メインに入れる[[《異次元の生還者》]]と[[《異次元の偵察機》]]を2枚ずつに調整するのも良い。~
 身動きが取れなくなったときの[[リセット]]用に[[《砂塵の悪霊》]]を1枚仕込んでおくのも手。~

 [[《死のデッキ破壊ウイルス》]]は[[《異次元の偵察機》]]を媒体とすることができるので是非とも入れておきたい所。~

 [[《マクロコスモス》]]を[[サーチ]]するため[[《不幸を告げる黒猫》]]の採用も考えられるが、[[《マクロコスモス》]]は[[《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》]]の様に敵の攻撃を防ぐカードではなくあくまで「カードを[[除外]]するカード」である。~
 そのため「[[《マクロコスモス》]]を[[デッキトップ]]に置いて、次のターンに[[ドロー]]して[[セット]]して〜」としている間に一気に攻め込まれる可能性がある。~
 自分が劣勢のときはなおさらである。~
 さらに[[《マクロコスモス》]]は[[《異次元の生還者》]]、[[《異次元の偵察機》]]が[[フィールド]]上に存在してこそ真の効力を発揮するため[[《不幸を告げる黒猫》]]の採用はあまりお勧めできない。~
 もちろん、そこまで一生懸命やったのに「[[《マインドクラッシュ》]]で叩き落されました。」では元も子もない。~
 [[サーチ]]するならやはり上記にもあるように無理なく[[サーチ]]できる[[《封印の黄金櫃》]]が向いている。

 [[《速攻の黒い忍者》]]や[[《異次元からの帰還》]]とも相性はいい。~
 [[《速攻の黒い忍者》]]は[[《異次元の偵察機》]]が[[墓地]]に落ちたとき、それを[[除外]]できる数少ない手段の一つだからだ。~
 また、[[《異次元からの帰還》]]は「[[帝]]」や[[《天罰》]]等で[[帰還]]不可能になった[[《異次元の偵察機》]]等を再び[[フィールド]]上に戻せるため、いざというときの[[壁]]として、最後のラッシュとして役に立つ。~
 しかし、[[《異次元からの帰還》]]を採用する場合は、[[《速攻の黒い忍者》]]よりも[[《魂を喰らう者 バズー》]]の方がよいだろう。~
 自分のターンにしか発動できない点では、[[《速攻の黒い忍者》]]に劣るが、[[除外]]の対象が[[闇属性]]と限定されないため[[墓地]]に落ちてしまった「[[帝]]」の[[《異次元からの帰還》]]が可能になり、高い攻撃力でのラッシュをかますことができる。~
 また、一時的ではあるが最高[[攻撃力]]2500と高い[[攻撃力]]を誇るため、優秀な[[アタッカー]]もしくは、[[壁]]としても活躍が見込める。~
 [[除外]]する事を前提としたこの[[デッキ]]には[[蘇生]]の類のカードはほとんど採用されないため、心置きなく[[墓地]]の[[モンスター]]を[[除外]]してゆける。~
 ただし、両者は入れすぎると事故を起こすため、1〜2枚で十分だろう。

 [[《魂吸収》]]は、恐るべき[[シナジー]]を持つため(3枚は多すぎるとしても)是非投入しておきたい。~
 深く考える必要すらなくこの魔法を発動、数ターン普通に[[デュエル]]するだけでかなりの[[ライフ・アドバンテージ]]を叩きだす事ができる。~
 全体[[除外]]カードが[[破壊]]されたときを考えるなら、ライフはいくらあっても多すぎることがないはずである。~
 これだけライフがあれば[[《デビル・フランケン》]]を…と思いたくなることもあるだろうが、オススメは出来ない。~

 他には、1枚でいいので[[《賢者ケイローン》]]を入れておくことを勧める。~
 中〜終盤に引いた[[《増援》]]・[[《おろかな埋葬》]]や、[[《マクロコスモス》]]が引けず荷物になっている[[《グランドクロス》]]、余った[[《次元の裂け目》]]・[[《魂吸収》]]などの処分に大いに役立ってくれる。~
 ただしこれも2枚3枚と積みすぎると逆[[効果]]なので注意。~

**運用に際しての注意点 [#tc461c0a]
 [[【帝コントロール】]]系列共通の弱点、というか宿命として[[手札事故]]がある。~
 この【次元帝】シリーズについても例外ではない。というかむしろ酷い。~
 「[[《次元の裂け目》]]や[[《マクロコスモス》]]が全然[[手札]]に来ない」とか「[[生け贄]]要員は十分足りているのに[[手札]]が[[《異次元の生還者》]]と[[《異次元の偵察機》]]だ」とか。~
 事故を起こした時はあっさり敗北する可能性もある。~
~
 しかし、ハマった時の破壊力が既存の[[デッキ]]とは段違いなのもまた事実。~
 数多くの[[デッキ]]を瞬時に壊滅させる圧倒的パワーで相手を葬り去っていこう。~
~
 とはいえ[[手札事故]]の対策を何も書かないのは無責任なので、基本的なことだが頭に留めておいて欲しいことを書いておこう。~
 【次元帝】に限らず[[除外]]メインの[[デッキ]]は、いかに事故を起こさないような[[デッキ]]構成にするかが鍵となる。~

-「6[[帝]]」「4[[帝]]」あたりで我慢しておけば、事故率を軽減することができる。

-[[《火之迦具土》]]などの[[最上級モンスター]]の採用を控える。~
これだけでも相当事故率を軽減できる。

-[[《グランドクロス》]]や[[《カオス・エンド》]]などの単体では機能しないカードを大量に積むのは危険。~

-場持ちのいい[[《マシュマロン》]]、[[《魂を削る死霊》]]等を積んで[[キーカード]]を引くまで粘るというのもいいだろう。

-[[《黄泉ガエル》]]は[[《おろかな埋葬》]]で[[サーチ]]でき、なかなか[[キーカード]]を引けないときや[[破壊]]されたときの保険になる。~
[[任意効果]]ゆえに[[蘇生]]タイミングを選べる[[メリット]]もあるため、念のためを考えるならば入れておくべきだろう。

-[[《砂塵の悪霊》]]や[[《火之迦具土》]]を主に使う場合は[[【次元帝軸上級多用】]]参照。

 もっとも、あくまで確率論の世界の話であるため事故を完全に排除することは不可能である。~
 そして「[[永続魔法]]・[[永続罠]]依存」+「[[上級モンスター]]」という2大事故要因を抱えたこの[[デッキ]]は、どれほど練りこんだところで[[【スタンダード】]]の安定性に勝つことは難しいだろう。~

 [[マッチ]]2戦目以降は上にも記したようにサイドの[[《王宮のお触れ》]]等魔法・罠の[[除去]]・[[無効]]化カードが厄介極まりない存在となる。~
 [[カウンター罠]]で守るのもいいがそれにも限界を感じたときは、サイドで別の[[デッキ]]にガラッとシフトするのもよいだろう。~
 【次元帝】は「[[帝]]」を大量に積んでいるし、[[《異次元の偵察機》]]用の[[《おろかな埋葬》]]等も入っているので、[[【黄泉帝】]]あたりに無理なくシフトする事ができる。~
 ([[除外]]系2種を採用したこの[[デッキ]]に対し、サイドで[[【黄泉帝】]]の天敵[[《D.D.クロウ》]]等、[[除外]]系カードの投入はまずないという点でも[[【黄泉帝】]]が適していると言える。)~
 そうすることで相手の[[《王宮のお触れ》]]等、対【次元帝】用[[除去]]カードは軒並み腐り優位に戦いをすすめることができるだろう。~
 仮に3戦目までもつれこんでも、相手はどちらの[[デッキ]]に対策を打てばいいかわからなくなるのでこれもまた面白い。相手の対策が見事にはまってしまった時は緊急事態なのだが…。~
 【次元帝】が[[マッチ]]で勝ち上がっていくためには、[[サイドデッキ]]の力がキーになっていきそうである。~

 上記に「[[【スタンダード】]]の安定性に勝つことは難しい」とあるが、ならばその[[【スタンダード】]]の上に【次元帝】のギミックを乗せるという形をとってみても事故率の軽減に繋がる。~
 というのも、【次元帝】には[[《異次元の生還者》]]等、[[攻撃力]]の高い[[下級]][[モンスター]]が多く存在している。~
 それらを[[バニラ]]の[[アタッカー]]して使ってゆければ、「[[《マクロコスモス》]]がこなければ[[【スタンダード】]]で。[[《マクロコスモス》]]がきたら[[【次元帝】]]で。」という2パターンの戦い方ができる。~
 そのため、[[《原始太陽ヘリオス》]]や[[《魂吸収》]][[《グランドクロス》]]等、単独では全く効力を持たないカードを採用せずに[[デッキ]]を組んで、事故率低下をはかってみるのも十分有りである。~

-今猛威を奮っている[[【未来オーバー】]]には相性がよいかといえばそうでもない。~
-今猛威を振るっている[[【未来オーバー】]]には相性がよいかといえばそうでもない。~
[[【未来オーバー】]]からすれば[[除外]]系カードは天敵ではあるが[[《次元融合》]]により逆に利用されてしまう。~
また[[除外]]系2種も[[《マジック・キャンセラー》]][[《人造人間−サイコ・ショッカー》]]に[[無効]]化され、[[《ブローバック・ドラゴン》]]に[[破壊]]される羽目になる。~
ただ、その対策としては、こちらの[[フィールド]]に帰ってくる能力を生かして[[《激流葬》]]や[[《昇天の角笛》]]を採用するのもひとつの手ではある。~
無論、[[除外]]カードの防御用の[[《神の宣告》]]で止めてもいい。~

**この[[デッキ]]への対策 [#s0c8dd5c]
 なんとしてでも[[《次元の裂け目》]]や[[《マクロコスモス》]]を[[破壊]](or[[無効]]化)する必要がある。~
 [[《魔法効果の矢》]][[《王宮のお触れ》]][[《氷帝メビウス》]][[《人造人間−サイコ・ショッカー》]][[《賢者ケイローン》]]などで対応しよう。~
~
 また、こちらも[[《異次元の生還者》]][[《魂吸収》]]などを入れておくのも有効である。[[《次元の裂け目》]][[《マクロコスモス》]]による利点の矛先を相手だけでなく自分にも向けて戦っていこう。~
 
 なお、[[《異次元の偵察機》]][[《異次元の生還者》]]が[[特殊召喚]]されるときに[[《王宮の弾圧》]]や[[《天罰》]]、[[《死霊騎士デスカリバー・ナイト》]]で[[無効]]にすることでこれらのカードは[[除外]]されたままになる。~
 また[[《異次元の生還者》]]に関しては「相手プレイヤーの[[フィールド]]上で[[除外]]された場合は[[除外]]されたままになる」という裁定がくだったので[[《洗脳−ブレインコントロール》]]または[[《パペット・プラント》]]で[[コントロール]]を奪ってこっち側の[[フィールド]]で[[破壊]]してしまおう。
 
**[[デッキ]]の歴史 [#d86ad543]
 [[ENEMY OF JUSTICE]]発売前後は、その前代未聞な[[効果]]により「[[【スタンダード】]][[【ガジェット】]]を駆逐する新勢力になるのでは」と予想された。~
 すでに[[《光の追放者》]]という[[モンスター]]は存在したが、[[モンスター]]と魔法・罠では場持ちが格段に違うためである。~
 そして、[[ENEMY OF JUSTICE]]発売後、この[[デッキ]]を多数のプレイヤーが組むことになる。~
 が、もとより[[【ロックバーン】]]対策に[[永続魔法]]・[[永続罠]]対策の多い「[[【スタンダード】]][[【ガジェット】]]」に対して[[マッチ]]戦での戦績はあまり芳しいものではなかった。~
 また、シングル戦でも事故率の差が如実に現れてしまい、精々が「面白い[[デッキ]]」程度となった。~
 [[【獅子黄泉帝】]]とは異なり構築難易度が[[ファンデッキ]]並みの高さを誇るこの[[デッキ]]は普通のプレイヤーには使いこなすはおろかまともに組むことすら出来なかったのだ。~

 なお、[[上級モンスター]]を抜いた[[【次元ビートダウン】]]の台頭により現在では衰退の一途を辿っている。~
 こちらのほうが事故率も少なければ、構築難易度も低く扱いやすいのである。~
 この【次元帝】も上記の[[コンボ]]だけには頼らない事で事故率を落とした[[デッキ]]が現在では一般的となっている。~

 2006年9月の[[制限改訂]]で少なからず影響を受けると思われたが、結果は見ての通りなんの影響も受けていない。~
 それどころか[[《強奪》]]が禁止となったので、[[《異次元の生還者》]]の[[コントロール]]を奪われて慌てるリスクが低下したと言える。~
 しかし、[[《強奪》]]ほど強力ではないが、[[《洗脳−ブレインコントロール》]]はいまだ健在だし、[[STRIKE OF NEOS]]で登場した[[《パペット・プラント》]]等、[[コントロール]]を奪取するカードは多々あるのでまだまだ注意は必要である。

**代表的なカード [#p6acc740]
-[[《雷帝ザボルグ》]]
-[[《氷帝メビウス》]]
-[[《地帝グランマーグ》]]

-[[《異次元の偵察機》]]
-[[《異次元の生還者》]]
-[[《次元の裂け目》]]
-[[《おろかな埋葬》]]
-[[《マクロコスモス》]]

-[[《魂吸収》]]

**関連リンク [#y94d455a]
-[[【次元帝軸上級多用】]]

-[[【帝コントロール】]]
-[[【アンデット帝】]]
-[[【黄泉帝】]]
-[[【獅子黄泉帝】]]
-[[【次元ビートダウン】]]

-[[デッキ集]]