制圧 †
高攻撃力かつ強力なコントロール能力を持つモンスターを立てるなどして、自分が有利かつ逆転の難しい状況を作ることを指す非公式用語。
こうした状況を作りやすいステータス・効果を持つカードやデッキは「制圧力が高い」と言われる。
古くから使われていたロックという言葉に、「なおかつ自分は比較的自由に動くことができる」という条件を追加したものと考えることもできる。
似た言葉として「妨害」と表現されることも多い。
下記の通り厳密には意味合いが若干異なるのだが、ユーザーによってはあまり区別せずに用いられる場合もある。
(当wikiでも「○○の効果は制圧・妨害に利用できる」等の併記した表現は割と見られる。)
「制圧力が高い」条件 †
主に下記の条件が挙げられる。
- 耐性
- フリーチェーンの除去効果
- 相手の効果を無効にする、または効果の適用を妨害する効果
- 相手の特殊召喚を阻害する効果
一般に、以上の効果を持つカードは、制圧力が高いとされる。
モンスターの場合は、これに加え攻撃力か守備力が高い事が望ましい。
結界像のように攻守の低いモンスターは、コントロール能力は高くとも戦闘破壊されやすく、制圧を崩されやすいためである。
当然ながら「魔法カードの発動を無効にできる効果」より「魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にできる効果」のように、対応できる範囲が広い効果の方が制圧力に優れる。
また、上記の効果を複数持ち併せたカードは、それだけ制圧力も高まる。
「妨害」という表現について †
「制圧」に似た言葉として「妨害」という言葉も用いられる。
こちらは主に制圧の強さを表す単位であり、その盤面で何度相手の行動を妨害できるかを示す回数となる。
今日の主流デッキは如何に少ない手札で多くの妨害の数を構えられるかが重要な要素であり、「1枚初動で○妨害の盤面を作れる」という点をそのデッキの強さの指標となることもある。
- これに対し、永続効果や永続カード、あるいは残存効果によりそのターン中継続される「特殊召喚禁止」「発動及び効果の禁止」はユーザーによって扱いが異なる。
1枚の除去カードで突破できるため「1妨害」に含めるケースもあれば、行動そのものが封じられるために上記とは分けてカウントされるケースもある。
後者の場合、上記と区別するために「永続妨害」と呼称するユーザーも存在し、「3妨害+○○による永続妨害」という表現になる。
特に《アーティファクト−デスサイズ》等の残存効果による行動の封殺は1度適用されてしまえば如何に潤沢な捲り札を保持していても意味がないため、後者でカウントされるケースが多い。
制圧を対策する方法 †
今日の環境レベルのデュエルでは、「いかに相手に制圧される事なく、自分が制圧できるか」が重要な要素となっている。
相手の制圧を対策するには以下のような方法がある。
- 初手で自分が制圧する
最も確実な対策と言えるのはこれであろう。
先攻1ターン目から制圧布陣を完成させてしまえば、相手がそれを崩した上でこちらを制圧し返してくるリスクは低い。
しかし先攻・後攻はジャンケンで決まる以上確実に先攻を取ることは不可能であり、「相手が先攻を取り、制圧を仕掛けてきた場合」の対策も練っておく必要がある。
- 制圧された場合の対策
以下のカードは、相手が制圧を仕掛けてきた場合にそれを崩す手段である。
これらのカードは先攻を取った時は制圧に関与しない死に札となるため、マッチ2戦目以降で、自分が後攻となる事が明確な場合にサイドデッキから投入される事が多い。
また、それぞれ仮想敵が異なるため、環境を読んでどれを起用すべきかを考える必要がある。
これらの制圧に対抗するカードを「捲り」と呼ぶことがある。
歴史 †
「フィールドを制圧する」という言葉は、アニメシリーズや原作・漫画版のみならず遊戯王OCGにおいて古くから使われていた。
ただしその意味は単に「攻撃力の高いモンスターを立てる」というものであり、今日のそれとは少々異なる。
OCGに関する古いサイトや書籍には、「帝を並べてフィールドを制圧する」「暗黒界を並べて制圧」「《ダーク・アームド・ドラゴン》で制圧」などの文言が見られる。
攻撃力の高いモンスターは「戦闘破壊に耐性を持つ」「戦闘で継続してアドバンテージを稼げる」ことと同じであったため、何体か高攻撃力モンスターを並べるか、高攻撃力で(フリーチェーンでなくても)除去を撃てるモンスターが存在すれば、それは十分に「制圧」であった。
融合デッキ(現在のエクストラデッキ)の利用頻度も少なく、メインデッキのモンスターが主力であったため、「必要な時に適切なモンスターを用意するのが難しかった」というのも理由である。
《人造人間−サイコ・ショッカー》は稀有な例で、「これ(と後述の【お触れホルス】)に『制圧』されないようにメインデッキの罠カードは少なめにする」といった意識がプレイヤー間で持たれていた。
- 2014〜2017年の第9期に環境で流行したデッキは、そのほとんどが相手の行動を阻害する効果を有しており、この頃には「制圧」は完全に現在の意義で固まったといえる。
これ以降、トーナメントレベルのデュエルは「いかに相手に制圧されず、自分が制圧できる盤面を作るか」が重要な要素となっている。
備考
- 公式サイトやVジャンプ等でも「制圧」という言葉は古くから用いられている。
第11期途中からはリミットレギュレーションの最初の告知はVジャンプチャンネル公式の動画で行われているが、そこでは「序盤から高い制圧力を発揮する事で〜」といった具合に上記の意味合いで述べられている。
一方、雑誌や公式サイトの文章等では今日でも「単に大型モンスターを立てる」事を「制圧」と呼んでいる事が少なくない。
- 原作・アニメにおいて―
「高い攻撃力を持つモンスターを立てる」といった古い意味合いでの制圧は数多く行われるが、「相手の行動を封じる」意味での制圧は滅多に行われない。
デュエリストあるいはモンスター同士の攻防が見ごたえとなる作品において、片方の行動のみを通してしまっては盛り上がりも作れず、絵としても栄えないのが理由だろう。
ただし皆無というわけではなく、「敵側が攻略不可能と思える布陣を築き上げ、それを味方側がどう突破するか」といった点に注目されるケースも見られる。
- アニメVRAINSの「スペクターvsライトニング」戦では、ライトニングが先攻1ターン目にエクストラリンクを築いて相手の展開先を潰す行為に出ている。
ライトニングはスペクターがリンク召喚を多用する【サンアバロン】の使い手だと事前に把握しており、作中でも「君は出す場所がない」と制圧目的である事をはっきりと述べている。
対するスペクターも後攻1ターン目に捲り返して突破、逆に自分がエクストラリンクを作り上げライトニングの反撃の芽を摘もうとしている(結局、ライトニングも布陣を突破し、最終的に勝利している)。
両者が初手から相手の行動を封殺する意味での制圧を行った、アニメでは極めて珍しいデュエルとなった。
- 漫画OCGストラクチャーズは、現実のOCGをテーマにした作品であるため、他の遊戯王作品とは異なり上記の意味合いでの制圧行為が日常茶飯事レベルで行われている。
さらに作中ではダーク黒田が「【宣告者】は高い制圧力を持つが、その本領は先攻で発揮される」と「制圧」という言葉を使っている。
- また、ライト月子が通っている学校の名前が「聖圧女学院」となっている。
月子は「宣告者」「人造人間」「ナチュル」と制圧系のデッキを好んでおり、それにちなんだ名前と思われる。
関連リンク †