聖刻(せいこく)

デッキの概要

 GALACTIC OVERLORDで登場した、「聖刻」と名のついたカード群を中心としたビートダウンデッキ
 聖刻モンスターの多くは、自身がリリースされるとドラゴン族通常モンスター特殊召喚する効果を持つ。
 高い展開性と高ランクエクシーズモンスターによる制圧力の両立が特徴といえる。

 2012年3月期の環境ではその制圧力をいかんなく発揮し、トップメタの一角を担った。
 2012/09/01《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》制限カード《召集の聖刻印》準制限カードに指定されたことで、安定性の低下を余儀なくされている。

《聖刻神龍−エネアード/Hieratic Sun Dragon Overlord of Heliopolis》
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2400
レベル8モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
自分の手札・フィールド上のモンスターを任意の数だけリリースし、
リリースしたモンスターの数だけフィールド上のカードを破壊する。
《聖刻龍王−アトゥムス/Hieratic Dragon King of Atum》 
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2100
ドラゴン族レベル6モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、
デッキからドラゴン族モンスター1体を選び、
攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
《召集の聖刻印/Hieratic Seal of Convocation》
通常魔法(準制限カード)
デッキから「聖刻」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

デッキの構築

モンスターカードについて

 聖刻通常モンスター共にレベル5〜6のモンスターが主軸となるが、その多くが半上級モンスターであるためほとんど腐らない。
 《召集の聖刻印》で状況に応じた聖刻サーチできる事もあり、上級モンスターだけのデッキでも十分に回る。
 下級モンスター《エフェクト・ヴェーラー》《増殖するG》といったほとんどフィールドに出さないカードだけでもよい。

聖刻下級モンスター
 手札事故要因にはなりづらいが、やや癖がある。

聖刻上級モンスター
 《龍王の聖刻印》以外はいずれもリリースされた時に、ドラゴン族通常モンスター特殊召喚する効果を持つ。
 《聖刻龍−アセトドラゴン》《聖刻龍−トフェニドラゴン》フィールドに出しやすく、それぞれ《召集の聖刻印》に対応しているため手札事故のリスクは小さい。

ドラゴン族通常モンスター
 聖刻モンスター特殊召喚していくカードであり、聖刻効果を使うために必要不可欠な存在。
 単体では事故要員になりやすいが、これらが不足すると聖刻モンスターの展開力があまり活かせないため、不足しない最小限の見極めが重要となる。
 攻守は0になるので、エクシーズ素材としてレベルを重要視する。
 除外されない限りはどこからでも特殊召喚できるが、特殊召喚できない状態でリリースが発生すると手札デッキを見せなければならないのである程度の枚数は用意したい。
 属性にこだわらないならば、《連鎖除外》でまとめて除外されるのを防ぐために、同名モンスターを積むよりも別々のモンスターを1枚ずつ採用した方が良い。

エクシーズモンスター
 聖刻にはレベルの高いモンスターが多く、高ランクエクシーズ召喚も狙いやすい。
 また、光属性で統一しやすいため、一部のセイクリッドなどの縛りのあるものも使用することができる。
 自分のデッキの型にあったエクシーズモンスターを採用しよう。
 強制で特殊召喚される通常モンスターの処理に困ると問題があるため、ある程度ランク帯を固めて多めに採用した方が良い。

―その他相性の良いモンスター
 聖刻モンスター光属性ドラゴン族で統一されているため、それらのサポートを重視する。

魔法・罠カードについて

聖刻サポートカード
 事故回避のために《召集の聖刻印》は可能な限り積むべきだが、それ以外のカードの優先度はさほど高くない。

リリースを要求する魔法・罠カード
 聖刻モンスター効果発動させられるカード
 上記の聖刻サポートカードにも言えることだが、基本的に聖刻モンスターをある程度積んでいれば聖刻リリースするカードの枚数は十分に確保できる。
 それでもなおリリースできるカードを更に厚くしたい場合は採用を検討しよう。

―その他相性の良い魔法・罠カード
 リリースや高ランクエクシーズ召喚を多用する性質上、カードの消耗が激しくなりがちである。
 ドローソースや、エクシーズ召喚を妨害するカードに対処するためのカードを採用することになる。

戦術

 まずは《聖刻龍−ドラゴンゲイヴ》《聖刻龍−トフェニドラゴン》《聖刻龍−アセトドラゴン》といったリリースが必要ないモンスター召喚する。
 そしてそれらをリリースし、《聖刻龍−ネフテドラゴン》《聖刻龍−シユウドラゴン》特殊召喚する。
 それぞれの召喚条件を考えると、この流れが基点となる事が多いだろう。
 そのため、前者が手札に存在するなら後者を、後者が存在するなら前者を《召集の聖刻印》サーチするようにしたい。
 両者が揃わない場合にも備え、前者をリリースできる《抹殺の聖刻印》《エネミーコントローラー》等も用意しておきたい。
 その後は後者2体で相手フィールドを荒らしたり、通常モンスターを用いたエクシーズ召喚を行う。

 エクシーズ召喚するエクシーズモンスターは、お互い手札フィールドを見ながら選択する。
 たとえばランク8の場合、自分手札フィールド上に聖刻が多く、相手フィールド上に伏せカードが多く存在する場合、《聖刻神龍−エネアード》除去を狙う。
 手元に聖刻が少なく相手フィールド上にモンスターが多い場合は《サンダーエンド・ドラゴン》を選択し、エクシーズモンスターが多い場合は《No.15 ギミック・パペット−ジャイアントキラー》を選択すると良い。
 このように状況判断を適切に行えば、有利にデュエルを進められるだろう。

デッキの種類

《聖刻神龍−エネアード》

 高いステータスと強力な除去効果を持つランク8の《聖刻神龍−エネアード》を主軸とする。
 主に、《神龍の聖刻印》《青眼の白龍》《トライホーン・ドラゴン》等のレベルドラゴン族通常モンスターからエクシーズ召喚を行う。
 必然的にレベル8のモンスターが多くなるので、手札事故回避のために《トレード・イン》の採用も検討できる。

 《聖刻神龍−エネアード》聖刻リリースした場合、2体目の同名カードエクシーズ召喚しやすい。
 このため、聖刻は多めに積むことになる。
 カードを消費しやすいので、聖刻《超再生能力》等でディスアドバンテージを補いつつ戦う。
 《超再生能力》効果の適用エンドフェイズとやや遅いものの、手札の損失を回復しやすい。
 《聖刻神龍−エネアード》リリース回数ならば、十分な手札を稼げるだろう。
 デッキスペースに余裕があるならば、レベル8以外のドラゴン族通常モンスター《ガガガマジシャン》等も採用し、柔軟なエクシーズ召喚を狙おう。

 このタイプの場合は手札事故軽減の為、無暗に1ターンキルを狙わずに制圧力を重視した構築にしておくと安定しやすい。

《聖刻龍王−アトゥムス》

 《聖刻龍王−アトゥムス》《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》リクルートし、更なる展開に繋げる型。
 《聖刻龍王−アトゥムス》1体から多彩なエクシーズモンスターを連続して大量展開することになり、他のタイプに比べて1ターンキル色がかなり強くなる。

 特殊召喚先の筆頭は《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》であり、これを経由して更なる展開を行う。
 総攻撃後のメインフェイズ2で《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》モンスター効果を使用することでとどめを刺せたが、《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》制限カードとなり不可能となった。
 手札事故の可能性も踏まえると《聖刻神龍−エネアード》等のランクエクシーズモンスターは諦め、ランク6に特化するぐらいの構成にしたい。
 コンボ以外でも手札に来た《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》を活用するなどすれば、安定性は向上するだろう。
 《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》無制限カードであった頃は《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》が利用できる等強力な1ターンキルルートがあり、最もメジャーとなった構築であった。
 そのために禁止・制限カード/2012年9月1日の規制で、爆発力が落ちた。

《聖刻龍−セテクドラゴン》

 重い召喚条件を持つ《聖刻龍−セテクドラゴン》を切り札にしたタイプ。
 あまり聖刻に拘る必要はなく、どちらかと言うと通常モンスター軸の【ドラゴン族】に、除去を補うために《聖刻龍−セテクドラゴン》を投入する形になる。
 《竜の渓谷》等で積極的に墓地を肥やすため、墓地依存度が上がる。
 反面、他の聖刻を無理に採用しなくても良く、安定度は高い。

《聖刻龍−ドラゴンヌート》

 下級モンスターを主力とする、【聖刻】としては極めて異色のタイプ。
 効果の対象になる事でリクルート効果発動する《聖刻龍−ドラゴンヌート》を活かすため、《モンスター・スロット》《安全地帯》《禁じられた聖槍》など対象を取るカードを大量に投入する。
 特殊召喚先はランク4を狙える《アレキサンドライドラゴン》か、《ガード・オブ・フレムベル》が有力。
 他のタイプとは毛色が全く異なり、両方で採用されるカード《召集の聖刻印》くらいと言っても過言ではない。

デッキの派生

リリースされると通常モンスター特殊召喚できる《聖刻龍−トフェニドラゴン》の存在から、様々なデッキの派生が考えられる。

【聖刻忍者】

 《忍者マスター HANZO》等の忍者を採用し、《忍法 超変化の術》によるドラゴン族リクルートを狙う。

 《忍法 超変化の術》墓地へ送る効果なので、聖刻では対処の難しい破壊耐性を持つモンスター除去できる。
 聖刻レベル5・6のモンスターが主力なので、無理なくリクルート効果を使用できるのもメリット
 さらに《忍者マスター HANZO》闇属性であるため、カオスモンスターの採用も見込めるようになる。

 問題は、忍者にどれぐらいデッキスペースを割くかである。
 少ないと《忍法 超変化の術》腐りやすくなり、多いと逆にドラゴン族モンスターの選択肢を狭めることになる。
 常に相手の戦略を見越したプレイングが要求されるので無暗に1ターンキルを狙わない方が得策である。

【聖刻リチュア】

 儀式魔法手札リリースであることを利用し、レベル6の儀式召喚を多用する【リチュア】との混合型。
 《聖刻龍−トフェニドラゴン》《聖刻龍−シユウドラゴン》《エレキテルドラゴン》リリースして、レベル儀式モンスターを展開する。
 それらのモンスター効果を使った後は、続けて聖刻モンスター特殊召喚した通常モンスターとで、ランク6のエクシーズ召喚が行える。

 【聖刻】よりも戦術の幅が広がり、【リチュア】に比べ爆発力が出る。
 ただし、必然的に上級モンスターが多くなるので、安定度は下がる。
 枚数の調整が、一番の課題になるだろう。

 詳細は該当ページを参照。

【聖刻帝】

レベルモンスターが大半を占め、アドバンス召喚ディスアドバンテージを即座に回復できる聖刻リリースに用いる複合型。主に《聖刻龍−トフェニドラゴン》コンボの起動に用いるため、【トフェニ帝】とも呼ばれる。
《セイクリッド・トレミスM7》は効果発動時にエクシーズ素材として墓地に送ったカード手札に回収できる点を利用し、聖刻リリースしてアドバンス召喚
聖刻効果特殊召喚した《エレキテルドラゴン》《セイクリッド・トレミスM7》エクシーズ召喚し、墓地からコンボに用いた聖刻を回収してボードアドバンテージ・ハンドアドバンテージを維持するのが主な流れになる。
採用するは汎用性の高い《邪帝ガイウス》《風帝ライザー》がいいだろう。

【聖刻征竜】

《聖刻龍王−アトゥムス》軸に【征竜】のギミックを組み込んだ混合型。
採用する征竜蘇生効果を持つ《巌征竜−レドックス》と、サーチ効果を持ち、全ての効果《エメラルド・ドラゴン》を用いることができる《嵐征竜−テンペスト》がいいだろう。
従来の型と比べると、1ターンキルのためのキーカードを揃える為に《カードカー・D》《強欲で謙虚な壺》など展開を遅延させるドローソースを用いる必要がなく、
いざという時は征竜特殊召喚効果で打点を補うことができるなど速度と火力に優れる。

【聖刻真紅眼】

 征竜《幻獣機ドラゴサック》の登場によって型として確立されたランクエクシーズ召喚を狙うタイプ。
 ドラゴン族通常モンスター《真紅眼の黒竜》が軸となる。
 《真紅眼の黒竜》を手軽にフィールド上に出せるため、《黒炎弾》も非常に優秀なバーンカードとなる。
 また、《真紅眼の闇竜》も出しやすく、聖刻なら墓地ドラゴン族も溜まりやすいため、攻撃力も高くなりやすい。
 レベル6の《メテオ・ドラゴン》《融合》を入れておけば、《メテオ・ブラック・ドラゴン》ランク6両方のモンスターを選択の視野に入れることもできる。
 《ガード・オブ・フレムベル》を投入する事で、レベル8のシンクロモンスターの召喚を行うことも可能となる。
 征竜に関しては《真紅眼の飛竜》等を墓地に送りつつドラゴン族サーチできる《嵐征竜−テンペスト》攻撃力が高く決定力を底上げできる《焔征竜−ブラスター》が相性が良い。
 ランク7のエクシーズモンスター破壊耐性除去《幻獣機ドラゴサック》コントロール奪取《No.11 ビッグ・アイ》で多くの状況に対応が可能である。
 征竜《七星の宝刀》等の能動的に除外ギミックを搭載するので《闇次元の解放》等の除外利用カードを採用しやすいため他のタイプのデッキの弱点である《連鎖除外》に強いのもメリット。

【聖刻パーミッション】

《反射の聖刻印》カウンター罠であることを利用し、【パーミッション】寄りにした【聖刻】。
【パーミッション】で採用されるカウンター罠の他、通常モンスターの存在を必要とする《王者の看破》が使えるようになる。
フィニッシャーとして《冥王竜ヴァンダルギオン》を加えられるので、ランク8のエクシーズ召喚も狙いやすくなる。

罠カードが多くなるために、カードの種類に偏りが出ないようにしたい。
また【パーミッション】系統の宿命としてドローエンジンの調達や手札事故の軽減、封じを破壊するカードの採用を怠らないような構築を行いたい。

【聖刻青眼】

《青き眼の乙女》《聖刻龍−ドラゴンヌート》を投入して、《青眼の白龍》を出すことに特化したタイプ。《聖刻龍王−アトゥムス》も含めて様々な方法で《青眼の白龍》を特殊召喚して、ランク8のエクシーズ召喚を狙う。
《トレード・イン》《伝説の白石》など、デッキを回す手段には困らないため、手札事故を起こしにくいメリットがある。

このデッキの弱点

 聖刻光属性モンスター特殊召喚を多用するため、それらのメタカードを弱点とする。
 これには《ヴェルズ・オピオン》《閃光を吸い込むマジック・ミラー》等が該当する。
 《召集の聖刻印》を封じエクシーズ召喚も妨害する《ライオウ》も厄介。
 これらのカードには、除去カードで素早く対処したい。

 攻撃力を0にしてドラゴン族通常モンスター特殊召喚するので、《連鎖除外》除外されると立て直しが不可能になる場合がある。
 この場合は、複数の種類のドラゴン族通常モンスターを採用する、《トラップ・スタン》《禁じられた聖槍》等の対策カードを投入する等で対処する。

 その性質上、一度に大量のモンスターを展開するため、《激流葬》などで大量除去されると一転して追い込まれる。
 それらは《聖刻龍−シユウドラゴン》の存在から除去しやすいのだが、《ユベル−Das Abscheulich Ritter》などの強力な除去効果を持つモンスターに一度場を一掃されると、そのまま身動きが取れなくなってしまうことさえ頻繁にある。
 特に後者は、一度や二度の除去では対応しきれない為、何かしら対策は打っておきたいところ。

 また、リリース行為自体を封じるメタカードとして《生贄封じの仮面》が存在することには留意したい。
 その他にも上級モンスターデッキの多くを占め、リリースする聖刻リリースするためのカードのどちらがなくても腐りやすくなる以上、手札事故を起こしやすい。
 よって、いかにデッキの爆発力を維持しつつ手札事故を減らすかが、デッキ構築者の腕の見せ所となるだろう。

代表的なカード

関連リンク