サレンダー/Surrender

 D .サレンダー(デュエルの敗北)の申告
 デュエルの進行中に自らの敗北が決定的であると判断した場合において、デュエルの途中でサレンダー(デュエルの敗北)を対戦相手に申告し、その後速やかにジャッジに報告を行うことで、ジャッジはデュエルの敗北を適用することができる。
 サレンダーはデュエルの敗北のみに適用され、マッチの敗北は申告することができない。
 サレンダーを申告した結果によってマッチの成績が決定する場合や、エキストラターン中、エキストラデュエル中はサレンダーを申告することができない。

 【トーナメント方式の場合】
 ■0勝0敗、1引き分け、1勝0敗、1勝1引き分け → サレンダーを申告できる
 ■0勝1敗、1敗1引き分け、2引き分け、1勝1敗 → サレンダーを申告できない

 【スイスドロー方式の場合】
 ■0勝0敗、1引き分け、1勝0敗 → サレンダーを申告できる
 ■0勝1敗、1敗1引き分け、2引き分け、1勝1敗、1勝1引き分け → サレンダーを申告できない

 (AREA CHAMPIONSHIP 2023 大会規定より引用)


 自ら負けを認め、その時点でデュエルを終了させる(降参する)こと。
 英語で「降伏・降参」を意味する「surrender」に由来する。

 かつては、遊戯王OCGのルールブックおよび公認大会規定には、サレンダーに関するルールは存在しなかった。
 しかし、2023年に行われたAREA CHAMPIONSHIP 2023以降、一部の公式大会でもサレンダーがルール化され、認められるようになった。
 公式に認められる場面も出てきたが、細部は下記の非公式なものとは異なるので注意。
 大きなところでは、サレンダーは対戦相手に申告→ジャッジに報告の順番で行い、相手に拒否権は無いこと、マッチの状況次第でサレンダーの可否が異なるといった点がある。

 公認大会規定には今でもサレンダーに関するルールはないが、実際には公式大会でも「勝ち目がないと判断したプレイヤーがサレンダーを申し出て、相手がそれを承諾する」という両者の合意によってサレンダーが行われる事が多い
 ただし、これは非公式のやり方なので、相手が合意しない限りは降参する事ができない

 サレンダーの申し出を受けた方は、即座に承諾してしまえば一勝を得つつそれ以降戦わなくて済み、時間短縮や敗北リスクの帳消しが行えるので、一見すると拒否するメリットはないようにも思える。
 しかし、実際には以下の理由から、優勢側がサレンダーを拒否する事で戦略上有利になる事がある。

 1つ目は情報アドバンテージの面。
 公式大会はマッチ戦で行われるため、相手デッキカードを十分見ない状態でサレンダーを認めてしまうと、相手の戦術が分からずに2戦目以降を迎える事になる。
 例えば、先攻自分が初手で大量展開・制圧を行い、後攻ターン目が始まる前に相手がサレンダーした場合、相手マッチ2戦目の開始前にサイドデッキから自分デッキへのメタカードを投入できるが、自分相手のデッキタイプが全く分からない状態でサイドチェンジを行う事になる。
 このため、自分の勝ちがほぼ確定しているデュエルでも、情報アドバンテージを得るために相手のサレンダーを拒否する場合がある。

 2つ目は制限時間の面。
 公認大会では、マッチ開始から40分が経過した時点でエキストラターンを開始し、その終了時にライフが優勢なプレイヤーを進行中のデュエルの勝者とする。
 従って、マッチ1戦目が40分近く長引いており、ライフポイントが優勢で、なおかつ相手に逆転の目がないならば、サレンダーを拒否してエキストラターンを消化し、1勝0敗でマッチの勝利を得た方が良い事になる。

 このように、マッチ戦におけるサレンダーは単なる勝敗を決める行為ではなく、サレンダーを申し込むタイミングや、それを認めるかどうかがマッチの勝敗に影響する戦略的行動である。
 ただし「サレンダーを拒否したほうが良い状況」は存在するものの、サレンダーを拒否するということは「想定外のカードで逆転負けするリスクを増やす」行為でもある。
 サレンダーを拒否されたために仕方なくデュエルを続行したところ逆転勝利できたという事例も珍しくない。
 劣勢であっても安易なサレンダーは避けるべきであり、優勢でも安易なサレンダーの拒否は避けるべきだろう。

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