ファンデッキ

 「楽しむこと」を重視して構築されたデッキの総称。
 例え個々のカードが弱くても自分の使いたいカードを大量に投入するのが特徴。
 コンボでしか使えないカードだろうが、アドバンテージを失う可能性があろうが自分が活躍させたいのであれば問題なく投入される。
 故に、デッキ構築の段階で、「決めたいコンボを決めるために相手へどう対応するのか」をある程度考えて構築する必要がある。

 デッキ内容は多種多様。
 特定のカテゴリや種族属性統一のほか、やたら手間のかかる1ターンキル系のコンボもあれば、アニメ・原作のキャラを真似たデッキも存在する。
 《ゲート・ガーディアン》《究極完全態・グレート・モス》のような難しい召喚条件を持つモンスター召喚することを目的とした物もある。

 安定性と引き換えに好きなカードを活躍させるか、半ばオーバーキル気味の力を手に入れたデッキが多い。
 トーナメントなど第一線で活躍できるものは少ないが、その分多種多様で派手なコンボが多い。

 このようなデッキに投入されるカードには、手札の消費が激しいカードも多い。
 その為、コンボを意識するのは必須の上、相手の行動や次のターンの予測、手札消費対策等、考えることは大量にある。
 高度な構築・プレイングテクニックが必要となり、使い手にはかなりの応用力が要求されるデッキが多い。

 手札事故と正面から向き合い、手札消費に屈せず、流行のデッキに堂々と立ち向かうその勇姿にはデュエリストの誇りと決意を感じさせられる事だろう。
 もしかしたら、真のデュエリストに最も近いのは、新たな境地を開拓していくデュエリスト達であるのかもしれない。

 大会上位や高い勝率をキープできるデッキには誰もが憧れるが、それ故に似たような構成になりがち。
 デュエルの最中に相手のデッキの内容を把握できてしまうというデュエリストも多いだろう。
 そして、それを把握した時点でその『デッキ』しか相手は見えなくなってしまう事が往々にしてある。
 ファンデッキは高い勝率を得るのは難しいが、『自分自身』が見えるデッキである。
 そしてどんな勝敗であろうとも、使用者は決して折れはしないだろう。

 『いかに勝てるデッキを作るか』を考えるデュエリストもいれば、『いかに相手と自分を楽しませるか』を考えるデュエリストもいる。
 その『相手を楽しませる』という思想がゆえファンデッカーのデュエルの周りには多くのギャラリーが集まることが多い。
 もはや、彼らのデッキは相手のみならず観客をも楽しませるデッキとなっているのだ。

 『使えないカード』『使えるカード』を重点に置くことも重要だ。
 だが『使いたいカード』『使いたくないカード』もあるのだ。
 ファンデッキとは『使いたいカード』を詰め込んだ夢の結晶である。
 その上での『使えるカード』、『使えないカード』はその中での結果に過ぎない。

 どんな相手にも本気のデュエルができるという楽しみこそがその本質である。
 制限カード等、汎用性の高いカードに頼るばかりでなく、コンボによってテクニカルに勝利するものも多い。
 個性豊かなデッキであれば、それだけで勝敗を超えた感動を引き起こすことすらあるだろう。
 いかに相手の予想を超えるか。そのような戦いも、楽しみ方の一つと言えよう。

 勘違いしている者も多いが、あくまで「楽しむことを重視」したデッキの総称でしかない。
 ファンデッキだから弱いというわけでもなく、極少数だが第一線のデッキにも勝利出来るように練り上げられたものも存在する。
 そのようなデッキを構築し、使いこなすことができるようになったのであれば、最早デュエリストとしては免許皆伝レベルであろう。
 デュエルの最中、相手がマイナーなカードばかりを使うのに手強いと感じたら、君は真のデュエリストと対峙しているのかもしれない。

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