モンスターに対して強力なロック能力を持つフィールド魔法、《魔鍾洞》を用いたロックデッキ。
基本的には【ロックバーン】なのだが、《魔鍾洞》のロック性能は極端に高く、一度決まると脱出する事が難しい。
よってマッチ戦ではロックしたままエキストラターンに突入し、大会規定による勝利を狙うという【トランス】じみた戦術を取る。
《魔鍾洞/Mystic Mine》 フィールド魔法 (1):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、 相手はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。 (2):自分フィールドのモンスターの数が相手フィールドのモンスターより多い場合、 自分はモンスターの効果を発動できず、攻撃宣言もできない。 (3):自分・相手のエンドフェイズに、お互いのフィールドのモンスターの数が同じ場合に発動する。 このカードを破壊する。
相手がモンスターを1体以上出している状況で、《魔鍾洞》を発動。
後は自分が一切モンスターを出さなければ、相手はモンスターによる攻撃および効果発動の一切が不可能となる。
後はバーンカードでダメージを与えれば勝利できる。
《魔鍾洞》には「エンドフェイズにお互いのモンスターの数が同じだった場合破壊される」という自壊効果がついている。
【魔鍾洞】側はモンスターを基本的に一切出さないので、【魔鍾洞】の相手プレイヤーは自らのモンスターを0体にすれば《魔鍾洞》を自壊させる事ができる。
しかし遊戯王OCGにおいて「自分のモンスターの数を意図的に減らす」事はリンク召喚等を用いれば容易だが、「自分のモンスターを意図的に0にする」事は自爆特攻を行わない限り難しい。
《魔鍾洞》影響下かつ、【魔鍾洞】側がモンスターを出さない状況では自爆特攻は行いようがないため、自壊デメリットは《ブラック・ホール》等を使われない限り発生しないと考えて良い。
もちろん、《魔鍾洞》が存在しても魔法・罠カードの使用は禁止されていない。
そのため、《サイクロン》等の魔法・罠カードによる《魔鍾洞》への除去は引き続き発生しうる。
ただ、第10期現在、「エクストラデッキから特殊召喚できるモンスターでの除去」が一般化し、メインデッキはエクストラデッキのモンスターの素材を展開する役割を担う様になり、魔法・罠カードも展開補助の目的の物が優先される様になった。
そのため、ドローしないと使えないメインデッキの魔法・罠カードによる魔法・罠除去は重視されなくなってきている。
つまり、1度ロックをかけられてしまうとサイドデッキも含めて抜け出す手段が用意されていないデッキも少なくないのである。
まずは《メタバース》等を用いて《魔鍾洞》を貼り、「相手フィールドにモンスター1体以上、自分フィールドにモンスターなし」の状態を作りロックを形成。
後は手札補充カードを用いて《身代わりの闇》などの防御カードを引き込み、相手の《ツインツイスター》などに適宜カウンターを当てていく。
シングル戦の場合はそのまま《波動キャノン》を8000ダメージ分溜めて発射すれば勝利である。
マッチ戦の場合は、かつての【トランス】のような制限時間を利用した勝利を狙うのが最も勝率が高い。
まずは公認大会規定で定められた1マッチの時間である40分間ロックを維持する。
公認大会規定では1ターンに3分の思考時間が認められているため、毎ターンきっかり3分の時間を使った場合、おおむね13ターンで40分を経過させる事ができる。
40分後にエキストラターンに突入するので、バーンカードを用いるなどして相手ライフを0にするか、自分より少なくする。
0にすればその時点で1勝、自分より相手のライフを少なくした場合は3ターン経過しエキストラターンが終了した時点で1勝となる。
40分経過後は、1勝0敗でもマッチの勝利扱いとなるため、これで勝利を手にすることができる。
基本的にマッチ1戦目を40分間続けて勝利するのが理想的である。
このデッキは《魔鍾洞》1枚に極端に依存しているため、相手にサイドチェンジを許すとサイドデッキから対策カードを用意され瓦解する危険性が高まる。
【チェーンバーン】との混成型。
《メタバース》・《終焉の地》などの《魔鍾洞》のサーチ手段に加え、《自業自得》・《仕込み爆弾》・《破壊輪》といった【チェーンバーン】のバーンカードを投入する。
《魔鍾洞》影響下では相手の場や手札にカードが溜まりやすいので、《自業自得》や《仕込み爆弾》などのダメージが高くなりやすい。
《魔鍾洞》を除去されても勝機が残される点、膠着状態になりやすい【魔鍾洞】のミラーマッチに極めて強い点がメリット。
ちなみにこのタイプでは火力を高めるために《時械神ミチオン》などのモンスターカードを投入する事もある。
《時械神ミチオン》は高い火力を持つ上に攻撃力0で自爆特攻を許さず、比較的《魔鍾洞》と共存しやすい。
実のところ《魔鍾洞》はモンスター以外には何の干渉もできず、自壊効果もあるので突破できるカードは多い。
しかしこのデッキの厄介な所は、マッチ1戦目での勝利を目的とするためサイドデッキからの対策を許さないという、かつての【Vドラコントロール】のような性質にある。
【魔鍾洞】対策をメインデッキから行えば他のデッキへの対応力が低下し、他のデッキに強いメインデッキを組むと【魔鍾洞】に完封されかねない。
現在、大会で勝ち進むには、この両方のバランスをいかに取るかが重要となっている。
以下ではメインデッキから対策を行うことを前提に、できるだけ汎用性が高く、【魔鍾洞】以外のデッキに対して腐りにくいカードを中心に紹介する。
【魔鍾洞】は「モンスターの展開とモンスター効果の発動、モンスターの攻撃に依存した一般的なビートダウンデッキ」を想定したメタデッキである。
そのため、この想定から外れたデッキに対しては脆い。
このデッキは「制限時間」というルールの間隙を突く性質上、審判の判断などが勝敗に影響しうるという欠点を抱えている。