初動 †
デッキの展開パターンの最初の動きのこと。
その動きに用いるカードは「初動札」と呼ぶ。
第9期以降のデュエルでは、一定の展開パターンに沿ってサーチや特殊召喚を繰り返し、自分に有利な制圧盤面、もしくは1ターンキルに繋げるデッキが主流となっている。
この時、展開パターンの最初にとる動きが「初動」である。
初動の動きを行えなければデッキの動きが大きく制限されてしまうため、初動札をサーチ・リクルートできる手段をデッキにできるだけ搭載し、1ターン目に初動札を使用する確率を上げることが望まれる。
初動の例 †
例えば【ABC】で《ABC−ドラゴン・バスター》を出すルートは以下のようなものである。
- 《ユニオン格納庫》を発動し、(1)の効果で《A−アサルト・コア》をサーチ。
- 《A−アサルト・コア》を召喚し、《ユニオン格納庫》の(2)の効果でデッキから《ユニオン・ドライバー》を装備。
- 《ユニオン・ドライバー》を自身の効果で除外し、デッキから《B−バスター・ドレイク》を装備。
- 《B−バスター・ドレイク》を自身の効果で特殊召喚し、《A−アサルト・コア》と共に《プラチナ・ガジェット》をリンク召喚。
- 《B−バスター・ドレイク》の効果で《C−クラッシュ・ワイバーン》をサーチ。
- 《プラチナ・ガジェット》で《C−クラッシュ・ワイバーン》を特殊召喚。
- フィールド・墓地のABC3種を除外して《ABC−ドラゴン・バスター》を特殊召喚。
この場合、最初の《ユニオン格納庫》を発動して《A−アサルト・コア》をサーチする動きが初動であり、《ユニオン格納庫》が初動札と呼ばれる。
どこまでを初動と呼ぶかは比較的柔軟で、例えば「まず特定のエクストラデッキのモンスターを出せば展開が起動する」というデッキでは、そのエクストラデッキのモンスターまでが初動と呼ばれることが多い。
例えば【RR】では、何らかの素材で《レイダーズ・ナイト》を出せば展開できるので、エクシーズ素材2体を並べて《レイダーズ・ナイト》を出し、その効果を通すまでが「初動」と呼ばれることが多い。
初動に関する用語 †
- 1枚初動
手札に特定のカードが1枚あれば展開パターンに入れるデッキ、またその初動となるカードを指す。
初動札1枚さえ引ければ展開を開始できるのでデッキの安定性が高いのが長所。
またデッキのメインとなるカテゴリのカードをあまり入れなくても展開を起動しやすいので、手札誘発や捲り札といった展開に関与しないカードを多く搭載しやすく、対応力にも優れる。
短所としては、特定の1枚から起動するために妨害すべき先が明確であり、手札誘発等で妨害されやすいことが挙げられる。
第12期現在、環境で活躍するデッキの多くは1枚初動である。
- 「完全1枚初動」と呼んで、後述する「準1枚初動」と区別する例も見受けられる。
- 2枚初動以上のデッキについては表現が難しいため、初動◯枚という表現はあまりされない。
- 2枚初動
特定の2枚のカードの組み合わせから展開パターンに入れるデッキ、またはその初動となるカード。
1枚初動に比べ安定感で劣るため、デッキにより多く初動用のカードを入れる必要がある。
それにより手札誘発や捲り札、メタカード等に割けるデッキ枠が減ってしまうのが欠点。
一方で「カードAとB、BとC、またはAとCの組み合わせが初動になる」のように展開に複数のパターンがあることが多く、マストカウンターが分かりづらいという長所がある。
AとBを使用してAを無効にされたため、Cを追加で使用して展開パターンに入る、のようなアドリブも効きやすい。
- 3枚初動
特定の3枚のカードの組み合わせから展開パターンに入れるデッキ、またはその初動となるカード。
主にペンデュラム召喚デッキなどで見られる。
第12期基準では安定感の低さが目立つため、デッキのかなりの部分を初動を担えるカードにして安定させることが必要である。
結果として初手がどのような組み合わせでも概ね動けるようになるため、相手としてはマストカウンターの見極めが2枚初動以上に難しい。
展開パターンがかなりの種類となるため、使いこなすには深い習熟が必要。
- そもそもカテゴリ自体が不遇であり、3枚初動になるしかない、というデッキも存在する。
その他 †
- 多くのデッキにおいて、初動はもっとも無防備な瞬間である。
展開の中で《召命の神弓−アポロウーサ》を立てるなどして相手の妨害に対処できるデッキは多いが、初動となる基礎的なカードがそのような強力な耐性や妨害をかわせるような効果を持つことは概ねない。
従って、初動となるカードは基本的に身を守る手段を持たない状態で場に出ることになるため相手の妨害を受けやすく、初動を潰されて何もできないまま敗北、というパターンも珍しくない。
初動を巡っては《灰流うらら》と《抹殺の指名者》など、妨害と妨害へのメタが飛び交う熾烈な攻防がしばしば行われる。
- 当然ながら、初動への妨害を全て防ぎ切ることは難しい。
そのため、貫通札と呼ばれる別プラン用カードを併せて使用し、展開パターンが止められても再度展開を続けられるようにすることが広く行われている。
特に、後攻プレイヤーは先攻が仕掛けてきた制圧をかいくぐって初動を通さなければならないため、展開がより困難である。
マッチ2戦目以降で自分が後攻であることが明確な場合はサイドデッキから捲り札を投入し、ある程度妨害を剥がしてから初動に移るのが理想的である。
- 「初動」という言葉自体は、「初手」と概ね同様の意味で古くから使われていた。
だが現在の意味での「初動」は、サーチやリクルートが発達し、特定のカードさえ手札に引き込めば強力なモンスターを次々と並べられるようになったことで生まれた、比較的新しい概念である。
- 一応この頃から、1枚初動である程度強力な盤面を作る、という展開ルート自体は存在した。
ただし展開用のカードを大量にデッキに積む必要があり、単体では役に立たないカードが多くなってしまうため、実戦的ではなかった。
- 環境が進むにつれて初動に必要なカードの枚数や条件が緩くなっていき先攻制圧を行うデッキが現れている。
一方でそれを防げる手札誘発の種類も少しずつ増加し、初動を引けるかどうかだけでなく、通せるかどうかというゲーム性の変化も見られる。
- 初動と手札誘発採用枚数
初動に必要なカードが少なくなるにつれ手札誘発を採用できる枚数は多くなることが多い。
1枚初動のデッキで、それを安定してサーチできるならば残りの手札は全て妨害用のカードが揃っている状態が理想の手札であるという考え方に基づくものである。
こちらが後攻のときの場合でも、相手が初動を引いて1ターン目から展開される可能性が高くなったことから、展開を確実に止めるために複数の手札誘発が求められるケースが増えている。
もちろん、実際にはこちらの展開を妨害される可能性があることやデッキの性質、環境で刺さる手札誘発の数によって理想の手札は異なってくる。
だが、初動に必要な枚数の減少と優れた手札誘発の増加に伴い、この傾向は強まっている。
リンク †