【フルバーン】 †
デッキの概要 †
一般的な「モンスターの戦闘によるダメージ」ではなく、「カードの効果によるダメージ」で相手ライフを0にすることを目的としたバーンデッキの代表格。
バーンデッキの派生種は色々とあるが、最もハイスピード且つ安定した手段で相手ライフを削ることにかけては【フルバーン】の右に出るデッキはない。
そういう意味ではこの【フルバーン】は、「究極の速攻デッキ」と言えよう。
デッキの構築力とプレイングによっては、相手に一切の抵抗も許さないまま勝利してしまうことも多々ある。
ビートダウンやコントロールと違う方向性の強さであり、シングル戦ではほぼ全てのデッキに対して有利に戦える。
特に、速度を犠牲にして主流デッキにメタを張った【メタビート】系には滅法強い。
反面、バーン専用のメタには弱いためマッチ戦ではサイドデッキから対策されやすいため、大会などでは十分な成績を残しにくい傾向にある。
サイドデッキに【自爆スイッチ】のギミックを組み込むこともできるため、マッチ戦では2戦目・3戦目を引き分けに持ち込んで勝利する方法も取れるだろう。
現在ではサイドデッキにバーンメタを積まない構築が増え、マッチ戦でも地雷デッキとして機能しやすくなっている。
しかし、環境の高速化と制圧効果で結果的に防がれることが増え、結果を残すことは難しくなっている。
【フルバーン】の歴史は古く、遊戯王OCG初年度の《メタモルポット》登場時分より既に存在していたことが知られている。
理論 †
デッキのコンセプトについて †
デッキを全て高効率のバーンカードとサーチ・ドローカードで埋め、相手ライフを高速で削りきることに特化した特殊なデッキ構築をすることになる。
デュエルの高速化が進む昨今、大抵のデッキで2ターンもあれば大型モンスターが襲いかかってくるので、【フルバーン】側も極力効率のいいバーンカードを採用しなければならない。
マスタールール3導入後はデュエル開始時、先攻なら自分の手札は5枚、後攻なら最初のドローフェイズも合わせて6枚。
つまりカード1枚につき最低1000ダメージが与えられれば、手札8枚(自分ターンで数えて先攻なら4ターン目、後攻なら3ターン目)で勝利できる計算になる。
ただし、実際は1000を大きく超えるダメージが与えられるバーンカードも多く存在するので、初手が良ければ手札6・7枚で勝利できることもザラである。
無論、これは「相手の伏せ除去を受けてダメージソースを割られなかった場合」の計算であるため、実戦ではこの理論通りには行かないことに注意。
このデッキにおいて1枚のダメージソースはそれこそ生死を分ける死活問題であり、それ故相手の伏せ除去には常に警戒しておかねばならない。
デッキ構築について †
デッキ内のスロットが余ってしまうのであれば、《バトルフェーダー》や《威嚇する咆哮》・《和睦の使者》等の使い捨て防御カードを採用してスロットを埋めたい。
《八汰烏の骸》・《強欲な瓶》等のドロー加速カードでスロットを埋めるという方法もあるが、如何せんそれらの殆どは1ターンのタイムラグが生じてしまう。
これらのカードも積み過ぎは事故の元となってしまうので注意。
相手次第では大きく時間稼ぎができる《激流葬》や《聖なるバリア −ミラーフォース−》・《砂塵のバリア −ダスト・フォース−》も有効。
モンスターカード †
火力となるモンスターには様々なものがあるが、デッキの採用枚数をあまり多くしすぎると手札で余り、消費しきれなくなってしまう。
そのため最終的に投入するモンスターは5〜10枚ほど。
ドロー加速やデッキ圧縮カードを多用するなら、それ以下に絞ることが望ましい。
下記ではカードの種類別に分けて記述する。
魔法・罠カード †
大半の魔法・罠カードはモンスターの召喚と違って1ターンの発動回数に制限がない。
そのため、【フルバーン】で実質的に相手のライフを削る火力は3/4以上をこの魔法・罠カードに頼ることになる。
- 単発火力
相手への干渉が少なく、比較的安全に使用できるダメージソース。
ダメージ量としては比較的控えめなものも多いが、その分火力としての安定性は高い。
- 永続火力
発動後もフィールドに残り続け、特定の行動に反応して複数のダメージを与え続ける。
単体では使用できないため必然的にコンボで使用することになるが、その分基本的に与えられるダメージは総じて平均以上。
但しその性質上序盤に引かなければ大きな活躍は見込めないため、採用の際はプレイングに気を遣いたい。
採用することでデッキ圧縮が行えるようになるため、デッキ内の平均ダメージ量が増加するという副次的なメリットもある。
また、ダメージソースが足りない場合はスロットを埋める役割としても機能してくれる。
ただし、現環境では《灰流うらら》などに狙われる可能性が高く、考えなしに採用するとそれらの使用機会を与えてしまった上に手札が減ることで敗北に直結しかねないので注意。
事故の危険が少ないこのデッキでは必ずしも必要でないが、マッチ2戦目以降に相手が《灰流うらら》などをデッキから抜いてくることを見越して投入する余地は充分あるだろう。
基本的に召喚権を消費するため、《ファイヤー・トルーパー》や《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》等との枚数バランスは考えたい。
魔法カード †
罠カード †
罠カードのドローソースは性質上タイムラグが発生してしまうため、他のカードに比べて採用枚数は極力抑えるべきである。
【フルバーン】は通常のビートダウンとデッキ構成・戦法が根本から違うため、それによって各種の長所・短所が存在する。
一長一短あるが、それでもシングル戦であれば様々なデッキ相手に最強クラスの実力を誇るので、初戦では確実に相手の死角を突けるだろう。
但し下記のようにメタには滅法弱いため、マッチ戦では少々結果を出しにくいかも知れない。
それらへの対策として、サイドデッキで【自爆スイッチ】のギミックを組んだり、デッキの大部分を入れ替えてデッキタイプを変えてしまうのも有効。
利点 †
弱点 †
派生デッキ †
チェーン数に関係するカードによって、ドローターボをしながらバーンを行えるようになった。
元々は《ご隠居の猛毒薬》・《仕込みマシンガン》・《ファイアーダーツ》等のカードを利用しチェーンを積み上げる【フルバーン】。
ここに《強欲な瓶》・《八汰烏の骸》・《無謀な欲張り》等を主体に速攻魔法・罠カードを加えることで、いとも簡単にチェーン4など積み上げられる。
実際にやってみると《積み上げる幸福》も《連鎖爆撃》も面白いように撃つことができる。
高速で焼き切るために防御手段に乏しい【フルバーン】に対し、少しでも防御に重点を置いたデッキ。
【フルバーン】でも《魔法の筒》・《ディメンション・ウォール》くらいは投入されることがあるが、モンスターを使うことは少ない。
そこに壁となる火力を用いて、速度を落とす代わりに防御力を上げている。
直接攻撃やバーン効果を持つモンスターを絡め、バーンと同時に戦闘ダメージも折衷して与えていくデッキ。
ビートダウンとバーンの2つの要素を持つため刺さるメタカードは増える上に息切れもしやすいが、対応力や爆発力は上がる。
通常魔法の比率を上げて《連弾の魔術師》を採用した【フルバーン】。
コンボカードとして《トゥーンのもくじ》や《精神統一》を採用するのが特徴。
また、《光の護封剣》や《悪夢の鉄檻》を投入し【ロックバーン】にしたものも存在する。
【メテオ・プロミネンス】 †
自己サルベージ効果を持つ《メテオ・プロミネンス》を主軸としたデッキ。
通常罠であるため、《ジャンク・コレクター》により再利用できる点と、《おジャマジック》・《ヴォルカニック・バレット》で手札コストを軽減できる点が特徴である。
おジャマを利用するため、《凡人の施し》・《闇の量産工場》・《凡骨の意地》で更に手札を増やすことも容易である。
《メテオ・プロミネンス》さえ手札に来れば、通常の【フルバーン】よりさらに高速で勝利を決めることができる。
【天獄バーン】 †
《天獄の王》を採用し、バーンダメージの大きな罠カードを多く投入したデッキタイプ。
構築は【ウォールバーン】に近いが、フリーチェーンのバーン罠カードも採用され、攻撃してこない相手に対してもバーンを飛ばしやすい。
《天獄の王》はセットした罠カードを除去から守れるだけでなく、攻守3000の壁兼アタッカーとしての特殊召喚と後続のバーンカードのサーチが可能。
ただし、特殊召喚するとセットカードへの除去耐性効果は失われてしまい、攻守3000のモンスターと言っても所詮は耐性皆無に過ぎず、現環境において突破手段は豊富に存在するため、特殊召喚はタイミングの見極めが重要。
効果ダメージの反射でバーンダメージを与える変則的な【フルバーン】。
キーカードが岩石族で統一されているため【岩石族】に数えられることが多い。
関連リンク †