1ターンキル/"One Turn Kill" or "First Turn Kill" †
1ターンで特定のコンボを完成させて、相手に抵抗する暇を与えず勝利するタイプのデッキであり、このカードゲームではよくあるタイプである為、カードゲームとしての遊戯王がよく批判される原因でもある。
主に「1キル(ワンキル)」または「ワンショットキル(1ショットキル)」と呼ばれる。
先攻1ターン目に勝利をすることが第一義(「先攻1キル」などと表現する)だが、何ターン目かの1ターンだけを使って初期ライフ以上のダメージを与えて勝利すること(その他の勝利条件でもいい)を表すことも含む(後述)。
後者の意味で、特に後攻1ターン目に勝利することを「後攻1キル」と呼ぶ場合もある。
《E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン》や《キメラテック・オーバー・ドラゴン》等、単純な攻撃力勝負は別としても「相手を無視したデッキ」と非難されることも多く、大会以外での使用の際は注意が必要である。
基本的に1ターンキルデッキは一度コンボが崩されると脆いので、流行した場合そのメタを張ることが重要となる。
マッチ戦の場合、サイドデッキから以下のカードを投入するのが有効。
- 【デッキ破壊1キル】などのデッキ破壊系
→《ネコマネキング》・《墓守の監視者》・《ヂェミナイ・デビル》など
- 【代償ガジェット】【デミスドーザー】【未来オーバー】《デビル・フランケン》を使用するデッキなどの一撃必殺系、【BF】【インフェルニティ】の様な大量展開系
→《ネクロ・ガードナー》・《威嚇する咆哮》・《和睦の使者》
→手札消費の激しい大量展開系の場合:全体除去
- 【サイエンカタパ】【キャノンバーン】【ドグマブレード】《ダーク・ダイブ・ボンバー》利用型1キルなどのバーン系
→《ハネワタ》・《ライフ・コーディネイター》
→墓地利用が基本なので《D.D.クロウ》
また、1ターンキルデッキは【宣告者パーミッション】に弱い事が多い。
1ターンキルデッキは、魔法カードか罠カードを1回以上使わなくては成立しないものが多いからである。
こちらが先攻であっても、こちらの使った魔法、罠の発動を止めることができる《緑光の宣告者》と《紫光の宣告者》、墓地のカードの再利用を封じる《D.D.クロウ》は相性の悪い相手である。
後攻ならば、《神の宣告》や《魔宮の賄賂》、魔法・罠カードを複数枚使用する場合は《大将軍 紫炎》も厄介である。
とはいえ、最近の1ターンキルデッキは1つ妨害された程度では止まらなかったり、1ターンキルが成立せずとも普通に戦えるデッキも多く、そういったデッキはトーナメントで優秀な成績を残している。
ビートダウンの速度があまりにも速いために結果として1ターンキル出来るようになってしまったようなデッキも存在する。
→(【BF】、【ライトロード】等)
そういったデッキはマストカウンターがある程度定められているとは言え、単純なビートダウンも行えるため、【宣告者パーミッション】が有利に戦えるとは言い難く、それらへの対策である【メタビート】が最近のトーナメントで優秀な成績を残している。
だが、一時期には【BF】、【ライトロード】、【魔轟神】、【インフェルニティ】、【ガエル】らが(あくまで激しい手札消費や特定のコンボで発生する無限ループから行われる1ターンキルだが)驚異的な速さで仕掛けるため【メタビート】ですら対策が間に合わずに負けることも多かった。
その後、【インフェルニティ】、【ガエル】についてはキーカードが規制されたため、成功率は全盛期に比べ下がった。
- 元々は「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」ことを意味するが、遊戯王の原作で「1ターンの内に致死量のダメージを与える」という意味で使われた。
アニメ5D's公式サイトのデュエルワンポイントレッスンでも、「1ターン目で勝つのではなく、1ターンで勝つことであり、何ターン目でもいい」と説明されている。
この後者の場合は、他のカードゲームでは「1ショットキル」と呼ばれる事が多く、このカードゲームでも【魔轟神】や【インフェルニティ】においてよく発生しやすいためそう呼ばれている。
- 元々の「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」1ターンキルは、英語の"Turn One Kill"から来ている。
日本語では、助数詞は必ず数詞のあとに来るため「1ターンキル」という言葉で定着したのであろう。
- 英語圏では「One Turn Kill」及び略語の「OTK」という言葉が使用されており、海外の大会では広く浸透している。
「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」場合には、1の序数である「First」を使用し「First Turn Kill」及び「FTK」と表現されている。
- 「先攻1ターンキルが流行るとそのTCGは廃れる」(これに「単純なパワーや数の勝負なら別」とも付けられる事もある)と言われる。
そもそも遊戯王を含めて一般的なTCGは相手との駆け引きを楽しむようにデザインされている。
だがあまりに安定性の高い先攻1ターンキルができるようになると、先攻と後攻がそのまま勝敗につながるようになり、駆け引きを行うことができなくなる。
先攻1ターンキルは、ルール上ほぼすべてがバーン・デッキ破壊・特殊勝利によって行われるため、勝つにしても負けるにしても単調なデュエルになってしまう。
その結果、TCGの対戦が事実上ジャンケンやコイントスに変わってしまい、やがてプレイヤーがそのTCGから離れてしまい、結果としてそのTCGは廃れてしまうのだ。
具体的には、最初期の【エクゾディア】や、【サイエンカタパ】、【現世と冥界の逆転】、【デッキ破壊1キル】が横行していた時代がそのような状況になっていた。
故に、先攻1ターンキルは規制されてしかるべきであると言える。
- 原作・アニメにおいて―
「1ターンで相手のライフを一気に0にする」という派手さから、キャラクターの強さを簡単に象徴できる戦術として、原作・アニメでは結構な頻度で行われている。
単語としての初出は「バトルシティ編」の闇マリクによるもの。
この時は「ある1ターンでコンボを決め勝利する」という意味で使われている。
《ラーの翼神竜》の効果により相手ライフを上回る攻撃力による一撃必殺がマリクの言う1ターンキルであり、アニメ版でもはっきり「1ターンキル」と呼称しており、遊戯や海馬もその戦術をそう呼んでいた。
ただしその発言が行われた「闇マリクvs闇バクラ」戦では既に闇バクラのライフが戦闘ダメージやライフコストにより半分以下にまで減少していた上に攻撃力が3999のため、実際は1ターンキルどころか1ショットキルですら無い。
「開始直後の1ターン目で決着をつける」という意味での「1ターンキル」は、「羽蛾vs竜崎」戦(時系列上のはじめては「ペガサスvsキース」戦)で登場している。
ちゃんとした描写は「海馬vsデュエルロボ」戦において登場。
「KCグランプリ編」の「ジークvs羽蛾&竜崎」戦においてジークは《暗黒恐獣》・《インセクト女王》を相手に魔法カード《Walkuren Ritt》を発動し、羽蛾&竜崎コンビを瞬殺した。
- 漫画版GXの「明日香vsデイビット」戦では、デイビットが明日香を相手に《The big SATURN》と3枚の速攻魔法《アフターレフェクト・オブ・インパクト》・《強制発動》・《イグニション》の順に発動して後攻1ターンキルを行い、明日香と観衆を驚愕させた。
- アニメ5D'sにおいてはクロウがセキュリティとヘルマンに、ゴーストが《機皇帝ワイゼル∞》で牛尾に、《破壊神の系譜》を用いてジャックが炎城ムクロに、偽ジャックがジャックに対して1ターンキルを成立させた。
「遊星&クロウvsセキュリティの2人組」戦では遊星とクロウがセキュリティの2人組に対して1ターンキルを成立させている。
ハイトマンは《古代の機械石像》と《機械複製術》とのコンボに《レベル・サンダー》を組み込んで1ターンキルを狙うも《チューナーズ・バリア》と《ハネワタ》が原因で失敗し、返しのターンで遊星がチューナーを巧みに利用した1ターンキルを行った。
「遊星vsマルコムの手下3人」戦では、遊星がたった1ターンで3人のライフを纏めて0にした時、それを見たマルコムはその様子を「1ターン3キル」と称していた。
「ロットンvsラモン」戦ではロットンが史上初めての先攻1ターンキルを決め、《ガトリング・オーガ》と共に視聴者に強烈なインパクトを与えた。
「ジャックvsニコラス」戦では、ニコラスが罠カード《ドゥームズ・レイ》の効果で道連れによる1ターンキル引き分けを狙ったが、《パワー・ジャイアント》によって失敗させられ、結果的に後攻1ターンキルが成立したことになる。
「ジャックvsマックス」戦では、ジャックが仕掛けた攻撃をマックスが反射ダメージで跳ね返した際、ジャックのライフポイントは0になっていなかったがジャックのコースアウト及び転倒によりデュエル続行不能となったため一応1ターンキルを達成している。
「ジャックvs甚兵衛」戦では、ジャックが《レッド・デーモンズ・ドラゴン》に《オーバー・ゲイン》と《ショック・ウェーブ》を組み込んだ1ターンキル引き分けを狙ったが、甚兵衛が《ショック・ウェーブ》にチェーンして《ホーリー・エルフの祝福》を発動したため失敗に終わり、結果的に残りライフ2600のジャックは敗北してしまった。
「遊星vsハラルド」戦では、遊星が自己再生能力を持つ星界の三極神に対して《セイヴァー・スター・ドラゴン》と《ウェーブ・リバウンド》のコンボにより1ターンキルを決めようとしたが、ハラルドの《オーディンの眼》によってそれを見抜かれてしまう。
次のハラルドのターン、ハラルドがわざと《極神聖帝オーディン》のモンスター効果を発動したためコンボが決まったかに見えたが、ハラルドの永続罠《ギャラルホルン》によって止められてしまった。
- 海馬とジークが後攻1ターン2キル(海馬vsグールズ)(ジークvs羽蛾&竜崎)を、万丈目が1ターン4キル(万丈目vsノース校四天王)を、遊星が1ターン3キル(vsマルコムの手下)を行っている。
- アニメ5D's公式サイトのデュエルワンポイントレッスンでは、「相手によっては不快感を与えるプレイング」と言われていた。
- OCGでも1ターンキルをすると、相手に不快感を与えてしまう事もあるので注意。
関連リンク †