デッキ破壊 †
相手のデッキの枚数を減らす行為のこと。
主に相手のカードをデッキから直接墓地へ送る・除外する事で行われるが、相手にデッキからドロー・特殊召喚させる事で行う場合もある。
多くのTCGではルール上デッキ切れによるプレイヤーの敗北が採用されており、強力な戦術と表現されるケースが多い。
一方、遊戯王OCGでは墓地アドバンテージが重視されるため、デッキのカードを墓地へ送るデッキ破壊は相手に利益を与えることになりやすく、あまり強くない戦術と評価されがちである。
《苦渋の選択》が早期に禁止カードに指定されていたり、ライトロード等が持つ自分のデッキのカードを墓地へ送る行為が「墓地を肥やす」と呼ばれ、メリットとして認識されていたりする事からも分かるだろう。
しかし、それは毎ターン少しずつデッキを削るタイプの場合であり、かつては【トーチ・テンペスト】・【ネクロフェイス】・【デッキ破壊1キル】等、1ターンに相手のデッキの全てのカードを削ってしまうタイプは強力な1ターンキルとして恐れられていた。
(現在では一部キーカードが規制された結果、戦術が対策され易い割に成功率が下がった為、厳しい立場となっている。)
こうした経緯もあり中途半端なデッキ破壊は推奨されず、やるなら特化すべきだとされている。
一方、現環境では高速でデッキ圧縮をしたり、モンスターの比率を抑えたり、キーカードで1ターンキルを狙ったりするデッキが多い。
またペンデュラム召喚の導入・本格化により、エクストラデッキからの再展開を狙いたいペンデュラムモンスターが直接墓地に落ちることで戦術が阻害されるケースも増加。
そうした環境変化により、通常のデッキ破壊も相対的に強化されていることは事実である。
第9期以降の環境では1ターンで大量展開を行い、相手の戦術を封殺・妨害する強力な布陣を敷くデッキが主流となっていった。
またマキシマム・クライシスで登場した《灰流うらら》により、「相手のカードをデッキから直接墓地へ送る」効果を持つカードを無力化させることが簡単になった。
その結果、「1ターンに相手のデッキの全てのカードを削ってしまうタイプ」でさえ対策され易くなり、現在は下火である。
- 「デッキ破壊」という言葉は《死のデッキ破壊ウイルス》から広まった原作用語で、他に「デッキデストラクション(Deck Destruction)」や「デッキデストロイ(Deck Destroy)」、略して「デッキデス」とも呼ばれる。
また、デッキ破壊をすることを「デッキを削る」とも言われる。
- このデッキ破壊は「デッキの枚数を減らす」という行為であり、厳密には「デッキデス」ではなく「デッキレス(Deckless=デッキが少ない、つまりデッキを少なくする)」という呼び方が正しいと言える。
なお、他の古参TCGでいう「デッキ」とは、手札・墓地・フィールドを含め対戦に使用される全てのカードを包括する概念であるため、一般的に対戦中の山札をデッキとは呼ばず「ライブラリ」等と呼ぶ。
このため、それらのTCGではこの行為を「デッキ破壊」とは呼ばず、「ライブラリアウト」等と呼ぶ。
ただし、山札やライブラリでは長いためか、口語上では遊戯王と同じ意味でデッキという言葉を使う場合もある。
- 海馬と同じ目的でデッキ破壊を行ったデュエリストは、海馬以外に「KCグランプリ編」のジーク・ロイドくらいしか存在しない。
類似例としては下記の通りエリファスが遊馬のデッキの大半を《NO13 エーテリック・アメン》のエクシーズ素材化した事例がある。
- 一方、デッキ切れを目的としたデッキ破壊を行ったデュエリストは、Rの北森玲子、GXのエックス、5D'sのブレオなど多数登場しており、バーンと並んでビートダウン以外で勝利を目指すデッキの代表的なものとなっている。
だが、北森玲子、5D'sの鷹栖やジャン、ZEXALIIのベクター等、デッキ破壊に集中せず途中から別の戦術に切り替えた(あるいは別の戦術を混ぜ込んだ)為に敗北する事が多い。
- 徹頭徹尾ビートダウンを行わずデッキ破壊に集中したデュエリストはエックスくらいなものである。
勝利はできなかったが十代のデッキを0枚にまで追い込む腕前で、プロとしての強さもエドからも評価されていたが、相手のデッキをズタズタにする行為自体に愉悦を感じている様な態度を見せていたからか「ヤツと戦いたがるデュエリストなんていない」と厳しい評価を下されている。
- 上記の通りデッキ破壊戦術を取るのは、いわゆる敵サイドのデュエリストが多い。
しかしながら、自らデッキ破壊戦術を仕掛けてデッキ切れで勝利したデュエリストは未だに現れていない。
それどころか、そのデッキ破壊によりできた墓地アドバンテージにより敗北のきっかけを作っている例が多い。
「闇遊戯vs人形」戦の闇遊戯や「十代vsエックス」戦といった主人公側がデュエルの途中からデッキ破壊戦術に切り替えて勝利した事例は存在する。
- 劇場版『光のピラミッド』のシミュレーションでは、海馬がデッキ破壊を仕掛けて闇遊戯に勝利するという予測結果が出ている。
なお、実際のデュエルでは闇遊戯のラストターンのドローでデッキが0になっており、デッキ破壊が成功していない。
ただし、この時の闇遊戯のデッキ枚数は41枚だと確認できるのだが、上述のシミュレーションは40枚で計算されていた。
従ってシミュレーション自体は間違っておらず、デッキ枚数が40枚だという前提条件の方に問題があったと言えよう。
また、そもそもデュエル途中でデュエリストが交代してしまっているため、本来の戦術を取れなかった可能性もある。
- アニメZEXALのエリファスは積極的にデッキ破壊を行ったわけではないが、《NO13 エーテリック・アメン》の効果で遊馬のデッキのカードを12枚エクシーズ素材とし、結果的にデッキ枚数を0にまで追い込んだ。
エリファスはあくまでビートダウンタイプのデッキであり、デッキ破壊は副次的効果だったが、「墓地アドバンテージを与えないデッキ破壊」という通常のデッキ破壊よりも強力な戦術となった。
- デッキ破壊をした回ではそのデュエリストのデッキの内容が分かる場合が多い。
また主人公格がデッキ破壊をされた場合、遥か前に使用したカードやその状況では使えないカードが墓地に落ちる事が多い。
- デッキ破壊戦術は(OCGでの一般的な戦術であるビートダウンを除けば)バーン等と比較した場合、作中では否定的な描写を受けることが多い戦術である。
遊戯王OCGがビートダウン志向の高いゲーム性である事もあり、「ライフを削り合うのがデュエル」とまでアニメ内ではっきり言われてしまう事もある。
海外版のアニメ5D'sでは「恥ずべき戦い方」とまで言われており、あろうことかデッキ破壊を仕掛けたチームユニコーンですらそれを恥じて途中で戦略を変更する描写となっている。
- アニメARC-V第1話には、「デッキ破壊も立派な戦術のひとつ」「あなたも始めてみませんか?」と書かれたデュエルスクールの看板が登場した。
わざわざ「立派な戦術のひとつ」とアピールしなければならない辺り、アニメの世界におけるデッキ破壊の肩身の狭さが現れている。
(ちなみにこの看板には、典型的なデッキ破壊モンスターである《メタモルポット》・《ニードルワーム》・《カオスポッド》が微笑むイラストが添えられている)
- シリーズ5作品目となるアニメARC-Vでは、歴代のアニメ作品で初めてデッキ破壊を目論んだデュエリストが登場しなかった。
続く6作目のアニメVRAINSでも登場しておらず、OCG同様にアニメにおいても相当にマイナーな戦術になっている事が窺える。
ちなみに、ゲームがラッシュデュエルに移った7作目のSEVENSでは3作品ぶりにデッキ破壊戦術が復活している。
関連カード †
(複数のプレイヤーに処理が及ぶカードはこちらを参照)
(複数のプレイヤーに処理が及ぶカードはこちらを参照)
→ドロー参照。
関連リンク †