デッキ・カードプールの変遷

 このページには、各時代に流行した主なデッキカードについて記す。

各時代についての解説

第1期(1999年〜2000年)

 制限・準制限カードは存在せず、《強欲な壺》《天使の施し》で多くドローすることが勝利に直結していた。
 モンスター墓地へ送り、《死者蘇生》蘇生する戦術から、《サンダー・ボルト》除去攻撃する戦術へと徐々に移行していった。
 途中から効果モンスターカウンター罠が誕生し、ゲームの幅が加速的に広まった。
 また、後期にはEXの発売により、《デーモンの召喚》《死者蘇生》等、当時、数多くの必須カードが、比較的簡単に入手可能になった。

第2期(2000年〜2002年)

 開始直後にチェーンの概念が誕生し、ルールが整えられた。
 速攻魔法が誕生。
 魔法・罠カードにアイコンが導入され、永続魔法等の種類判別が分かりやすくなった。
 トゥーンモンスタースピリットモンスターといった一定の共通テキストを持つ特殊な効果モンスター群も登場。

 デッキジャンルは【スタンダード】【トマハン】といった、強力な制限カードを駆使したデッキほぼ一色。
 終盤ではそれらに《八汰烏》《悪夢の蜃気楼》が加わり、その立場は揺ぎないものとなった。

 そんな中で《生還の宝札》を用いた【宝札エクゾディア】等の1ターンキルも目立った。

 また、この時期には4種のストラクチャーデッキが登場しており、《サンダー・ボルト》《天使の施し》等の必須カードが入手しやすくなった。

第3期(2002年〜2004年)

 カードのデザインが世界統一フォーマットに変更された。
 ハンデス三種の神器を取り入れたハンデスから「《第六感》+【カオス】」を交えたデッキに流行が変化。
 時代が進むにつれて、【サイエンカタパ】を筆頭に【デッキ破壊1キル】【現世と冥界の逆転】【デビル・フランケン】【ラストバトル!】などの1ターンキル環境を支配した。
 この時期の終盤で初めて禁止カードに指定されるカードが登場することとなった。

 公認大会では1ターンキル【カオス】ハンデスデッキが列をなして襲って来た事から、暗黒時代と呼ばれる事も多い。

 その影で、上記のような主流デッキを徹底的に対策した【ジャマキャン】が誕生。
 環境主流デッキに対するメタという点では、現在の【メタビート】などの元祖ともいえるデッキだった。

 《魔導戦士 ブレイカー》《異次元の女戦士》《同族感染ウィルス》《魂を削る死霊》等の強力なカードがこの時代に登場。
 これらのカードは、後の第4期〜第5期でもほとんどは主力カードとして使用され続けている。

 原作キャラたちをモチーフにしたストラクチャーデッキは、次に登場する第9期までお預け。
 第4期以降は「種族」「属性」をテーマとしている。

第4期(2004年〜2006年)

 まだまだ第3期の迷走が続いていた中で第4期は始まったが、《混沌帝龍 −終焉の使者−》禁止されたことで、一応の沈静がなされた。
 その後、前期は強力なドローコンボを搭載した【やりくりターボ】が、中期には《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》を切り札とする、【カオス】全盛期最後の姿である【変異カオス】がそれぞれ猛威を振るった。
 どちらも必要な魔法・罠カードが多かったためにモンスターを少なめにする構築が基本とされていた。

 《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》禁止された後期には、一転して《サイバー・ドラゴン》《死霊騎士デスカリバー・ナイト》ガジェットなどを主とした、「モンスター効果に注目したデッキ」が良く見られた。
 その傾向は【除去ガジェット】【雑貨貪欲ターボ】【黄泉帝】など、今までのデッキ構築常識を覆すデッキが多数考案されていることによく現れている。

 制限改訂では、第2期〜第3期に登場した超強力カードが次々と禁止指定され、環境が整えられた。
 それに伴い【スタンダード】汎用性を失い形骸化していき、デッキの多様化が始まった。
 一方で残ったカードや新カードにより強力なロックコンボ【トランス】【MCV】等が多く生み出されたが、いずれもすぐに対策された。

 また原作が2004年3月に、アニメが同年9月に終了し、パックから原作の主人公である武藤遊戯の姿が消えたのは第4期から。
 その後はアニメ「GX」からのカードが主なパック収録カードとして変遷していく。

 他には、「ストラクチャーデッキを最も多くリリースした時代である」という特徴もある。
 第3期までの「原作キャラクター」をテーマとしたものではなく、種族属性をテーマにしたデッキが多数登場。
 その関係でノーマル仕様ながら強力カードを入手しやすくなり、新規参入を容易にした。

第5期(2006年〜2008年)

 第5期の大きな特徴の一つとして雑誌単行本ゲームに多くの強力なカードが付属収録されたということが言える。
 Vジャンプ等の雑誌は期間限定であることに加えて強力なカードが付属され、すぐに絶版となってしまうという難点があった。
 逆に雑誌に対して単行本などの付属カードは、いつでも定価で買えるというメリットもあった。
 ただし、高額であるゲーム環境を変えるほどの強力なカードを収録し複数の購入を促進させたりと購入者泣かせの物も多々見られた。
 これらの理由から同梱販売に対する悲鳴も多かった。

第6期(2008年〜2010年)

 第6期の大きな特徴として、第5期中盤から行われたパック収録枚数の増加、DUEL TERMINALの導入、EXTRA PACKによる海外組の参戦等、過去と比べてカードプールの増加スピードが大幅に早まった事が挙げられる。
 それに伴い、デザイナーズデッキが形となりやすい環境が生み出されメタゲームに参戦可能なほどに強化された。
 第5期までのデザイナーズデッキには貧弱なものが多く、大会上位に入るようなデッキの多くはプレイヤーの考案で生まれたものだった。
 それに対して第6期は【剣闘獣】【ライトロード】【BF】などが相次ぐ強力な専用カードの登場により長期的に大会上位に名を連ねた。
 このようにデザイナーズデッキが大きな影響力を持った環境は、今日まで他に類を見ないものである。

第7期(2010年〜2012年)

 第7期は、シンクロモンスターエクシーズモンスターという2つの強力な特殊召喚モンスター群によって、環境の高速化が極まった期だと言える。
 これまでは制限改訂によりある程度の調整は計られてきたが、それも難しくなり、ミラーマッチでなくとも1ターンキルデッキ同士の戦いが珍しくなくなった。
 しかし決して環境がマンネリしているわけでもなく、カードの登場ごとに新たなデッキ、プレイングも試されている。
 また1ターンキルデッキの多くは前期も活躍していたデザイナーズデッキだが、そうでないデッキの活躍も見られるようになる。
 【レスキューシンクロ】を初めとし、【デブリダンディ】【ジャンクドッペル】はその一例である。

第8期(2012年〜2014年)

 この年の世界大会では使用デッキ【征竜】【魔導書】の2種類のみという上記の二極化を体現したような結果となった。
 この背景もあり、この時期を暗黒時代とするプレイヤーも少なくない。

 第8期は、【甲虫装機】【征竜】【魔導書】等、即座に莫大なアドバンテージを獲得するデザイナーズデッキが多くの環境の中心にあり、1ターンキルとは行かずともカード・アドバンテージの物量で相手を押し倒す光景が多発した。

第9期(2014年〜2017年)

 この年の世界大会は国内と海外のリミットレギュレーションを合わせたような特殊なリミットレギュレーションが適用されており、上記の環境上位のデッキが軒並み使用不可能となっていた。
 そのため、【武神】【マドルチェ】【アーティファクト】といった国内では中堅のデッキがトーナメントに姿を見せていた。

 この年の世界大会も前年同様の理由により特殊なリミットレギュレーションが適用されており、【影霊衣】【テラナイト】【クリフォート】といったデッキが多く見られた。
 一般の部決勝では【影霊衣】【テラナイト】の対戦となり、【テラナイト】側がメタカードを駆使して勝利を収めている。

 この年の世界大会では使用可能なデッキの内、特殊なリミットレギュレーションによる弱体化が比較的軽微だった【帝王】【マジェスペクター】等のデッキが進出。
 中でも高い展開力と制圧力を両立できる【青眼の白龍】が抜きん出た強さで勝ち進み、一般の部決勝は同デッキミラーマッチとなった。

 第9期は従来のアドバンテージ概念を覆す様なパワーを持ったカードカテゴリが次々と登場し、OCGの歴史の中でも特に環境のインフレが激しかった時代と言われている。
 新たに実装されたペンデュラム召喚も当初は振るわなかったものの、サポートや戦術が確立されるに連れその脅威の耐久性と展開力が認知されていった。
 また、高い制圧力を持ったモンスターが多数登場した事、カードパワーの上昇によりそれらを容易に展開できる様になった事も第9期の大きな特徴である。(詳細は制圧を参照)
 特に【EMEm】の大流行以降は殆どの環境で「先攻ターン目で理想的な布陣を敷き、相手の反撃を封じる」戦術が主流となっている。

第10期(2017年〜2020年)

 この年の世界大会は新マスタールール下で実施された初の世界大会である。
 リンクモンスターが非常に少なかった事もあり、高い制圧力と柔軟性を有する【真竜】とその派生形が出場者の大多数を占めるという当時のOCG環境を表す結果となった。
 しかし小学生の部では【チェーンバーン】環境を逆手にとった構築と戦術で勝ち抜き、地雷デッキでありながら優勝を果たした事で大きな話題となった。

 この年の世界大会は前年と違ってリンクモンスターの数が増えた事でリンク召喚が主流化。
 【閃刀姫】【剛鬼】【オルターガイスト】主流デッキとなったが、一般の部は汎用カードを多く投入して【メタビート】寄りの構築にした【トリックスター】が優勝を飾った。

第11期(2020年〜2023年)

 第11期からは第10期に新マスタールールによって展開力が落ちていたデッキマスタールール(11期)のルール変更によって無理にリンクモンスターを採用せずとも展開できるようになった。
 その結果、シンクロ召喚エクシーズ召喚融合召喚を主戦術とするデッキも大会で活躍できる環境となる。
 一方、新マスタールールで落ちたデッキパワーを補うように生まれた《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》《水晶機巧−ハリファイバー》はオーバーパワーとなり、見過ごせないほどの活躍を続けたことで規制を受けている。

 多様なデッキが活躍する状況が続いたこと、長期間に渡って大会で使用されたカテゴリが多く存在するのも11期の特徴であった。
 しかし、終盤に当たる2022年に発売されたPOWER OF THE ELEMENTS以降は全体的なカードパワーが大きく引き上げられ、環境のインフレが急速に進んだ。
 この時期は規制されるカードもこれまで以上に多くなっており、立て続けに強力なカードが登場して間もなく規制される状況が繰り返されている。
 一枚のカードが持つ効果の量が増えたことにより、デッキによっては一試合に掛かる時間が非常に長くなる問題も発生。
 特に【イシズティアラメンツ】全盛期にはエキストラターンエキストラデュエルが多発、大会運営に影響が出る事態になっている。

第12期(2023年〜)

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