1ターンキル/"One Turn Kill" or "First Turn Kill" †
本来は自分の1ターン目に勝利をする事。
先攻1ターン目に勝利する事は「先攻1ターンキル」、後攻の場合は「後攻1ターンキル」と表現する。
しかし、原作では「1ショットキル(開始から数ターン後に1ターンだけを使って勝利条件を満たす事)」を1ターンキルと呼んでいたため、OCGでは1ターン・1ショットをまとめて「1ターンキル」と呼ぶ事が多い。
通称は「1キル(ワンキル)」。
基本的に相手にやりたい事をさせずに勝利する事であり、1ターンキルが頻出するのは本来カードゲームとしては望ましい状態ではない。
しかし、遊戯王OCGでは主流デッキ・地雷デッキを問わず、1ターンキルはよくある現象である。
そのため、他のカードゲームと遊戯王OCGを比較する際、ゲームバランス及びゲームシステムが悪いと批判・非難される原因にもなっている。
先攻1ターンキルを妨害できる方法は乏しく、《D.D.クロウ》や《エフェクト・ヴェーラー》などの手札誘発系モンスター効果にほぼ限定される。
一方で後攻1ターンキルの場合は、《神の宣告》等のカウンター罠が使えるため無効にする手段がより豊富になる。
よって「先攻1ターンキル」の方が「後攻1ターンキル」よりも凶悪さでは上回るというのが通説である。
また、後攻1ターンキルを前提にしたタイプは戦闘ダメージによって相手ライフを0にするものが大半であり、通常のビートダウンと同じカードである程度対処が可能なのも「先攻1ターンキルの方が凶悪」とされる理由の1つである。
後攻1ターンキルに対しては、古くは《クリボー》、近年では《バトルフェーダー》等の戦闘ダメージを発生させないカードが対策として使われる事が多い。
かつての1ターンキルデッキは【デビル・フランケン】や【サイエンカタパ】のように、勝利の方法を1つのコンボにのみ求めたデッキが多かった。
このため、そのコンボを何らかの形で潰してしまえば勝利を奪うことが可能であり、マストカウンターを見分けやすかった。
しかし、第5期末期からシンクロモンスターを筆頭とする強力な特殊召喚モンスターが激増し、容易に高レベルモンスターを並べる戦術が増加。
「ビートダウンの速度が早すぎるため、結果として1ターンキルできる」というデッキが爆発的に多くなっている。
【ライトロード】、【アンデシンクロ】、【BF】、【聖刻】など、第6期以降環境に登場したテーマデッキのほとんどは1ターンキルが可能である。
【インフェルニティ】・【六武衆】の様な大量展開系の場合、1ターンキルを狙うと同時に逆転を難しくさせる強固な布陣を敷いてくるため、1ターンキルだけを阻止しても全く対策にならないことが多い。
第7期末期以降の環境では、【ゼンマイハンデス】や【神光の宣告者】、【甲虫装機】といった「1ターンで相手の戦力又は戦意を根こそぎ奪う」という意味での「1ショットキルデッキ」が用いられている。
こちらは、その特性から「変則1キル」とも呼ばれている。
第6期以降、1ターンキル可能なテーマデッキが新登場し、環境で暴れた後に制限改訂で規制され、新たな1ターンキルデッキが後釜を奪う、というサイクルが繰り返されている。
よって、大会等では1ターンキルは当然仕掛けられてくるものであり、むしろ1ターンキルを容易に通してしまう側のデッキ構築に問題があると考えるべきである。
常に流行の1ターンキルデッキの対策を練り、メタを張ることが重要となる。
1ターンキル対策としてマッチ戦を前提にするのも一つの手といえる。
1戦目で1ターンキルが決まっても、サイドチェンジで対策を行う事で、2戦目以降は1ターンキルを通すか通さないかの独特の駆け引きに持ち込む事ができる。
マッチ戦の場合、サイドデッキから以下のカードを投入するのが有効。
- 【デッキ破壊1キル】などのデッキ破壊系
→《ネコマネキング》・《墓守の監視者》・《ヂェミナイ・デビル》など
- 【デミスドーザー】・【未来オーバー】・【デビル・フランケン】などの一撃必殺系、大量展開系
→《ネクロ・ガードナー》・《威嚇する咆哮》・《和睦の使者》
→手札消費の激しい大量展開系の場合:全体除去
- 【サイエンカタパ】・【キャノンバーン】・【ドグマブレード】・《ダーク・ダイブ・ボンバー》利用型1キルなどのバーン系
→《ハネワタ》・《ライフ・コーディネイター》
→墓地利用が基本なので《D.D.クロウ》
- 元々は「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」ことを意味するが、遊戯王の原作で「1ターンの内に致死量のダメージを与える」という意味で使われたことで、意味が変化してしまった。
アニメ5D's公式サイトのデュエルワンポイントレッスンでも、「1ターン目で勝つのではなく、1ターンで勝つことであり、何ターン目でもいい」と説明されている。
この後者の場合は、他のカードゲームでは「1ショットキル」と呼ばれる事が多く、このカードゲームでもよく発生しやすいためそう呼ばれている。
- 元々の「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」1ターンキルは、英語の"Turn One Kill"から来ている。
日本語では、助数詞は必ず数詞のあとに来るため「1ターンキル」という言葉で定着したのであろう。
- 英語圏では「One Turn Kill」及び略語の「OTK」という言葉が使用されており、海外の大会では広く浸透している。
「ゲームが始まって1ターン目に相手を倒す」場合には、1の序数である「First」を使用し「First Turn Kill」及び「FTK」と表現されている。
- 「先攻1ターンキルが流行るとそのTCGは廃れる」(これに「単純なパワーや数の勝負なら別」とも付けられる事もある)と言われる。
そもそも遊戯王を含めて一般的なTCGは相手との駆け引きを楽しむようにデザインされている。
だが、あまりに安定性の高い先攻1ターンキルができるようになると、先攻と後攻がそのまま勝敗に繋がるようになり、駆け引きを行うことができなくなる。
先攻1ターンキルは、ルール上ほぼ全てがバーン・デッキ破壊によって行われるため、勝つにしても負けるにしても単調なデュエルになってしまう。
その結果、TCGの対戦が事実上ジャンケンやコイントスに変わってしまい、やがてプレイヤーがそのTCGから離れてしまい、結果としてそのTCGは廃れてしまうのだ。
具体的には、最初期の【エクゾディア】や、【サイエンカタパ】、【現世と冥界の逆転】、【デッキ破壊1キル】が横行していた時代がそのような状況になっていた。
故に、先攻1ターンキルは規制されてしかるべきであると言える。
最近では先攻・後攻を問わず対策されにくい1ターンキルが横行しており結果として最近のOCG対戦の結果が事実上ジャンケンやコイントスによるものに変わってしまっている点は否めない。
マストカウンターを見極めれば、対策は十分に可能である。
- 原作・アニメにおいて―
単語としての初出は「バトルシティ編」の闇マリクによるもの。
この時は「ある1ターンでコンボを決め勝利する」という意味で使われている。
《ラーの翼神竜》の効果により相手ライフを上回る攻撃力による一撃必殺がマリクの言う1ターンキルであり、遊戯や海馬も同様に呼んでいた。
ただし初めて発言された「闇マリクvs闇バクラ」戦では既に闇バクラのライフが戦闘ダメージやライフコストにより半分以下にまで減少していた上に攻撃力が3999のため、実際は1ターンキルどころか1ショットキルですら無い。
- 闇マリクによる発言以前にも、1ターンキルに該当する行為はしばしば行われている。
ただ、原作初期はルールが曖昧なため、「どれが最初の1ターンキルか」を定義するのは難しい。
- アニメではキャラクターの強さをわかりやすく表す方法として、これ以降1ターンキルは頻繁に行われることになる。
また、紙面や放送時間の都合でデュエルを素早く終わらせるために1ターンキルが行われることも多い。
あちらの世界では初期LPが4000のため、1ターンキルは非常に成立しやすい。
- 先攻1ターンキルはアニメ5D'sの「ロットンvsラモン」戦でロットンが《ガトリング・オーガ》によるバーンで決めたのが唯一の事例である。
アニメGXの「斎王vsオージーン王子」では、斎王は自分のターンが来る前にオージーンのライフを0にし、三沢から「0ターンキル」と称された。
- タッグデュエル等では2人の相手を同時に1ターンキルすることもあり、「1ターン2キル」と通称される。
更に、遊星はアニメ5D'sの「遊星vsマルコムの手下3人」で「1ターン3キル」、万丈目はアニメGXの「万丈目vsノース校四天王」戦で「1ターン4キル」を成功させている。
- アニメ5D's公式サイトのデュエルワンポイントレッスンでは、「相手によっては不快感を与えるプレイング」と言われていた。
OCGでも対策の難しい先攻1ターンキルをすると、相手に不快感を与えてしまう事もあるので注意。
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