「巻き戻し」という言葉は以下の2つのことを指す。
《マインドクラッシュ》が流行しはじめた頃は、一手一手厳密なプレイを行わないプレイヤーに対して巻き戻しが流行した時期でもある。
ルール上、ターンプレイヤーがドローフェイズのドロー後、フェイズ移行宣言を行わずにメインフェイズに入り、カードをプレイした場合は巻き戻しを要求できる。
そこで、敢えてスタンバイフェイズの終了宣言省略を見過ごし、相手のメインフェイズにカードがプレイされた瞬間に「こちらはスタンバイフェイズに《マインドクラッシュ》等を発動するつもりだった」として巻き戻し要求するというプレイングが誕生した。
勿論《マインドクラッシュ》等で指名するのは先ほどプレイしたモンスターや魔法カードである。
その際の相手の「当て勘でそのカードを宣言するつもりだった」という言い訳に対しては、たとえその主張が不自然であろうとも、明確に論破する事はまずできない。
当時はピーピング手段をこの方法に頼るデュエリストが多数現れ、不快な思いをする事も多かった。
(もちろん、フェイズ移行宣言は明確に行うべきではあるが。)
このカードの流行後、巻き戻されないようにスタンバイフェイズやバトルフェイズへの移行を明言するようになっていった。
特にフリープレイではなく大会に出場する場合は、必ずこのような巻き戻しに対する予防策を用意し、適切なプレイを心がけたいところである。
相手のスタンバイフェイズにプレイするカードは自ら宣言するという取り決めや、相手の伏せカードがある時の各フェイズ終了の宣言等を確実に行いたい。
しかし、中にはフェイズ終了の宣言をきちんと行っていても「宣言をしていない」などと言ってジャッジを騙し、巻き戻しを認めさせる者もいる。
また、試合時間短縮の為に「バトル(フェイズ)に入りたい」等と言っていて途中まで互いにそれを了承してデュエルを進行していたのに、マッチで負けそうになると「今のはバトルフェイズ開始を宣言していない」と巻き戻しを行う悪質なプレイヤーも存在する。
このような行為はやはりマナーに反するものであり、発覚した際は罰則を受ける可能性も十分にある。
OCGが廃れる原因にもなるため、相手がフェイズ確認を怠った場合ならまだしも、このような行為は絶対にするべきでは無い。
《ナイト・ショット》も《マインドクラッシュ》同様、フェイズ移行等の確認が重要なカードの中でも比較的使われることが多いカードである。
もしもこのカードを使う側がスタンバイフェイズで相手のカードの発動の確認を取らなかった場合、メインフェイズ1でこのカードを発動し相手のセット状態の永続罠を指定した際、
相手は「スタンバイフェイズにこの永続罠を発動するつもりだった」と言って、そのカードをスタンバイフェイズに発動し表にすることができる。
こうなっては《ナイト・ショット》が使えなくなってしまう。
巻き戻し《マインドクラッシュ》との大きな違いは、《ナイト・ショット》のようなカードが存在する以上、このようなスタンバイフェイズでの永続罠の発動は十分戦術としてありえる点である。
しかし、本来ならスタンバイフェイズでの永続罠の発動などするつもりはなかったが、こちらがフェイズ移行確認を怠ったことにつけ込みこのようなプレイングをしたのだとしても、それを証明することができない点は《マインドクラッシュ》の例と同様である。
《ナイト・ショット》を発動する予定のターンのみフェイズ移行の確認をきっちり取れば、とりあえずこのカードに関する巻き戻しの心配はなくなる。
しかしそれはそれで、こちらのこのカードの存在を相手に匂わせてしまう。
結局のところ、日頃からのフェイズ移行の確認が重要ということになる。