*サレンダー/surrender [#top]
 英語で「降伏・降参」を意味するsurrenderのこと。~
 自ら負けを認め、その時点で[[デュエル]]を終了させることを指す。~

 遊戯王[[OCG]]のルールブック、および[[公認大会規定]]には、サレンダーというルールが存在しない。~
 とはいえ、実際には公式大会でも「[[自分]]がサレンダーを申し出て、[[相手]]がそれを承諾する」という形で、両者の合意によってサレンダーが行われる事が多い。~
 逆に言うと''サレンダーを申し出ても、[[相手]]が合意しない限りは降参する事ができない''。~
 一見無意味にも見える行為だが、後述の[[マッチキル]]や制限時間を利用した戦術はこの「サレンダーは拒否できる」事が前提となっている。~

 フリーデュエルでは、サレンダーを宣言されたら無条件に受け入れるのがマナーであろう。~
 そもそもフリーデュエルは基本的に[[シングル戦]]で行われる事が多く、[[マッチ]]戦でも制限時間を設ける事が稀であるため、サレンダーを拒否してもメリットがない。~

-サレンダーを行う[[メリット]]として、[[相手]]に[[情報アドバンテージ]]を与えない点が挙げられる。~
逆に、勝利がほぼ確定した[[マッチ]]1戦目に[[相手]]の[[デッキ]]の[[カード]]を少しでも多く把握しておきたい場合には[[相手]]のサレンダーを拒否し、[[デュエル]]を続行する意味がある。~
この場合、[[相手]]も[[情報アドバンテージ]]を与えないように[[自爆特攻]]などでわざと[[ライフ]]を0にするケースも見られる。~
--ただし、サレンダーを拒否されたために仕方なく[[デュエル]]を続行したところ逆転勝利できたという事例もあるため、優勢・劣勢に関わらず安易なサレンダー行為やその拒否は避けるべきと言えよう。~
--しかし、時間が限られている公認大会などでは、無駄に長期戦を続けるのは大会の運営そのものに悪影響なのも事実ではある。~
その様な状況では、互いに暗黙の了解としてサレンダー行為を認めて速やかに次の[[デュエル]]に移るのが一種のマナーでもあり、難しい所でもある。~

-「[[公認大会規定]]上サレンダーは存在しない」事を前提にデザインされた[[カード]]と言えば、[[マッチキル]][[モンスター]]の先駆者[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]だろう。~
仮に「[[プレイヤー]]は自由にサレンダーできる」というルールが存在したならば、[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]が[[攻撃]]を行った時点でサレンダーを宣言する事で[[マッチキル]]を回避でき、[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]の能力は意味をなさないのである。~

--[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]の現役時代、[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]を使う側は当然[[相手]]からのサレンダーの申し出を拒否し続けるのが定石であった。~
これに対し、''[[デッキ]]をわざと崩すなどの軽微な反則行為を故意に起こし、1[[デュエル]]敗北のペナルティを受ける''ことにより、強引に[[マッチキル]]を回避するという暴挙とも言うべき手法が生まれた。~
これらの一連の流れについては当時も大きな問題になったが、結局は発端である[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]の[[禁止カード]]化と共にうやむやにされてしまった。~

-公式大会でサレンダーを拒否するもう1つの理由が、制限時間の存在である。~
2005年までの[[公認大会規定]]では、「第1セット中に[[マッチ]]の制限時間を超過した場合、その段階でライフが多いほうを[[マッチ]]の勝者とする」という規定があった。~
現在は[[エキストラターン]]制に移行しているが、やはり[[エキストラターン]]終了時に[[ライフ]]が優勢であれば1勝0敗で[[マッチ]]の勝利を得られる事は変わりない。~
したがって、[[マッチ]]1戦目が40分近く長引いており、[[ライフポイント]]が優勢で、なおかつ[[相手]]に逆転の目がないならば、サレンダーを拒否して大会規定に基づく[[マッチ]]勝利を狙ったほうが良い場合が出てくる。~

--問題は、''最初から時間切れによる勝利を前提にした[[デッキ]]''の存在である。~
古くは[[【トランス】]]・[[【ワールドトランス】]]・[[【エキストラウィン】]]、近年では[[【魔鍾洞】]]が該当する。~
これらの[[デッキ]]は時間切れによる勝利のみを目的に構築されているため、強固な[[ロック]]を掛け、サレンダーを拒否し、40分間ひたすら時間を潰すだけの[[デッキ]]である。~
この手の[[デッキ]]が流行するたびに「あえて反則を行って1[[デュエル]]敗北のペナルティを受ける」行為も再発している。~

-近年の非公認大会では、ローカルルールとしてシングルサレンダー(1[[デュエル]]のみのサレンダー)を認めている場合が多い。~
この場合、[[相手]][[プレイヤー]]はサレンダーを拒否することができないとされる。~
また、[[TCG]]においては[[公認大会規定]]にて[[デュエル]]中のどのタイミングでもサレンダーが可能な旨が定められている。~

-サレンダー時には原作よろしく[[デッキ]]に手を置く[[プレイヤー]]、将棋のように頭を下げる[[プレイヤー]]、ポーカーのように[[手札]]を相手に見えるよう卓上に置く[[プレイヤー]]などが多い。~
欧米では握手を求める事がサレンダーの証となっている。~

-原作・アニメにおいて―~
[[デッキ]]の上に手を乗せ、サレンダーを[[宣言]]する。~
最初は「スレンダー・カード」と呼ばれていた(文庫版では最初から「サレンダー」に訂正されている)。~
原作では厳密には「ライフを0にする」処理によって敗北している(「闇遊戯vs闇マリク」戦では、意識を取り戻したマリクのサレンダーにより闇マリク側の[[ライフ]]が0になる描写がある)。~
デュエリストにとってサレンダーを行うのは相当に屈辱的な行為であるらしく、孔雀舞は「心が死ぬ」とまで評している。~
ただし実行例は多く、当の孔雀舞自身が「決闘者の王国編」の「vs闇遊戯」戦で行った他、「バトルシティ編」決勝戦のマリク、アニメDMでは「全国大会決勝」のダイナソー竜崎等が行っている。~
また、アニメで海馬が「今ならサレンダーを認めてやってもいいぞ」と発言しており、アニメでも相手の同意がなければサレンダーはできないようである。~

--上記のように原作・DMでは多用されたが、GX以降は実行される事が減っていった。~
アニメZEXALの「遊馬vs&ruby(スリー){III};」戦のように、一方が戦意喪失によりサレンダーを求めても、[[相手]]がそれを認めない事が多い。~
一方で圧倒的優勢に立っている登場人物が対戦相手にサレンダーを勧めて挑発する、という行為はしばしば見られる。~

--後のアニメ作品では[[ライフ]]が0になる処理を行わず直接的に敗北条件の一種として扱われているようだ。~
例えば、アニメ5D'sの「ジャック&龍亞&龍可vsアポリア」戦は[[ライフ]]が0になると死ぬ[[デュエル]]だが、「サレンダーすれば生き延びられる」とアポリアが語っている。~

--アニメARC-V第3話では、LDSにサレンダー原理学なる講座が存在する事が確認できるが詳細は不明。~

--厳密にはサレンダーではないが、[[自分]]の[[カードの効果]]で[[ライフ]]を0にして意図的に敗北したキャラクターも存在している。~
アニメDMの「闇遊戯vsラフェール」(2戦目)のラフェール、アニメ5D'sの「ジャックvsカーリー」戦のカーリー等が該当する。~
同じくサレンダーとして扱われていないようだが、「遊矢(途中からの参戦)vsユート」戦において、[[デュエル]]の続行を放棄する意思をユートが見せた事から、遊矢は自分の[[デッキ]]をデュエルディスクから引き抜く事で[[デュエル]]を中断させている。~

-コナミのゲーム作品において―~
DS版では10[[ターン]]目以降、サレンダーで自己敗北することができるようになっている。~
[[詰めデュエル]]の設定ターンは、サレンダーできるように10[[ターン]]目になっている。~
[[WORLD CHAMPIONSHIP 2010>ゲーム付属カード#WCS2010]]では、5[[ターン]]目以降の設定になっている。~
だが、対人戦の場合はそれより早く追い詰められてしまうケースが多く、ゲーム機の電源を切って強制終了する「切断」をするデュエリストが後を絶たない。~
切断された場合、Wi-Fi対戦の成績表でカウントされるのは試合数だけで勝利数はカウントされないため、事実上勝ったにもかかわらず勝率が下がる。~
このため、この行為はマナー違反であり、忌み嫌われている。~

--[[エキスパート2006>ゲーム付属カード#EX2006]]以降の各種ソフトでは、[[相手]]の[[手札]]・[[フィールドのカード]]が0枚のときに[[《八汰烏》]]で[[攻撃]]した場合、なんとCPUがサレンダーをする。~
こちらの[[デッキ]]残数が少なく、まだ勝機がある時でもしてくる。~

--アプリゲーム「デュエルリンクス」では、[[デュエル]]中のメニュー画面内又は[[ドローフェイズ]]以外で自分の[[デッキ]]をタップすると「降参(サレンダー)」の表示が出現する。~
これをタップすると勿論「敗北」となるのだが、[[デュエル]]中の行動内容次第で評価得点が付与される[[通常のデュエルでの敗北>デュエルの勝利条件]]とは異なり、[[デュエル]]中の行動内容は全く反映されず評価得点0点で固定されている。~
また、対人戦の場合も通信環境や[[プレイヤー]]の操作([[デュエル]]中に他のアプリを操作した場合等)によっては「切断」と見做されて「降参(サレンダー)」扱いとなり強制終了されるケースもある。~
実装当初、「デュエルリンクス」での「降参(サレンダー)」行為はあまり問題視されてこなかったが、ランク戦等の対人戦内の「期間勝利数」システムを悪用し手段として見做した思考(詳細は[[こちら>《リーフ・フェアリー》]])や戦術が浸透するようになると状況は一変。~
勝敗に関わらず一方的な内容で[[デュエル]]が終わる事態が珍しくなくなり、[[デュエル]]の駆け引きを逸脱する行為が問題視されるようになった。~
この為、2018/01/24以降のアップデートで[[《リーフ・フェアリー》]]を始めとした関連[[カード]]が[[規制>制限強化]]を受ける[[制限改訂]]が適用された。~
また、こうした状況が影響してかランク戦イベント報酬の中に''「サレンダーせずに[[デュエル]]を(決められた回数分)行った場合」''が常設されるようになった。~

**関連リンク [#link]
-[[《ヴィクトリー・ドラゴン》]]

-[[【トランス】]]

-[[用語集]]