優先権/Priority †
各フェイズやステップでカードを最初に発動する権利は、常にターンを進めているターンプレイヤーにあります。
これをターンプレイヤーの「優先権」といいます。
相手プレイヤーは、ターンプレイヤーが優先権を持っている限り、自動的に発動する誘発効果以外は、先にカードを発動する事ができません。
「優先権を行使してカードを発動した場合」と「優先権を放棄した場合」、優先権は自動的に相手プレイヤーに移ります。
フェイズやステップを進める前には必ず優先権を放棄しなければなりません。
これをデュエル中に厳密に行うとすると、フェイズやステップの終了前ごとに優先権の放棄を宣言し、相手のカードの使用を確認しなければなりません。
ただし、実際のデュエルではゲームをスムーズに進めるため、フェイズやステップの終了宣言に優先権の放棄の意も含めています。
したがって、フェイズなどの終了を宣言した時、相手プレイヤーは「それでは終了前にこのカードを発動します」と言いカードを使用することが可能で、これはターンプレイヤーが優先権を放棄したため、相手プレイヤーが優先権を得たという形になります。
(公式ルールブック マスタールール3対応 バージョン 1.0 より引用)
優先権はお互いの行動の順番を明確に定める概念である。
「優先権を持っている状態」とは、クイックエフェクトにせよ通常魔法の発動にせよ攻撃宣言にせよ、行動を起こす権利を持っている状態であるとイメージすると分かりやすい。
能動的な行動は常に優先権を介して行われている。
優先権の移る行為・移らない行為 †
- 優先権の放棄をした場合。
自分が優先権を持っている場合に、何もしないことを示すことである。
- 優先権の放棄について。
優先権の放棄をする必要のある行動は以下のものがある。
これらの行動は「お互いの優先権の放棄」をした直後、ターンプレイヤーができることである。
以上である。
などである。
- 「優先権」という言葉でひとくくりにされるが、その強さによって2つに分類できる。
優先権の扱い †
優先権が問題になる事例は「ターンプレイヤーが優先権の放棄をしない処理をした直後」、「カードの発動など優先権が相手に移った直後」、「一連のチェーン処理が終了した直後のクイックエフェクトの発動タイミング」にだいたい分類できる。
いずれの場合に関しても、優先権を無視したカードのプレイを行った場合、相手に巻き戻しをされる可能性があることに関しては同じである。
- 「ターンプレイヤーが優先権の放棄をしない処理をした直後」について。
その直後にさらにターンプレイヤーはクイックエフェクトの発動が可能となる。
改めて「優先権の放棄」をして初めて相手プレイヤーのクイックエフェクトの発動タイミングが訪れる。
- 「カードの発動など優先権が相手に移った直後」について。
二つ連続でクイックエフェクトを発動したいときに問題になる。(下記「優先権を意識した確認について」参照)
- 終了を宣言したとしても、その時に相手が何かしらの行動を起こせば、またこちらに優先権が移り行動を起こすことができる。
ただし、バトルフェイズの終了に際しては一つ注意が必要。
例えばバトルフェイズを終了する直前に相手が《血の代償》を用いてモンスターを召喚した場合、自分の《阿修羅》によってそのモンスターに攻撃を仕掛けることはできない。
これは終了宣言はエンドステップで行うためで、バトルステップは既に終わっている。
よって、上記の例ではすでに攻撃を行えない。
同様にターン終了の宣言に対して相手がカードの発動を行ったとしても、エンドフェイズに対するキャンセルであるため、メインフェイズでなければ行えないモンスターの召喚や魔法・罠カードのセットはできない。
→エンドサイク
- 「優先権を行使して〜の効果を発動。」とする人がよく見られるが、そのタイミングで持っているものでわざわざ言わなくてもよい。
ただ、あまり理解していないプレイヤーに「優先権」を認識させるには有効ではあるかもしれない。
正確に優先権を確認する場合以下の様になる。
優先権を意識した確認について †
ターンプレイヤーが何らかのカードのプレイをした直後に、自分に優先権があることを確認しながら進行することは大切である。
しかし、自分に優先権がある状態で相手に「何か発動しますか?」と聞くと言うことは、事実上優先権を放棄していることになる。
故に以下のようなことはできない。
相手に聞くということは優先権を放棄しているし、相手も優先権を放棄した、つまり「モンスターの召喚に成功したタイミング」は終わっているので、《激流葬》を発動できるタイミングでは無くなっている。
他方で、上記の例で非ターンプレイヤーが「では、《サイクロン》を発動します」などクイックエフェクトを発動した場合、「モンスターを召喚したタイミング」のままなのでこれにチェーンして《激流葬》を発動することはできる。
もう一つ、モンスターを召喚・特殊召喚したタイミングは「召喚・特殊召喚を無効にするカウンター罠」の発動タイミングがある。
これは「モンスターの召喚成功時のクイックエフェクトの発動タイミング」以前のタイミングで、この確認かどうかの問題も出てくる。
順番としては、「モンスターの召喚を無効にするカウンター罠」に対し「何か発動しますか?」と聞き、その後優先権でのクイックエフェクトの発動タイミングが訪れる。
確認で揉めたくないならば、このモンスターの召喚の際の確認を「モンスターの召喚を無効にする罠を発動しますか?」としっかりと聞くことが大切だろう。
また、優先権が移る行為での相手のカードの発動の確認は別の意味で重要である。
優先権の移る行為の直後に相手に聞くのは当然のこと、上記の例の確認を怠り《破壊輪》発動後すぐ《地獄の扉越し銃》を発動してしまうと、非ターンプレイヤーに異議を唱えられ巻き戻しが発生しフリーチェーンのカードを《破壊輪》にチェーンして発動される可能性が出てしまう。
(《地獄の扉越し銃》の発動が不可能になる。)
主にターンプレイヤー側において「お互いの優先権の放棄」後にしかカードプレイができない行為に関しても非常に注意が必要である。
通常召喚と条件による特殊召喚は「お互いの優先権の放棄」が必要なプレイであるため、途中のクイックエフェクトの発動タイミングを確認せずに連続して行うと上記のように巻き戻しをされることになる。
特に上記の例は《奈落の落とし穴》等の発動タイミングでもあるため連続でモンスターの召喚を行いたい場合は注意が必要である。
- 相手が優先権を無視した行為を行った時、こちらは異議を唱える事ができる。
この場合デュエルを巻き戻し、問題が発生する前の状態からデュエルを再開する事となる。
非ターンプレイヤーの側も、「お互いが優先権を放棄」した場合に、次にターンプレイヤーが「優先権が移る行動をとるか放棄」しない限りクイックエフェクトの発動タイミングが存在しないことに注意が必要である。
通常召喚と条件による特殊召喚は「お互いが優先権を放棄」した場合にプレイできるため、途中のクイックエフェクトの発動タイミングをスルーしてしまうとターンプレイヤーに次の行動を許してしまう。
《増殖するG》等を発動したい場合、《灰流うらら》の召喚成功時、ターンプレイヤーが優先権を放棄したタイミングで発動する必要がある。
優先権とは無関係に発動する例について †
一般的な誘発効果と、強制発動の誘発即時効果は、優先権のルールとは別の優先度で発動が行われる。
これらの効果は、条件を満たした場合、クイックエフェクトより優先的に発動する。
詳しくはそれぞれ該当のページを参照。
以前のルールについて †
上記の通り、召喚自体は優先権が移る行動ではなく、このタイミングからカードを使用する権利はそのプレイヤーが保持したままである。
加えて、マスタールール2以前のルールにおいては、このタイミングかつチェーン1の場合のみ「フィールドのモンスターの起動効果」が使用できた。
この件については起動効果も参照。
- 海外ではマスタールール2適用後も、2012年の4月までこのルール変更が行われなかった。
その他 †
- 原作・アニメにおいて―
原作・アニメでは、手札のカードに手をかけた、または伏せカードを発動しようとした瞬間に、対戦相手がそのカードを標的としたカードを発動させるシーンが見られる。
これに限らず、現実のルールならば優先権を無視、あるいは優先権自体が存在しないような挙動は数多く見られる。
もっとも、事細かに確認すると話のテンポが悪くなる上に盛り上がりに水を差すため致し方ない面もあるが。
- 漫画OCGストラクチャーズの「尚磨vsライト月子」戦では、ライト月子の挙動に対して尚磨が「まさか…また増G!?」と反応し「…何かありますか?」と優先権の確認を行なっている。
現実のルールに即した同作品らしいシーンと言えよう。
関連リンク †
外部リンク †
FAQ †
Q:相手フィールドに《ライオウ》が、自分フィールドに表側表示の《王宮のお触れ》と《王宮の弾圧》があります。
自分は手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚しようとしています。
この時、相手の《ライオウ》の発動より先に自分は、《王宮の弾圧》を発動できますか?
(モンスターの召喚を無効にするタイミングでターンプレイヤーに優先権はありますか?)
A:相手が《ライオウ》の効果を発動する前に、ターンプレイヤーである自分が《王宮の弾圧》の効果を発動する事ができます。(11/02/27)
Q:自分が《サイクロン》の効果を発動して相手にカードの発動の確認をし、相手は何もカードを発動しませんでした。
その後自分は《サイクロン》の効果処理時のタイミングで相手にカードの発動の確認をせずに手札から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚しました。
《サイクロン》の発動のタイミングではチェーン確認はしたものの、カードの処理後の発動確認をしていないので相手はこれについて異議を唱えて《サイクロン》の処理後のタイミングまで巻き戻し、《マインドクラッシュ》を発動して《サイバー・ドラゴン》を宣言することはできますか?
A:その場合、処理後のタイミングまで巻き戻して《マインドクラッシュ》を発動する事ができます。
なお、公式大会では当日の審判にご相談ください。(08/11/30)
Q:ターンプレイヤーがバトルフェイズに移行しました。
非ターンプレイヤーはターンプレイヤーが攻撃宣言する前に《威嚇する咆哮》を発動する事はできますか?
A:バトルフェイズのスタートステップ時、ターンプレイヤーがクイックエフェクトを発動する意思が無いのであれば、非ターンプレイヤーがクイックエフェクトを発動できます。
よって、ターンプレイヤーの攻撃宣言前に《威嚇する咆哮》を発動する事はできます。(12/11/29)
Q:自分のモンスターが相手に攻撃宣言を行いました。
この時点では優先権が自分にあるので、《サイクロン》を発動しました。
相手は、この《サイクロン》(スペルスピード2)にチェーンして《バトルフェーダー》(スペルスピード1)の効果を発動できますか?
A:はい、可能です。(12/05/19)
Q:ターンプレイヤーが《ダーク・グレファー》を召喚し優先権を放棄しました。
これに対し非ターンプレイヤーは《奈落の落とし穴》を発動しました。
この処理が終わった後ターンプレイヤーは別の《ダーク・グレファー》の起動効果を、非ターンプレイヤーは《月の書》を発動したいと考えています。
どちらが先に行動することができますか?
A:《奈落の落とし穴》の効果処理が終了した時点で、優先権はターンプレイヤーにありますが、ターンプレイヤーがスペルスピード2以上のカードや効果を発動しない場合は、先に相手プレイヤーから《月の書》を発動する事ができます。(11/09/08)
Q:ターンプレイヤーが《切り込み隊長》を召喚し誘発効果を使用しました。
これに対しターンプレイヤーは《激流葬》を、非ターンプレイヤーは《落とし穴》を発動したいと思っています。
どちらが先に発動できますか?
A:非ターンプレイヤーが先に《落とし穴》を発動する事ができます。(12/12/01)
Q:ターンプレイヤーがモンスターを召喚しシンクロ召喚を行うために優先権を放棄しました。
これに対し非ターンプレイヤーは《激流葬》を発動しました。
そのためターンプレイヤーは《神の宣告》を発動しました。
この処理が終わった後ターンプレイヤーはシンクロ召喚を、非ターンプレイヤーは《月の書》を発動してシンクロ召喚の妨害を行いたいと考えています。
どちらが先に行動することができますか?
A:非ターンプレイヤーが《月の書》を先に発動する事ができます。(12/03/12)
Q:ターンプレイヤーがモンスターを召喚し、お互いに《激流葬》の発動の有無を確認しましたがお互いに何も発動しませんでした。
その後ターンプレイヤーはシンクロ召喚を、非ターンプレイヤーは《サイクロン》を発動したいと考えています。
どちらが先に行動することができますか?
A:ターンプレイヤーが先にシンクロ召喚を行えます。(13/03/09)
Q:ターンプレイヤーが《サイクロン》を発動し、お互いに何もチェーン発動しませんでした。
効果を処理した後、ターンプレイヤーは別の《サイクロン》を、非ターンプレイヤーは《心鎮壷のレプリカ》を発動したいと考えています。
どちらが先に発動することができますか?
A:ターンプレイヤーが先に《サイクロン》を発動できます。(13/03/23)
Q:特殊召喚成功時の優先権について。
A:特殊召喚に成功したタイミングでは、基本的に直前のチェーン処理に関わらずターンプレイヤーからカードや効果の発動をする事ができます。(11/07/27)
Q:自分ターンのエンドフェイズに《W星雲隕石》によってモンスターが特殊召喚されました。
このタイミングに自分は《魔導教士 システィ》の効果を発動したいと考えていますが、一時的に優先権を放棄する必要はありますか?
A:特殊召喚に成功した時のタイミングにお互いにカードを発動しなかった場合、《魔導教士 システィ》の効果を発動できます。(12/12/22)
Q:自分のターンのエンドフェイズに、自分の《亜空間物質転送装置》の処理でモンスターを自分フィールドに戻しました。
その後、自分は相手に優先権を移さずに、続けて《魔導教士 システィ》の効果を発動することはできますか?
A:できます。(13/05/09)
Q:自分のターンのエンドフェイズに、自分の《精神操作》で奪ったモンスターを相手に戻しました。
その後、自分は相手に優先権を移さずに、続けて《魔導教士 システィ》の効果を発動することはできますか?
A:できます。(13/05/09)
Q:《フュージョン・ゲート》や《王宮の弾圧》のような相手も効果を使用できるカードが相手フィールドに存在します。
自分がその効果を発動した時、優先権はどちらに移りますか?
A:自分が効果を発動しているので、相手に優先権が移ります。(22/11/24)