*制圧 [#top]
 高[[攻撃力]]かつ強力な[[コントロール>コントロール#top2]]能力を持つ[[モンスター]]を立てるなどして、[[自分]]が有利かつ逆転の難しい状況を作ることを指す非公式用語。~
 こうした状況を作りやすい[[ステータス]]・[[効果]]を持つ[[カード]]や[[デッキ]]は「制圧力が高い」と言われる。~
 古くから使われていた[[ロック]]という言葉に、「なおかつ[[自分]]は比較的自由に動くことができる」という条件を追加したものと考えることもできる。

**「制圧力が高い」条件 [#jouken]
 主に下記の条件が挙げられる。~
>
+[[耐性]]
+[[フリーチェーン]]の[[除去]][[効果]]
+[[相手]]の[[効果]]を[[無効]]にする、または[[効果]]の[[適用]]を妨害する[[効果]]
+[[相手]]の[[特殊召喚]]を阻害する[[効果]]~
<
 一般に、『[[攻撃力]]が高く、以上の[[効果]]を持ち合わせている』[[モンスター]]は、制圧力が高いとされる。~
 [[結界像]]のように[[攻撃力]]の低い[[モンスター]]は、[[コントロール>コントロール#top2]]能力は高くとも[[戦闘破壊]]されやすいため、単体での制圧力は高いとは言い難い。~
 当然ながら「[[魔法カード]]の[[発動]]を[[無効]]にできる[[効果]]」より「[[魔法>魔法カード]]・[[罠>罠カード]]・[[モンスター効果]]の[[発動]]を[[無効]]にできる[[効果]]」のように、対応できる範囲が広い[[効果]]の方が制圧力に優れる。~
 また、上記の[[効果]]を複数持ち併せた[[モンスター]]は、それだけ制圧力も高まる。~

-一般論として、上記の「制圧力の要素」が持つ制圧力の強さは、概ね「[[耐性]]<[[フリーチェーン]][[除去]]≒[[無効]]化<[[特殊召喚]]禁止」の順となる。~
[[耐性]]の高い[[モンスター]]は確かに[[除去]]しにくいが、[[耐性]]があるだけならば[[1ターンに1度]][[攻撃]]する以外、[[フィールド]]に干渉してくる事はない。~
しかし[[フリーチェーン]][[除去]]や[[効果]]の[[無効]]化・阻害能力を持つ[[モンスター]]は、[[相手]]の行動に妨害を加えてくるため、存在するだけで戦略を乱されてしまう。~
[[特殊召喚]]封じを受けると多くの[[デッキ]]は身動きが取れなくなってしまい、[[除去]]するまでまともに[[デュエル]]できなくなってしまう。~

--特に[[特殊召喚]]封じは、「制圧している[[モンスター]]を倒せる[[攻撃力]]の[[モンスター]]を[[特殊召喚]]で出す」事を封じるため、制圧状態を崩されにくい。~
過去の[[環境]]を見ても、[[攻撃力]]2400の[[《虚無魔人》]]や、[[《儀式魔人リリーサー》]]を[[リリース]]した[[守備力]]2300の[[《クラウソラスの影霊衣》]]など、さほど攻守に優れているわけではない[[モンスター]]が制圧要員として活躍している。~
おおむね、[[下級モンスター]]単体で対処できない[[ステータス]]を持っていれば、十分な制圧力を発揮できると言える。~
また、[[除去]]効果を持つ[[モンスター]]の[[特殊召喚]]を封じることで、間接的に[[除去]]も受けにくい点も、制圧力の高さに貢献している。

--[[《儀式魔人リリーサー》]]や[[《M・HERO ダーク・ロウ》]]のように、[[相手]]のみに一方的に妨害[[効果]]が及ぶ[[カード]]は特に制圧に使いやすい。~
一方、[[《虚無魔人》]]や[[《ライオウ》]]のような[[お互い]]に[[効果]]が及ぶ[[カード]]は、主に盤面の掃除や自軍の展開がすんだ後に、相手の逆転を防ぐためのダメ押しとして運用することになる。~
(このような運用を俗に「蓋をする」と言う)~
//「蓋をする」という表現をするページを見ないけど本当に使われてるの?
//このwikiは用語集に書かれてない俗語を書くと消されるので、残っていません
もちろん、単体でも[[除去]]されにくい[[宣告者]]や[[《大天使クリスティア》]]といった高[[ステータス]][[モンスター]]なら単体でも運用できる。~
[[《No.41 泥睡魔獣バグースカ》]]の様に[[ステータス]]自体はそれほど高くなくとも、[[効果]]により[[戦闘破壊]]されにくいという変則的な例も存在する。~

-今日の[[デュエル]]では[[モンスター効果]]で[[制圧]]を行うのがメジャーだが、妨害系[[罠カード]]・[[速攻魔法]]を大量に[[サーチ]]する事で逆転困難な布陣を作り、制圧を行う[[デッキ]]もある。~
代表的なものに、ループコンボにより[[《インフェルニティ・バリア》]]や[[《インフェルニティ・ブレイク》]]を大量に伏せ、[[相手]]の動きを完封する[[【インフェルニティ】]]がある。~

-[[カウンター罠]]によって制圧を行う[[デッキ]]が[[【パーミッション】]]である。~
カードプールの増大・インフレに伴って、ギミック単位で[[パーミッション]]戦術を使える[[デッキ]]が増えたと考える事もできる。~

**制圧を対策する方法 [#houhou]
 今日の[[環境]]レベルの[[デュエル]]では、「いかに[[相手]]に制圧される事なく、[[自分]]が制圧できるか」が重要な要素となっている。~
 [[相手]]の制圧を対策するには以下のような方法がある。~

-初手で[[自分]]が制圧する~
最も確実な対策と言えるのはこれであろう。~
[[先攻]]1[[ターン]]目から制圧布陣を完成させてしまえば、[[相手]]がそれを崩した上でこちらを制圧し返してくるリスクは低い。~
しかし[[先攻]]・[[後攻]]は[[ジャンケン]]で決まる以上確実に[[先攻]]を取ることは不可能であり、「[[相手]]が[[先攻]]を取り、制圧を仕掛けてきた場合」の対策も練っておく必要がある。~

-[[手札誘発]]を[[積む]]~
[[相手]]の[[先攻]]制圧対策としては、[[相手]]の[[ターン]]にも[[手札]]から妨害を飛ばせる[[手札誘発]]が適任である。~
とくに[[環境]]レベルでは、[[お互い]]に初手での制圧を見据えて動くため[[手札誘発]]が[[必須カード]]として[[積まれ>積む]]ている。~

-[[壊獣]]などで[[リリース]]する~
妨害[[効果]]持ち[[モンスター]]による制圧を[[相手]]に許してしまった場合の打開策。~
[[壊獣]]の「[[条件による特殊召喚>特殊召喚#jouken]]の手順としての[[リリース]]」は、[[モンスター効果]][[耐性]]で防ぐことも、[[チェーン]]して防ぐこともできない。~
[[特殊召喚]]か[[リリース]]を封じる効果が[[適用]]されていない限り、どんな[[モンスター]]でも確実に[[除去]]する事が可能であり、制圧状態を崩す代表的な手段となっている。~
[[サイドデッキ]]のみならず[[メインデッキ]]から搭載する例も少なくない。~
また、[[《帝王の烈旋》]]や[[《ラーの翼神竜−球体形》]]による「[[アドバンス召喚]]による[[相手]][[モンスター]]の[[リリース]]」は[[特殊召喚]]封じすら無視して[[除去]]を行えるが、癖が強いため[[デッキ]]を選ぶ。~

-[[カード]]固有の弱点を突く~
どのような[[カード]]も、何かしらの弱点はあるものである。~
例えば[[《ABC−ドラゴン・バスター》]]は[[フリーチェーン]]の[[除去]][[効果]]と[[フリーチェーン]]で[[融合素材]]に分裂する効果を持ち、[[除去]]や[[戦闘破壊]]を[[融合素材]]に戻る事で回避し、次の[[ターン]]には再度[[融合]]してしまうという非常に厄介な[[モンスター]]である。~
しかし、分裂しても[[融合素材]]が[[除外]]されてしまう[[《システム・ダウン》]]には非常に弱い。~
他にも、[[特殊召喚]]封じや[[フリーチェーン]][[除去]]を武器とする[[カード]]に[[《ブラック・ホール》]]のような単純な[[除去]][[カード]]をぶつけるなど、構築段階から仮想敵を決めた上でその穴を突く[[メタカード]]を搭載したい。~

**歴史 [#history]
 「[[フィールド]]を制圧する」という言葉は、アニメシリーズや原作・漫画版のみならず遊戯王[[OCG]]において古くから使われていた。~
 ただしその意味は単に「[[攻撃力]]の高い[[モンスター]]を立てる」というものであり、今日のそれとは少々異なる。~
 [[OCG]]に関する古いサイトや書籍には、「[[帝]]を並べて[[フィールド]]を制圧する」「[[暗黒界]]を並べて制圧」「[[《ダーク・アームド・ドラゴン》]]で制圧」などの文言が見られる。~
 かつての[[OCG]]には[[全体除去]]が少なかった事、[[シンクロ召喚]]のような大型[[モンスター]]を立てる手段が少なかった事、一度失った[[アドバンテージ]]を取り戻すのが困難だった事などから、何体か高[[攻撃力]][[モンスター]]を並べるか、高[[攻撃力]]で([[フリーチェーン]]でなくても)[[除去]]を撃てる[[モンスター]]が存在すれば、それは十分に「制圧」であった。~
 [[融合デッキ]](現在の[[エクストラデッキ]])の利用頻度も少なく、[[メインデッキ]]の[[モンスター]]が主力であったため、「必要な時に適切な[[モンスター]]を用意するのが難しかった」というのも理由である。~

-ただし、第5期以前であっても現在の意味での制圧を行う[[デッキ]]が[[環境]]で全く活躍しなかったわけではない。~
3000の[[攻撃力]]の[[モンスター]]を立てつつ[[魔法・罠カード]]を封じる[[【お触れホルス】]]や、かなり癖が強いとはいえ[[魔法カード]]・[[罠カード]]・[[効果モンスター]]の[[効果]]の[[発動]]を[[カウンター]]する[[【光と闇の竜】]]はその数少ない例と言える。~

-第6期末〜第7期始めに当たる2010年辺りから、その意味合いに徐々に変化が生じる。~
第6期の末に登場した[[《神光の宣告者》]]は、高い[[守備力]]と[[魔法・罠>魔法・罠カード]]・[[モンスター効果]]の全てに[[パーミッション]]が可能であり、屈指の制圧力を誇る[[モンスター]]として[[環境]]で活躍した。~
ただし、[[《神光の宣告者》]]自身は[[攻撃力]]が低かったため、勝つには別の[[カード]]が必要不可欠ではあった。~
(なお、今日では[[チェーンブロック]]を作らず高打点を出す手段も増え、[[壊獣]]などの突破手段も豊富なので[[特殊召喚]]の封殺が必須だが、当時は大型[[モンスター]]を出す場合は[[カードの効果]]を要する事が殆どであったため単体でも[[パーミッション]]が可能であった。)~
第7期中盤に[[環境]]を支配した[[【六武衆】]]は、現代的な「制圧」を行う最初期の[[デッキ]]と言える。~
この[[デッキ]]のエース[[《真六武衆−シエン》]]は、2500の[[攻撃力]]と[[魔法・罠カード]]に対する[[パーミッション]]能力を備え、[[シンクロモンスター]]ゆえに必要な時に出しやすいという、極めて革新的な[[モンスター]]であった。~
単体でも強力だったが、さらに[[《ナチュル・ビースト》]]が存在することも珍しくなく、加えて[[《六尺瓊勾玉》]]や[[六武衆]]の[[身代わり]][[効果]]といったバックアップも充実しており、[[【六武衆】]]に一度有利な陣形を敷かれると当時のカードプールでの逆転は困難であった。~
これ以降、単に[[攻撃力]]の高さだけでなく、逆転が困難な布陣を作ることを指して「制圧」と呼ぶ事が次第に多くなっていった。~

-2014〜2017年の第9期に[[環境]]で流行した[[デッキ]]は、そのほとんどが[[相手]]の行動を阻害する[[効果]]を有しており、この頃には「制圧」は完全に現在の意義で固まったといえる。~
これ以降、[[トーナメント>環境]]レベルの[[デュエル]]は「いかに[[相手]]に制圧されず、[[自分]]が制圧できる盤面を作るか」が重要な要素となっている。~
--この頃から[[主流デッキ]]における[[罠カード]]の採用率が低下してきているが、上述の事と無関係ではない(詳細は[[罠カード]]の記事を参照)。~

-公式サイトやVジャンプ等でも「制圧」という言葉は古くから用いられている。~
ただしこれらは今日でも「単に大型[[モンスター]]を立てる」事を「制圧」と呼んでいる事が少なくない。~

**関連リンク [#link]
-[[コントロール(デュエル用語)>コントロール#top2]]
-[[ロック]]
-[[パーミッション]]

-[[用語集]]