サレンダー/Surrender †
自ら負けを認め、その時点でデュエルを終了させることを意味する非公式用語。
英語で「降伏・降参」を意味する「surrender」に由来する。
遊戯王OCGのルールブックおよび公認大会規定には、降伏に関するルールは存在しない。
しかし、実際には公式大会でも「自分がサレンダーを申し出て、相手がそれを承諾する」という両者の合意によってサレンダーが行われる事が多い。
当然ながらこれは非公式のやり方なので、相手が合意しない限りは降参する事ができない。
なお、TCGにおいては公認大会規定にてデュエル中のどのタイミングでもサレンダーが可能な旨が定められている。
サレンダーは一見無意味に思える行為だが、メリットとしては相手に情報アドバンテージを与えない点がある。
公式大会はマッチ戦で行われるため、自分のデッキに入っているカードを多く露呈させると、次のデュエルで相手に戦術を読まれやすくなってしまうのである。
逆に、自分の勝ちがほぼ確定しているデュエルで相手のサレンダーを拒否すれば、こちらが情報アドバンテージを得られるという事でもある。
このため、サレンダーを拒否される事を前提に(もしくは拒否された後)自爆特攻などでわざとライフを0にするケースも見られる。
なお、サレンダーを拒否されたために仕方なくデュエルを続行したところ逆転勝利できたという事例もあるため、優勢・劣勢に関わらず安易なサレンダーやその拒否は避けるべきと言えよう。
しかしながら、時間が限られている公式大会などでは、無駄に長期戦を続けるのは大会の運営そのものに悪影響を及ぼすのも事実ではある。
そのような状況では、互いに暗黙の了解としてサレンダー行為を認めて速やかに次のデュエルに移るのが一種のマナーでもあり、難しい所である。
- 公式大会でサレンダーを拒否するもう1つの理由が、制限時間の存在である。
2005年までの公認大会規定では、「第1セット中にマッチの制限時間を超過した場合、その段階でライフが多いほうをマッチの勝者とする」という規定があった。
現在はエキストラターン制に移行しているが、やはりエキストラターン終了時にライフが優勢であれば1勝0敗でマッチの勝利を得られる事は変わりない。
従って、マッチ1戦目が40分近く長引いており、ライフポイントが優勢で、なおかつ相手に逆転の目がないならば、サレンダーを拒否して大会規定に基づくマッチ勝利を狙ったほうが良い場合が出てくる。
- 近年の非公認大会では、ローカルルールとしてシングルサレンダー(1デュエルのみのサレンダー)を認めている場合が多い。
この場合、相手はサレンダーを拒否することができないとされる。
- フリーデュエルでは、相手にサレンダーを宣言されたら無条件に受け入れるのがマナーであろう。
そもそもフリーデュエルは基本的にシングル戦で行われる事が多く、マッチ戦でも制限時間を設ける事が稀であるため、サレンダーを拒否してもメリットがない。
- サレンダーを示す行為としては、原作のようにデッキに手を置く、将棋のように頭を下げる、ポーカーのように手札を表向きで卓上に置くなどが多い。
欧米では握手を求める事が通例となっている。
- ちなみに欧米出身の人に「surrender」と言っても通じないことがある。
英語では「(国などが)降伏する」「(強制的に)放棄する」といった強い意味を含む事の多い言葉であり、(アニメなどのように本当に命などが掛かっている場合はともかく)競技や遊戯の場では使われ辛い単語だからである。
欧米では「敗北を認める」や「投了」を意味する「concede」が一般的である。
- 北米のOFFICIAL TOURNAMENT POLICIESには「concede」の記載はあるが「surrender」はない。
- 原作・アニメにおいて―
デッキの上に手を乗せ、サレンダーを宣言する。
最初は「スレンダー・カード」と呼ばれていた(文庫版では最初から「サレンダー」に訂正されている)。
原作では厳密には「ライフを0にする」処理によって敗北している(「闇遊戯vs闇マリク」戦では、意識を取り戻したマリクのサレンダーにより闇マリク側のライフが0になる描写がある)。
デュエリストにとってサレンダーを行うのは相当に屈辱的な行為であるらしく、孔雀舞は「心が死ぬ」とまで評している。
ただし実行例は多く、当の孔雀舞自身が「決闘者の王国編」の「vs闇遊戯」戦で行った他、「バトルシティ編」決勝戦のマリク、アニメDMでは「全国大会決勝」のダイナソー竜崎等が行っている。
また、アニメで海馬が「今ならサレンダーを認めてやってもいいぞ」と発言しており、アニメでも相手の同意がなければサレンダーはできないようである。
- 上記のように原作・DMでは多用されたが、GX以降は実行される事が減っていった。
アニメZEXALの「遊馬vsIII」戦のように、一方が戦意喪失によりサレンダーを求めても、相手がそれを認めない事が多い。
一方で圧倒的優勢に立っている登場人物が、対戦相手にサレンダーを勧めて(もしくは提案して)挑発する、という行為や会話上のやりとりはしばしば見られる。
- 後のアニメ作品ではライフが0になる処理を行わず直接的に敗北条件の一種として扱われているようだ。
例えば、アニメ5D'sの「ジャック&龍亞&龍可vsアポリア」戦はライフが0になると死ぬデュエルだが、「サレンダーすれば生き延びられる」とアポリアが語っている。
- アニメARC-V第3話では、LDSにサレンダー原理学なる講座が存在する事が確認できるが詳細は不明。
- 厳密にはサレンダーではないが、自分のカードの効果でライフを0にして意図的に敗北したキャラクターも存在している。
アニメDMの「闇遊戯vsラフェール」(2戦目)のラフェール、アニメ5D'sの「ジャックvsカーリー」戦のカーリー等が該当する。
同じくサレンダーとして扱われていないようだが、「遊矢(途中からの参戦)vsユート」戦において、デュエルの続行を放棄する意思をユートが見せた事から、遊矢は自分のデッキをデュエルディスクから引き抜く事でデュエルを中断させている。
- コナミのゲーム作品において―
DS版のゲーム作品では10ターン目以降、サレンダーで自己敗北することができるようになっている。
詰めデュエルの設定ターンは、サレンダーできるように10ターン目になっている。
WORLD CHAMPIONSHIP 2010では、5ターン目以降の設定になっている。
だが、対人戦の場合はそれより早く追い詰められてしまうケースが多く、ゲーム機の電源を切って強制終了する「切断」をするデュエリストが後を絶たない。
切断された場合、Wi-Fi対戦の成績表でカウントされるのは試合数だけで勝利数はカウントされないため、事実上勝ったにもかかわらず勝率が下がる。
このため、この行為はマナー違反であり、忌み嫌われている。
- レガシー・オブ・ザ・デュエリスト:リンク・エボリューションでは、1ターン目からサレンダーできる。
サレンダーを繰り返すのがデュエルポイントを効率よく集める手段となっている。
- アプリゲーム「デュエルリンクス」では、デュエル中のメニュー画面内又はドローフェイズ以外で自分のデッキをタップすると「降参(サレンダー)」の表示が出現する。
これをタップすると勿論「敗北」となるのだが、デュエル中の行動内容次第で評価得点が付与される通常のデュエルでの敗北とは異なり、デュエル中の行動内容は全く反映されず評価得点0点で固定されている。
また、対人戦の場合も通信環境やプレイヤーの操作(デュエル中に他のアプリを操作した場合等)によっては「切断」と見做されて「降参(サレンダー)」扱いとなり強制終了されるケースもある。
実装当初、「デュエルリンクス」での「降参(サレンダー)」行為はあまり問題視されてこなかったが、ランク戦等の対人戦内の「期間勝利数」システムを悪用し手段として見做した思考(詳細はこちら)や戦術が浸透するようになると状況は一変。
勝敗に関わらず一方的な内容でデュエルが終わる事態が珍しくなくなり、デュエルの駆け引きを逸脱する行為が問題視されるようになった。
この為、2018/01/24以降のアップデートで《リーフ・フェアリー》を始めとした関連カードが規制を受ける制限改訂が適用された。
また、こうした状況が影響してかランク戦イベント報酬の中に「サレンダーせずにデュエルを(決められた回数分)行った場合」が常設されるようになった。
- アプリゲーム「マスターデュエル」では、デュエル中に画面左上にある歯車マークをタップすると「降参」の表示が出現する。
これをタップすると勿論「敗北」となるのだが、デュエル中の行動内容次第で評価得点が付与される通常のデュエルでの敗北とは異なり、デュエル中の行動内容は全く反映されず評価得点0点で固定されている。
なお、同作ではデイリーミッションで「モンスターに○回攻撃宣言を行う」や「累計で○ポイント以上のダメージを相手に与える」が指定されることが多いのだが、このミッションを達成するためにフィールドを整えていざ攻撃というところでサレンダーされ、ミッションが進まなくなることも多い。
関連リンク †