制限改訂/Forbidden & Limited List Update

 公式のデュエルで適用される、リミットレギュレーション禁止・制限カード)指定リストの内訳が変更されること。
 環境の調整を目的として、デッキに入れることのできる同名カードの枚数が変更される。

 国・ゲーム作品のプラットフォームによって、発売・実装の順番、それを受けて環境で流行するカードデッキの傾向が異なるため、ルールは共通でも内訳は大きく異なる。

基本的な選定理由

 遊戯王OCGにおいては過去に発売された全てのカードが使用可能であり、今後も新しいカード・商品が追加されていく、というゲームの環境下において慎重に検討しております。
 また、検討の際には、世界中のプレイヤーが遊んでいる事も十分に考慮に入れた上で行われます。
 適用される「禁止制限準制限カード」は基本的に以下の観点から選定していますが、恒久的なものではありません。

 ● ゲームバランスを維持し、遊戯王OCG全体の活性化を促すプレイ環境を作り出す事
 ● デッキの選択肢やプレーの幅を広げる事
 ● デュエルの駆け引きの要素が激減するようなカードコンボへの一定の規制
 ● プレイヤーが一方的に有利になる状況を作り出すカードへの一定の規制
 ● 現状の環境下ではプレイヤーが対処・対策がしづらいカードについての一定の規制
 ● デュエルの進行に支障をきたすようなカードへの一定の規制
 ● 大会での使用を考慮した際に、規制をかけるべきと判断されるカードへの規制

 (公式ホームページより引用)

制限改訂の目的と影響

  • 制限改訂の中には単純なゲームバランスだけでなく、KONAMIによる商業的な判断(販売戦略)が関係していると推測される例も定期的に見られる。
    環境で猛威を振るっていても、それが登場から半年〜1年程度の間もないカードである場合は、規制を免れる事例が多い。
  • 他社TCGでは選定理由が公式に発表されることもあるが、遊戯王OCGでは個々のカードの選定理由を公表することはほぼない。
    今のところ、2012年5月と10月に、それぞれ12/03/0112/09/01の制限改訂について、一部のカードの選定理由が公表されたのみである。
    なお後述のように、ゲーム『デュエルリンクス』では個々のカードの選定理由が公表されている。

制限改訂の頻度、確認の方法について

  • 長期にわたる運営・競技性の高まりや、OCGを取り巻く周辺事情の変化を受けて、制限改訂は定期的かつ高頻度で行われるようになっている。
  • 1999年の発売以来、2004年以前は不定期に行われていた。
  • 04/03/01から、改訂が年2回(3・9月の1日)行われるようになった。
  • 14/10/01の改訂にて、同じく年4回だが3ヶ月ごとの改訂(1・4・7・10月)とするように変更され、以降10年間この周期で定着している。
  • なお、制限改訂がこの通り定期的にしか行われないため、上記の選定理由に合致するようなカードコンボ、例えば先攻1ターンキルコンボに該当するものが、数ヶ月程度の短期間でも使用できてしまうことがある。
  • 現在、日本の制限改訂で期間中に追加で制限改訂を挟んだのは、21/02/20〜03/31の期間に21/01/01に加える形で追加された臨時リミットレギュレーションのみである。
    これもキャンペーン的事情による規制であり、上記理由によるゲーム的事情による規制ではない。
  • 制限改訂の発表および現在のリミットレギュレーションは、現在では主にインターネットサイト(コナミ遊戯王OCG公式ページまたは遊戯王ドットジェイピー/YU-GI-OH.jp)で確認するようになっている。
    第12期初回の制限改訂(23/04/01適用分)の発表にて、それ以前と比べて発表の方法や時期が大きく変化した。
  • 長らくVジャンプ誌面が最速の発表であり、2017年6月のYU-GI-OH.jpサイト開設以降、17/07/01適用分からは適用の半月ほど前に同サイトにて公表され、その数日後に発売されるVジャンプや、カードショップ店頭のポスターにも掲載されていた。
  • 23/04/01適用分以降、Twitter(現X)にてサイトでの解禁日を事前告知、その解禁日は「制限改訂施行開始から数えて前週の日曜日(約1週間前)」となることが続いている。
    以前よりも発表から適用までの期間が短くなった上に、Vジャンプでの情報掲載も無くなった。
  • インターネット環境の普及で情報の入手は容易になっており、また遊戯王カードデータベースではデッキリミットレギュレーション抵触チェックも行えるため、紙媒体のリストにこだわる必要がなくなったと言える。
    またインターネットの普及はプレイヤー交流の発展、コンボの開発・環境解明の高速化にも影響しており、大会戦績の発表も盛んに行われるようになった。
    Vジャンプに情報を掲載する場合は入稿の締め切りという制約もあり、それに縛られない改訂内容を検討する期間の長期化、時代に合わせた発表方法の変化を兼ねたものなのだろう。
  • Vジャンプ正式発売日前のフライング販売による情報流出や、それを装ったデマ、プレイヤーや中古ショップの印象や価格相場の混乱なども少なからず見られており、その抑制効果も期待できる。

海外における制限改訂、日本との違い

  • 13/09/01から日本とは異なるリストが運用されるようになった。
    汎用性の高いカードや、特定のデッキでしか使えないようなものでもパワーカードであれば一発で禁止カード指定も珍しくなかったり、日本よりも段階を高く指定する、一層厳しい規制を敷くことが多い。
    24/01/01における同日改訂()では、日本の禁止カードは89枚であるのに対し、海外の禁止カードは106枚にも及んでいる。
  • また、日本での活躍実績が特に目立ったものは、規制の厳しさに加えて、発売時の商品形態やレアリティに反映されることも珍しくない。
  • 日本未発売カード海外未発売カードは、基本的にそれぞれ未発売の地域のリストには掲載されていない。
    当然ながらこれらは未発売地域では他言語版を入手しても使用不可であり、このため世界大会では未発売地域のあるカードは原則的に使用不可となる。

原作・アニメにおいて

  • アニメGXで佐藤先生が生徒のいない中で授業を行うシーンにおいて、制限改訂への対応についての話をしていた。
  • アニメ作中では、かつては放送当時の禁止・制限カードに従わないカードも使用されていたが、GXの中盤からその様なケースが減少していった。
    5D's2年目以降は滅多と破られる事は無くなっている。

コナミのゲーム作品において

  • 『デュエルリンクス』では、OCGとは異なり、「禁止」「LIMIT1」「LIMIT2」「LIMIT3」の4種類の区分で制限改訂が行われている。
    • 「LIMIT1」は「LIMIT1に設定された全てのカードから1枚だけデッキに入れられる」、「LIMIT2」は「LIMIT2に設定された全てのカードから2枚だけデッキに入れられる」という規制となっており、OCGでの制限準制限カードよりもデッキ構築への影響が大きい。
      • 例えば「LIMIT3」は無制限カードと同様に3枚入れることも可能だが、その場合他の「LIMIT3」カードを使用できなくなる。
  • 規制強化・緩和に際して、カードごとに選定理由の説明が(時に原作漫画の表現を混ぜた形も含め)簡単になされている。
  • 特有の傾向として、レアリティがURのカード無制限カードから一気に制限カード以上への規制といった、デッキから2枚以上抜かなければならない規制を行う事は珍しい。
    同ゲームにはクラフトというシステムがあり、30ポイント消費で同レアリティの任意のカードを1枚クラフト(入手)でき、カードを1枚分解すると同レアリティのポイントを10入手できる。
    指定期間中に新たに規制されたカードを分解すると、その枚数分補填という形でポイントのボーナスが入手できるため、それを忌避するためと考えられる。
    そのためOCGTCGとは異なり、同じカテゴリに属する別の低レアリティカードへの規制が散見される。

その他備考

  • 細部は違えど、類似した制度を取り入れているTCGは多い。
    また遊戯王OCGでは、初登場時点から「使用不可カード」に指定されているカード群はあるが、過去のカードに完全な使用制限がかかる、いわゆる「スタン落ち」の制度が取られた事はない。
  • 使用不可と言うとネガティブなイメージが強いが、こうした運営でも管理困難な想定外のコンボの防止の他、再販すべきカードが厳選されるといった事情も存在している。
  • 仮に「スタン落ち」が存在していれば、禁止カードになったまま使用禁止カード群に落ちることで完全消滅していくことで、事実上の永久追放が可能。
    これができず復帰の可能性が残っている結果、遊戯王のリミットレギュレーションは他TCGのそれよりも膨大になってしまっている側面も存在する。
    なお、実際に後に初代禁止カードは全て再び使用可能な緩和を受けており、「永久追放」が存在しない状態となっている。
  • Vジャンプ誌上などでは「改」と表記される事も多いが、公式用語としては「制限改」が正しい。
    なお日本語としてはどちらも間違いではない。

関連リンク

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