ブラフ/Bluff †
英単語の「Bluff」が由来で、「虚勢、はったり、こけおどし」のこと。
ゲームにおいては「相手の動揺を誘うために行うフェイント」を指す言葉として用いられる。
デュエルでは、自分の手札やセットされたカード等の非公開情報のカードに何らかのアクションや言葉を加えて行われる。
特定のカードの存在を匂わせることで心理的にプレッシャーをかけ、相手のプレイングを抑制、あるいは誘導を狙うテクニックである。
- フィールドにモンスターを出さないことで、手札に《PSYフレームギア・γ》や《原始生命態ニビル》があるように推測させる。
- フィールドにカードを出さないことで、手札に《冥府の使者ゴーズ》があるように推測させる。
- フィールドにカードを出さないことで、手札事故が起きているように装い油断させる。
- 腐った通常魔法をとりあえずセットしておくことで、厄介な罠カードに誤認させる。
- 一度に大量の伏せカードをセットすることで《スターライト・ロード》やアーティファクトを警戒させ、全体除去を躊躇させる。
- 相手の行動時、すぐに効果処理に移らず手札を見ながら思案するそぶりを見せることで、《エフェクト・ヴェーラー》・《幽鬼うさぎ》・《オネスト》等の手札誘発を推測させる。
- 唐突にメインフェイズの優先権を放棄しバトルフェイズでの効果の発動を匂わせることで、《PSYフレームロード・Ω》や《エフェクト・ヴェーラー》のようなメインフェイズにのみ発動できるカードを使うべきか考えさせる。
- 召喚・特殊召喚したモンスターの数を確認する事で、《機動要犀 トリケライナー》や《原始生命態ニビル》が手札にあるよう見せかける。
- (特にカジュアルプレイで)《無の煉獄》→《精霊の鏡》のようなチェーンで妨害できるコンボを匂わせ無駄にフリーチェーン効果を使わせるため、前者の発動後優先権を真剣に確認する。
- 《トリオンの蟲惑魔》・《ミラーフォース・ランチャー》・《解放のアリアドネ》・《海竜神の激昂》等で厄介な罠カードをサーチし、その後別のカードをセットすることにより相手の除去カードを無駄撃ちさせる、あるいは《やぶ蛇》やアーティファクトなどの破壊を誘導させる。
- 汎用性の高い出張セットに相手の手札誘発や除去を無駄撃ちさせ、本命のカードの効果の発動が妨害される可能性を減らす。
- 攻撃力の低いモンスターを攻撃表示でフィールドに残しておくことで、《オネスト》・《ダーク・オネスト》・《新鋭の女戦士》を警戒させる。
- 光属性・闇属性モンスターを墓地へ送り、わざとビーステッドの特殊召喚を煽る。
- 【鳥獣族】で弱小モンスターと一緒に伏せカードを残すことで、《ゴッドバードアタック》を警戒させる。
- 手札誘発以外のチューナーを多用し、使用デッキが【シンクロ召喚】であるかのように振る舞う。
- 《E・HERO シャドー・ミスト》と伏せカードをフィールドに出すことで伏せカードがチェンジであるように推測させる。
- 【アーティファクト】や【魔界劇団】で、伏せカードが「相手によって破壊された場合」を発動条件とするカードであるように推測させる。
- 【命削り真竜】からエクストラデッキを抜いて【0帝】と誤解させる。実際に《真帝王領域》を採用しても良い。
- 上記のような、特定のコンボデッキでしか使わないハイリスクハイリターンなカードを関係ないデッキにピン挿しし、デッキを誤認させつつプレイングを拘束する。
- 《爆導索》を見せることで相手のプレイングを拘束する。
- 既に発動済みの永続魔法・永続罠などが置かれている魔法・罠カードと同じ縦列の魔法&罠ゾーンに魔法・罠カードをセットして《無限泡影》を警戒させる。
- 実際のデッキと無関係なイラストのカードプロテクターを付け、偽の情報アドバンテージを与える。
遊戯王OCGには特定の召喚条件・発動条件を満たせばノーコストでプレイできるカードが豊富に存在するため、それらの条件に基づくブラフの「セオリー」とでも言うべき状態が多発しやすい。
特に「重いまたは妨害が容易だが通れば強い」カードやコンボは多く、そういったカードを見せるだけでも相手にプレッシャーをかけることができる。
カードの知識がある者ほど影響力の高いカードの存在を想定してプレイングすることが多く、ブラフにかかりやすい。
(もちろん、知識のない初心者は何の警戒もせずに行動して自ら墓穴を掘ることも多いが)
上級者は多くの情報を考慮した上で最善と思われるプレイングをし、相手が仕掛けてきたブラフを無意味なものにさせることもしばしばである。
- ブラフを成功させるには、それまでの試合展開もさることながら、表情や仕草などの心理戦や言葉による誘導が必要不可欠。
これがTCGの醍醐味でもあり、ゲーム作品のCPU戦やネット対戦では味わえない駆け引きである。
ただし、これらはあくまでも心理戦の範疇でなければならないので、行き過ぎないように注意が必要である。
例えば、意図的にルールを間違えたり、相手をせかしたり、公開情報について嘘を付いたりするのは反則行為に当たる。
(詳しくは大会罰則規定及び禁止事項と大会中のマナーを参照。)
- 以下は完全な迷惑行為であり、ブラフの域を超えた盤外戦術である。
「マナーというページは作成しない」という前例に則り、本記事を活用している。
- 一応メタカードにはなるがあまり実用性のないカードを「環境で活躍する」と執拗にSNSで煽り、カードの高騰を狙うというものがある。
基本的には実際の使用例がある場合も多く全てが完全な嘘とは言い切れないが、試験的に一時的に使われただけの例を「環境トップデッキを封殺して一方的に勝利した」などと大げさに紹介し、マナー違反として非難された場合もある。
- 原作・アニメにおいて―
ブラフを最も使いこなしたデュエリストと言えば、やはり闇遊戯であろう。
ゲームの達人である闇遊戯にとって、心理戦は最も得意とするところである。
「決闘者王国編」では、闇のプレイヤーキラー、舞にブラフを行っている。
前者では《光の護封剣》をわざと公開して《カードを狩る死神》(原作仕様)に対し罠カードをセット、後者では舞の攻撃を躊躇させるために《モンスター回収》をセットしてやり過ごしている。
その後も闇遊戯は「バトルシティ編」やアニメオリジナルでも度々ブラフを仕掛け、高い成功率を誇った。
- アニメ5D'sの「遊星vsボマー」戦においては《ジャイアント・ボマー・エアレイド》の破壊効果を巡って熾烈な読み合いが繰り広げられた。
「クロウvsボマー」戦においてクロウがわざと伏せカードの効果を宣言していたのも一種のブラフである(非公開情報のカード名の宣言はルール違反に当たる。真似してはいけない。)。
そして宣言通りのカードであった際にボマーが「ブラフ」という単語を使用している。
ちなみに同デュエルでは、クロウがマニュアルモード(第1コーナーを先に通過したプレイヤーが先攻になるライディング・デュエルの方式)を利用したドライビングテクニックとしてのブラフを仕掛けている。
- アニメZEXALの「アストラルvsカイト」戦では、カイトがブラフとして通常魔法《フォトン・ハリケーン》をセットし、アストラルのエクシーズ召喚を躊躇わせることに成功した。
「遊馬vsIII」戦では、IIIの術中に落ちた遊馬の想像世界で「遊馬vs鉄男」戦が行われていたが、この際に鉄男がブラフとしてセットした装備魔法により遊馬が攻撃できなかった。
アニメZEXALIIの「遊馬vsアストラル」戦では、遊馬がダメージ計算が成立すれば敗北する状況で《ガガガガンマン》による自爆特攻を行い、アストラルに《No.39 希望皇ホープ》の効果を使わせる事に成功している。
このプレイングを、アストラルは「勝敗さえブラフに使った」と評している。
- 遊戯王Rでの「海馬vs天馬夜行」戦では、海馬が夜行の伏せカードをブラフと推測した。
- 漫画GXでは「三沢vsマッケンジー」戦で、三沢はマッケンジーがセットしたが最後まで発動しなかったカードをブラフと誤認することになった。
(実際はブラフではなく《聖なるバリア −ミラーフォース−》だったが、マッケンジーが勝利を放棄したため発動されなかった)
「響みどりvsマッケンジー」戦では、マッケンジーがみどりの攻撃を防ぐためにカード名を宣言しながらセットしている(実際にはルール違反である)。
「十代vsマッケンジー」戦では、マッケンジーは十代がセットした罠カード《ディフェンド・ヒーロー》をブラフと判断して放置したが、これが敗因の一つとなった。
一方で十代自身にはブラフの意図は全くなかったため、《サイクロン》で狙われなかった事に困惑していた。
- 漫画ARC-Vの「遊矢vs素良」戦では、素良が「病気の妹を零児に人質に取られている」と嘘をついて遊矢に罠カードの発動を躊躇わせている。
偽の写真まで用意する手の込みようであり、デュエル外での変則的とも言えるブラフであったが、ユーリにはあっさり見破られている。
また「遊矢vs蓮」戦では、遊矢が《ペンデュラム・ホルト》をセットし、さらには攻撃力300の《EMローリング・サンバー》を攻撃表示で召喚した事で、「攻撃を誘っている」と警戒した蓮に相手のセットされた魔法・罠カードの発動を封じるアクション・カード《リバース・ロック》を使わせた。
その後一連の攻防の後に蓮は遊矢がセットしたそのカードを使用後、心中で「魔法カードをブラフに使っていたのか、抜け目がない」と評している。
- 「遊矢vs素良」戦の様なデュエル外のブラフは、悪役がよく使うためかそれによって勝敗が変わることはあまりないが、例外も少なからず存在する。(「海馬vs乃亜」戦・「遊戯vs海馬」(3戦目)・「了見/リボルバーvsライトニング」戦など)
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