環境に存在する主流デッキを徹底的に対策したデッキ。
形式や具体的な定義は特に決まっておらず、【メタビート】というのはデッキの名称ではなく概念的な意味合いが強い。
相手(又はお互い)の複数のカードに影響を及ぼす永続効果モンスターや永続カードが投入されるのが最大の特徴。
「流行しているデッキの長所」を消すためのカードを搭載することで、流行のデッキに対抗するという実戦向きのデッキと言える。
このデッキの代名詞と言えるカードとして《王宮の弾圧》がよく挙げられ、それを投入したデッキは全て【メタビート】と扱われる事があった。
しかし、11/09/01で禁止カードに指定されたため、現在はこのタイプは存在しなくなっている。
《ライオウ/Thunder King Rai-Oh》 効果モンスター 星4/光属性/雷族/攻1900/守 800 このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、 お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。 また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、 相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。
《王宮の弾圧/Royal Oppression》 永続罠(禁止カード) 800ライフポイントを払う。 モンスターの特殊召喚及び、モンスターの特殊召喚を含む効果を無効にし、 そのカードを破壊する。 この効果は相手プレイヤーも使用する事ができる。
このデッキは環境に多い主流デッキを対策するデッキである。
自分の出場する大会の環境を予測し、その流行を読んだ上で構築することが特に重要である。
このデッキ特有の長所と言えるカードは少なく、「流行のデッキの長所を消す」ことで勝つデッキであるため、遊び要素は少なくなる。
また、メタというものが存在する大会向きのデッキであり、フリーでの対戦には向いていない。
対策が刺さる相手なら別であるが、大会では滅多に見られないデッキに敗北する事がままある。
相手の行動を制限するために、以下のような対策カードを採用する。
対策には使い捨てにならないモンスターカードや永続カードが望ましい。
フィールドに残り続けることは難しいが、ピンポイントで対策になるカード。
汎用性の高いカードが多いため、【メタビート】以外でもよく使われる。
【メタビート】の中でも、何を対策するのかによってメタカードの種類が異なるため、採用カードはガラリと変わる。
大きく分けるならば【メタビート】には、3つのひな型がある。
一つ目は、墓地利用(蘇生・サルベージ・自己再生・墓地除外)を対策したタイプ。
《王家の眠る谷−ネクロバレー》を採用した【墓守】や《次元の裂け目》・《マクロコスモス》を採用した【次元ビートダウン】が代表的なデッキである。
これら以外のデッキでは、《霊滅術師 カイクウ》や《閃光の追放者》を採用したデッキがこのタイプに該当する。
シンクロモンスターやエクシーズモンスターが登場する前から存在するタイプの【メタビート】であり、デッキの歴史は古い。
しかし、シンクロモンスターやエクシーズモンスターに対する耐性が低いことにも繋がっており、現在は弱体化している。
【墓守】は《王家の生け贄》やSin、【次元ビートダウン】は《ガーディアン・エアトス》等を採用し、高打点モンスターに対応するようになった。
二つめは、特殊召喚(特殊召喚モンスター・シンクロモンスター・エクシーズモンスター等)を対策したタイプ。
《王宮の弾圧》や《王虎ワンフー》を採用した【弾圧ワンフー】が代表的なデッキである。
特殊召喚封じの代表的なカードとして《王宮の弾圧》が存在するが、現在は禁止カードであり、事実上弱体化している。
《融合禁止エリア》や《不協和音》等、永続カードでは限定された特殊召喚しか封じることができない。
《虚無空間》は永続罠であるが、恒久的に封じることは困難。
これらよりも、《フォッシル・ダイナ パキケファロ》や《昇霊術師 ジョウゲン》、《王虎ワンフー》等を採用することが多い。
ただし、これらも攻撃力が不足しているため、アタッカーを兼ねる《ライオウ》で代用することもある。
また、《大天使クリスティア》や《コアキメイル・ドラゴ》等の特定デッキ専用のメタモンスターの存在から、このタイプは多岐に渡る。
三つ目は、効果モンスター(モンスター効果)を対策したタイプ。
かつては目立たない存在だったが、強力な効果モンスターが登場し始めたために、需要が拡大した。
その中でも、フィールド発動を封じるタイプと、墓地発動を封じるタイプの2つに大別される。
前者の代表的なデッキは【スキルドレイン】であり、後者は【次元ビートダウン】である。
【スキルドレイン】はメタモンスターとの相性が悪く、採用モンスターが特殊になりやすい。
《神獣王バルバロス》やSin等の妥協召喚・特殊召喚(デメリット)モンスターの採用が最大の特徴。
自身をリリースしたり、墓地で効果を発動するモンスターを採用することもある。
《禁じられた聖杯》や《デモンズ・チェーン》等の《スキルドレイン》の脇を固めるカードが登場したのも大きい。
また、《暗闇を吸い込むマジック・ミラー》や《閃光を吸い込むマジック・ミラー》という特定の属性専用の《スキルドレイン》も存在する。
【次元ビートダウン】は墓地封殺を兼ねる上に、暗黒界や魔轟神、リクルーター等の効果を封じ込められることが大きい。
さらに制限カードの《オネスト》や《BF−月影のカルート》を腐らせることもできる。
上記のように【メタビート】には、3つのタイプが存在するが、複合可能なものと複合困難なものが存在する。
複合可能なものは、墓地封殺型と効果封殺型であり、複合困難なものは特殊召喚封殺型と効果封殺型である。
前者は、共に永続カードを軸としたものであるために共存できるが、後者は封殺効果を自分で封殺しまうため、共存困難になる。
なお、【スキルドレイン】と【次元ビートダウン】を組み合わせた【スキドレ次元】や【スキルドレイン】と【墓守】を組み合わせた【スキドレ墓守】が存在する。
《王虎ワンフー》と《強者の苦痛》のコンボを採用したデッキタイプ。
【苦痛ワンフー】【弾圧苦痛ワンフー】などとも呼ばれる。
《クレボンス》・《ゾンビキャリア》を始めとするチューナーモンスターは攻撃力が低い傾向にあるので《王虎ワンフー》を召喚しておくだけでも【シンクロ召喚】に対する大きな抑止力となる。
更に《強者の苦痛》を発動すれば、《王虎ワンフー》を戦闘破壊できる下級モンスターは非常に少なくなる。
なお、《奈落の落とし穴》が使いづらくなる点には注意したい。
上級モンスターを中心としたタイプ。
攻撃力不足が解消され魔法・罠カードのサポートへの依存も減るが、手札事故が起きやすいのが難点。
採用されるのは《虚無魔人》や《エンド・オブ・アヌビス》・《霧の王》といったモンスターである。
罠カードを使用するため、《黄泉ガエル》等でリリース確保するのは難しく、《死皇帝の陵墓》を採用するのも手。
メタカードで守ってきた下級モンスターをリリースする方法もある。
【死皇帝の陵墓】も参照。
光属性モンスターを中心としたデッキタイプ。
《オネスト》による戦闘補助と、属性を統一することで《御前試合》を採用できるのが最大の利点。
《ライオウ》もあるので、相手の戦術を封じるのはさほど難しくない。
壁モンスターに対抗できる《忍者マスター SASUKE》も優秀。
《閃光の追放者》は《オネスト》と併用できないため、投入しないデッキが多い。
《オネスト》との相性の良い《白い泥棒》を入れることで相手の手札を削り取ることも出来るので採用しておいて損はないだろう。
ちなみに《豊穣のアルテミス》を採用し、カウンター罠を多めに投入することで【パーミッション】寄りにすることもできる。
光属性モンスターと闇属性モンスターを中心としたデッキタイプ。
【カオスメタビ】【カオススタンダード】などとも呼ばれることもある。
光属性・闇属性には《ライオウ》や《霊滅術師 カイクウ》・《閃光の追放者》・《昇霊術師 ジョウゲン》と数多くのメタモンスターがいる。
また、《死霊騎士デスカリバー・ナイト》や《D.D.クロウ》や《エフェクト・ヴェーラー》等の墓地・モンスター効果対策となるモンスターも豊富。
これらに《異次元の女戦士》等を絡めると多くのデッキを対策することができる。
また、属性を二つに揃えることでカオスモンスターを特殊召喚しやすく、ボード・アドバンテージが稼げる。
さらに《オネスト》や《闇の誘惑》、《ダーク・アームド・ドラゴン》と強力なサポートカードも採用できることが強み。
特殊召喚よりなデッキではないため、《強欲で謙虚な壺》などを入れることが可能である。
岩石族モンスターを中心としたタイプ。
《フォッシル・ダイナ パキケファロ》や《N・グラン・モール》など強力なメタ効果を持つ岩石族を採用し、《コアキメイル・ガーディアン》や《コアキメイル・ウォール》の維持コストを確保する。
また、同じくメタ効果を持つ《虚無魔人》や《死霊騎士デスカリバー・ナイト》などの悪魔族を投入した【ダーク・ガイア】も存在する。
《闇竜の黒騎士》を中心とし、【アンデット族】・【スキルドレイン】のギミックを採用したデッキタイプ。
光属性軸のギミックも採用でき、《スキルドレイン》と相性の良い《馬頭鬼》や《ピラミッド・タートル》も組み込める。
強力な闇属性・光属性モンスターの特殊召喚を一枚で対策できる《コアキメイル・ドラゴ》を投入したデッキタイプ。
【ドラグニティ】なら維持コストを確保しやすく、こちらの《ドラグニティナイト−ヴァジュランダ》や《スターダスト・ドラゴン》などには刺さらないため自然に投入できる。
度重なる制限改訂を受け回転力を失った【BF】において、《王宮の弾圧》を受けない特殊召喚の多さに注目して構築されたタイプ。
《BF−蒼炎のシュラ》や《ゴッドバードアタック》でアドバンテージを取りやすいのが強み。
詳しくは当該ページを参照。
ガジェットは少ないモンスター枚数で戦線を維持できるため、大量の除去カードやメタカードを詰め込んだ型が活躍した。
現在は《マシンナーズ・フォートレス》や《血の代償》+エクシーズモンスターを搭載し、打撃力も増している。
詳しくは当該ページを参照。
《不死武士》を軸に据えた戦士族統一のメタデッキ。
詳しくは当該ページを参照。
Sinモンスターを中心とした【スキルドレイン】で、採用するカードから【Sinスキドレギアバレー】とも呼ばれる。
詳しくは当該ページを参照。
暗黒界モンスターは全て墓地発動なので、《スキルドレイン》との相性が非常によい。
また、《暗黒界の龍神 グラファ》は強力な自己再生能力を持つためウイルスのコストに最適で、ピーピング・ハンデスで手札に対しても大ダメージを与えることができる。
詳しくは当該ページを参照。
墓地利用メタと強化を合わせ持つフィールド魔法《王家の眠る谷−ネクロバレー》と、墓守によるビートダウン。
詳しくは当該ページを参照。
《E・HERO アナザー・ネオス》を中心とする光属性軸で、【光デュアル】ともいう。
詳しくは当該ページを参照。
相手の魔法カードを封じる《魔法族の里》と魔法使い族を中心としたタイプ。
詳しくは当該ページを参照。
またマストカウンターの見極めが重要であり、ひとつのプレイミスが即敗北につながりかねない非常にシビアなデッキでもある。
【メタビート】という名称が広まる前から、《霊滅術師 カイクウ》や《王家の眠る谷−ネクロバレー》、《王宮の弾圧》等で流行のデッキを対策したデッキは存在していた。
この頃に流行したデッキといえば、【カオス】であり、その対抗馬として生まれた【ノーカオス】は、その一例と言える。
【変異カオス】というトークン・特殊召喚多用のデッキの存在から《王虎ワンフー》を採用した【弾圧ワンフー】が登場した。
「閃光会」と呼ばれた2006年度選考会では、《閃光の追放者》や《霊滅術師 カイクウ》、《王宮の弾圧》を搭載した【除去ガジェット】や【カオス】がベスト4の実績を残している。
また終盤から【ダムドビート】や【剣闘獣】、【ライトロード】といった速攻性の高い強力なデッキが流行し始めた。
これらは特殊召喚・モンスター効果、墓地利用への依存度が高く、この対策をするだけで有利にデュエルを進められる。
特に特殊召喚を対策すれば、上記のデッキの速度を遅らせることができるため、それほど速くないビートダウンでも対抗がしやすかった。
シンクロ召喚が登場したことで「特殊召喚対策」の重要度が増す。
11/09/01でついに《王宮の弾圧》が禁止カードに指定されたため、これらのデッキはキーカードを失い弱体化した。