ビートダウンを仮想敵とし、モンスターの攻撃を受け止めて相手に返す受動的なバーンデッキ。
守備的なデッキであるが、【ロックバーン】のように攻撃や攻撃宣言を封じるのではなく、攻撃は許すが直接攻撃は防げる程度の布陣を敷くのが特徴。
その象徴と言えるのが、CYBERNETIC REVOLUTIONで登場した《ディメンション・ウォール》である。
なお、【ウォールバーン】の「ウォール」は《ディメンション・ウォール》と壁モンスターの双方を指して言う。
また、【ウォールバーン】は、「ビートダウンを廃した【ビートバーン】」、「拘束が緩くなった【ロックバーン】」、「低速の【フルバーン】」等とも称される。
これは、悪く言えば【ウォールバーン】が中途半端なデッキであることを意味するが、言い換えればそれらのデッキの要素を組み込みやすいということにもなる。
実際、【ロックバーン】でロックを破られた時の対策や、守りを無視しがちな【フルバーン】での防御手段として、【ウォールバーン】のギミックが採用されることもある。
マッチ戦などで、相手に合わせてデッキ構築を変えることができるのもこのデッキの魅力だろう。
相手の攻撃を受けた時や戦闘破壊された時に発動する誘発効果を持ったモンスター、もしくはリバースモンスターが中心となる。
《ディメンション・ウォール》、《魔法の筒》なども併用する場合は相手フィールドに出せるモンスターも利用することになる。
「相手にダメージを与える」という攻撃面と、「相手からの攻撃を防ぐ」という守備面を併せ持ったカードを中心に採用する。
モンスターをセットし、相手のモンスターの攻撃に反応して効果ダメージを与えることが基本となる。
モンスターが戦闘破壊されたとしても、相手にダメージを与えることができれば、ライフ・アドバンテージは確保できる。
また、守備表示の状態で戦闘破壊されても自分は戦闘ダメージを受けないため、直接攻撃を無効にしたのと同じになる。
相手の攻撃を待つだけでは、ただの【ドローゴー】になってしまう。
また、相手が攻撃を仕掛けてこない場合、多くのカードが腐ることになる。
よって、【フルバーン】等で採用されるようなバーンカードを用いて、こちらからも攻めていくことも必要となる。
また、リバースモンスターを中心にして、モンスター効果を自発的に発動するのもよい。
これらのカードで攻めていくことで、相手を焦らせ、攻撃を促すことができる。
相手が攻撃してくるようになれば、《魔法の筒》等のカードが存分に活躍できるだろう。
こちらから攻撃を仕掛けることはないため、相手が上級モンスターを召喚する場面も多くなる。
高い攻撃力を持ったモンスターの直接攻撃を受けた場合、それまで稼いだライフ・アドバンテージを一気に失うことになる。
このような状況ではボード・アドバンテージは相手が得ていることが多いため、巻き返しが難しくなる。
対策としては、【ロックバーン】のようにロックパーツを採用することが考えられる。
しかし、攻撃を完全に封じてしまうと、【ウォールバーン】として機能しなくなってしまうため、過度にロックすることは避けたい。
そこで、モンスターの攻撃力によって火力が増大する、《魔法の筒》や《ディメンション・ウォール》等のカードを多めに採用することで対応したい。
また、能動的に発動できる《ミスフォーチュン》を投入するのもよいだろう。
相手が大型モンスターを召喚してこない場合はこれらのカードが上手く機能しなくなるため、壊獣、《妨げられた壊獣の眠り》を併せて採用したい。
ダメージを与え続ける《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》や《ヴォルカニック・クイーン》も攻撃を強制できるため相性が良い。
相手の攻撃以外の行動に干渉することがないため、モンスターを大量展開される場面もあるだろう。
大量展開からの一斉攻撃では、防御が間に合わずにダメージを受けることも多いため、対策は必須と言える。
第一に考えられるのは、大量展開そのものを抑制すること。
《地盤沈下》や《おジャマトリオ》でモンスターカードゾーンを封じ込めてしまう。
自分がモンスターを展開することはないため、影響を受けるのは相手のみとなる。
第二に、一斉攻撃を封じること。
《暗黒の扉》や《攻通規制》で1ターンの最大攻撃回数を絞ったり、《魔界の足枷》で攻撃させたくないモンスターをピンポイントで封じる。
ただし、ロックパーツと同様、過度に抑えこむと【ウォールバーン】として機能しなくなってしまう。
第三の手法は、大量展開を逆に利用すること。
《停戦協定》や《自業自得》は、モンスターが多いほど火力が上がるため、大量展開後に発動することで大ダメージを狙える。
また、一度発動した後は、ブラフとしても機能してくれるだろう。
リバースモンスターを主軸にするデッキ。
受動的になりがちなこのデッキだが、リバースモンスターを用いることで、自発的な行動を可能とする。
墓地へ送られた時に誘発効果を発動するモンスターを主軸にするデッキ。
《スキルドレイン》で無効にされないのが利点であり、また自爆特攻することである程度は自分から行動することもできる。
《アステカの石像》による反射ダメージを狙うデッキ。
相手の攻撃を待つ点は同じであるが、効果ダメージ中心の【ウォールバーン】に対し、こちらは戦闘ダメージによってライフを削る。
発動条件を持つカードが多く、受動的になりがちなため、除去には非常に弱い。
モンスターはセットすることが大半であるため、《抹殺の使徒》や《ミスティック・ソードマン LV2》が天敵となる。
これらには裏側守備表示のまま処理されてしまうため、モンスター効果を発動することができない。
魔法・罠カードは、《魔法の筒》のように発動条件のあるカードが多く、また《拷問車輪》や《死霊ゾーマ》等の永続カードも多用するため、あらゆる魔法・罠除去に弱い。
また、このデッキは無効化にも弱い。
攻撃を受けた時の誘発効果やリバースした場合の効果は《スキルドレイン》や《死霊騎士デスカリバー・ナイト》で無効になる。
戦闘破壊された時の誘発効果は《冥界の魔王 ハ・デス》によって無効化され、墓地へ送られた時の誘発効果は《マクロコスモス》等で発動しなくなる。
また、罠カードは《王宮のお触れ》や《人造人間−サイコ・ショッカー》の前では機能しなくなる。
このデッキが登場したのは《レベル制限B地区》・《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》が規制を受けた06/09/01以降の環境である。
それまでのバーンデッキは【ロックバーン】が主流だったが、ロックパーツの規制によって新しいタイプの模索が始まったのである。
他のロックパーツに頼ったタイプやチェーンカードに頼ったタイプが登場する中で、あえてロックせずに戦うタイプが【ウォールバーン】であった。
デッキ単体では、同時期に流行した【チェーンバーン】に速度で劣っており、目立った活躍はなかった。
しかし、デッキが確立されてからは【ウォールバーン】の要素をもった【ロックバーン】や【チェーンバーン】を見かけるようにもなった。