【EMEm】 †
ペンデュラム召喚に長けたEMとEmの混成デッキ。
両カテゴリは種族面や戦術面で強いシナジーがあるため、組み合わせることでより高い性能を発揮する。
様々なコンボによりアドバンテージを稼ぎ、ランク4エクシーズモンスターを大量に並べて相手を制圧することを目的とする。
極めて高い安定性・制圧力を誇り、ディメンション・オブ・カオス発売後の2015年後半の環境においてトップの座に君臨した。
その後、16/01/01で《Emヒグルミ》・《Emダメージ・ジャグラー》が禁止カードに指定され、構築不能となった。
構築可能な期間が半年足らずという遊戯王OCG史上でも稀に見る短さだが、その圧倒的な強さが与えた影響は大きかった。
このページの記述は原則として最盛期の2015年12月の状況を下敷きとしているため、現行のルールやカードテキストと異なる点は留意。
《EMペンデュラム・マジシャン/Performapal Pendulum Sorcerer》
ペンデュラム・効果モンスター
星4/地属性/魔法使い族/攻1500/守 800
【Pスケール:青2/赤2】
(1):自分フィールドに「EM」モンスターがP召喚された場合に発動する。
自分フィールドの「EM」モンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。
【モンスター効果】
「EMペンデュラム・マジシャン」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分フィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。
そのカードを破壊し、破壊した数だけデッキから「EMペンデュラム・マジシャン」以外の
「EM」モンスターを手札に加える(同名カードは1枚まで)。
《EMドクロバット・ジョーカー/Performapal Skullcrobat Joker》
ペンデュラム・効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守 100
【Pスケール:青8/赤8】
(1):自分は「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、
「オッドアイズ」モンスターしかP召喚できない。
この効果は無効化されない。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「EMドクロバット・ジョーカー」以外の「EM」モンスター、
「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターの内、いずれか1体を手札に加える。
《EMモンキーボード/Performapal Monkeyboard》
ペンデュラム・効果モンスター(制限カード)
星6/地属性/獣族/攻1000/守2400
【Pスケール:青1/赤1】
「EMモンキーボード」の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、
このカードのPスケールは4になる。
(2):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。
デッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
手札の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を相手に見せる。
このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。
《Emダメージ・ジャグラー/Performage Damage Juggler》
効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1500/守1000
「Emダメージ・ジャグラー」の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(2):自分または相手のバトルフェイズにこのカードを手札から捨てて発動できる。
このターン自分が受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする。
(3):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「Emダメージ・ジャグラー」以外の「Em」モンスター1体を手札に加える。
《Emヒグルミ/Performage Plushfire》(※エラッタ前)
ペンデュラム・効果モンスター(禁止カード)
星4/炎属性/魔法使い族/攻1000/守1000
【Pスケール:青5/赤5】
「Emヒグルミ」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの表側表示の「Em」モンスターが
戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
Pゾーンのこのカードを特殊召喚する。
その後、自分は500ダメージを受ける。
【モンスター効果】
(1):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
手札・デッキから「Emヒグルミ」以外の「Em」モンスター1体を特殊召喚する。
EMとEmの効果を駆使して手札とエクストラデッキにレベル4モンスターを蓄え、ペンデュラム召喚に繋げることを目的とする。
よって、《EMドクロバット・ジョーカー》・《EMモンキーボード》・《Emダメージ・ジャグラー》といったサーチ効果を持ったモンスターを優先的に投入し、コンボの成功率を高めることが必要になる。
展開に必要なコンボは戦術の欄で紹介するが、基本的に《EMペンデュラム・マジシャン》を含めたペンデュラム召喚を目標とし、後続が途切れないようにデュエルを進める。
また、メインデッキのおおむね3/4をモンスターで構成することで、ペンデュラム召喚の安定性を高める構築が一般的であった。
このデッキでペンデュラム召喚するモンスターは、基本的にレベル4のみである。
したがって、ペンデュラムスケールは4でなければ十分採用圏内となる。
ランク4のエクシーズモンスターを投入する。
汎用性が高く、デッキを選ばず使えるものを優先的に入れれば間違いはないが、このデッキにおいて特に優先度の高いカードについて特記する。
- 《EMモンキーボード》のP効果で《EMドクロバット・ジョーカー》をサーチした後、《竜剣士ラスターP》のP効果で《EMモンキーボード》を破壊し2枚目をサーチ。
- 《EMドクロバット・ジョーカー》をPゾーンに置き、手札とエクストラデッキから《EMモンキーボード》2体をP召喚してこのカードをエクシーズ召喚する。
- このカードの効果で《BF−精鋭のゼピュロス》を墓地へ送り、《竜剣士ラスターP》をバウンスして自己再生。
- 《竜剣士ラスターP》を再度Pゾーンに置いてP効果を発動、《EMドクロバット・ジョーカー》を破壊し2枚目をサーチする。
- 《EMドクロバット・ジョーカー》を召喚してEM1枚をサーチ、《BF−精鋭のゼピュロス》と共にランク4のエクシーズ召喚を行う。
モンスターカードを30枚前後投入するため、魔法・罠カードに割けるデッキスペースは極めて乏しい。
必要最低限のカードに絞って採用する事が求められる。
ほとんどのデッキはEM・Emに加え、以下のセットのいずれかを出張的に採用していた。
複数のセットを搭載する事も多い。
戦術 †
ペンデュラム召喚による展開を行い、ランク4のエクシーズ召喚を行ってフィールドを制圧する。
そのためには、以下の3点の行為を確実に行うことが必要となる。
- ペンデュラムゾーンにレベル4モンスターをペンデュラム召喚可能なペンデュラムモンスターを調達する
- 同時に手札とエクストラデッキにモンスターを蓄える。
- 《EMペンデュラム・マジシャン》を含んだペンデュラム召喚を行い、効果を使用する。
これらについて、順を追って説明する。
まず1のペンデュラムスケールの調達には、《EMドクロバット・ジョーカー》と《EMモンキーボード》を用いるのが一般的である。
相互サーチを利用して高いペンデュラムスケールを持ったモンスターを手札に加え、ペンデュラム召喚を狙う。
これらが揃わなかったときは手札と相談しながらペンデュラム召喚を行うことになるが、その際は極力《EMペンデュラム・マジシャン》をペンデュラム召喚できるようにし、上記のモンスターのサーチを行いたい。
下記のように《竜剣士ラスターP》を用いた場合も、ペンデュラムゾーンのカードを破壊し、次のターンのサーチに繋げるのが基本である。
2の必要なモンスターを蓄えることについて、重要な役割を担うのは《Emヒグルミ》である。
《Emヒグルミ》を破壊することで、展開しつつエクストラデッキを肥やすことを目的とする。
特に、《Emヒグルミ》を破壊しつつ同名カードをサーチできる《竜剣士ラスターP》や《揺れる眼差し》とのコンボは複数体の破壊を狙える。
更に破壊された《Emヒグルミ》をEMを利用したペンデュラム召喚で再びフィールドに出し、再度破壊することを狙っていく。
この時《EMペンデュラム・マジシャン》で《Emヒグルミ》を破壊できれば莫大なアドバンテージを得られる。
そして3について、ペンデュラム召喚を行う際には《EMペンデュラム・マジシャン》を含んで行うことを基本とする。
《EMペンデュラム・マジシャン》は《Emヒグルミ》のトリガーになる他にも、セッティング済みのペンデュラムモンスターを破壊するだけで、エクストラデッキを肥やしつつ次のターンのペンデュラム召喚の用意が行えるためである。
《EMペンデュラム・マジシャン》と相性のいいカードが多いことがこのデッキの強みなので、《EMペンデュラム・マジシャン》のペンデュラム召喚は最優先事項となる。
これを《神の通告》等で止められると一気に旗色が悪くなるため、棒立ちになっていることの多い《EMドクロバット・ジョーカー》等を用いたエクシーズ召喚により露払いを行い、確実に決められるようにしたい。
基本的な展開方法をいくつか紹介する。
上記の流れを行えば、毎ターン1ターンキル可能なレベルの展開が望める。
ただし、サーチ効果が極めて豊富であるがゆえに、常にプレイヤーには多数の選択肢が突きつけられており、的確なカードをサーチしていく技能が要求される。
非常に強力なデッキなのでミラーマッチ以外は大抵勝利できるものの、大会で勝ち上がることを目指すのならばデッキに対する深い理解と習熟を必要とするだろう。
《Emダメージ・ジャグラー》が《妖精の風》や《揺れる眼差し》を無効にできるため、ペンデュラム召喚に対するメタには比較的強い。
また、ペンデュラム召喚とエクシーズ召喚の2つの軸があるため、一方の召喚法を止めるようなカードが存在しても、もう一方の召喚法からそれを突破しやすい。
加えて、《虚無魔人》のようなメタ系カードを《Emミラー・コンダクター》で突破できるため、モンスター1枚で完全な機能停止に追い込むのは難しい。
デッキの地力の高さも相まって、メタカードに対してはかなり強いデッキと言える。
環境において採用された【EMEm】へのメタカードとしては、以下のものが挙げられる。
なお【ペンデュラム召喚】の一種である以上《マクロコスモス》などの除外系や特殊召喚の封印も有効なのだが、当時の環境級デッキにそれらを併用できるデッキがなく、トーナメントで使用されることは少なかった。
ただしこれらの対策は、先攻1ターン目の【EMEm】側の展開を止められないため、「メタカードを引けたはいいが初手で敷かれた盤面を崩せず、そのまま負けてしまう」という展開も起こりうる。
後攻1ターン目ですらもメタカードでの対応が追いつかずに圧殺される光景は決して珍しくなかった。
また、メタカードの増えるマッチ2戦目以降は、【EMEm】側も《サイクロン》や《ツインツイスター》をサイドデッキから積み増す例が多い。
したがって先攻1ターン目の展開を手札誘発カードでいかに止めるかも重要である。
なお、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》での魔法カード封殺、ペンデュラムゾーンを破壊しつつあわよくばサーチ・除去を行える《揺れる眼差し》、その《揺れる眼差し》を無効にする《Emダメージ・ジャグラー》等を投入するのも有効なメタとなる。
最大の問題点は、それらを自然に投入できるデッキを組もうとするとなると【EMEm】同士のミラーマッチとなってしまう点だろう。
15/07/18〜15/09/30 †
ディメンション・オブ・カオスでの《Emヒグルミ》登場と同時に誕生し、環境の第一線に立つ。
当時は《星守の騎士 プトレマイオス》が現役であり、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》と《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》や《セイクリッド・プレアデス》を並べ、相手を封殺することが可能だった。
9/19には《星守の騎士 プトレマイオス》と相性抜群の《外神アザトート》が発売されたが、両者を併用できた期間は2週間に満たなかった。
15/10/01〜15/10/16 †
《星守の騎士 プトレマイオス》が15/10/01で禁止カードとなったが、【EMEm】本体には全く規制がかからず、むしろライバルとなるデッキが規制されたことで相対的に強化された。
《星守の騎士 プトレマイオス》が抜けたことでエクストラデッキの構築に大幅な変化が生じ、《外神ナイアルラ》+《外神アザトート》など、より多彩なランク4が投入されるようになった。
この時期は【EMEm】・【彼岸】・【帝王】の3強状態であり、サイドデッキには【彼岸】メタの《飛翔するG》や、【帝王】メタの《生贄封じの仮面》が投入された。
15/10/17〜15/12/31 †
ブレイカーズ・オブ・シャドウが発売され、《EMモンキーボード》が登場したことでペンデュラム召喚の安定度が大幅にアップ。
更に《竜呼相打つ》と《解放のアリアドネ》が登場したことで新たな戦術の搭載が可能となり、ぶっちぎりの環境トップとなった。
【EMEm】メタを自然に行えるのが【EMEm】だけという点も相まって、大会の上位入賞デッキを【EMEm】が独占していることも珍しくない状況であった。
ミラーマッチ以外であればほぼ確実に勝利できたため、サイドデッキは他のデッキを対策するよりも、ミラーマッチを制する事を重視して組まれていた程である。
《Emヒグルミ》と《Emダメージ・ジャグラー》、《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》が一斉に禁止カード化され、構築不能となった。
一方で、各種EMおよび竜剣士関連カードに規制はかからず、莫大なアドバンテージ獲得能力は健在であった。
直後の環境では【EM】に竜剣士関連カードを投入した【EM竜剣士】が主流デッキの一つとなる。
弱体化してもなお主流デッキとなる辺りにEMのアドバンテージ獲得能力の凄まじさが分かる。
EMに厳しい規制がかかり【EM竜剣士】が構築困難になった事で、【EMEm】の流れを汲むデッキは完全に環境から姿を消した。
しかしこの規制前後にも強力な効果を持つモンスターが多数登場し、その後の環境においてもそれらを初手から大量展開して制圧する戦術が流行。
「先攻1ターン目でメタ効果を持つモンスターを展開して相手を封殺する」というこのデッキのコンセプト自体は根強く生きている事が垣間見える。
備考 †
- デッキ名はルビを忠実に読めば「エンタメイトエンタメイジ」となるが、長く煩雑なため実際にそう呼ばれることは稀である。
プレイヤー間ではルビを無視して「イーエムイーエム」、もしくは更に略して「エムエム」と呼ばれることが多い。
代表的なカード †
関連リンク †