【ドラグーンビート】 †
単体で非常に高い性能を誇る融合モンスター《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を主軸としたデッキ。
《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を出す方法は多岐に渡り、デッキの構築は人によって分かれやすい。
後述の通り出張性能も高く、第10期末以降の環境における流行にもなった。
- なお、史料的価値を考慮して、現状このページの記述の大半は規制前の20/01/01における環境での記述を前提としている。
《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ/Red-Eyes Dragoon》
融合・効果モンスター(制限カード)
星8/闇属性/魔法使い族/攻3000/守2500
「ブラック・マジシャン」+「真紅眼の黒竜」またはドラゴン族の効果モンスター
(1):このカードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、
その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
この効果は1ターン中に、このカードの融合素材とした通常モンスターの数まで使用できる。
(3):1ターンに1度、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。
その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする。
融合召喚の方法には指定が無く、それ以外の方法でも出せるので特殊召喚の手段自体は豊富にある。
全て書くとキリがないため、ここでは代表的なものや特筆すべきもののみを示す。
如何に性能が高い《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》と言えども、単体で維持し続けるのは難しい。
防御カードや蘇生カードで常に《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を維持し続けたい。
《神の宣告》や《魔宮の賄賂》は《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》で対処できない《冥王結界波》やカウンター罠を防げるので併用できれば安心。
メタカードとなる《超融合》への対抗策となる《虚無空間》・《王宮の勅命》・《魔封じの芳香》も有用(ただし事前に発動する必要はある)。
汎用蘇生手段として《リビングデッドの呼び声》と《戦線復帰》はどちらも一長一短。
(3)で強化されるのは攻撃力だけなので、この点では前者と相性が良く、破壊耐性により自壊デメリットも気にならない。
一方、チェーン発動された《サイクロン》などに妨害されない後者にも利点はあり、蘇生手段の確実性としては勝る。
展開が容易な汎用モンスターを中心とし、《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》をほぼ確実に1ターン目に出す構築。
相互サーチが可能なトリックスター出張セット、手札誘発をサーチ可能な《魔界発現世行きデスガイド》&《クリッター》など、展開手段は多種多様。
《捕食植物オフリス・スコーピオ》&《捕食植物ダーリング・コブラ》の出張セットならば《円融魔術》をサーチできるため、次ターンに2体目の《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を出す準備も構えられる。
1ターン目に融合召喚できる確率を少しでも上げるため、《真紅眼融合》をサーチできる《レッドアイズ・インサイト》&《真紅眼の飛竜》が採用される場合もある。
空いた枠には汎用防御カードや蘇生カードを詰め込み、《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の維持に努める。
更なる展開が可能ならば《I:Pマスカレーナ》もリンク召喚しておき、返しのターンに《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》とで《双穹の騎士アストラム》や《召命の神弓−アポロウーサ》を出す事も考えられる。
ただし、モンスター3体が並ぶ上に優先権はターンプレイヤーの相手にあるため、《ラーの翼神竜−球体形》で一発で除去される点に注意。
デッキの殆どが汎用カードなので安定感が非常に高く、どの様な初手であっても一定の戦力が確保できるのがメリット。
モンスター2体+《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》だけで機能するため召喚回数が少なく、《増殖するG》や《原始生命態ニビル》が刺さりにくいのも利点。
一方で、肝心の《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》の効果を《エフェクト・ヴェーラー》や《無限泡影》で止められると弱い点は注意。
《墓穴の指名者》や《抹殺の指名者》で相手の手札誘発を防ぐことが必須と言えよう。
また、仮に1ターン目は妨害されても汎用防御カードで相手ターンを凌げれば、次のターンに再び同じ動きでの展開を狙える。
派生構築として【召喚獣】ギミックを採用したものも存在し、適当なモンスター2体を並べる動きが《暴走召喚師アレイスター》とも噛み合う。
《召喚獣メルカバー》と並べれば1ターンに2度の万能カウンターが行える強固な布陣となるが、手札消費には注意。
種族・属性サポートを共有できる。
《真紅眼の黒竜》&《真紅眼融合》を採用しても良いが、採用せずに汎用性の高いドラゴン族効果モンスターで代用できるのが利点。
《呪符竜》・《竜騎士ブラック・マジシャン》と融合素材が共通しているため使い分けもでき、特に後者は防御カードの維持にも利用できるため、並べられれば強固な布陣となる。
キーカードの《永遠の魂》を(3)で守りつつ、あちらが破壊されても自身は破壊耐性で耐える事ができる。
融合召喚の手段としてはサーチが容易い《黒魔術の秘儀》、他の融合モンスターとも使い分けができる《円融魔術》が候補。
サーチが難しいが《ティマイオスの眼》でも出すことができ、その場合でも1回分の除去は可能。
カテゴリ・属性サポートを共有できる。
《レッドアイズ・インサイト》・《黒鋼竜》の存在により《真紅眼融合》のサーチが容易く、特に前者はサーチしたターンに即座に発動可能。
《真紅眼の飛竜》を《レッドアイズ・インサイト》のコストに使えば、除去された《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を次のターンに蘇生できる。
その他、《レッドアイズ・スピリッツ》も存在するため、1体の《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》をしぶとく使い回せる。
ただし、《真紅眼融合》の関係上、《ブラック・マジシャン》を採用する必要がある。
《真紅眼の黒竜》とサポートは共有できるので然程のデメリットでもないが、元々手札事故のリスクがあるデッキのリスクが増す点は意識すべきである。
融合素材2種を採用せず《ドロドロゴン》とドラゴン族効果モンスターを並べる事を意識した構築。
その性質から《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》に特化するのではなく、展開の一選択肢程度の扱いと捉えた方が良い。
《星杯の神子イヴ》+レベル1非チューナーで《ドロドロゴン》を出し、《星杯の神子イヴ》の効果で《星杯の守護竜》をリクルートすれば条件は整う。
ドラゴン族の数が多くレベル6シンクロ召喚を得意とする【ドラグニティ】、《クイック・リボルブ》でチューナーをリクルート可能な【ヴァレット】も狙いやすい。
【ドラゴンメイド】ではレベル2チューナー+《ドラゴンメイド・チェイム》を並べれば展開でき、ドラゴンメイド融合モンスターとも使い分けが可能。
環境では、展開力が高く《黒牙の魔術師》等の魔法使い族・闇属性サポートを共有可能な【魔術師】において実績を残した結果がある。
ただし、(2)の除去が使えないので破壊耐性を持つモンスターを突破できず、時間稼ぎも相手にされやすい点に注意。
この点は他のエクストラデッキのモンスターで補うと良いだろう。
【リリーサードラグーン】 †
《儀式魔人リリーサー》を利用して儀式召喚した《クラウソラスの影霊衣》と《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を並べる事に特化した構築。
《儀式魔人リリーサー》の効果で相手の特殊召喚行為を封じられるため、恐ろしく強固な制圧布陣が完成する。
《超融合》や壊獣といったメタカードを封殺でき、《冥王結界波》を受けても特殊召喚制限は解除されない。
ただし、布陣の完成までに大量展開を必要とするため《増殖するG》や《原始生命態ニビル》が強く刺さるのが弱点と言える。
展開手段として最もメジャーな方法は《水晶機巧−ハリファイバー》始動のルートである。
- 《水晶機巧−ハリファイバー》で《幻獣機オライオン》をリクルートし、《水晶機巧−ハリファイバー》をリンク素材に《リンクロス》をリンク召喚してリンクトークン2体を生成。
- リンクトークンAと《幻獣機オライオン》で《武力の軍奏》をシンクロ召喚し、《幻獣機オライオン》の効果で幻獣機トークンを特殊召喚。
- 《武力の軍奏》とリンクトークンBで《虹光の宣告者》をシンクロ召喚。
- 《武力の軍奏》によってチューナー扱いとなった《虹光の宣告者》と幻獣機トークンで《シューティング・ライザー・ドラゴン》をシンクロ召喚。
- 《虹光の宣告者》で《クラウソラスの影霊衣》をサーチし、《シューティング・ライザー・ドラゴン》で《儀式魔人リリーサー》を墓地へ送る。
- 《リンクロス》と《シューティング・ライザー・ドラゴン》で《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》をリンク召喚。
- 《クラウソラスの影霊衣》で《影霊衣の反魂術》をサーチして発動し、墓地の《儀式魔人リリーサー》を使用して《クラウソラスの影霊衣》を墓地から儀式召喚。
- 《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》で《真紅眼融合》をコピーし、《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を融合召喚。
この状態だとモンスター3体が並ぶため、返しのターンに《ラーの翼神竜−球体形》で突破される恐れがある。
だが、布陣完成後に《クラウソラスの影霊衣》を対象に《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》の(1)を発動し、それを《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》で無効化して破壊すればモンスター数が2体となり、《ラーの翼神竜−球体形》で突破されなくなる。
(なお、上記ルートでは《武力の軍奏》の効果で《幻獣機オライオン》を蘇生できるが、意味もなくモンスター数を増やすだけでは《ラーの翼神竜−球体形》で突破されるだけなのでここでは省略した。)
また、《クリッター》(あるいはあちらをリクルート可能な《魔界発現世行きデスガイド》)を用いれば更に強力なルートとなる。
《クリッター》の召喚→《転生炎獣アルミラージ》をリンク召喚→サーチした《神樹のパラディオン》を特殊召喚→《水晶機巧−ハリファイバー》をリンク召喚で、上記ルートに繋げる。
この場合、《武力の軍奏》の効果で《神樹のパラディオン》を蘇生し、《シューティング・ライザー・ドラゴン》で《妖精伝姫−シラユキ》や《超電磁タートル》等のレベル4モンスターを墓地へ送る。
その後、レベル3になった《シューティング・ライザー・ドラゴン》と《神樹のパラディオン》で《彼岸の黒天使 ケルビーニ》をリンク召喚し、《儀式魔人リリーサー》を墓地へ送れば完成する。
これにより、上記布陣をも突破できる《時械神カミオン》・《時械神サンダイオン》・《ナイト・ドラゴリッチ》すら防げるため、最早隙は無いと言ってよい。
一応、複数枚のカードとなると、適当な除去で強制的に《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の(3)を使わされ、続けて《皆既日蝕の書》で布陣を崩されるといった事は起こり得る。
出張セットとしての【ドラグーンビート】 †
突き詰めれば、融合素材2種+《真紅眼融合》+《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》+《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》だけで機能するギミックである。
融合素材が手札に来ると邪魔になるのが欠点だが、メインデッキ3枠、エクストラデッキ2枠だけの消費で出せるリターンとしてはあまりにも大きい。
このデッキの弱点(このデッキへの対処法) †
前提として、手札誘発や罠カードの防御と併用すれば下記の弱点も補え、【リリーサードラグーン】に至っては最早カード単体で対処できるレベルを超えている。
1度布陣が完成してしまえば突破され難く、布陣が崩れても相手にかなりの消耗を強いるので相対的には有利になりやすい事は念頭に置いて貰いたい。
登場直後から環境で猛威を振るい、出張セットによる他デッキへの浸食も多数見られた。
結果、20/04/01に《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》・《真紅眼融合》・《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》が制限カードとなった。
更に、【リリーサードラグーン】で使われた《儀式魔人リリーサー》が禁止カードに、グッドスタッフ軸で出張セットとして使われた《トリックスター・ライトステージ》も制限カードに指定された。
蘇生や帰還で使い回したり、エクストラデッキに回収して2回目の融合召喚を狙う事は可能だが、《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》に依存した構築はほぼ構築不可能となった。
ただし、上記の通り出張セットとしての【ドラグーンビート】は依然として利用されていた。
結局はその出張があまりにも目立ちすぎたため、20/10/01に《超魔導竜騎士−ドラグーン・オブ・レッドアイズ》本体が禁止カードとなり、このデッキにも終止符が打たれた。
構築できた期間は短かったものの、出張も含めて環境に与えた影響は極めて大きかったと言える。
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